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インドネシア
テロ・誘拐情勢

更新日 2023年03月28日

1 概況
(1)2002年10月のバリ島爆弾テロ事件以降に大規模な自爆テロ事件が4年連続して発生したほか、2009年7月、ジャカルタ市内のホテル2箇所において同時爆弾テロ事件が発生しました。その後、テロの実行グループに属するとみられるメンバーの多くが摘発され、勢力が停滞したとみられていました。そのような中、シリアにおける「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)の勢力拡大と連動する形で、2016年1月には、ジャカルタ中心部のタムリン通りにおいて爆弾・銃撃テロ事件が発生しました。同事件に関しては、「ISILインドネシア」との組織名で犯行声明が発出されました。その後も、2017年5月には東ジャカルタのバスターミナルにおける自爆テロ事件、2018年5月にはスラバヤ市内3か所の教会に対する自爆テロ事件が発生する等しました。近年も、2021年3月の南スラウェシ州マカッサルのキリスト教会に対する自爆テロ事件や2022年12月の西ジャワ州バンドンの警察施設に対する自爆テロ事件が発生する等しています。
(2)インドネシアにおける近年のテロの主要な標的は、警察やキリスト教会等の宗教施設であり、外国権益を標的にしたとみられるテロは2009年以降発生していません。他方、2016年1月のジャカルタ中心部におけるテロ事件に関する犯行声明において、「十字軍連合の参加国国民の一団」が標的とされていたことから、同爆弾テロ事件は外国人も標的としていた可能性があります。
(3)国家警察によるテロ・ネットワークに対する取締りが進められていますが、依然としてテロへの警戒は必要です。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)ジェマー・イスラミーヤ(JI)
 インドネシアを中心に東南アジア地域にイスラム国家、あるいはカリフを戴くイスラム・カリフ制国家の樹立を目指しています。2000年代に大規模なテロ事件を多く実行したものの、2009年の米国系ホテル連続爆弾テロ事件を最後に表立った活動は確認されていません。近年はインドネシア国内における政治経済活動を通じた資金獲得や組織強化を図っているとみられています。他方、近年もテロ計画の兆候が認められるとしてJIから多数の逮捕者が出ています。
(2)ジャマー・アンシャルット・ダウラ(JAD)
親ISIL組織であり、2015年頃から国内での活動が見られるようになりました。明確な組織構造や指揮命令系統を持たないグループとみられ、セルと呼ばれる各グループの連携は緩いとされています。テロ活動の形態は、インターネットやソーシャルメディアの情報を介して、過激思想に感化された者による単発的な犯行が目立つほか、女性・子供を含んだ自爆テロも散見されています。近年インドネシアで発生したテロ事件の多くはJAD関係者によって実行されています。
(3)東インドネシアのムジャヒディン(MIT)
 インドネシアでいち早くISILへの忠誠を誓った組織であり、中部スラウェシ州ポソ県郊外の山岳地帯に拠点を作り、治安部隊や地元住民を襲撃していました。近年、指名手配されていたMIT構成員が相次いで逮捕又は死亡し、2022年、警察当局はMITの殲滅を公表しましたが、中部スラウェシ州ポソには依然としてMIT支持者が一定数存在すると考えられています。

3 誘拐事件の発生状況
インドネシア国家警察によれば、2021年中に335件(被疑者328人、被害者308人)の誘拐事件が発生しています。地域別では、北スマトラ州警察本部管内が最も多く約12%、次いで東カリマンタン州警察本部管内が約10%、リアウ州警察本部管内とジャカルタ警視庁管内が約8%となっています。近年、日本人等の外国人を狙った誘拐事件の発生は特に確認されていません。

4 日本人・日本権益に対する脅威
(1)2005年10月にバリ島において発生した爆弾テロ事件により日本人1名を含む23名が死亡して以来、インドネシアにおいてテロによる日本人被害は確認されていません。
(2)しかしながら、2015年9月のISIL機関誌「ダービク(第11号)」において、インドネシアに所在する日本の外交使節が標的の例示として掲げられていることや、2016年1月のジャカルタにおけるテロ事件に関する犯行声明において「十字軍連合の参加国国民の一団」が標的とされていたことなどから、日本人や日本権益がテロの標的となる可能性も否定できません。
(3)また、単独犯によるローンウルフ型テロや、一般市民が多く集まるレストラン、ショッピングモール、公共交通機関等のソフトターゲットを標的としたテロが世界各地で頻発しており、こうしたテロの発生を未然に防ぐことは困難です。
(4)テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

テロについて

「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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