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ナイジェリア

2019年04月09日

1 概況
(1)ナイジェリアにおいては,イスラム過激派組織ボコ・ハラム(ISIL西アフリカ州)が北東部3州(ボルノ州,ヨベ州,アダマワ州)を拠点に活動しており,2013年5月以降,同3州は非常事態宣言下にあります。
(2)ボコ・ハラムに対する軍の掃討作戦や治安機関による捜査・摘発が継続し,領域支配の排除や活動拠点を国境周辺等に封じ込めるなど一定の成果が出ていたものの,2018年7月頃からボコ・ハラムが軍に対する大規模な攻勢を継続しており,多数の死傷者と国内避難民が生じています。特に,北東部3州(ボルノ州,ヨベ州,アダマワ州)においては,今もなお自爆テロや軍施設等への攻撃が頻発しています。
(3)一方,ボコ・ハラム構成員がこうした掃討作戦を避けるべく,国内避難民に偽装するなどして北東部から国内各地及びチャド湖周辺諸国に逃亡し,潜伏先でテロ活動を行うことにより,結果としてテロの脅威が拡散しています。また,同じく北東部において,市場等のソフトターゲットを狙ったテロも発生しています。
(4)南部ナイジャーデルタ地帯においては,ナイジャーデルタ解放運動(MEND:Movement of the Emancipation of the Niger Delta)を始めとする多くの反政府武装組織が存在しています。2009年からの政府による恩赦プログラム(武装放棄との引き換えでの手当の支給,職業訓練の提供等)が開始されて以降,情勢は比較的落ち着いて推移してきましたが,ブハリ大統領が同プログラムの打ち切りに言及した2016年初旬以降,ナイジャーデルタアベンチャーズ(NDA)をはじめとする新たな武装組織が次々と現れ,石油関連施設への攻撃を行う事態に陥りました。その後,NDAと連邦政府との間で条件付きの休戦協定が締結され,2016年中盤以降,武装組織による攻撃は収まりましたが,2018年末日をもって休戦協定は期限切れとなりました。具体的な対策を講じない連邦政府にいらだちを見せる武装組織が,石油関連施設への攻撃再開を度々宣言するなどの緊迫した事態が続いています。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)ボコ・ハラム(ISIL西アフリカ州)
 ボコ・ハラムは,西洋的な教育・価値観を否定し,ナイジェリア北部を中心とするシャリーア(イスラム法)に基づく「カリフ制首長国」の設立を目標としています。北東部での領域確保を進めるため,地方都市や村落に対する襲撃・占拠攻勢を繰り返してきましたが,最近の政府の掃討作戦を避けるため,各地に逃亡し,テロの脅威が拡散しているとみられています。例えば,2015年には,首都アブジャ郊外を始め,カノ,ジョス等の北部諸州主要都市やコギ州等北東部以外の地域でも主に女性や少年少女らによる自爆テロが多発しました。また,南西部のラゴス州でも,同年10月以降,ボコ・ハラム構成員の検挙報道が相次ぎ,同州政府当局がテロに対する警戒を呼び掛けました。更に,北東部のニジェール,チャド,カメルーン国境地帯は,森林,河川等が入り混じった地形となっていることから,テロリストの潜伏が疑われています。
 ボコ・ハラムは,元々政府関連施設を攻撃の対象としてきましたが,都市部において,市場,ショッピングモール,バスターミナル,スポーツ観戦施設,教育施設等の「ソフトターゲット」を標的とした無差別テロを実行し,2015年10月には首都アブジャ郊外のクジェ及びニャンニャの2か所において連続自爆テロを引き起こしました。
 なお,2015年3月,ボコ・ハラムは,イスラム過激派組織「ISIL(イラク・レバントのイスラム国)」への忠誠を表明しており,それ以降,「ISIL西アフリカ州」と称しての活動も見られます。
(2)アンサル
 アンサルは,ボコ・ハラムから分派したイスラム過激派組織とされ,ナイジェリア全土,更には西アフリカ地域におけるシャリーア(イスラム法)に基づく国家の設立を目標とし,これまでアル・カーイダ等の国際テロ組織とも関係を有していたとみられています。2013年にはナイジェリア軍の部隊輸送車両爆破事件やバウチ州における外国人拉致・殺害事件を実行していますが,最近はアンサル独自の活動は低調であり,上記事件以降,目立った活動は認められていません。しかしながら,過去には外国人を標的とした拉致・殺害事件等を実行している上,現在もボコ・ハラムと連携してテロ攻撃を実行しているとの見方もあり,引き続きその動向に警戒が必要です。
(3)ナイジャーデルタ解放運動(MEND)
 MENDは,南部ナイジャーデルタ地域の石油利権をめぐる政府への不満を背景に発足した多数の反政府武装組織が2006年に統合して結成されたものと言われています。2009年の政府による恩赦プログラム等によって,近年,同組織による暴力的な反政府活動は発生していません。しかしながら,ブハリ大統領が2015年末に同プログラムを打ち切り,その後の具体的施策が明らかにされない中,元反政府武装勢力関係者らは,反政府武装闘争を再開する可能性を示唆するなど,強く反発しています。こうした中,過去のような石油関連施設に対する襲撃・破壊や身代金目的の誘拐等が再発し,同地域の治安情勢が悪化する可能性も否定できない状況となっています。

3 誘拐事件の発生状況
(1)ナイジェリアでは,公式の犯罪統計が公表されていないため,正確な誘拐事件の発生件数は判然としませんが,2018年中に主要紙で報道された誘拐件数は約670件です。しかし,これは氷山の一角であると思われ,実際には更に多くの誘拐事件が発生しているものとみられます。
(2)南部ナイジャーデルタ地帯や都市部では,同地を拠点とする武装犯罪集団による誘拐事件が多く,外国人,富裕層・政治家等の本人や家族,石油関連施設関係者等が狙われています。また,ギニア湾のナイジェリア沿岸部では,タンカーやコンテナ船が襲撃され,船員が拉致される事案も発生しています。 
(3)北東部や北部諸州では,ボコ・ハラムや武装集団によるとみられる外国人を含む拉致事件が多発しています。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 これまでに,ナイジェリアにおいてテロによる日本人の被害は確認されていませんが,ボコ・ハラムは,北東部における襲撃や拉致のみならず,主に都市部において「ソフトターゲット」を狙った無差別爆弾テロを実行してきており,日本人や日本権益がこうしたテロの巻き添えとなることが懸念されます。また,ボコ・ハラムが,その活動資金の調達のために外国人を拉致し,多額の身代金を要求した事例もあることから,金銭的に裕福であるとの印象を持たれている日本人が拉致の標的となる可能性も排除されず,引き続き警戒が必要です。
 このような情勢を十分に認識し,テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう,海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め,状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。

(注記)
「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが,一般には,特定の主義主張に基づき,国家等にその受け入れを強要し,又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は,このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず,外務省が,報道等の情報等に基づき,海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり,本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

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