海外邦人事件簿|Vol.15 音信のない我が子、身を案じる親

『21歳の女子大生。夏休みを利用して2週間の予定でスペインに単独で旅行に出かけたが、留守宅には一回電話連絡があったきり、帰国予定日も過ぎ授業も始まっているのに相変わらず連絡が来ない。心配した母親は外務省まで相談に来ましたが、娘の詳しい日程や宿泊先を全く知らなかったため、探す手掛かりも無い。それから2日後に母親のところに娘から連絡があり、「スペイン滞在が楽しくて滞在を一週間延ばした」とのことだった。』  外務省には、こうした相談が毎日のように寄せられます。単に子供からの連絡が無いだけなのですが、ついつい悪い想像をしてしまう親御さんと当省のやりとりの一例を紹介します。

(相談1)定期的に連絡をくれる子供から電話連絡が無い。
(外務省)現地の生活に慣れてくれば、自然と電話の回数も減ってくるもの。また、小旅行などで滞在地から離れている場合、ついつい電話する機会を失う場合も多い。心配することはないと思うが、しばらくしても電話がないようならば再度連絡を。
(相談2)帰国予定日を過ぎても息子が帰らない。
(外務省)個人旅行者の場合、突然旅程を変更するケースも多い。また、若者が良く利用する格安航空券は、搭乗手続が遅れると予約が取り消される場合があり、予定の航空機に乗れないことも良くある。しばらく連絡を待ってみては。
(相談3)子供がどこにいるのか全く分からないので探してほしい。
(外務省)手掛かりがなければ外務省でも探しようがない。但し、クレジットカードの使用記録があれば、ある程度の行動がつかめるので、カード会社に問い合わせる、また、旅先から友人に連絡することがあるので子供の友人に尋ねてみるのも一つの方法では。 等々。

実際、外国で日本人が事件や事故にあって重傷を負ったり、不幸にも亡くなった場合には、現地警察からの連絡を受けて、日本大使館、総領事館から日本の御家族へ速やかにお知らせしています。ですが相談のあったほとんどのケースは何事もなく収まっています。

我が子の安否を心配する気持ちは察しますが、それであればなおさら、お子さんの旅行日程やクレジットカードの種類、友人の名前程度は控えておいた方が良いでしょう。

お子さんの旅行日程などは控えておいた方が良いでしょう

また一人旅、留学、ワーキングホリデーなどで海外渡航に向かわれる皆さん。平時では、「便りがないのが良い便り」と言いますが、心配する親御さんを安心させるためにも、滞在先から無事を知らせる心遣いもお忘れなく。

滞在先から無事を知らせる心遣いもお忘れなく

(2004年4月5日掲載)

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