ペルー
安全対策基礎データ
- 犯罪発生状況、防犯対策
1 犯罪発生状況
(1)2021年にペルー国内で発生した殺人件数は4,018件(前年比36%増)、強盗・窃盗件数は173,679件(前年比27%増)、強姦件数は20,327件(前年比18.4%増)、詐欺・横領件数は15,461件(前年比72%増)となっており、犯罪発生率は全般的に悪化しています。また、この件数はあくまで警察が把握した犯罪の統計であり、実際には更に多くの犯罪が発生しているものと考えられます。
(2)一般犯罪については、首都のリマ市やカヤオ市を中心に拳銃を使用した強盗などの凶悪犯罪が発生しており、抵抗したために殺害される被害も確認されています。リマ市内では、近年主に南米諸国の一部外国人による犯罪が多発していましたが、コロナウイルス対策に伴う外出制限により一時的に一般犯罪は減少していました。しかし、外出制限の緩和、コロナ禍の経済状況悪化に伴い、市内全域で犯罪が急増しています。また、観光名所や宿泊施設前、バスターミナル、人通りの少ない路地裏などでも犯罪が発生しており、単独旅行者は標的になりやすい傾向にあります。
2 最近の犯罪発生傾向
(1) 強盗
拳銃を使用した強盗事件が多発しています。犯行の例として、バイクに乗った犯人らが拳銃を通行人に突きつけ金品、携帯電話やバック等の貴重品を盗む手口のほか、信号停止中の車両の窓を割り携帯電話等所持品を盗むといった手口があります。また、高級腕時計等の貴金属を身につけた人や銀行などで多額の現金を引き出した人等に狙いを定め、複数の犯人で後をつけてホテル前等で襲うといった強盗も発生しています。
(2) 窃盗(スリ、ひったくり、置き引き等)
犯行手口は、通行中に突然背後からカバン等をひったくる、声をかけてきた相手に気をとられている隙にカバン等を奪う、レストランやホテル、空港、バスターミナルなどで持ち主が貴重品や手荷物から離れた隙に持ち去るというものです。これらの犯行はリマのみならず全国、特にクスコ、イカ等の観光地で、観光客をターゲットとして発生しています。
(3) 自動車強盗・窓割強盗
複数の車両に分乗した7~8人の犯行グループやバイクに乗った2人組の犯人が車を挟み撃ちにして、車を強奪したり、車の窓ガラスを割り車内の荷物を強奪するといった事件が発生しています。被害者が抵抗し、逃走を試みた際に銃撃され死亡する被害も報告されています。
(4) 誘拐
営利目的の誘拐(いわゆる「短時間誘拐」と呼ばれているもの)が発生しています。強盗団が車を強奪する際に乗員を一時的に拘束するケースや、強盗が流しのタクシーを装うなどして被害者を一時的に拘束した上で、ATMを数か所回って現金を引き出させた後に解放するケース等が発生しています。特に空港周辺や観光地への移動の際には十分注意が必要です。
(5) 各地での抗議活動
ペルーでは、様々な社会・経済情勢に端を発する抗議活動(デモ・ストライキ等)が各地で行われています。抗議団体による幹線道路の封鎖等により旅行計画の変更を余儀なくされる場合がありますので、ペルー国内の旅行を計画されている方は、報道等により抗議活動に関する最新の情報を入手するよう努めるとともに、不測の事態に巻き込まれないよう、抗議活動が行われている地域には極力近づかないでください。特に、観光名所であるマチュピチュ(アグアスカリエンテス)村および遺跡への往来手段は鉄道しかないため、線路封鎖などにより鉄道が運休する場合、陸の孤島となり立ち往生することが懸念されます。抗議活動等により情勢が不透明な時は、訪問を控えてください。
3 地域別の情勢
詳細は、外務省海外安全ホームページに掲載の危険情報をご参照ください。https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_261.html#ad-image-0
4 日本人の被害例
これまで大使館に届けられた主な犯罪被害例は、以下のとおりです。
(1)強盗
ア リマ市内のホテル前からタクシーに乗り込もうとしたところ、拳銃を所持した3人組の男に貴重品の入ったカバンを強奪された。
イ リマ市旧市街にある中華街の裏通りを歩いていたところ、突然5~6人の男に襲われ、腹巻きタイプの隠し財布を含む貴重品を強奪された。
ウ ひと気のない場所でスマートフォンを操作していたところ、バイクに乗った男に拳銃のような凶器を突きつけられ、スマートフォンを強奪された。
エ レストランで食事中、拳銃で武装し覆面をした2人組の強盗に貴重品を奪われた。
オ 空港に向かうため、夜間にホテル前で流しのタクシーに乗車したところ、貧困地区の路地に連れて行かれ、路上で待機していた2人組に拳銃で脅され所持品を全て奪われた。
カ 早朝、クスコ市内のホテルの前で観光バスを待っていたところ、突然2人組の男が現れ、うち1名に後ろから首を絞められ意識を失っている隙に、もう1名から身に付けていた貴重品を奪われた。
(2)窃盗(スリ、ひったくり、置き引き等)
ア レストランで食事中、携帯電話をテーブルの隅に置き、食事や会話に夢中になっているうちに携帯電話が無くなっていた。
イ 路線バス内で旅券等貴重品の入ったカバンを足元に置いていたところ、気づかないうちに、カバンの中に入れていた貴重品のみが無くなっていた。
ウ 大通りを通行中、バイクに乗った2人組に肩にかけていたショルダーバッグを強奪された。
エ ショッピングセンターで買い物中、カバンに入れていた携帯電話を盗まれた。
(3)自動車強盗・窃盗
タクシーでリマ市内からホルヘ・チャベス(リマ)国際空港へ向かっている途中、信号待ちをしていたところ、2人組の男にタクシーの窓ガラスを割られ、膝の上に置いていたリュックサックを強奪された。
(4)誘拐(短時間誘拐)
ペルー南部の観光地であるアレキパ市内において、流しのタクシーを利用して宿泊先に向かったところ、暗い山道に連れて行かれ、そこで待ち合わせていた2人組の男に首を絞められて目隠しをされた上、貴重品を強奪された。その後8時間程監禁され、同市内で解放された。
5 防犯対策
防犯のための具体的注意事項は以下のとおりです。「自分の身は自分で守る」「犯罪者から常に見られている」という意識が重要です。
ア 犯罪を誘発するような行為(公衆の面前で財布から現金を取り出す、携帯電話を外部から見える場所に装着・携帯する、屋外でパソコン等の電子機器を使用する)は慎み、常に周囲に対する警戒を怠らないようにする。
イ 派手な装飾品や衣服は着用せず、できる限り周囲に溶け込むようにする。
ウ 深夜および早朝に単独で外出することは避けるとともに、ひと気のない場所(路地裏、遺跡等)では単独で行動しない。
エ 空港、バスターミナル等の人の多い場所や、車・バイクなどが通る道路を歩く際、またレストランなどで食事をする際は、貴重品から目を離さず、しっかり保持する。
オ 長距離バスを利用する際は、チケット購入時に身分証明書の提示が必要な信用のおけるバス会社を選択し、できる限り出発地から目的地までノンストップで走行するバスを選択する。深夜便の利用はできる限り避ける。
カ タクシーを利用する際は、流しのタクシーは利用せず、宿泊施設等で安全な無線タクシーを手配する。
キ 空港からの移動に際しては、ホテルのピックアップ・バスや、空港内にカウンターを設置している会社のタクシーを利用する。空港の敷地外で客待ちしているタクシーは、強盗や短時間誘拐の危険性があるため利用しない。
ク 車両に乗車中は、貴重品の入ったカバン等は足元に置くなど車外から見えないようにする。停車時や降車時は周りへの警戒を怠らないようにする。
ケ 宿泊場所を決める際は安全面を重視する。
コ 自分自身と家族の安全を守る心構えとして、「目立たない」、「用心を怠らない」、「行動を予知されない」の3原則を念頭において行動する。詳しくは外務省海外安全ホームページ掲載の「海外における脅迫・誘拐対策Q&A」(https://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_04.html )をご参照ください。
ペルーにおけるテロ・誘拐については、テロ・誘拐情勢(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_261.html )をご確認ください。
※ 在留邦人向け安全の手引き
在ペルー日本国大使館が在留邦人向けに作成した「安全の手引き」(https://www.pe.emb-japan.go.jp/files/100145917.pdf )もご参照ください。- 査証、出入国審査等
(手続や規則に関する最新の情報については、駐日ペルー共和国大使館(電話:03-3406-4243)、在東京ペルー共和国総領事館(電話:03-5793-4444)または在名古屋ペルー共和国総領事館(電話:052-209-7851)にお問い合わせください。)
なお、新型コロナウイルス感染症対策のため、入国制限措置や入国に際しての条件・行動制限措置がとられることがありますので、最新の情報(https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/pdfhistory_world.html )を事前にご確認ください。
1 査証
ペルーでの滞在期間が継続して90日を超えない観光目的の入国の場合は、事前に査証(VISA)を取得する必要はありません。
2 出入国時の注意事項
(1)旅券の残存有効期間の確認
ペルーへの入国には、有効残存期間が6か月以上の旅券が必要ですので、必ず渡航前にご確認ください。
(2)入国スタンプ・滞在許可日数の確認
ペルー入国時に入国審査官が旅券に入国スタンプを押印し、滞在許可日数を記入しますので、入国スタンプが鮮明に押印されているか、また滞在許可日数がご自身の滞在予定期間と合っているか必ず確認してください。なお、滞在許可日数については入国審査官の判断によりますので、ペルー入国時に入国審査官に対して帰りのチケットを提示することをお勧めします。
(3)隣国からの陸路入国にあたっての留意点
ボリビア、エクアドル等の近隣諸国からバスなどを利用して陸路で入国する場合には、必ず入国管理事務所で入国手続きを行ってください。ペルー人は入国管理事務所に立ち寄ることなく身分証明書の携行のみで入国できますが、外国人がペルー人と同様に入国手続きなしで入国してしまうと、不法入国とみなされ、国外退去処分になることがあります。このような場合は、気づいた時点でただちに入国管理事務所に引き返し、入国手続きを行ってください。
(4)出国にあたっての留意点
長期滞在者がペルーから出国する際は、所持する査証の種類によって、身元保証書や納税証明書等の提出が義務づけられています。詳細はペルー内務省入国管理局(Superintendencia Nacional de Migraciones、電話:国番号51-1-200-1000)にお問い合わせください。
(5)未成年者の出国
ペルーに居住する18歳未満の方が単独、または片親のみに伴われて出国する場合は、未成年の旅行に関する両親の同意書の提出が必要です。この同意書はペルーの公証人事務所で発行しています。
(6)隣国との国境通過にあたっての留意点
隣国との国境では、税関職員を装った者が麻薬検査と称して貴重品を出すよう指示し、財布などから巧妙に現金を抜き取ったり、手数料として現金を要求するなどの犯行も報告されていますので、十分注意してください。なお、国境通過の際に手数料等を支払う必要はありません。
3 外貨申告
入国時、1万米ドル相当以上の現金および小切手(日本円も含む)等の有価証券を所持している場合には申告が必要です。また、出国時も、1万米ドル以上の現金および小切手等の有価証券の持出しは申告が必要です。
4 通関・検疫
(1)通関において身の回りの品など非課税で持込むことができる物品は、以下の国家税関税務監督庁のホームページのとおりです。申告を怠った場合は、没収されたり、引き取るために税金を支払ったりと煩雑な手続きが必要になりますので、ご注意ください。
国家税関税務監督庁のホームページ
https://bienvenidoalperu.sunat.gob.pe/ingreso.html#:~:text=%C2%BFQU%C3%89%20BIENES%20Y%20ART%C3%8DCULOS%20PUEDES,AL%20PER%C3%9A%2C%20LIBRES%20DE%20IMPUESTOS%3F&text=Maletas%2C%20bolsas%20y%20otros%20envases,libros%2C%20revistas%20y%20documentos%20impresos
(2)ワシントン条約に規定されている動植物を許可なく採取し持ち出すことは禁じられており、違反した場合は処罰されます。また、持出し禁止品ではありませんが、「コカの葉」および「コカ茶」は日本国内への持込みが禁止されていますので、注意してください。
(3)ペットの持込み・持出しについてはペルー農林衛生局ホームページよりご確認ください。
ペルー農林衛生局:SENASA Peru
ホームページ: https://www.senasa.gob.pe/senasacontigo/conoce-los-requisitos-para-la-salida-e-ingreso-de-mascotas-al-pais/
問い合わせ先: viajacontumascota@senasa.gob.pe- 滞在時の留意事項
1 滞在時の各種届出
ペルーに長期滞在する場合には、滞在の期間、資格、目的に応じた査証や外国人登録証(Carné de Extranjería)を取得する必要があります。査証の種類により提出書類等が異なります。詳細はペルー内務省入国管理局にお問い合わせください。
ペルー内務省入国管理局:Superintendencia Nacional de Migraciones
ホームページ: https://www.migraciones.gob.pe/
住所:Av.España 734, Breña, Lima, Perú
電話:(国番号51)1-200-1000
なお、ペルーにおける滞在資格の申請・変更には過去5年の間に居住した国の無犯罪証明書の提出が必要です。在外公館(日本国大使館、総領事館等)で日本の警察証明(犯罪経歴証明書)を申請する場合、証明書の取得までに2~3か月かかります。詳細については、在ペルー日本国大使館ホームページ(https://www.pe.emb-japan.go.jp/itpr_ja/00_000747.html )をご確認ください。
2 旅行制限等
ペルー政府による旅行禁止および制限地域はありませんが、ペルー政府が発出する非常事態宣言地域や、日本政府が発出する危険情報で渡航の中止などを求めている地域への立ち入りは控えてください(上記●犯罪発生状況、防犯対策3地域別の情勢参照)。
3 写真撮影制限
政府関係施設、軍施設、警察施設、博物館の館内などでは撮影許可を得る必要がありますので、ご注意ください。
4 各種取締り法規
(1)麻薬
麻薬の取締りは特に厳しく行われており、麻薬(コカイン、ヘロイン、マリファナ等)の所持、売買、使用等を行った者は、6年から15年の懲役および罰金刑が科せられます。絶対に関わらないでください。
(2)不法就労
就労許可なしに報酬を得ると、不法就労とみなされ国外退去となる可能性があります。
5 交通事情
(1)特徴的な交通法規
交通法規は基本的には日本と同様ですが、特に注意すべき点は以下のとおりです。
ア 車(タクシー、長距離バス、学校の送迎バス等を含む)に乗車する際は、座席の位置に関わらず必ずシートベルトを着用する(違反した場合は罰金)。
イ 車は右側通行、ハンドルは左側である。右ハンドルは認められていない。
ウ 交差点では各々、信号がある場所では信号に、路面に一時停止(PARE)の表示があるところは同表示に、警察官のいる場所ではその警察官の指示に、従わなければならない。何もない場合は、右方からの進入車が優先となる。
エ 警察官の手信号によるところでは、警察官が正面または背中を向けているときは、赤信号を意味する。
(2)交通マナー
運転マナーは悪く、急発進急停車、強引な右左折と進路変更、信号無視、一方通行の逆走などが多くみられます。また、整備不良の車も多く、特にヘッドライト、ウインカー、ブレーキランプ等が故障したまま走行している車が多くあります。
また、最近では交通量が激増し、特に大通りはどこも混雑しており、旧市街などでは駐車場を探すのに苦労します。
(3)道路事情
ア 小さな道路(calle)はほとんどが一方通行であり、各道路が交差する角には標識が設置されていますが、標識は小さく見えにくいため注意が必要です。また、一方通行の道路では、逆走が頻繁にあるため注意が必要です。
イ 大きな交差点では信号機が設置されていますが、故障が多く、停電時には稼働しません。なお、信号を無視する車が非常に多く、赤信号で停車中に追突されたり、青信号で交差点に進入したところ、信号無視の車に衝突される事故が頻繁に起きていますので、常に細心の注意をもって運転する必要があります。
(4)自転車の利用について
ア 当地の交通事情は劣悪で、自転車でのツーリングは大変危険です。死亡事故につながるケースも発生していることから、治安・交通事情等の安全面を十分検討してください。
イ 2022年3月3日より、自転車運転の違反者の取り締まりが始まりました。以下の場合は取り締まりの対象となりますので、ご注意ください。
(ア)ライト(前照灯・尾灯)、反射板、ブレーキハンドル、前輪ブレーキ、後輪ブレーキ、ベルが未装着の場合
(イ)ヘルメットの未着用
(ウ)飲酒運転
(エ)危険運転(禁止されている道路や場所を通行する行為、右側からの追い越し、ハンドルを握らず、または、片手だけ握って運転する行為)
(オ)運転手以外の座席が装着されていない自転車の同乗
(カ)歩道の走行(自転車専用通行帯がない場所については歩道の走行は可)
6 ハーグ条約
ペルーは、国境を越えて不法に連れ去られた子の返還の仕組み等を定める「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」の締約国です。一方の親の監護権を侵害する形で子どもを常居所地国であるハーグ条約締約国から他のハーグ条約締約国へ連れ去りまたは留置した場合は、原則として子が常居所地国に返還されることとなります。
ハーグ条約についての詳細はこちらのページをご覧ください。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/hague/index.html
7 在留届
ペルーに3か月以上滞在する方は、緊急時の連絡などに必要ですので、到着後住所または居所が決まり次第、遅滞なく在ペルー日本国大使館に在留届を提出してください。また、住所その他届出事項に変更が生じたとき、または日本への帰国や転居する(一時的な旅行を除く)際には、必ずその旨を届け出てください。在留届の届出は、オンラインによる在留届電子届出システム(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html )による登録をお勧めしますが、郵送によっても行うことができますので、在ペルー日本国大使館宛てに送付してください。
8 たびレジ
在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者の方(海外旅行者・出張者を含む)は、「たびレジ」への登録をお願いします(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html )。「たびレジ」は、滞在先の最新の安全情報などを日本語のメールで受け取れる外務省のサービスです。登録した情報は、ペルーで事件や事故、自然災害等が発生し、在ペルー日本国大使館が安否確認を行う際にも利用されます。安全情報の受取先として、家族・同僚等のメールアドレスも追加登録できますので、併せてご活用ください。- 風俗、習慣、健康等
1 衛生事情
(1)水道水は飲用に不適ですので、市販のミネラルウォーターを飲用してください。
(2)肉、魚介類、卵は鮮度に注意し、大型スーパーや信用のある店で購入してください。
(3)セビッチェなど生の魚介類を食べる場合は、衛生状態の良いレストランを選んでください。
2 病気
(1)高山病
高山病になり脳浮腫や肺水腫を起こすなど重症化した場合、すぐに適切な治療を受けるとともに、低地へ下りなければ生命に関わることがあります。高山病の発症は個人差とともにその日の体調によっても左右されるため、過去に高地で高山病にならなかったからといって次回も高山病にならないという保証はありません。初期症状・予防対策は以下のとおりですので、ご留意ください。
ア 初期症状
頭痛、呼吸浅薄感、食欲低下、腹部の膨満感、不眠感(眠りが浅い)
イ 予防対策
(ア)高地に到着した初日は十分な休養をとる。
(イ)高地ではゆっくり歩く。特に、高地に到着した初日は激しい運動を避ける。
(ウ)食事は腹八分目を心がけ、アルコールの摂取は避ける。
(エ)必要に応じて予防薬を服用する。(アセタゾラミドAcetazolamide(スペイン語ではAcetazolamida、日本での製品名はダイアモックス:Diamox)の内服は高山病に対する予防効果がある他、頭痛や不眠などの高山病の症状を改善させる効果がありますが、アセタゾラミドを日本で入手する場合、医師の処方箋が必要です。特に慢性疾患のある方は、事前に医師に相談することをお勧めします。)
(2)デング熱
2020年にペルー国内で大流行し、ペルー政府は、ロレト、マドレ・デ・ディオス、サン・マルティンの各州におけるデング熱患者の増加を受けて、衛生学的緊急事態宣言を発出しました。2019年にはデング熱患者7,689人が報告されています。
デング熱は、デング熱ウイルスによって起こる感染症で、このウイルスを保有している蚊(ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等)に刺されることによって感染します。感染した場合、通常1週間程で回復しますが、まれに重症化し、デング出血熱となることもあります。急な発熱などの症状が出た場合には、すぐに最寄りの医療機関を受診することをお勧めします。
症状・予防対策は以下のとおりです
ア 症状
3~15日(通常は5~6日)の潜伏期を経て突然の発熱が始まる。38~40度程度の熱が5~7日間続き、激しい頭痛、目の奥の痛み、関節痛、筋肉痛、発疹を伴う。発熱期後期や解熱後は、足や脇の下、手のひら等に軽い皮下出血が現れる。
イ 予防対策
ワクチンはなく、蚊にさされないことが主な予防対策である。
(ア)外出する際には長袖シャツ・長ズボン等の着用により肌の露出を少なくし、露出した部分には虫除けスプレー等を定期的に塗布する。
(イ)室内においても、電気蚊取り器や蚊取り線香、殺虫剤、蚊帳等を使用する。
(ウ)規則正しい生活と十分な睡眠、栄養をとることで抵抗力をつける。
(3)ジカウイルス感染症
ジカウイルス感染症がペルー国内でも発生しています。
2017年にはペルー国内において6,000人以上、2018年には1,282人の感染者を認めています。感染の中心は、セルバ(森林地帯)および沿岸部北部地域ですが、リマでも感染者が発生しており、媒介蚊は高地以外のペルー全域に見られるようです。ジカウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染するほか、母胎から胎児への感染、輸血や性交渉による感染リスクも指摘されています。ジカウイルス感染症は感染しても症状がないか(不顕性感染)、症状が軽いため感染に気づきにくいことがありますが、妊娠中にジカウイルスに感染すると胎児に小頭症等の先天性障害を来すことがあるため、特に妊娠中または妊娠を予定している方は流行地域への渡航を可能な限り控えるなど、十分な注意が必要です。
(参考)感染症広域情報:ジカウイルス感染症に関する注意喚起
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/search/pcinfectioninfo.html#widearea
(4)マラリア
2017年のペルー国内の感染者数は、致死的な熱帯熱マラリア(約13,000人)を含め計55,225人に上ります。流行地であるアマゾン地域に行く場合は、防虫スプレー、長袖シャツや蚊帳を利用して肌の露出を控えるなど、蚊に刺されないように十分注意してください。
流行地に一定期間滞在する場合は、予防としての抗マラリア薬の内服等について、必ず事前に専門医に相談してください。
(5)黄熱
黄熱は、ネッタイシマカが媒介する黄熱ウイルスに感染することにより発病します。潜伏期間は3~6日、高熱、頭痛、出血性黄疸等の症状があり、致死率は約50パーセントです。特にアマゾン地域や国境を越えてブラジルに行く予定の方は、予防として、蚊の防除とともに黄熱予防接種(生涯有効)を受けておくことをお勧めします。なお、ペルーへの入国時および出国時に、黄熱予防接種済証明書(イエローカード)の提示は義務づけられていませんが、ペルーから他の国へ入国する場合、国によって入国時に提示を求められる場合がありますので、各渡航先の情報収集を行うようにしてください。
(参考)厚生労働省検疫所ホームページ(感染症情報:黄熱)
https://www.forth.go.jp/useful/yellowfever.html
(6)その他の感染症等
昆虫等の媒介によるものとしては、バルトネラ症(サシチョウバエ)、シャーガス病(サシガメ)等があります。また経口感染によるものとしては、チフス、赤痢、A型肝炎、ジアルジア症、肝吸虫症等があります。他にも接触感染による眼病、寄生虫疾患、皮膚病等もあります。また、件数は少ないながら狂犬病も報告されており、コウモリに咬まれたことによって発症したケースもあります。これらの疾病への感染を防ぐために、飲用水は市販のミネラルウォーターを購入する、こまめに手を洗う、食事内容や服装(厚手の生地、長袖等)に気を遣う等、十分注意してください。なお、下痢等のコレラ感染症状や高熱症状が出た場合は、すぐに医師の診察を受けることをお勧めします。
3 医療事情
「世界の医療事情」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/cs_ame/peru.html )においてペルー国内の衛生・医療事情等を案内していますので、渡航前に必ずご覧ください。
その他、必要な予防接種等については、厚生労働省検疫所ホームページ(https://www.forth.go.jp/ )をご参照ください。
4 医療用麻薬を含む医薬品の携帯による持込み、持出しの手続については厚生労働省の次のホームページをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index_00005.html
5 海外旅行保険への加入
海外旅行保険に加入していなかったために、病気やケガに伴う治療や緊急移送などで多額の出費を余儀なくされたケースが多くあります。
旅行・滞在中の予期せぬトラブルに備え、十分な補償内容の海外旅行保険に加入することをおすすめします。詳しくは海外旅行保険加入のおすすめ(https://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/hoken.html )をご確認ください。- 緊急時の連絡先
◎ 警察(緊急時:犯罪に巻き込まれた場合等)
電話:105
◎ 消防
電話:116
◎ 救急車
電話:106,116
◎ 主要観光警察(Policía de Turismo)
ア リマ市内観光警察署(Policía de Turismo)
○リマ中央 Jr. Moore 268, Magdalena del Mar
Tel: (01)460-1060
○リマ北部 Jr. Almirante Guisse 1715, Lince (esquina con Jr.
Belisario Flores)
Tel:98012-1467
○リマ南部 Av. San Martin 250, Barranco
Tel:(01)249-9416, 98012-1463
○リマ南部支局(ミラフローレス区)
Calle GeneralVidal 230, Miraflores
○カヤオ区 Av. Miguel Grau Cdra.10 S/N, La Punta, Callao
Tel:(01)302-7625, 96459-6517
○カヤオ区支局(ホルヘ・チャベス国際空港内)
Av. Elmer Faucett 30-31 S/N, Callao
○観光警察パトロール隊(Unidad de Patrullaje de la Polícia de Turismo)※ホルヘ・チャベス国際空港~リマ市内の幹線道路管轄。
Tel:945311-018
イ クスコ市観光警察署
Plaza Túpac Amaru S/N, Wanchaq, Cusco
Tel:(084)23-5123, 94531-0990
◎ 主要警察署(Comisaría)
ア リマ市内警察署
○ミラフローレス区
ミラフローレス署 Calle General Vidal 230, Miraflores
Tel:(01) 446-3018
○サン・イシドロ区
オランティア・デル・マル署 Av. Ejército 2075, San Isidro
Tel:(01)264-1932
サン・イシドロ署 Calle Antequera 116, San Isidro
Tel:(01)441-0222
イ クスコ市警察署 Av. Regional 902, Cusco
Tel:98012-1879
◎ 在ペルー日本国大使館
電話:(01)219-9500
国外からは(国番号51)1-219-9500- 問い合わせ先
(問い合わせ先)
○ 外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省関係課室連絡先)
○ 領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)(内線)4965
○ 領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3399
○ 領事局政策課(感染症関連)(内線)4919
○ 領事局ハーグ条約室(一般窓口)03-5501-8466
○ 海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)
https://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.html (モバイル版)
(現地公館連絡先)
○ 在ペルー日本国大使館
住所:Av. San Felipe 356, Jesús María, Lima, Perú (Apartado No. 3708)
電話:(01)219-9500
国外からは(国番号51)1-219-9500
ホームページ: https://www.pe.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
※本情報記載の内容(特に法制度・行政手続き等)については、 事前の通告なしに変更される場合もありますので、渡航・滞在される場合には、渡航先国の在外公館または観光局等で最新情報を確認してください。