海外邦人事件簿|Vol.55 ご家族への思いやり

海外旅行中、病気に罹ったり、事故等で怪我を負い、現地の病院で治療を受けたり、入院する旅行者が多くいます。普段、自分は体力に自信があり、病院には無縁だと思っている人でも、日本とは異なる環境や過密な旅行スケジュールで体調を崩してしまうことはありますし、慣れない交通事情や日本ほど整備されていない道路環境等により事故に遭ってしまう可能性は誰にも否定できません。

不幸にして海外の病院等において治療を受ける場合、日本では考えられないような高額な治療費を請求される場合があることは、vol.28でもお話ししましたが、病気や怪我の程度によっては付き添いが必要となり、日本からご家族が渡航しなければならないケースがあることも考えておかなければなりません。

『アフリカの大自然を体験するツアーに参加していた父親が、現地のホテルに滞在中、心筋梗塞で倒れ、近くの病院に緊急入院したとの連絡を受けた一人娘のAさん。担当の会議を翌日に控えていたため対応に悩んだが上司に事情を話して理解を得、旅券の緊急発給を受け、取るものも取りあえず現地に渡航し、父親の身の回りの世話などを行った。その後さらに設備の整った病院に転院して治療を受けた後、父親に付き添って帰国した。』

[イラスト:アフリカで倒れた父親のために渡航し看病などに奔走した]

『語学習得を志し、北米の自然豊かな街に留学した青年の母親Bさん。留学先での息子の楽しい生活を思い浮かべながら息子の元気な帰国を首を長くして待っていたが、留学先の学校から、息子が生活環境の違い等から精神障害を起こしたと診断され、現地の病院に入院したとの連絡があった。その後、帰国して治療することとなったが、飛行機に搭乗するためには付添人が必要とされたため、未だ年少のほかの子供たちを実家に預けて現地に渡航し、慣れぬ外国の地で退院手続き等を行った上で、息子に付き添い、とんぼ返りで帰国した。』

[イラスト:留学先で精神障害を起こした息子のために母親が付添のために渡航]

日本のご家族が現地に緊急渡航しなければならない場合、割安なパッケージツアー等を選択する時間的な余裕はなく、非常に高額な航空運賃や滞在費を支払わなければならないことが往々にしてありますが、十分なサービスの付いた保険に加入していなかった場合、旅行者自身やそのご家族は金銭的にも重い負担を背負うこととなります。

海外旅行のお土産を用意することもご家族への思いやりですが、万一の場合、あなたのために駆けつけてくれるご家族の負担や心配を少しでも軽くしておくことも、思いやりのあり方ではないでしょうか。

「自分だけは大丈夫」と決めつける前に、もう一度考えてみませんか?

(2007年1月9日掲載)

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