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ロシア

更新日 2020年06月02日

1 概観
(1)ロシアにおけるテロは,近年の治安・特務機関による掃討作戦等の結果として減少傾向にあり,全般的なテロ情勢は,多くのテロが発生した時期に比べて安定していますが,2017年4月にはサンクトペテルブルク市内の地下鉄において中央アジア出身者による爆弾テロが発生し多数の死傷者が出たことに代表されるように,過激な思想に感化された組織的背景を持たないテロリスト(ローン・ウルフ)によるテロの脅威は依然として存在しているほか,シリア等の戦闘地域からの外国人テロ戦闘員の帰還の脅威等も指摘されており,引き続き警戒すべき状況といえます。
(2)露内務省が作成する犯罪統計によれば,2019年にロシア国内において認知された「テロ行為」は43件であり,「テロの性格を有する犯罪」は1806件でした。近年の数値は全般的に大きな改善が見られないことから,依然として警戒を要する状況であることが窺われます。
(3)一方,これまでに多くのテロ事件が発生してきた北コーカサス地方においては,2014年ソチ五輪の前から露治安当局によるテロ対策が一層強化され,その後も対テロ掃討作戦によってイスラム過激派の指導者や指揮官,戦闘員らが相次いで殺害されるなどしています。この結果,同地方における武力衝突の死傷者は年々減少傾向にあります。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)北コーカサス地方
 北コーカサス地方では,テロを企図する勢力が引き続き残存しているとされ,治安機関等による掃討作戦が行われています。このうち,チェチェン共和国は,強権的な支配を確立したカディロフ同国首長を中心に,徐々に社会・治安情勢が確立されてきているものの,2018年5月に正教会の聖堂が襲撃されるテロ事件が発生するなど,依然としてテロの脅威は高い水準にあるといえます。また,ダゲスタン共和国は,様々なクラン(氏族)や富豪が群雄割拠している状況にあって社会には腐敗が蔓延しており,治安情勢を含め安定性が大きく低下し,2018年2月には,正教会の聖堂が襲撃されるテロ事件が発生するなどしています。これらチェチェン共和国,ダゲスタン共和国における武装勢力の襲撃等による死傷者数は,北コーカサス地方内においても突出している状況にあります。
(2)モスクワ及びそれ以外の地域
 2019年12月,モスクワの連邦保安庁(FSB)本部を狙った銃撃事件が発生し,同庁職員1名が死亡,他の治安機関職員4名及び民間人1名が負傷しました。本件について露当局はテロ事件と断定していないものの,大きな社会的反響がありました。
 ロシア国内では,モスクワ,サンクトペテルブルク等で爆発物や銃器等を用いたテロ計画の摘発事案が続いており,この中には,新年(2020年)の祝賀イベントを狙ったテロを計画していたグループの摘発事案等も含まれていました。また,こうしたテロ計画の摘発に加え,ISIL支持者によるリクルート活動の摘発事案等も複数報道されているほか,爆発物,銃器等の押収事案も依然として多数発生していますので,引き続き警戒が必要です。

3 誘拐事件の発生状況
 内務省の犯罪統計によれば,2019年に発生した誘拐事件は351件で,2016年(351件),2017年(374件),2018年(378件)と比較しても改善は見られず,依然として高い水準にあります。犯行の態様は,武装勢力が政府関係者や一般住民等を誘拐するケースや犯罪組織がビジネス利権絡みで敵対勢力の関係者等を誘拐するケースのほか,人身売買を目的として誘拐するケース,身代金目的で外国人を誘拐するケースなど様々です。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 テロによる日本人の被害は,シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは,日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており,これまでもチュニジア,ベルギー,バングラデシュ,スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
 近年では,単独犯によるテロや一般市民が多く集まる公共交通機関等(ソフトターゲット)を標的としたテロが頻発するなど,テロの発生を予測し未然に防ぐことがますます困難となっています。
 このように,テロはどこでも起こり得ること,日本人も標的となり得ることを十分に認識し,テロの被害に遭わないよう,海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め,状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。

テロについて

「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このような「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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