海外邦人事件簿|Vol.22 データが物語る日本人トラブル事情(その2)

前回に引き続き、「海外邦人援護統計」から見える日本人に特徴的な海外でのトラブル事情をご紹介します。今回は、財産犯罪の被害に遭う日本人の男女の別にスポットを当て、その傾向や特徴を見てみましょう。

1.被害になる確率は男性上位
2002年の日本人渡航者全体の割合を見ると、男性55%、女性45%ですが、財産被害に遭われた割合は、男性59%、女性41%となっていますので、若干ですが、男性の方が高い確率で被害に遭っているといえます。女性の個人旅行者も増えていますが、一般的に、男性は自由な個人旅行を行うケースが多く、その分犯罪の危険に遭遇しやすいのかも知れません。「列車や長距離バス内でのスリ」、「車上狙い」といった被害に遭う確率は、男性の方が圧倒的に高いことからも、一人旅には危険が伴いがちということが裏付けられます。
列車や長距離バス内でのスリ

2.男性をターゲットとする犯罪
女性に比べ、男性が被害となる確率が圧倒的に高いものには、上記の他、「話しかけスリ」、「道案内スリ」、「睡眠薬強盗」、「いかさま賭博詐欺」などが挙げられます。これらの犯罪被害には共通して「見知らぬ人からの誘いに応じてしまう」ことに原因があります。総じて、男性は不用心な方が多い(と犯罪者に見られている?)ということでしょうか。
3.女性をターゲットとする犯罪
反対に女性の被害件数が多いものには、「引ったくり」、「バイクによる強奪」、「ケチャップスリ」などが挙げられます。女性はカバンや買い物袋などの荷物を持ち歩く場合が多く、抵抗する腕力も男性と比べて弱いことから、「引ったくり」や「強奪」などの強引な手口による窃盗には、常に用心しておいた方が良さそうです。また、ケチャップ類を衣服につけられ、それに気をとられている間に身の回り品を盗まれる「ケチャップスリ」は、女性心理を巧みについた犯罪と言えるでしょう。
引ったくり

男女間の違いが顕著に見られるこれらの手口。犯罪者の側に立つと、「なるほど」とうなずかれる方もいらっしゃるでしょう。逆に、こうした事実を頭の片隅においておけば、ターゲットになる確率もぐんと減るはずです。

しかし、犯罪者にとって最も狙いやすいのは、男女を問わず注意不足の方に違いありません。くれぐれもご注意を。

(2004年6月14日掲載)

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