海外旅行では夜の観光も楽しみの一つ。夜は観劇や夜景見物など昼間とはまた一味違う思い出を作る機会でもあります。また中には友達と連れだって日本の夜を思い出してカラオケに出かける方もおられると思います。今回はそのような楽しいはずの夜にとんだトラブルに巻き込まれた事件をご紹介します。
『上海に出張した男性2人組。夕食の後、ホテルの前で話しかけてきた男に誘われタクシーでカラオケ店に行き、いざ帰ろうとしたら恐そうな男が数人出てきて飲み代約10万円を請求された。抗議しようとしたが身の危険を感じ、とりあえず代金を支払い、ホテルに帰ってから警察に通報。しかし店の場所がうろ覚えだったため、結局泣き寝入りとなった。』
『ローマを観光していた男性。街中で声をかけてきた旅行者らしき男に誘われるままバーに行ったが、雰囲気がおかしいので帰ることにした。清算をしようとしたら請求額が約11万円。抗議したら大男が出てきてすごんだ。ふと自分を誘って来た男性をみると気前よく支払いをしていた。そこで、あきらめて自分も支払ったが、後で良く考えると皆が一味で自分だけが罠にはめられたらしい。』
日本でもこのような「恐い店」はあります。しかし、不思議なことに国内では決してそのような店に近づかないような人が海外で被害に遭っています。外国での雰囲気の違いなどから、ついつい警戒感を無くしてしまうのでしょうか。上記の2つのケースはいずれも外国旅行に慣れた人が被害に遭ったものです。サクラを使って客をおびき寄せるなどの巧みな手口に引っ掛かってしまったのです。
いずれにせよ、慣れない異国の地での夜はできるだけおとなしくしているのが無難です。その土地の信頼出来る友人知人が案内してくれるのであればともかく、そうでなければ夜の街を探検するのは避け、宿泊しているホテル内の店で楽しむのが最も安全です。それではどうしても旅の醍醐味が味わえない、と思う方は、ホテルマンや観光ガイドが勧めている店を尋ねたり、パンフレットや本で情報を集めてから出かけましょう。そして、店に着いたら自分の五感を総動員して危険な雰囲気がないことを確かめてから入って下さい。それでも被害に遭った場合にはあきらめるしかありません。その際は自分の身の安全を第一に考えて行動して下さい。「命あっての物種」です。
(2004年3月8日掲載)