海外邦人事件簿|Vol.42 数字が語る日本人のトラブル事情(その3)
今回は、財産犯罪に関して、どこでどんな犯罪が起きているかを見てみましょう。
犯罪被害の割合は、アジア27%、北米11%、中南米7%、欧州44%、大洋州8%、中近東1%、アフリカ2%となっており、アジア、欧州が全体の71%を占めています。被害件数は、渡航者数にある程度比例しますが、渡航者の多い北米と比べると、アジア、欧州で被害に遭う比率は高いようです。
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1.アジア:待ち構える詐欺
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アジアでは、窃盗、強盗、詐欺、全てに注意が必要ですが、なかでもアジアにおける詐欺被害の割合は全世界の65%と突出しています。特に「いかさま賭博」や「宝石・洋服詐欺」はアジア特有の犯罪と言えます。「睡眠薬強盗」も71%がアジアで発生しています。「複数の人間が、ゆっくりと時間をかけて観光客を罠にはめる」という手口がアジア地域の犯罪の特徴と言えます。
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2.欧州:電撃型の犯罪
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置き引き、スリ、ひったくりなど、瞬時に犯行を完結する電撃型の手口が多く見られます。ヨーロッパにおける置き引きは、世界全体の52%、スリは62%、ひったくりは48%を占めています。「話かけスリ」(いきなり話しかけ隙をみてスリを実行)、「集団スリ」(集団で取り囲んで身動きできないようにしてスリを実行)、「首絞め・羽交い締め強盗」(路上でいきなり背後から襲って金品を強奪する)、「偽警官詐欺」(持ち物チェックをするふりをして財布からお金を抜き取る)などが欧州で多い犯罪手口の特徴です。
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3.北米:多発する車上狙い
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北米では置き引きの被害も多発していますが、「車上狙い」が多いのが特徴です。全世界の「車上狙い」被害の35%が北米に集中しています。北米の各都市では、長期滞在者はもちろん、一般の観光客もレンタカーを利用する機会が多いのが一因かと思われます。また、犯罪ではありませんが、北米では「交通事故」も多発しておりますので、「車上狙い」とともに「運転」には十分注意が必要です。
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4.大洋州(オセアニア):住居等への侵入にご注意
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犯罪の発生件数が全世界のわずか8%の大洋州において、「空き巣」の発生件数が地域別ではトップとなっています。やはり大洋州という解放感のある地域性が油断を招いているのではないでしょうか。なお、2002年に多発していた「侵入強盗」は激減(52件→3件)しました。「侵入強盗」の被害は全世界的にも減少(208件→36件)しており、住居やホテルにいる時も注意する習慣が身についてきたと言えるでしょう。
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各地域の犯罪傾向の特徴を取り上げてきましたが、その多くは事前の知識と防犯意識さえあれば防げます。海外に渡航する際には、「自分の身は自分で守る」という心構えをもって、是非安全対策に努めてください
(2005年12月5日掲載)
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