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ロシア
テロ・誘拐情勢

更新日 2023年04月25日

1 概況
(1)ロシアにおけるテロ事案は、近年減少傾向にあります。全般的には、多くのテロが発生したそれ以前の時期に比べて安定した状況にあります。特に過去多くのテロ事件が発生してきた北コーカサス地方においては、イスラム過激派の指導者や指揮官、戦闘員らが相次いで殺害されるなど、治安当局による対テロ掃討作戦が進められたこともあり、武力衝突による死傷者は以前に比べ減少しています。
(2)内務省が作成する犯罪統計によれば、2022年にロシア国内において認知された「テロ行為」は127件(2021年41件)、「テロの性格を有する犯罪」は2,233件(2021年2,136件)でした。また、同年中には121件(2021年64件)のテロの性格を有する犯罪が未然に阻止されたとして件数が急増していますが、多くはウクライナ国境方面地域で発生したとされるものでした。
(3)テロ計画・準備が水面下で行われていることがうかがえるなか、テロを企図する勢力が残存している可能性があることなどからも、テロの脅威は依然として存在しており、引き続き警戒すべき状況といえます。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)ウクライナ侵略関連
 2022年2月のウクライナ侵略開始以来、「ウクライナ民族主義者」や「ウクライナ特務機関」によるものとされるテロ計画・摘発に関する露側の報道が散見されるほか、2022年8月にロシアの著名な政治思想家の娘が運転する車両がモスクワ州で爆発した事件などについて、治安当局は「ウクライナ特務機関によって準備されたもの」と主張しています。
(2)北コーカサス地方
 北コーカサス地方では、テロを企図する勢力が引き続き残存しているとされ、治安機関等による掃討作戦が行われています。このうち、ダゲスタン共和国では2018年2月に、チェチェン共和国では、2018年5月にそれぞれ正教会の聖堂が襲撃されるテロ事件が発生するなどしています。このように、依然として治安情勢は安定しておらず、テロの脅威が継続しているといえます。
(3)北コーカサス地方以外の地域
 2017年4月にはサンクトペテルブルク市内の地下鉄において中央アジア出身者による爆弾テロが発生し多数の死傷者が出たほか、シリア等の戦闘地域からのテロ戦闘員の帰還の脅威等も指摘されています。テロ事件以外にも、2021年12月にモスクワ州の修道院附属学校で元生徒が手製爆破装置を爆発させ12人が負傷(犯人は死亡)した事件、2022年9月にウドムルト共和国の学校で同学校の卒業生の男が銃を発砲し17人が死亡した事件といった無差別殺傷事件が発生しています。
 また、2019年12月にモスクワの連邦保安庁(FSB)本部を狙った銃撃事件が発生し、同庁職員1名が死亡、他の治安機関職員4名及び民間人1名が負傷しました。本件について露当局はテロ事件と断定していないものの、大きな社会的反響がありました。
 ロシア国内では、モスクワをはじめとする全国各地で爆発物や銃器等を用いたテロ計画の摘発事案が続いており、この中には、人が大勢集まる場所や学校、政府庁舎、エネルギー関連施設等を狙ったテロ計画の摘発事案等も含まれています。また、こうしたテロ計画の摘発に加え、ISIL等イスラム過激派組織の支持者によるリクルート活動の摘発事案等も複数報道されているほか、爆発物、銃器等の押収事案も依然として多数発生していますので、引き続き警戒が必要です。

3 誘拐事件の発生状況
 内務省の犯罪統計によれば、2022年に発生した誘拐事件は393件でした。2019年(351件)、2020年(411件)、2021年(382件)と比較しても依然として高い水準にあります。犯行の態様は、武装勢力が政府関係者や一般住民を誘拐するケースや、犯罪組織がビジネス利権絡みで敵対勢力の関係者等を誘拐するケースのほか、身代金目的、金銭トラブル、恋愛感情のもつれから異性の若者を誘拐したケースなど様々です。外国人の誘拐については、中央アジアやコーカサスのCIS諸国の国民が狙われたものが中心となっており、日本人・日本企業が標的となった誘拐事件は確認されていません。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 テロによる日本人の被害は、シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており、これまでもチュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
 近年では、単独犯によるローンウルフ型テロや、一般市民が多く集まるレストラン、ショッピングモール、公共交通機関等のソフトターゲットを標的としたテロが世界各地で頻発しており、こうしたテロの発生を未然に防ぐことは困難です。
 テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

テロについて

「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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