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インドネシア
テロ・誘拐情勢

更新日 2024年03月01日

1 概況
(1)インドネシアでは、2002年10月のバリ島爆弾テロ事件以降大規模な自爆テロ事件が4年連続して発生したほか、2009年7月、ジャカルタ市内のホテル2箇所において同時爆弾テロ事件が発生しました。こうした2000年代に発生したテロ事件の多くは、親「アル・カーイダ(AQ)」系団体である「ジェマ-・イスラミア(JI)」による組織的・大規模なテロでした。2010年代に入りシリアにおいて「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」の勢力が拡大されると、それに連動する形でインドネシア国内においても「ジャマ-・アンシャルット・ダウラ(JAD)」等の親ISIL系勢力によるテロが発生するようになりました。具体的には、2016年1月にジャカルタ中心部のタムリン通りにおいて発生した爆弾・銃撃テロ事件、2017年5月に東ジャカルタのバスターミナルにおいて発生した自爆テロ事件、2018年5月にスラバヤ市内3か所のキリスト教会において発生した自爆テロ事件を始め大小様々なテロ事件が発生しました。
(2)インドネシアにおける近年のテロの主要な標的は、警察やキリスト教会等の宗教施設ですが、2016年1月のジャカルタ中心部におけるテロ事件に関する犯行声明において、「十字軍連合の参加国国民の一団」が標的とされていたことから、同爆弾テロ事件は外国人も標的としていた可能性があります。
(3)治安当局によるテロ対策が強力に進められた結果、2023年中はインドネシア国内におけるテロ事件の発生はありませんでしたが、引き続き毎年多くのテロ関係者が逮捕されており、また、2022年の年末には西ジャワ州バンドンの警察施設において自爆テロ事件が発生していることからも、依然としてテロへの警戒は必要です。
(4)また、中部パプア州や山岳パプア州を始めとするパプア地域では、同地域の分離独立を求める武装勢力と治安当局との衝突等が散発的に発生しているところ、2023年2月には、同武装勢力が山岳パプア州ンドゥガ県において外国人を拉致する事件が発生しました。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)「ジェマー・イスラミーヤ」(JI)
 インドネシアを始めとする東南アジア地域におけるイスラム国家、あるいはカリフを戴くイスラム・カリフ制国家の樹立を目指しています。2000年代に大規模なテロ事件を多く実行し、2002年及び2005年のバリ島爆弾テロ事件においては邦人も犠牲となりました。近年はインドネシア国内における政治経済活動等を通じた資金獲得や組織強化を図っているとみられています。他方、近年もテロ計画の兆候が認められるとしてJIから多数の逮捕者が出ています。
(2)「ジャマー・アンシャルット・ダウラ」(JAD)
親ISIL組織であり、2010年代中頃から活動が見られるようになりました。明確な組織構造や指揮命令系統を持たないグループとみられ、セルと呼ばれる各グループの連携は緩いとされています。テロ活動の形態は、インターネットやソーシャルメディアの情報を介して、過激思想に感化された者による単発的な犯行が目立つほか、女性・子供を含んだ自爆テロも散見されています。近年インドネシアで発生したテロ事件の多くはJAD関係者によって実行されています。
(3)「東インドネシアのムジャヒディン」(MIT)
 インドネシアでいち早くISILへの忠誠を誓った組織であり、中部スラウェシ州ポソ県郊外の山岳地帯に拠点を作り、治安部隊や地元住民を襲撃していました。2022年、インドネシア国家警察はMITの殲滅を公表しましたが、引き続き中部スラウェシ州ポソにMIT支持者が存在する可能性があります。

3 誘拐事件の発生状況
インドネシア国家警察によれば、2022年中に223件の誘拐事件が発生し、そのうちの28件の被害者が子供であり、これは前年の21件から増加しました。
同警察によれば、2019年から2023年1月までの間に1018人の誘拐被害者がおり、その内女性は532人、男性は367人でありました(119名は性別不明)。また、97人は子供の被害者でした(女児49人、男児27人、不明21人)。
近年、日本人等の外国人を狙った誘拐事件の発生は特に確認されていませんが、上記統計のとおり大人も誘拐の被害者となっていることから、子供への注意はもちろんのこと大人も誘拐から身を守ることが重要です。

4 日本人・日本権益に対する脅威
(1)2002年及び2005年のバリ島爆弾テロ事件においては邦人も犠牲となりました。
(2)2015年9月のISIL機関誌「ダービク(第11号)」において、インドネシアに所在する日本の外交使節が標的の例示として掲げられたことや、2016年1月のジャカルタにおけるテロ事件に関する犯行声明において「十字軍連合の参加国国民の一団」が標的とされていたことなどから、日本人や日本権益がテロの標的となる可能性も否定できません。
(3)近年は、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で一般市民が多く集まる場所(ソフトターゲット)を標的としたテロが世界各地で頻発しています。これらは組織性が低い単独犯によるテロが多く、事前の取締りが難しいため、今後も継続することが懸念されます。
(4)特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、警備や監視が手薄で不特定多数の人が集まるため、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
(5)テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

テロについて

「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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