海外邦人事件簿|Vol.54 写真撮影は慎重に

海外旅行中、日本では見られない美しい風景やエキゾチックな情景を目にすると、誰しもそれを思い出として写真に撮りたくなりますよね。日本に帰ってから、撮影した写真を眺めていると、楽しかった思い出にひたることができます。中には、ご自身のホームページやブログに旅の写真を掲載して悦に入っていらっしゃる方もおられるのではないでしょうか。

しかし、海外では、気軽に撮った写真が思わぬトラブルを引き起こすことがままありますので注意が必要です。ここに、いくつかのトラブルをご紹介します。

『ヨーロッパの美しい森を散策していた女性Aさん。あまりの美しさにおもわずその風景を写真に収めたところ、付近にあった軍事施設を撮影したと国境警備隊に疑われ、その場で逮捕された。』

『中央アジアのカスピ海に面した港で美しい夕焼けを撮影していた男性Bさん。ところが近くの軍事港湾施設を撮影したと警官に疑われ、その場で逮捕された。』

『敬虔なイスラム教徒の多い中東で、カラフルなバスを撮影していた男性Cさん。ところが、バスの近くを歩いていた若い女性が「勝手に自分の姿を撮られた」と叫んだため、付近にいた人たちに取り囲まれ、カメラをその場で取り上げられた。』

風景を写真に収めたら国境警備隊に逮捕された。

『自然豊かな東アフリカの広大な自然公園を自動車で観光中、マサイ族の人たちに出会った男性Dさん。黙って撮ったところ、彼らは猛烈に怒りだし、お金を要求した。』

このように、海外では軍事施設はもちろんのこと空港、港湾、王宮、政府施設等も撮影が禁止されている場合が多いので、風景や施設を撮影するときには、近くに撮影禁止標識がないか確認したり、通りがかりの警官等に尋ねるなど細心の注意を払ってください。また、いきなりカメラを向けられれば誰しも不快になりますが、海外では日本人以上に写真を撮られることを嫌う人、あるいはカメラのモデルになることを生業にしている人々がいますので、人物を撮影する前には必ず本人の了解を取るよう心がけてください。

マサイ族の人たちを黙って撮ったらお金を要求された。

せっかく撮った思い出の1枚が、悔やみきれない悲しい思い出の「動かぬ証拠」とならないよう、写真撮影は慎重に。

(2006年12月4日掲載)

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