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インドネシア

2019年02月21日

1 概況
(1)インドネシアでは,2009年7月に発生したジャカルタ市内米国系ホテル同時爆弾テロ事件以来,多数の民間人が死傷する大規模テロは発生していませんでした。しかしながら,2016年1月にジャカルタ中心部において爆弾テロ事件が発生し,2017年5月には東ジャカルタのバスターミナルにおける自爆テロ事件が発生しました。さらに,2018年5月に東ジャワ州スラバヤ市内のキリスト教会及び警察署における自爆テロ事件が発生しました。いずれの事件についてもISIL(イラク・レバントのイスラム国)が犯行声明を発出しています。
(2)近年,ジュマ・アンショール・ダウーラ(JAD)と呼ばれる,明確な組織構造や指揮命令系統を持たないグループによるテロが発生しています。その形態は,インターネット及びソーシャルメディアを介して,ISIL等の過激思想に感化された者が,偶発的に犯行を行うものであり,女性・子供を含んだ自爆テロも発生しています。
(3)インドネシアにおけるテロの主要な標的は,警察及び警察関連施設であり,外国権益を目標としたとみられるテロは2009年以降発生していませんでした。しかしながら,2016年1月のジャカルタ中心部における爆弾テロ事件に関する犯行声明において,「十字軍連合の参加国国民の一団」が標的とされていたことから,同爆弾テロ事件は外国人も標的としていた可能性があり,ソフトターゲットへの脅威は排除されません。
(4)中部スラウェシ州ポソ県郊外の山岳地帯において活動している東インドネシアのムジャヒディン(MIT)は,2016年7月に指導者が死亡して以来,その勢力は減少傾向にありますが,依然として残党が活動を継続しています。パプア州及び西パプア州においては,インドネシアからの分離独立を標榜するパプア分離独立運動グループ(OPM)による治安当局への襲撃が散発的に発生しています。

2 各組織の活動状況
(1)ジュマ・イスラミーヤ(JI)
 インドネシアを中心に東南アジア地域にイスラム国家,あるいはカリフを戴くイスラム・カリフ制国家の樹立を目指しています。イスラム社会が西洋文明の脅威にさらされているとの認識の下,その象徴である欧米権益の排除を目指し,2002年から2009年にかけて大規模テロを実行したとされています。現在,JIの表立った活動は確認されていません。
(2)ジュマ・アンショール・ダウーラ(JAD)
 設立の経緯及びイデオロギーは明確ではありませんが,イスラム聖職者のアマン・アブドゥルラフマンからの影響を受け,2015年ころから国内での活動が見られるようになりました。明確な組織構造や指揮命令系統を持たないグループとみられています。セルと呼ばれる各グループの連携は緩いとされています。テロ活動の形態は,インターネット及びソーシャルメディアの情報を介して,過激思想に感化された者による偶発的な犯行が目立っており,女性・子供を含んだ自爆テロも発生しています。また,その標的は,ほぼ治安当局に特化しています。
(3)ジュマ・アンショール・タウヒード(JAT)
 2008年7月,アブ・バカール・バアシールがそれまで所属していたインドネシア・ムジャヒディーン協議会(MMI)を脱退し,設立しました。バアシール自身は,JATをムスリムの団体であり,テロ組織ではないと主張していますが,インドネシアにおいてカリフ制の国家を樹立することを目的として,各種の活動を行っているとみられています。2014年7月,バアシールはISILを支持する立場を明確にしましたが,JAT内でISIL支持に反対するグループがこれに反発してJATを脱退し,下記(4)のとおり,JASを設立しました。
(4)ジュマ・アンショール・シャリーア(JAS)
 上記(3)のとおり,バアシールがISIL支持を打ち出したことに反対し,2014年8月,バアシールの息子であるアブドゥル・ロヒム及びロシド・リドホやJATの前議長であるモハマド・アクワン等がJATを脱退し,設立しました。アクワンを議長とし,2,000人の構成員がいると自称していますが,JATとも引き続き一定の関係を有しているとみられます。
(5)東インドネシアのムジャヒディン(MIT)
 明確なイデオロギーは不明ですがISILへの忠誠を誓い,シャリーアに基づくイスラム国家の樹立を目標としているものと思われます。中部スラウェシ州ポソ県郊外の山岳地帯に拠点をつくり,治安部隊や地元住民を襲撃しています。治安当局による対テロ作戦により,2016年7月に指導者が死亡するに至りましたが,未だに残党が潜伏して活動を継続しています。
(6)パプア分離独立運動グループ(OPM)
 パプア州及び西パプア州においては,依然としてインドネシアからの分離独立を求める声があり,一部の地域では独立派住民が関与しているとみられる治安当局との衝突等が散発的に発生しています。特に,パプア州のミミカ県からプンチャック・ジャヤ県にかかる地域周辺では,パプア分離独立運動グループ(OPM)とみられる武装集団が治安当局等を襲撃する事案が散発的に発生しています。

3 誘拐事件の発生状況
(1)イスラム過激組織
 フィリピン南部スールー海域において,アブ・サヤフ・グループ(ASG)などのイスラム過激組織によるとみられるインドネシア人船員を狙った身代金目的誘拐事件が発生しています。2016年以降,同海域において36名のインドネシア人船員が誘拐されており,その大部分は順次解放されているものの,依然として2名のインドネシア人船員が武装グループに拘束されているとみられています。
(2)分離独立運動グループ
 パプア分離独立運動グループ(OPM)の武装部隊である西パプア民族解放軍(TPNPB)が,2017年11月にパプア州ミミカ県の村落を占拠し,村民など多数を拘束する事件が発生しました。2018年12月には,パプア州ンドゥガ県で,軍人と民間人合わせて30名以上が殺害される事件も発生しました。
(3)その他
 外国人を狙った誘拐事件の発生は確認されていません。

4 日本人・日本権益に対する脅威
(1)2005年10月にバリ島において発生したレストラン爆弾テロ事件により日本人1名を含む23名が死亡して以来,インドネシアにおいてテロによる日本人被害は確認されていません。
(2)しかしながら,2015年9月のISIL機関誌「ダービク(第11号)」において,インドネシアに所在する日本の外交使節が標的の例示として掲げられていることや,2016年1月のジャカルタにおける爆弾テロ事件に関する犯行声明において「十字軍連合の参加国国民の一団」が標的とされていたことなどから,日本の外交使節,日本人,日本権益がテロの標的となる可能性も否定できません。
(3)また,テロは,日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており,特に,近年では単独犯によるテロや,一般市民が多く集まる公共交通機関等(ソフトターゲット)を標的としたテロが頻発していることから,こうしたテロの発生を予測したり未然に防ぐことが益々困難となっています。
 このようにテロはどこでも起こり得ること及び日本人が標的となり得ることを十分に認識し,テロの被害に遭わないよう,海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め,状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。

(注記)
  「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが,一般には,特定の主義主張に基づき,国家等にその受け入れを強要し,又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は,このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず,外務省が,報道等の情報等に基づき,海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり,本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

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