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ペルー

更新日 2019年03月11日

1 概況
(1)ペルーでは,センデロ・ルミノソ(SL)及びトゥパク・アマル革命運動(MRTA)の二大テロ組織が1980年代から活発なテロ活動を行っていました。しかし,1990年初頭以降,ペルー政府が強力なテロ対策を展開した結果,両組織の主要幹部がほぼ逮捕され,あるいは死亡するなど,SL,MRTAともに組織は弱体化しました。しかしながら,テロリストの一部は,セルバ(森林地帯)に潜伏し,麻薬密輸を資金源に現在も活動を続け,治安機関に対する武力攻撃を続けています。
(2)2000年3月にはテロに対する非常事態宣言が全て解除されましたが,2003年6月の「テチント社キャンプ襲撃事件」等の発生を受け,ペルー政府は,特定の地域に対し,再度,非常事態宣言を発出しました。現在は,テロ・麻薬対策のためにアヤクチョ州・クスコ州・フニン州・ワンカベリカ州の一部の地域(アプリマック・エネ及びマンタロ川渓谷)に非常事態宣言が発出されています。
(3)イスラム過激派等の国際テロ組織の活動はこれまで確認されていませんでしたが,2014年10月にシーア派民兵組織ヒズボラのメンバーが逮捕されました。容疑者は,ペルーの治安警備状況を組織に報告するために滞在していたと供述していますが,一部専門家の間ではペルー国内でテロを計画していたとの見方もあり,イスラム過激派等の国際テロ組織の活動について,今後も注意する必要があります。
(4)2018年中の誘拐事件の認知件数は7件で,いずれもセルバ(森林地帯)で発生しています。しかし,治安当局に届け出ないケースもあることから,警察統計や報道に取り上げられる以上の誘拐事件が発生しているものとみられ,引き続き注意する必要があります。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)センデロ・ルミノソ(SL)
SLは,2002年3月の米国大使館前における自動車爆弾事件以降,リマ市内では宣伝行為以外の活動は行っていません。しかし,非常事態宣言発出地域内においては,現在も軍や警察の治安部隊を狙った攻撃を繰り返し行っており,多くの犠牲者が出ています。そのため,これらの危険地域には立ち入ることがないよう,特に注意する必要があります。また,SLの政治部門とされる「恩赦と基本的権利のための運動(MOVADEF)」は,合法政党として政治に参加することを目的に活動を展開しており,「ペルー国民防衛統一戦線(FUDEPP)」と称する組織を立ち上げ,政治介入を目指す活動をしています。刑期を終え,釈放されたSL幹部と合流しているとの情報もあり,これらの動きにも注意する必要があります。
(2)トゥパク・アマル革命運動(MRTA)
MRTAは,在ペルー日本大使公邸占拠人質事件や,数々の誘拐事件を引き起こしてきましたが,メンバーが次々と逮捕されるなどして,2000年以降表立った活動はなく,米国国務長官は,2001年10月,MRTAを「外国テロ組織」の指定を解除しました。現在は,組織再編を図っている模様で,釈放された元メンバーを集めているとの情報もあり,社会運動団体の代表として抗議活動を扇動している元メンバーも確認されています。また,MRTAの過激分子とみられるメンバーが,トゥパク・アマル人民革命軍(FAR-EPT)の創設を訴えるビデオによる声明を発表しましたが,これまでFAR-EPTの国内での活動は確認されていません。しかし,隠したとされる資金がいまだ発見されていないことや,国外に逃亡したメンバーが国外の革命勢力との連携を目指してプロパガンダや資金活動を継続していること,服役していたメンバーが近年多数釈放されていることなどからも引き続き十分な注意が必要です。

3 誘拐事件の発生状況
(1)1990年初頭まで国内テロ組織による誘拐事件が多発していたものの,政府が誘拐対策を強化した結果,テロ組織による犯行は劇的に減少し,現在のところ,都市部でのテロ組織による誘拐事件は発生していません。
(2)SLは,2012年4月にクスコ州ラ・コンベンシオン郡エチャラテ町ケパシアト地区のカミセア天然ガスプロジェクト宿泊施設から,関連従業員36名を連れ去る事件を起こしており,その後もガスプロジェクト関連企業従業員や道路建設企業従業員等を数時間拘束するなどの事件を起こしています。また,子供を誘拐して兵士に育てており,2014年7月及び8月には国家警察及び国軍の合同部隊が,SLのキャンプから女性や子供54名を発見保護する事案も起きています。このように,SLは現在も,政治的,軍事的,経済的目的により,誘拐を敢行している状況が明らかになっていますが,これらの事件は誘拐事件として計上されていない点に注意する必要があります。
(3)2018年中,国家警察誘拐捜査課が認知した一般犯罪の誘拐事件(人質を拘束し身の代金を要求する,いわゆる典型的誘拐)発生件数は7件(前年比3件増)となっており,リマ市での発生はなく,いずれもセルバ(森林地帯)で発生した身の代金目的誘拐事件でした。しかし,ペルーでは犯人との交渉が法的に禁止されておらず,被害者側が警察に通報することなく,独自に犯人と交渉し,身の代金を支払って解決しているケースもあるとみられ,実際には警察の認知件数以上の誘拐が発生している可能性があります。また,短時間誘拐は多く発生しているとみられていますが,ペルーでは短時間誘拐は誘拐ではなく加重強盗として取り扱われており,統計上も「短時間誘拐」の分類が存在しないことから,その実数は不明です。(注:短時間誘拐とは,被害者を人気のない場所へ連れ去り,所持品を強奪する手口,被害者をATMへ連れて行き,現金の引き出しを強制し,これを強奪する手口の犯罪を意味します。)
(4)これまで,誘拐の被害対象は裕福なペルー人が多く,外国人に対する誘拐事件の発生はほとんどみられませんでした。しかし,2011年8月には,韓国人企業家の子弟が通学中に誘拐される事件が発生したほか,外国人旅行者を狙った短時間誘拐も散見されています。中流家庭の子供が対象となる事件も発生しているため,今後も誘拐には十分な注意が必要です。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 1996年の日本大使公邸占拠事件以降,日本人・日本権益を標的としたテロ事件は発生していません。しかし,同事件以前の1980年代後半から1990年代初頭にかけては,日本国大使館が爆弾テロの標的になったほか,日系企業もテロの対象になりました。また,1991年,リマ市北方のワラルにおいて,国際協力事業団(現JICA)の専門家3名がテロリストに殺害された事件も発生しています。現在でもペルー国内にテロ組織が現存していること,多数のテロリストが刑期を終え釈放されていることなどに鑑みると,日本人・日本権益を標的としたテロ発生の危険性はいまだ排除できないと言えます。
 さらに,近年,シリアやチュニジア及びバングラデシュにおいて日本人が殺害されるテロ事件が発生しています。また,テロは,日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており,特に,近年では単独犯によるテロや,一般市民が多く集まる公共交通機関(ソフトターゲット)を標的としたテロが頻発していることから,こうしたテロの発生を予測したり未然に防ぐことが益々困難になっています。
 このようにテロはどこでも起こり得ること及び日本人が標的となり得ることを十分認識し,テロの被害に遭わないよう,海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め,状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。

テロについて

 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが,一般には,特定の主義主張に基づき,国家等にその受入れを強要し,又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は,このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず,外務省が,報道等の情報等に基づき,海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり,本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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