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テロ・誘拐情勢

2016年02月16日

1.概況
(1)レバノンの治安情勢は、隣国シリア情勢の影響を受け、引き続き不安定な状況にあります。事件発生件数は減少していますが、2015年も、トリポリ(1月)、アルサール(11月)及びベイルート南郊外(11月)においてイスラム過激派組織による爆弾テロ事件が発生しました。
(2)2015年におけるテロ事件については、発生件数3件、犠牲者60人、負傷者282人であり、発生件数は前年に比べ大きく減りましたが、ベイルート南郊外(ブルジュ・バラジネ地区)での爆弾テロ事件(犠牲者46名)により犠牲者は増加しました(2014年は発生件数14件、犠牲者43名、負傷者358名)。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)トリポリ市では、2015年1月に同市ジャバル・モフセン地区での連続自爆テロ事件が発生しており、シリア内戦で台頭したアル・カーイダ系イスラム過激派組織ヌスラ戦線が、バッシャール・アサド・シリア大統領と同じアラウィ派の居住する同地区を狙って起こしたものとみられます。同年11月のブルジュ・バラジネ地区での連続自爆テロ事件ではISILが犯行声明を発出しています。これに対しレバノン治安当局は、事件の容疑者多数を逮捕して捜査を進めています。
(2)シリアとの国境付近の町アルサール周辺等ベカー高原北部においては、シリアから侵入したとみられる武装組織とレバノン治安機関等との間で断続的に衝突が発生しています。2014年8月、アルサール郊外でISIL及びヌスラ戦線がレバノン国軍等の治安部隊がISIL等の武装組織と戦闘になり、数十名の兵士等が人質として拘束されました。一部の兵士が依然としてISILに拘束されています。また、アイン・ヘルワ・パレスチナ難民キャンプ等においても、対立するグループ間の抗争事件が発生しました。
(3)レバノン南部の対イスラエル境界地域では、国連暫定駐留軍(UNIFIL)の監視下にあり、2006年には大規模な軍事衝突が発生する等、引き続き警戒下にあります。近年は概ね平穏でしたが、2015年12月、シリア国内においてヒズボッラー司令官に対する空爆が行われ、同司令官が殺害される事件が発生しました。これに対しヒズボッラーは、イスラエルによる攻撃であるとして報復を宣言する等、イスラエル・レバノン国境付近での緊張が高まっています。

3.誘拐事件の発生状況
 近年、レバノン国内で日本人に対する誘拐事件は確認されていませんが、2015年には、バールベック・ヘルメル県及びベカー県を中心に、レバノン人やシリア人の会社経営者やその家族等の富裕層が被害に遭う誘拐事件が発生しました。その他の誘拐事件も多数発生しているとみられています。また、対シリア国境付近では越境する武装組織による誘拐も発生しています。

4.日本人・日本権益に対する脅威
 近年、レバノン国内で日本人・日本権益対するテロや誘拐の脅威は確認されていません。しかしながら、近年、シリアやチュニジアにおける日本人が殺害されたテロ事件や、パリでの同時多発テロ事件などが発生しています。このように、世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか、これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており、日本人・日本権益が標的となり、テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。このような情勢を十分に認識して、誘拐、脅迫、テロ等に遭わないよう、また、巻き込まれることがないよう、海外安全情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め、日頃から危機管理意識を持つとともに、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。

(注記)
 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が、報道等の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり、外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。