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スーダン

更新日 2019年02月08日

1 概況
(1)スーダン政府は,2001年9月の米国同時多発テロ事件を契機にテロ分野で国際社会と協調し,国内に潜伏していた外国のイスラム過激派集団を国外追放しました。そのため,スーダンではイスラム過激派の活動は限定的ですが,2008年1月,米国国際開発庁(USAID)職員及びスーダン人運転手が,ハルツーム市内を車で移動中,イスラム過激派メンバーによって射殺されるという事件が発生しました。しかしその後,2012年には治安当局により過激思想に染まった31人のスーダン人が拘束されるなど,スーダン政府はテロ対策を強化しており,同射殺事件以降,スーダン国内においてテロ事件は発生していません。

(2)スーダン国内では,2015年3月にハルツーム市内の大学に通うスーダン人5人を含む11人の学生らがISIL(イラク・レバントのイスラム国)への参加を目指してトルコに渡航したとの報道をはじめとして,国内から複数の学生などがISILに参加している実態が浮き彫りとなり,その後も,ISILを支持し,若者の過激化を扇動し,シリアなどにスーダン人を送り込む活動をしているとして複数の宗教活動家等が治安機関により拘束される事件などが発生しました。2016年11月には,2015年3月にチュニジアのバルドー博物館で発生したテロ事件に関与したとしてイタリアから国際手配されていたISILの幹部がスーダン国内で逮捕され,同年12月にチュニジア政府への引き渡しが行われました。また,2018年6月には,ハルツームの隣町オムドゥルマンにおいて,ISILが若者をリクルートしイラクに送り込むために使用していたとされるアジトが発見されたと報じられたほか,同年9月には,治安当局がISILに武器を供給していたとされるスーダン人を拘束しました。スーダン政府は,こうした問題に他国と協力して積極的に取り組んでおり,最近ではISILの活動に関与したスーダン人の逮捕等に成功しています。

(3)スーダン国内のアル・カーイダ勢力はほぼ根絶されたとみられていますが,2011年5月,アル・カーイダの指導者であったウサマ・ビン・ラディンの追悼集会が開催されるなど,スーダン国内にはアル・カーイダの主義・主張に共感を覚える人がいまだ存在すると考えられています。  
 これらの状況から,スーダンにはイスラム過激派の影響を受けやすい土壌もあるといえ,今後,国内でアル・カーイダやISILなどのイスラム過激派の影響を受けた者によるテロ事件が発生する可能性は排除できない状況にあります。
   
(4)2003年以降,スーダン西部のダルフール地方において,スーダン政府軍と反政府勢力との衝突や部族間闘争により甚大な被害(国連の推計では約30万人が死亡)が発生しています。また,2011年以降,スーダン南部の南コルドファン州及び青ナイル州におけるスーダン政府軍と反政府勢力との衝突により十数万人の難民が南スーダンに流出したと伝えられる一方で,南スーダンの国内の混乱により多くの南スーダン難民がスーダン側に流入しており,南スーダンとの国境付近の治安情勢に影響を及ぼしています。

(5)スーダンにおける誘拐・拉致事件は,その多くがダルフール各州及び南部の南コルドファン州,西コルドファン州において発生し,主に平和維持及び人道支援活動を実施している国連や支援団体等の関係者が標的となっています。これまでに,日本人を標的とする誘拐・拉致事件は発生していません。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)ダルフール地方(西部地域)
 2011年7月,スーダン政府と「解放と正義運動(LJM)」及び「正義と平等運動(JEM)」の分派である「正義と平等運動スーダン派(JEM-SUDAN)」との間で和平合意(ドーハ合意:DDPD)が締結されましたが,「スーダン解放運動ミンニ・ミナウィ派(SLM-MM)」や「スーダン解放運動アブドゥル・ワーヒド派(SLM-AW)」,「正義と平等運動ジブリ-ル派(JEM-JIBRIL)」といった他の主要な反政府勢力は同枠組みに参加せず,2011年11月には,南コルドファン州,西コルドファン州及び青ナイル州で活動する反政府勢力「スーダン人民解放運動・北部勢力(SPLM-N)」と反政府勢力による同盟である「スーダン革命戦線(SRF)」を形成し,スーダン政府軍に対する武装闘争を継続してきました。
 しかしながら,現在,スーダン政府による軍事作戦の成功や武装勢力内の内部対立等を背景に,ダルフール地方での武装勢力のプレゼンスはジャバルマッラの一部地域におけるSLM-AWの勢力に限定されており,JEM-JIBRIL及びSLM-MMは勢力を国外に移しています。また,SRFは,2014年12月に結成された反体制派連合である「スーダンの呼びかけ」勢力の一員として,2016年8月,和平プロセスに関するAUHIPロードマップ合意に署名しており,政府との和平交渉に向けた水面下の協議が継続されています。
 昨今のスーダン経済の悪化はダルフール地方も例外ではなく,一般犯罪の増加が懸念されています。また,2017年8月より武器回収キャンペーンが開始され,違法武器や車両が回収されていますが,紛争によって蔓延した武器はいまだに全て回収されておらず,武装グループによる犯罪行為も懸念されます。また,一部地域では,ダルフールAU・国連合同ミッション(UNAMID)及び人道支援関係者等に対する誘拐,襲撃,略奪等のほか,反政府勢力間の内部抗争,土地や家畜,資源をめぐる部族間抗争等が発生しており,治安情勢は依然として不安定な状態となっています。

(2)南コルドファン州,西コルドファン州,青ナイル州(南部地域)
 南コルドファン州及び青ナイル州には,第二次南北スーダン内戦時代に南部スーダン側として戦った将兵が多数残存しており,SPLM-Nとして政府軍との闘争を継続しています。スーダン政府は,反政府勢力の掃討作戦を展開する一方で,アフリカ連合(AU)の仲介によりSPLM-Nとの和平交渉を進めています。AUに加え,米・独等の諸国も和平実現のための努力を行っていますが,いまだに両者が乗り越えられない懸案事項が存在し,交渉妥結のめどは立っていません。
 また,南スーダンと国境を接する地域では,南スーダンの治安情勢悪化を受けて南スーダンからの難民が多数流入するなど,南部地域の治安情勢は依然として不安定な状態となっています。

(3)アビエ地域
 アビエ地域は,スーダンと南スーダン両国が領有権を主張している係争地であり,両国が締結したアビエ地域行政治安暫定措置に基づいて非武装地帯とされ,現在,国連アビエ暫定治安部隊(UNISFA)が治安維持に当たっています。首脳会談で同地域の治安措置履行に係る協議が実施されるなど,最終的な問題解決に向けた努力が続けられていますが,依然として,スーダン・南スーダン両国の大きな課題の一つとなっています。

3 誘拐事件の発生状況
 日本人を標的とした誘拐事件は発生していませんが,外国人が標的とされたものとして最近発生した主な誘拐事件は以下のとおりです。誘拐の目的については,身代金目的とみられていますが,詳細等は判明していません。
(1)2016年11月27日,西ダルフール州エルジュネイナにおいて,UNHCR職員3人(ネパール人2人,スーダン人1人)が武装グループによって拉致されました。同年12月20日,同職員が無事解放されたとUNHCRのスポークスマンによって発表されましたが,身代金が支払われたかどうかについては不明です。
(2)2017年10月7日,北ダルフール州エルファーシル中心部において,武装者した人物がスイス国籍の人道支援家の自宅に押し入り,誘拐しました。同年11月14日,同人は解放されスイスに帰国し,誘拐犯は治安当局により拘束されました。

4 日本人・日本権益に対する脅威 
 スーダン人の対日感情は概して良好であり,これまでに,スーダンにおいてテロ事件による日本人の被害は確認されていませんが,国内の一部地域では恒常的に政府軍と反政府勢力との戦闘が繰り広げられており,巻き添え等の偶発的な被害に遭う可能性も考えられ,今後の政情によっては,日本人が標的とされる可能性も否定できません。また,ISILは,過去に日本人も同組織の攻撃の標的となる旨の声明を出しており,スーダン国内にはISILに同調しているグループ等の存在が認められることからも,テロや誘拐には細心の注意が必要です。
 このような状況を十分に認識し,テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう,海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め,状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。

テロについて

「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが,一般には,特定の主義主張に基づき,国家等にその受け入れを強要し,又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は,このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず,外務省が,報道等の情報等に基づき,海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり,本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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