1. ホーム
  2. 地図からの選択
  3. テロ・誘拐情勢
  4. マリ

マリ
テロ・誘拐情勢

更新日 2024年05月21日

1 概況
(1)マリの北部・中部では、「イスラムとムスリムの支援団(JNIM)」や「ISILサヘル州」(旧称:大サハラのイスラム国(ISGS))といったイスラム過激派組織によるテロが頻発しています。最近では、首都バマコを含む南部にも脅威が及び始めています。
(2)北部・中部では、イスラム過激派組織による、ロケット弾及び簡易手製爆弾を使用した、フランス軍、マリ国軍、国連マリ多面的統合安定化ミッション(国連MINUSMA)等を標的とした攻撃が繰り返されていましたが、2022年6月、欧州部隊「タスクフォース・タクバ」がマリでの活動を終了したのに続き、2022年8月には、2013年以来マリにプレゼンスを維持し続けてきたフランス軍がマリ領内から完全に撤収しました。さらに、国連MINUSMA軍は、2013年以来、マリ国内の治安維持、国民の人権保護等、平和の定着に向けた取組を実施してきましたが、2023年6月のマンデートは更新されず、同年12月31日を以てマリからの撤退が完了しました。
(3)首都バマコを除く南部(セグ-・シカソ・クリコロ・カイ州)は、これまで治安情勢が比較的安定していると言われる地域でしたが、2023年に入り、検問所への襲撃事件や誘拐事件が複数確認されています。今後も、政府関係者及び治安関係者等を狙った攻撃が続く恐れがあり、これらの被害が一般人に及ぶ事が懸念されています。 
(4)首都バマコにおいては、2015年11月の外資系ホテル「ホテル・ラディソン・ブル-」テロ襲撃事件、及び2017年6月バマコ東郊のリゾート施設「キャンプメント・カンガバ・コンプレックス」における襲撃事件が発生しています。2022年7月には、バマコ北約15kmに位置するカティのマリ国軍最大の軍事基地がJNIMによる襲撃を受け、マリ国軍兵士1名が死亡、6名(うち民間人1名)が負傷しました。そのほか、バマコ近郊において、テロリストの目撃情報が報告されており、首都でテロ攻撃が発生する可能性が高まっています。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
 「1 概況」のとおり。

3 邦人及び欧米人誘拐事件の発生状況
(1)マリでは、外国人を標的にした誘拐事件が多発しています。2022年5月、マリ南部において、イタリア人家族3名とトーゴ人1名が誘拐されたほか、同年10月、同マリ南部において、タイ人医師1名が誘拐されました。また、同年11月には、首都バマコにおいて、ドイツ人神父の誘拐事件が発生しています。これらの誘拐事件のうち、タイ人医師は身代金(1億FCFA(約2,000万円))と引換えに解放されたと報じられています。また、ドイツ人神父は誘拐から約1年経過した2023年11月に解放されましたが、身代金等の解放条件については不明です。
(2)そのほかにも、サヘル地域では、以下のような未解決の外国人誘拐事件があり、一度テロリストに誘拐されてしまうと解放が極めて困難です。
・ブルキナファソ北部で誘拐された米国人宗教家(2022年)
・ブルキナファソで誘拐された豪国人外科医とその妻(2016年)
(3)また、マリ北部及び中部においては、部族間闘争や政治的背景に起因する誘拐事件が連日のように発生しています。部族間抗争に伴う誘拐の場合、後日遺体となって発見されることも少なくありません。そのほか、家屋侵入やカージャック等による国際NGO関係者等を含む一般人が被害者となる身代金目的の誘拐が頻発し、解放の見返りに多額の身代金を支払ったと思われる例も数多く発生しています。なかでも、2020年10月には、スマイラ・シセURD党首及び仏人の経済協力関係者等の人質解放の見返りとして、多額の身代金の支払いと200人ほどのテロリストが釈放されたことにより、外国人を狙った誘拐の危険性が高まっている可能性があります。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 これまでに、マリにおいてテロや誘拐事件による日本人の被害は確認されていませんが、首都バマコを含むマリ全土において、テロ・誘拐事件等の不測の事態に巻き込まれる脅威があります。どのような目的であれ、マリへの渡航は止めてください。また、既に首都バマコ以外の地域に滞在中の方は退避してください。なお、首都バマコについても、既に滞在中の方は、不測の事態に備え、出国の必要性も検討してください。

テロについて

「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
page TOP