海外邦人事件簿|Vol.13 旅慣れていても油断すべからず

海外で事件事故に巻き込まれる人は、海外旅行に不慣れな人ばかりではありません。外国に慣れて外国語が話せることが、逆に犯罪にあう可能性を高めることもあります。今回は、海外生活や海外旅行に慣れている日本人若者の詐欺被害例を紹介しましょう。

『留学生のカップル。ヨーロッパのとある駅で自称ドイツ人の男が話しかけてきた。聞けば「レストランで所持金とクレジットカードを盗まれたが、今日中に帰国しなければならないのでお金を貸して欲しい、必ず返済するし、自分の旅券や身分証明書を見せるので信用して欲しい」と訴える。同情したカップルは、念のため駅の警察署で旅券が本物であることを確かめた上で警察官の前でお金を貸した。しかし、お金は返済されず、残された連絡先は架空のものだった。被害額約8万円。』

ヨーロッパのとある駅で自称ドイツ人の男が話しかけてきた

『一人旅の男性。パリのリヨン駅で話しかけられた男に対し、自分は両替所を探していると言ったところ、有利なレートで両替する場所を紹介してくれるという。一緒に近くのカフェに行き、男が現金を持って店の奥に入っていった。いつまで待っても出てこないので、ウェイターに両替の話をして初めて騙されたことに気が付いた。被害額10万円。』

何故、途中で変だと思わないのでしょうか。実は被害者達も後でそう語っています。それだけ犯罪者の話術が巧みだったのでしょうか。それとも会話ができたがために、ついつい相手の術中にはまってしまったのでしょうか。いずれにしても、被害にあった日本人のどこかに「油断」があったことは確かです。日本国内でこういう話があっても、まずほとんどの人は、不審に思い相手にしないでしょう。海外での「親切心」や「信頼感」も、時として「裏切り」という形で手痛いしっぺ返しをもらうこともあるのです。

邦人保護の最終的な手段として発出するものです

今回、ヨーロッパでの被害のみを挙げましたが、この手の詐欺は世界中で起きています。折角の海外旅行で、話しかけてくる人すべてに警戒感をもつのは確かに気が滅入ります。しかし後悔しないためにも、次の3原則は覚えておきましょう。

「現金は貸さない、見せない、触らせない」

(2004年3月29日掲載)

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