コンゴ民主共和国
テロ・誘拐情勢
更新日 2025年01月13日
1 概況
(1)コンゴ民主共和国(以下、コンゴ(民))の東部地域(南キブ州、北キブ州、イツリ州東部等)ではテロが多発しており、近年では一部の事案について「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」関連組織の犯行声明が出ています。
(2)ISILは、2019年以降、イツリ州及び北キブ州内で発生したウガンダ系反政府武装勢力「民主同盟軍(ADF)」によると見られる事案に関し、「中央アフリカ州」名で犯行声明を発出しています。近年の主な事案は以下のとおりです。なお、米国は、2021年3月に、ADFをISIL関連団体としてテロ組織に指定しています。
ア 2022年3月、イツリ州アペンデ村等複数集落を襲撃(合計50人以上死亡)
イ 2022年6月、イツリ州オトマベレ村への襲撃(20人死亡)
ウ 2023年4月、北キブ州エネブラ村での農民を待ち伏せした襲撃(20名死亡)
エ 2023月4月、北キブ州ベニでのキリスト教徒襲撃(18名死亡)、
オ 2024年2月、北キブ州ベニ市カスンガ村・ブチカ村でのキリスト教徒35名を斬首した事件
カ 2024年5月、北キブ州ベニ市マビンド村での襲撃(キリスト教徒22名死亡)
キ 2024年6月、北キブ州ベニ市の村での襲撃(キリスト教徒51名死亡)
ク 2024年12月北キブ州ルベロ地方及びベニ地方での襲撃(35名死亡)
(3)東部地域には、ほかにも、「3月23日 運動」(M23、ツチ族系のルワンダ系反政府武装勢力)、「ルワンダ解放民主軍」(FDLR、フツ族系のルワンダの反政府武装勢力)、「イツリ愛国抵抗戦線」(FRPI)、「コンゴ開発協同組合」(CODECO)その他部族的な武装グループも含め、約120から130の民兵組織が存在しているとされています。
(4)2021年5月以降 、コンゴ(民)政府はイツリ州及び北キブ州に戒厳令を布告し、国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)及び近隣諸国の支援を得て、同国軍がこれら武装勢力の掃討作戦を継続しています。
(5)2023年12月以降、東アフリカ共同体(EAC)は東部からの撤退を完了し、2024年6月末にはMONUSCOの南キブ州からの撤収が完了し、今後北キブ州及びイツリ州からの撤収が予定されています。
2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
「1 概況」のとおり。
3 誘拐事件の発生状況
東部地域では誘拐が多発しており、地元住民に加え、外国人もたびたび被害に遭っています。近年の主な誘拐事件は以下のとおりです。
(1)2018年5月 、北キブ州の世界遺産・ヴィルンガ国立公園で英国人観光客2人が誘拐
(2)2021年11月、ヴィルンガ国立公園において、国際赤十字スタッフ2人が誘拐
(3)2022年10月、ヴィルンガ国立公園内で観光客6人が誘拐
(4)2024年10月、イツリ州マハギでCODECOがジャーナリストを誘拐
また、首都キンシャサにおいても、タクシーを利用した誘拐事件が毎年発生しています。
4 日本人・日本権益に対する脅威
これまでに、コンゴ(民)において日本人・日本権益を標的としたテロの発生は確認されていませんが、2014年11月には邦人旅行者1人が短時間誘拐事件の被害に遭っているほか、2023年には邦人旅行者1名が数名の者に連行され金銭を要求される事案も発生しています。
近年は、世界的傾向として、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で不特定多数が集まる場所を標的としたテロが頻発しています。特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
また、外国人を標的とした誘拐のリスクも排除されず、注意が必要です。
テロ・誘拐はどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。