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ベネズエラ

更新日 2019年03月11日

1 概況
 2018年,ベネズエラでは,反政府組織による無差別テロやイスラム過激派を含む国際テロ組織による活動は確認されていません。また,コロンビアとの国境地域では,コロンビア革命軍(FARC)が,コロンビア政府と和平合意したことにより,その勢力が縮小傾向にあります。しかし,他のコロンビア反政府武装ゲリラ,パラミリタリー,ベネズエラの過激派組織であるボリバル解放戦線(FBL)及びこれらの組織から離脱した者を含む不特定多数の誘拐組織や麻薬密売組織の活動が確認されており,身代金目的の誘拐事件や麻薬関連犯罪が発生しています。

2 各組織の活動状況又は各地域の治安情勢
(1)政府系武装組織(コレクティーボ)の動向
コレクティーボとは,元々は,1970年代に主に貧困地区において,福祉活動や治安維持を担うため結成された自警団組織が,その後,麻薬取引,誘拐,人身売買等により暴力組織として変貌したものです。現在は,その支配地域では,治安機関も介入できなくなる程,勢力を拡大しており,殺人,強盗,誘拐事件が頻発し,麻薬取引等も公然と行われています。また,コレクティーボは,政府から金銭や武器等の供給を受け,野党系の議員や集会・デモ等に参加している反政府支持者に対して集団で暴行に及んだり,時には,拳銃等を発砲する等,極めて危険な暴力行為を繰り返しています。
 ア トゥパマロ(自警団・社会福祉団体・武装組織)
 トゥパマロは,1970年代にカラカス首都区西部の貧民街「1月23日」地区で結成された自警団組織です。同組織は,同地区内において,暴力や麻薬取引を公然と行っていた犯罪者集団を追い出した後,自らが,各種犯罪に手を染めてきました。政府から社会福祉団体として認定されており,2004年10月に行われた地方選挙で,政府側が圧勝してからは,首都圏警察の人事にも,政府側の立場で介入するなど,その活動領域を広げています。
 2014年2月~6月,全国の学生らを中心とした反政府デモ(「青年の日」デモ)や2017年4月~7月に行われた制憲議会選挙に反対する反政府デモが頻発した際は,バイク集団でデモ現場へ赴き,鉄パイプや拳銃等を使用して,反政府支持団体に対し暴行を加える等しました。
 イ ラ・ピエドゥリータ
 トゥパマロを母体として,2005年に政府(チャベス大統領)を支持するために,カラカス首都区の貧民街である「1月23日」地区で結成された組織です。リーダーのバレンティン・サンタナを中心とした約40人の組織ですが,下部組織を含めれば,100名以上の動員能力があり,同地区には,警察も手出しができず,事実上,「1月23日」地区を支配しています。同組織は,反政府支持団体に対し,過激な行動を行っており,反政府系のデモにバイクの集団で乗り込み,その支持者に暴行を加えるほか,デモを煽るために,警官隊に対し,拳銃等を発砲する等の行為も行っています。また,2008年10月にカラカス首都区内にあるエル・ヌエボ・パイス紙(反政府系新聞社)社屋に2発の催涙弾を投げ込み,同時に投げ込まれたビラに同グループの記名がありました。同組織は,犯行の理由を,チャベス大統領の暗殺計画を扇動している同紙のポレオ編集長に対する牽制であるとし,同紙を,「軍事目標」とする旨を発表しています。同年12月にも,反政府系新聞記者宅に数発の催涙弾を投げ込みました。
そのほか,2009年1月,カラカス首都区内にあるグロボシオンテレビ局本社(当時反政府系)に対し催涙弾1発を投げ込むとともに,カラカス首都区内のキリスト教社会党(COPEI)本部に対し,催涙弾1発を投げ込み爆発させる事件を起こしています。さらには,2012年2月,カラカス首都区リベルタドール市「1月23日」地区において,カプリレス野党統一大統領候補を支持する国会議員に対する暴力行為を行っています。近年は,武装した同組織のメンバーによる殺人,誘拐,恐喝事件等の一般凶悪犯罪を引き起こしています。
 ウ 過激派組織ボリバル解放戦線(FBL : Fuerza Bolivariana de Liberacion)
 ベネズエラにおいて,ゲリラ組織に最も近い性質を持った組織で,2000年頃からその活動が表面化し始めました。これまで,同組織の存在自体をベネズエラ政府は認めていませんでしたが,現在は認知しています。コロンビアの国境地帯を中心に活動しており,コロンビアのコロンビア革命軍(FARC)や国民解放軍(ELN),また,これらと結びついたベネズエラの誘拐組織及び麻薬密売組織と手を組み,主に,牧場主や農場主に対する脅迫・強請を行っています。近年は,組織的な誘拐事件,麻薬密売等を敢行することで,その活動資金を得ています。2014年には,アプレ州でロドリゲス・トーレス内務司法大臣(当時)の弟(牧場主)の誘拐を企図した疑いがあります。

(2)反政府組織の動向
 バンデラ・ロハ(赤旗)は,2001年8月頃から,ベネズエラ最大の労働組合であったベネズエラ労働者総連盟(CTV)指導部の選挙をめぐり,民主行動党(AD党)と共闘し,チャベス大統領に対する抗議運動の拡大を全面に打ち出しました。2002年には,チャベス大統領辞任要求運動に積極的に参加しましたが,2004年の大統領罷免国民投票で,チャベス大統領が信任されて以降は,表立った活動を行っておらず,近年は,特に目立った過激な違法行為は行っていません。

3 誘拐事件の発生状況
 ベネズエラでは,身代金目的の誘拐や「短時間誘拐」(被害者を一時的に拘束した上,被害者を自宅まで連れて行き,貴金属や家電製品,携帯電話,自動車などを全て強奪する手口のもの)が多発しており,特に,カラカス首都圏において顕著に発生しています。
 2018年の誘拐発生件数は,被害届が提出されたものは148件であり,このうち,コロンビア国境地帯において7件発生しています。2017年と比較して,全国での発生は減少していますが,ベネズエラでは,警察官が,誘拐犯と共謀している場合が多いほか,身代金を支払うことは違法となるため,被害者の親族等は,被害者の生命を優先させ,被害届を出さないのが実情です。専門家の調査によれば,届出された件数を遙かに上回る誘拐事件が発生しているとされています。昨今の手口は,誘拐して,自宅や銀行ATMへ連れて行き,金銭や所持金を奪った後,即解放する短時間誘拐が発生の大半を占めていましたが,最近は通貨価値が低下しているため,被害者を自宅まで連れて行き,貴金属や家電製品,携帯電話,自動車など全てを強奪する手口が増えています。
 誘拐を敢行するのは,貧民街をアジトにする完全に組織化された誘拐犯グループです。以前は,誘拐犯罪の被害者の多くは,コロンビアとの国境付近で牧場・農場を経営する経営者とその家族,また,カラカス首都圏周辺の実業家及びその家族,外国からの移住者等,裕福な階層でした。しかし,ここ数年,都心部の商人,学生,専門職職員,公務員等あらゆる層に拡大し,また,多くの外国人も,被害に遭っており,十分な注意が必要です。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 2018年,ベネズエラにおいて,日本人がテロの直接の標的となった事例は確認されていません。しかし,日本人を含む外国人が多数居住する地区でも,過去にテロ事件が発生していますので,日本人がテロ事件等不測の事態に巻き込まれる可能性は排除できません。
 誘拐については,過去に日本人が被害に遭った事件も発生しており,今後も,身代金目的誘拐を敢行しているコロンビアのゲリラ及びそれらと結びついたベネズエラの一般凶悪犯罪組織等の標的となる可能性は排除できません。特に,身代金目的の誘拐は,コロンビアとの国境地域で,短時間誘拐は,カラカス首都圏,ミランダ州及び地方のマラカイボ,バレンシア等の地方の大都市周辺で多発している点に注意が必要です。

テロについて

「テロ」については,国際的に確立された定義は存在していませんが,一般には、特定の主義主張に基づき,国家等にその受け入れを強要し,または,社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為をいうものとされています。本情報は,このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず,外務省が2018年12月末現在の情報に基づき,海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり,外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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