海外邦人事件簿|Vol.11 一瞬の判断が命運を分ける

一口に財産目当ての犯罪といっても、その手口になると、スリや置き引きなどの単なる物取りから、銃器や薬を用いた強盗のように、一つ間違えば命にかかわる凶悪犯罪まで多種多様です。もちろん、こうした犯罪に遭わないことに越したことはありませんが、万一犯罪に巻き込まれたときには、その時にどう対処するかで結果は大きく変わります。

『ブルガリアを旅行中の20代の日本人男性。駅前で知り合った男と公園に行き、勧められてコーヒーを飲んだところ、気分が悪くなり、睡眠薬入りであることに気付き、男が一瞬その場を離れた隙を捉えて逃走。駅の手荷物預かり所にたどり着いたところで意識を失ったが、幸いそこで保護され所持品は無事だった。これはヨーロッパの各国で頻発している睡眠薬強盗の典型的手口であった。』

それにしてもこの男性は幸運でした。睡眠薬が効くまでその場を離れなければ身ぐるみはがされていたところです。幸運と一瞬の判断が自分自身を犯罪から防ぐことが出来ました。しかし、逃げたり抵抗したりすることが、いつもいい結果を生むとは限りません。例えば、ローマでバイクに乗った強盗に奪われそうになったバックを抱え込んで転倒し頭部を強打して亡くなった女性や、ボストンでホテルの自室をノックされたのでドアを開けたらピストルを持った強盗が居て慌ててドアを閉めようとして射殺された男性など、悲劇的な例は後を絶ちません。

睡眠薬強盗の典型的手口

結局のところ、自分を守るのは自分自身しかありません。不幸にも犯罪に遭遇してしまったら、できるだけ冷静に対処するよう努め、命と身体の安全を第一に考え、少しでも身の危険を感じたら無抵抗を貫くことも仕方ないかもしれません。

しかし誰でもこんな不運には遭遇したくないもの。残念なことに、海外の犯罪者の多くは、日本人観光客を「お金持ち」、「不用心」という理由から、格好のターゲットと考えています。犯罪者に狙われないようにするには、まず、こうしたイメージと逆の行動をとることでしょう。具体的には、所持品を少なくする、目立つ服装をしない、危ない場所には行かないなど、基本的な安全対策を怠らないことが、最良の予防策であることを忘れてはいけません。

犯罪者は狙いやすい対象(旅行者)をその標的とすることだけは万国共通です。

日本人観光客を格好のターゲットと考えている

(2004年3月22日掲載)

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