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インドネシア
テロ・誘拐情勢

更新日 2025年12月31日

1 概況
(1)近年のテロ情勢
 近年、警察本部・警察署等の警察施設や、キリスト教会等の宗教施設が標的とされる傾向にありますが、2016年1月のジャカルタ中心部におけるテロ事件に関する犯行声明においては、「十字軍連合の参加国国民の一団」が標的とされていたことから、同爆弾・銃撃テロ事件は外国人も標的とされた可能性があります。
(2)国内のテロ組織等について
インドネシアでは、2002年10月のバリ島爆弾テロ事件以降、首都ジャカルタ及びバリ島において大規模な自爆テロ事件が4年連続して発生したほか、2009年7月、ジャカルタ市内の米国系ホテル2か所において同時自爆テロ事件が発生し、多くの犠牲者を出しました。こうした2000年代に発生したテロ事件の多くは、親「アル・カーイダ」(AQ)系組織である「ジェマー・イスラミア」(JI)による、欧米権益を標的とした組織的・大規模なテロでした。
 2010年代に入り、シリアにおいて「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)の勢力が拡大すると、それに連動する形でインドネシア国内においても「ジャマー・アンシャルット・ダウラ」(JAD)等の親ISIL系勢力によるテロが発生するようになりました。具体的には、2016年1月にジャカルタ中心部のタムリン通りにおいて発生した、米国系カフェチェーン店等を標的とした自爆・銃撃テロ事件、2017年5月に東ジャカルタのバスターミナルにおいて発生した、警察官等を標的とした自爆テロ事件、2018年5月に東ジャワ州スラバヤ市において発生した、キリスト教会3か所及び警察署を標的とした連続自爆テロ事件を始め、大小様々なテロ事件が発生しました。
 治安当局によるテロ対策が強力に進められた結果、2022年12月に西ジャワ州バンドン市の警察署において発生した自爆テロ事件を最後として、2023年以降、インドネシア国内におけるテロ事件の発生はありませんが、警察は毎年、爆発物や手製武器等を準備して警察施設や教会等へのテロを計画していたとする容疑者を全国で複数逮捕しています。また、近年は、大規模なテロ組織による組織的なテロ攻撃が計画されるのではなく、インターネット等を通じてISILの思想に感化され過激化した小規模なグループ(セル)や個人によってテロ攻撃が計画される傾向があり、治安当局はこれらのセル・個人を「アンショール・ダウラ」(AD)と称して警戒しており、依然としてテロへの注意は必要です。
 中部パプア州や山岳パプア州を始めとするパプア地域では、同地域の分離独立を求める武装勢力と治安当局との衝突が散発的に発生しているところ、2023年2月、同武装勢力が山岳パプア州ンドゥガ県において、同地で運行する民間航空会社の外国人パイロットを拉致・人質とする事件が発生(その後2024年9月に解放)したほか、2024年8月には、同武装勢力が中部パプア州ミミカ県において別の民間外国人パイロットを射殺する事件が発生しました。
(3)近年の誘拐情勢
 日本人等の外国人を狙った誘拐事件の発生は近年特に確認されていませんが、大人も誘拐の被害者となっていることから、子供への注意はもちろんのこと、大人も一目で高価とわかるものを身につけない、人通りの少ない場所には近づかないなど、誘拐から身を守ることが重要です。

2 各組織の活動状況又は各地域の治安情勢
(1)「ジェマー・イスラミア」(JI)
 インドネシアを始めとする東南アジア地域において、イスラム国家、あるいはイスラム・カリフ制国家を樹立することを目指しており、2000年代には世界的なAQのテロに呼応して、インドネシア国内で大規模なテロ事件を多く実行し、2002年及び2005年のバリ島爆弾テロ事件においては邦人も犠牲となりました。警察により指導者らが逮捕されるなどした結果、2010年代以降は組織的なテロ攻撃の実行はみられず、インドネシア国内における政治・経済・教育活動等を通じた資金獲得やシンパ拡大等の組織強化を図っているとみられていましたが、治安当局による収監中の指導者らへの働きかけの結果、2024年6月、収監中の指導者らを含むJI最高幹部らが組織の解散を表明しました。以降、各地で解散式を行う、また隠匿武器を警察に提出するなどの動きがみられますが、一方、治安当局は最高幹部らによる解散決定を支持しない構成員らによる分派の出現やテロ攻撃を引き続き警戒しています。
(2)「ジャマー・アンシャルット・ダウラ」(JAD)
 親ISIL組織であり、2010年代中頃から活動がみられるようになりました。明確な組織構造や指揮命令系統を持たないグループとみられ、セルと呼ばれる各グループの連携は緩いとされています。女性・子供を巻き込んだ自爆テロも散見されており、近年インドネシアで発生したテロ事件の多くはJAD関係者によって実行されています。
(3)「アンショール・ダウラ」(AD)
 近年、治安当局は、インターネット上のプロパガンダ等を通じてISILの思想に感化され、過激化したセル・個人であるものの、JAD等の既存のテロ組織と同一のグループとは言えないものについて、「アンショール・ダウラ」(AD)と総称しています。近年インドネシアにおいては、既存のテロ組織との関わりを有しないものの、ソーシャルメディア等のインターネット上のプロパガンダを通じてISILの思想に共感し過激化したセル・個人によるテロの脅威が警戒されています。
(4)「東インドネシアのムジャヒディン」(MIT)
 インドネシアでいち早くISILへの忠誠を誓った組織であり、中部スラウェシ州ポソ県郊外の山岳地帯に拠点を作り、治安部隊やキリスト教徒である地元住民を襲撃するなどの過激なテロ攻撃を繰り返していました。2022年、警察はMITの壊滅を公表しましたが、2024年には逃亡中であったMIT構成員を警察が逮捕しており、引き続き中部スラウェシ州ポソを中心にMIT支持者が存在する可能性があります。

3 誘拐事件の発生状況
 インドネシア中央統計局の犯罪統計では、2023年に206件の誘拐事件、2024年に162件の誘拐事件が発生しています。インドネシア国家警察によれば、2025年1月~11月中旬までに221件の誘拐事件が発生し、そのうちの50件の被害者は20歳未満であり、82件の被害者は51歳以上でした。
誘拐の目的は身代金目的のほか、借金をめぐるトラブル等によるものが多く、日本人等の外国人を狙った誘拐事件の発生は近年特に確認されていませんが、上記のとおり大人も誘拐の被害者となっていることから、子供への注意はもちろんのこと、大人も一目で高価とわかるものを身につけない、人通りの少ない場所には近づかないなど、誘拐から身を守ることが重要です。
 また、前述のとおり、中部パプア州や山岳パプア州を始めとするパプア地域では、同地域の分離独立を求める武装勢力が、同地で活動する外国人パイロットを拉致・人質とする事件が発生しています。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 欧米人観光客等が多く集まるナイトクラブ等を標的とした2002年及び2005年のバリ島爆弾テロ事件においては邦人も犠牲となりました。
 2015年9月のISIL機関誌「ダービク(第11号)」において、インドネシアに所在する日本の外交使節が標的の例示として掲げられたことや、2016年1月のジャカルタにおけるテロ事件に関する犯行声明において、「十字軍連合の参加国国民の一団」が標的とされていたこと、また、2024年8月には、パプア地域において分離独立運動を行う武装勢力が、インターネット上で米国、中国、日本について、パプア地域の資源を「不当に搾取するもの」と称して攻撃対象として全パプア人に対する呼びかけを行ったことなどから、日本人や日本権益がテロの標的となる可能性も否定できません。
 近年は、世界的傾向として、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で不特定多数が集まる場所を標的としたテロが頻発しています。特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
 また、外国人を標的とした誘拐のリスクも排除されず、注意が必要です。
 テロ・誘拐はどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

テロについて

 「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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