海外邦人事件簿|Vol.53 日本語で話しかけられたら要注意!

海外を旅行中に、現地の人から日本語で話しかけられたらどういうふうに感じますか? やっぱりちょっと嬉しくなりますよね。でも、ちょっと待ってください。そこにはこんな罠があることも・・・。

『カリブ海の島国。現地で流暢な日本語を話す現地の男と知り合い、意気投合して、その男に誘われるまま、その男の車で市内観光をしていたら、警察官を名乗る私服の男に車の停止を求められ、車内から身に覚えのないマリファナが発見された。「金を支払わなければ麻薬所持容疑で警察署に連行する」と脅され、仕方なく多額の現金を支払い、ようやく解放された。』

麻薬所持容疑で脅され、多額の現金を支払った。

『南米のサッカー強国。街を観光していると、人の良さそうな現地の男に「日本人ですか?」と片言の日本語で声をかけられ、喫茶店に誘われると日本の話で盛り上がった。お互い打ち解けたところで、「有利な両替方法を知っている。普通に両替すると効率が悪く、あなたが気の毒だ。」と男が言うので、現金を渡して両替を依頼したが、ついに男は戻ってこなかった。』

『西アフリカの某国。日本に留学経験があるという現地の男から流暢な日本語で「ちょうど日本人用の高級で安全なツアーが予定されており、2名分くらいなら参加できる。今申し込むと、相乗りで格安で観光ができる。」と言われ、その男の親切さにその気になり、前金を支払ったが何も手配されず、ツーリストポリスに被害を訴えると、その男より訴えを取り下げるよう嫌がらせを受けた。宿泊していたホテルの関係者によれば、同じような手口で他にも日本人が騙されているとのこと。』

有利な両替といわれ現金を渡したが男は戻らなかった。

Vol.39でお話しした「いかさま賭博」でも、日本語で話しかけてきた相手を信頼し、犯罪に巻き込まれるケースを紹介しましたが、海外の犯罪者が日本人旅行者をターゲットとする際に日本語で話しかけて信頼を得ようとするケースは世界中から報告されています。

海外旅行中、現地の言葉をあまり話せないと、うまくコミュニケーションが取れず、心細く感じることもあるかと思います。そんなとき、優しく日本語で話しかけられ、親切にされたらついつい相手を信頼してしまうのかもしれません。でも、くれぐれも警戒心はゆるめないでください。話しかけてきた相手に少しでも不審な点があれば、すぐにその場を離れましょう。また、日本語が分からないふりをする等して、最初から相手にしないというのも一つの方法です。

こう言ってしまうと、「日本語で話しかけてくる外国人は、みんな犯罪者だと思えと言っているのですか」とお叱りを受けてしまうかもしれません。もちろん、多くは善良な人かもしれませんが、相手の意図を理解しないままに簡単に信頼しきってしまうのは、あまりにも無謀で危険であると申し上げたいのです。現地の人との心のふれあいは、海外旅行の醍醐味の一つですが、相手に裏切られ、金銭的な、場合によっては身体的な手ひどい仕打ちを受けたとしても、「それも貴重な人生経験」と割り切ることのできる人はいないでしょう。まずは警戒心をゆるめずに相手と話をするべきではないでしょうか。

(2006年11月6日掲載)

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