「6人に1人が海外トラブル経験者!」これは、外務省が昨年(2003年)2月に実施した世論調査の結果です。年間1,700万人が海外へ出かけ、90万人の方々が海外で暮らす今、想像をはるかに超える多くの皆様が海外でトラブルにあっているのです。
一口にトラブルといっても、犯罪被害、事故、病気、遺失、さらには飛行機の乗り遅れ、果ては同行者との口論に至るまで態様は様々です。しかし、深刻さの大小はあってもこれらのトラブルに共通することは、「せっかくの海外旅行が台無し」になることでしょう。台無しになるのが海外旅行だけであればまだ良いのですが、場合によっては人生も台無しになるような重大事件にあわれる方も少なくありません。
なぜこれほど多くの日本人が事件に巻き込まれるのでしょうか。もちろん本人の自覚や努力では如何ともしがたい事故や災害、病気等もありますが、大半のケースは当事者にもそれなりの原因があるものです。言い換えれば、トラブルにあうのもトラブルを避けるのも、本人の行動、心がけ次第ともいえるのです。
日本大使館、総領事館が扱う日本人のトラブル事案は年間1万7,000件に上りますが、これらの多くにはいくつかの共通点があります。
初回から少々きつい話になってしまいましたが、これから、この「海外邦人事件簿」では、日本人に特徴的な海外トラブルにスポットを当てて、実際にあったエピソードも引用しながら、海外での防犯・安全のために必要な対策をわかりやすく解説していきたいと考えています。
海外で安全に楽しく過ごすための「知識」と「意識」をしっかりと身につける、そのための参考書として活用して頂ければ幸いです。
(2004年2月20日掲載)