ナイジェリア
テロ・誘拐情勢
更新日 2025年02月13日
1 概況
(1)ナイジェリアには、ボコ・ハラムやISIL西アフリカ州(ISWAP)等のイスラム過激派組織、ビアフラ共和国独立を目指すビアフラ先住民(IPOB)、南部における石油利権の公平分配を唱えるナイジャーデルタアベンジャーズ(NDA)、イスラム教シーア派団体とされるイスラム運動ナイジェリア(IMN)など、複数のテロ・反政府武装組織の活動がみられます。
(2)このほか、武装集団による身代金目的の誘拐事件が全国各地に広がりをみせているほか、武装フラニ族遊牧民と農耕民との衝突を始めとする、民族間・宗教間の対立事件や爆発物を用いた治安機関に対する襲撃事件等の凶悪犯罪が各地で発生しています。
(3)最近の物価上昇も相まって、国民の政府に対する不満が高まり、2024年8月には、国内全域で政府に対する大規模な抗議運動が実施されました。一部で暴徒化、略奪行為に発展するなど治安の悪化が見られたほか、経済状況の悪化に伴い首都アブジャ近郊でもタクシー利用客を標的にした誘拐事件が頻発するなど、今後も治安の悪化が懸念されています。
2 各組織の活動状況又は各地域の治安情勢
各地域別の治安情勢は、「危険情報」を参照ください。(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo_2023T008.html#ad-image-0 )
3 誘拐事件の発生状況
(1)ナイジェリアでは、公式の犯罪統計が公表されていないため、正確な誘拐事件の発生件数は判然としませんが、報道等によると、2017年に484人であった国内の誘拐事件被害者数は、2024年は4,504人に増加しています。
(2)身代金目的で誘拐されるのは、富裕層、政治家、外国人に止まらず、貧しい地元住民であってもその標的となり得ます。また、最近では首都アブジャ近郊における事件も多く発生しています。
(3)このほか、ギニア湾沿岸部においては、海賊等によりタンカーやコンテナ船が襲撃され、外国人乗組員が拉致される事案が多く発生していました。現在は減少傾向にありますが、活動の場を陸上に移したとみられる海賊等による石油施設への襲撃事案は後を絶ちません。また、2023年には沿岸部のバイエルサ州で、韓国人2名が拉致され、同行の警備員等複数名が殺害される事件が発生しています。
4 日本人・日本権益に対する脅威
これまでに、ナイジェリアにおいてテロ事件や誘拐事件による日本人の被害は確認されていませんが、国内各地でテロ事件が発生しています。
ナイジェリアでは、レバノン系や中国系企業が多く進出しており、これらの社員を狙った誘拐事件が多数報告されていますが、当地の犯罪者から見て日本人と中国人の区別はつきにくく、日本人も誘拐を始めとした犯罪被害に遭うリスクは高いと言えます。
また、近年は、世界的傾向として、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で不特定多数が集まる場所を標的としたテロが頻発しています。特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
さらに、外国人を標的とした誘拐のリスクも排除されず、注意が必要です。
テロ・誘拐はどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。