コンゴ民主共和国
テロ・誘拐情勢
更新日 2024年06月12日
1 概況
(1)コンゴ民主共和国の東部地域(南キブ州、北キブ州、イツリ州東部等)ではテロが多発しており、近年では一部の事案について「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」関連組織の犯行声明が出ています。
(2)2019年4月 、北キブ州ベニ地区において、ウガンダ系反政府武装勢力「民主同盟軍(ADF)」の襲撃によりコンゴ民主共和国軍関係者を含む計8人が死傷した事件に関し、ISILが「中央アフリカ州」名で犯行声明を発出しました。ISILがコンゴ民主共和国における攻撃について犯行声明を発出したのはこれが初めてとされます。それ以降も、ISILは、イツリ州及び北キブ州内でのADFによる襲撃について継続して犯行声明を発出しています。近年の主な事案としては、2022年3月 イツリ州アペンデ村等複数集落を襲撃(合計50人以上死亡)、6月イツリ州オトマベレ村への襲撃(20人死亡)、10月北キブ州ブテンボ市内での爆発事件(10人負傷)等、2023年4月北キブ州エネブラ村での農民を待ち伏せした襲撃(20名死亡)、北キブ州ベニでのキリスト教徒襲撃(18名死亡)、8月北キブ州カテライン村での襲撃(7名死亡)について犯行声明を発出しています。なお、米国は、2021年3月に、ADFをISIL関連団体としてテロ組織に指定しています。
(3)ADFのほかにも、東部地域には、「3月23日 運動」(M23、ツチ族系のルワンダ系反政府武装勢力)、「ルワンダ解放民主軍」(FDLR、フツ族系のルワンダの反政府武装勢力)、「イツリ愛国抵抗戦線」(FRPI)、「コンゴ開発協同組合」(CODECO)その他部族的な武装グループも含め約120から130の民兵組織が存在しているとされています。2022年12月には国連人道問題調整事務所は、「2022年3月以降 、北キブ州ルチュル及びニーラゴンゴ地域での武装勢力との戦闘で51万人が避難を余儀なくされている」とする報告を発表しています。
(4)2021年5月以降 、同国政府はイツリ州及び北キブ州に戒厳令を布告し、国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)及び近隣諸国の支援を得て、コンゴ民主共和国軍がこれら武装勢力の掃討作戦を継続しています。
(5)2023年12月以降、東アフリカ共同体(EAC)は東部からの撤退を完了し、MONUSCOはコンゴ民主共和国東部からの撤退を開始しています。
2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
「1 概況」のとおり。
3 誘拐事件の発生状況
東部地域では誘拐が多発しており、外国人もたびたび被害に遭っています。
北キブ州では、2018年5月 、世界遺産・ヴィルンガ国立公園で英国人観光客2人が誘拐される事件が発生しています。2021年11月には、ヴィルンガ国立公園において、国際赤十字スタッフ2人が誘拐される事件や、同じく11月、医療NGO団体の米国人スタッフ3人が誘拐される事件、2022年10月には、同国立公園内で観光客6人が誘拐される事件が発生しています。
また、2023年には6月に は、ADFがイツリ州の村を襲撃した際に10名を誘拐する事件、M23が北キブ州ルチュルで16名を誘拐する事件、8月には、北キブ州ゴマで何者かが青年2名を誘拐する事件、12月には、ADFがイツリ州の村を襲撃し少女2名を誘拐する事件が発生しています。
さらに、イツリ州や南キブ州では、2022年中、金鉱山地区や採掘現場で稼働する複数の中国人が武装組織に誘拐される事件が相次いでいます。
キンシャサにおいても、7月にタクシーを利用した誘拐事件が発生しています。
4 日本人・日本権益に対する脅威
これまでに、コンゴ民主共和国において日本人・日本権益を標的としたテロの発生は確認されていませんが、2014年11月には邦人旅行者1人が短時間誘拐事件の被害に遭っているほか、2023年には邦人旅行者1名が数名の者に連行され金銭を要求される事案も発生しています。
近年、世界的な傾向として、警備や監視が手薄で不特定多数の人が集まる場所(ソフトターゲット)を標的としたテロが頻発しています。
特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、テロの標的となりやすく、このような場所では常に注意が必要です。
テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。