危険情報
ベネズエラの危険情報【一部地域の危険レベル引き上げ・引き下げ】
更新日 2025年06月27日
危険レベル・ポイント
【危険レベル】
●スクレ州の一部地域(パリア半島全域)
レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)(引き上げ)
●スリア州のマラカイボ市及び同州東部地域を除く地域、タチラ州、ボリバル州の一部地域(州北東部の「アルコ・ミネロ」鉱業地帯及びブラジルとの国境地帯)、アプレ州の一部地域(コロンビアとの国境地帯)及びアマゾナス州の一部地域(コロンビアとの国境地帯及びブラジルとの国境地帯)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
●スリア州の一部地域(マラカイボ市及び同州東部地域)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(引き下げ)
●上記以外の地域
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
【ポイント】
●スクレ州の一部地域(パリア半島)は、犯罪組織の活動地域になっていると考えられており、犯罪に巻き込まれる危険性が高いため、危険レベルをレベル3に引き上げます。
●スリア州の一部地域(マラカイボ市及び同州東部地域)は、警察や軍の大量投入により治安リスクが低減し、犯罪発生件数が減少傾向にあります。また、デモの発生件数も減少しており、この約1年間、多数の死者を伴う激しいデモは発生していません。こうした状況から、危険レベルをレベル2に引き下げます。
●2024年7月、大統領選挙の結果をめぐって、首都をはじめ国内各地で抗議デモや暴動が発生し、多数の死傷者と逮捕者が出ました。多くの野党指導者が逮捕・亡命等となったため、その後、与野党対立は再び膠着状態となりましたが、政治的緊張は継続しています。
●政治対立、経済社会インフラの悪化、国内各地での深刻な燃料不足のほか、こうした状況を背景とする難民問題など、治安情勢に改善は見られませんので、引き続き情勢を注視する必要があります。
●スクレ州の一部地域(パリア半島全域)
レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)(引き上げ)
●スリア州のマラカイボ市及び同州東部地域を除く地域、タチラ州、ボリバル州の一部地域(州北東部の「アルコ・ミネロ」鉱業地帯及びブラジルとの国境地帯)、アプレ州の一部地域(コロンビアとの国境地帯)及びアマゾナス州の一部地域(コロンビアとの国境地帯及びブラジルとの国境地帯)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
●スリア州の一部地域(マラカイボ市及び同州東部地域)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(引き下げ)
●上記以外の地域
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
【ポイント】
●スクレ州の一部地域(パリア半島)は、犯罪組織の活動地域になっていると考えられており、犯罪に巻き込まれる危険性が高いため、危険レベルをレベル3に引き上げます。
●スリア州の一部地域(マラカイボ市及び同州東部地域)は、警察や軍の大量投入により治安リスクが低減し、犯罪発生件数が減少傾向にあります。また、デモの発生件数も減少しており、この約1年間、多数の死者を伴う激しいデモは発生していません。こうした状況から、危険レベルをレベル2に引き下げます。
●2024年7月、大統領選挙の結果をめぐって、首都をはじめ国内各地で抗議デモや暴動が発生し、多数の死傷者と逮捕者が出ました。多くの野党指導者が逮捕・亡命等となったため、その後、与野党対立は再び膠着状態となりましたが、政治的緊張は継続しています。
●政治対立、経済社会インフラの悪化、国内各地での深刻な燃料不足のほか、こうした状況を背景とする難民問題など、治安情勢に改善は見られませんので、引き続き情勢を注視する必要があります。
詳細
1 概況
(1)ベネズエラ社会情勢
ア ベネズエラのNGO「ベネズエラ社会紛争監視団」によれば、2024年にベネズエラ国内で発生したデモは5,226件であり、このうちの約半数は、主に政治的理由によるものとされています。また、同年7月28日に行われた大統領選挙の直後、900件以上の抗議デモや暴動が首都をはじめ国内各地で確認され、一連のデモや暴動を通じて28名の死者、2,000名を超える逮捕者が発生しました。多くの野党指導者が逮捕・亡命等となったため、その後、与野党対立は再び膠着状態となりましたが、政治的緊張は継続しています。
イ ベネズエラ国内の大学が実施した2024年ベネズエラ全国生活状況調査によれば、経済的貧困状況にある国民は全体の73.2%であり、うち36.5%が極度の貧困状況とされています。かつてのハイパーインフレーションは、2021年12月に終息が宣言されましたが、ベネズエラのNGO「ベネズエラ財務監視団」は、2025年1月現在のインフレ率を年率91.3%と報告するなど、依然として高いインフレが継続しています。また、停電、断水や水質問題が深刻であるほか、地方を中心にガソリンをはじめとする燃料不足が報告されています。国連によれば、こうした深刻化する状況を背景として、これまでに約790万人のベネズエラ人がより良い生活を求めてベネズエラを離れたとされています。
ウ 2019年4月、米国政府がベネズエラ中央銀行を金融制裁対象に指定したこと等から、金融機関/外貨送金サービスを通じたベネズエラへの外貨送金は事実上不可能となっています。このため、ベネズエラにおいて疾病・怪我・盗難等の被害が発生した場合、日本からの送金を得ることが極めて困難になっています。また、国内で現地通貨を入手しようとする場合、インフレの進行やそれに伴う紙幣の流通不足等から、外貨からの両替は非常に少額しかできません。一方で、近年は、経済の事実上のドル化が進み、ドル現金やクレジットカード等の利用が可能な場所が増えています。
(2)治安情勢
ア ベネズエラの犯罪発生件数は減少傾向にあるものの、依然として、殺人、強盗、誘拐等の凶悪犯罪の発生数は高い水準で推移しています。
(全国の犯罪件数の推移)
2020年 96,639件(カラカス首都区:17,421件)
2021年 94,012件(カラカス首都区:19,815件)
2022年 97,758件(カラカス首都区:22,203件)
2023年 89,675件(カラカス首都区:22,905件)
2024年 80,582件(カラカス首都区:22,154件)
イ カラカス首都区(リベルタドール市(セントロ地区、パライソ地区、ラ・バンデラ地区、1月23日地区等)及びスクレ市ペタレ地区)等の大規模なスラム街がある場所では、けん銃を使用した凶悪事件が発生しており、その大半は犯罪集団同士の抗争や、治安当局との銃撃戦であるものの、一般市民を対象とした事件も発生していることから、これらの地区には近付かないでください。
ウ ベネズエラでは、誘拐された場合に親族等が警察に届出をすることなく、独自の判断で身代金を支払うことは違法ですが、警察官が誘拐犯と共謀している場合が多いとされていることから、市民の多くは被害者の生命を優先して被害届を提出しません。そのため2024年の誘拐事件認知件数は統計上12件のみですが、実際の件数は認知件数を大幅に超えるとみられます。
ベネズエラでは、身代金目的の誘拐、被害者を拉致して金品等を奪った後に即解放する短時間誘拐も発生しています。また、バイクを利用したひったくりや、けん銃やナイフを用いた強盗事件が繁華街でも発生しています。このほか、マッチングアプリやSNSで被害者を騙して呼び出し、強盗や誘拐するといった事案も発生しています。
誘拐の被害を未然に防ぐため、「目立たない」、「用心を怠らない」、「行動を予知されない」の安全のための三原則を念頭に、日常における予防を忘れないでください。通勤時間や経路を常に変更する、外出や帰宅時に、周囲に不審者や不審車両が見当たらないかチェックする等の対策が必要です。万一拘束された場合には、犯人の指示に従い、むやみに抵抗しないことが肝要です(。 誘拐対策の詳細は「海外における脅迫・誘拐対策Q&A」( https://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_04.html )をご参照ください。)。
エ コロンビア及びブラジルとの国境地帯(スリア州、タチラ州、アプレ州、アマゾナス州、ボリバル州)では、ベネズエラの過激派組織であるボリバル解放戦線(FBL)やコロンビアの過激派組織である国民解放軍(ELN)、コロンビア革命軍(FARC)の残党及びこれらの組織から離脱した者を含む不特定多数の一般凶悪犯罪者グループ等の拠点や活動が確認されており、身代金目的の誘拐事件、麻薬関連犯罪が発生しています。また、これら過激派組織と治安当局による銃撃戦も発生しています。
ボリバル州北東部のオリノコ川南側に広がる「アルコ・ミネロ」鉱業地帯では、金やダイヤモンド、コルタン等の違法採掘が行われており、その利権をめぐる非合法組織間の抗争や、治安当局との衝突が頻発しています。
2 地域別情勢
(1)スクレ州の一部地域(パリア半島全域)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(引き上げ)
ア スクレ州の西側には、富裕層のリゾート地や観光地があり、この地域を中心に警察や軍が治安部隊を集中させて警戒を強化しています。
イ 一方、ベネズエラ捜査機関の発表によれば、コロンビアからカリブ海を通りスクレ州への密輸ルートが形成されており、このルートからさらに、隣国のトリニダード・トバゴやカリブ海の諸島へ運ばれるルートが確認されています。
ウ スクレ州は東西に長い地形をしており、州東側に伸びるパリア半島は、わずか数十キロの海峡で隔てられたトリニダード・トバゴに人身売買や薬物及び銃器密売を行う犯罪者集団が活動していると言われている地域です。2025年に入ってからも、バルデス市において、国軍が薬物密売グループの拠点と思われる場所を摘発しており、同州東側はこうした犯罪組織の活動地域になっていると考えられ、犯罪に巻き込まれる危険性があります。
上記を踏まえ、スクレ州の一部地域(パリア半島全域)の危険レベルをレベル3に引き上げます。つきましては、この地域への渡航は、どのような目的であれ止めてください。既に滞在している方は、今後のベネズエラの治安情勢等を踏まえ、国外又は他の地域に退避することも考慮してください。
(2)スリア州のマラカイボ市及び同州東部地域を除く地域、タチラ州、ボリバル州の一部地域(州北東部の「アルコ・ミネロ」鉱業地帯及びブラジルとの国境地帯)、アプレ州の一部地域(コロンビアとの国境地帯)及びアマゾナス州の一部地域(コロンビアとの国境地帯及びブラジルとの国境地帯)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
ア コロンビア及びブラジルとの国境地帯(スリア州、タチラ州、アプレ州、アマゾナス州、ボリバル州)では、ベネズエラの過激派組織であるボリバル解放戦線(FBL)や、コロンビアの過激派組織である国民解放軍(ELN)、コロンビア革命軍(FARC)の残党及びこれらの組織から離脱した者を含む不特定多数の凶悪犯罪者グループ等のアジトや活動が確認されています。これら過激派組織の主な活動は、嘱託殺人、誘拐、麻薬、食料品密輸です。ゲリラとしての活動自体は、最近は衰えていると言われているものの、方針に従わない末端グループやゲリラの手口を模倣した一般犯罪者グループによる誘拐も発生しています。
コロンビアとの国境地帯における誘拐事件は、誘拐事件の多くは被害届が提出されないため、統計上はほとんど現れませんが、表に出ない誘拐事件が多数発生しているとされています。ベネズエラ当局から「ゲリラ組織」と位置付けられているFARC分派及びFBLは、スリア州、タチラ州、アプレ州、アマソナス州の山中にも拠点を形成し活動しています。
2022年のコロンビアにおける政権交代を受けて、ベネズエラ・コロンビア間の国交は正常化され、2023年1月からは国境橋を通じた往来が徐々に再開されています。しかし、2025年1月にコロンビアのカタトゥンボ地方で発生した武装組織間の紛争に伴い、コロンビア側からの避難民の流入が確認されているほか、同年2月には、コロンビア側の国境沿いにあるククタ市で車両爆弾を使用した破壊行為が発生するなど、不安定な情勢が続いています。
イ ボリバル州北東部のオリノコ川から幹線10号線を中心に南に向かって広がる地域では、金やダイヤモンド、コルタン、ボーキサイト、鉄等の豊かな鉱床が広がっており、政府は2016年2月に同地域を「アルコ・ミネロ・デル・オリノコ(Arco Minero del Orinoco)」戦略的開発地区に指定しました。他方、同地域においては、コロンビア・ゲリラや、シンディカトス、トレン・デ・グジャナ等の非合法組織の存在が確認されており、一部実効支配を行っていると見られています。また、特に金の採掘をめぐり、非合法組織の抗争や、治安当局との衝突が絶えず発生しています。国連によれば2014年以降800名以上の暴力的殺人があったほか、人身取引、強制失踪、強制労働等の被害が報告されています。また、ブラジルとの国境は、2022年2月に再開されましたが、同国境地帯においては、2019年2月、人道支援物資のベネズエラ国内への搬入をめぐり軍と地域住民の衝突が発生したほか、人身取引、密輸等が継続しているとみられています。上記情勢に鑑み、「アルコ・ミネロ」鉱業地帯及びブラジルとの国境地帯では、突発的な事件に遭遇したり、巻き込まれたりする危険があります。
ウ アプレ州においては、コロンビア国境沿いの地域を中心に、2021年3月下旬以降、国軍によるゲリラ掃討作戦が実施され、双方に死傷者が発生し、地域の住民が退避する事態が発生しました。現在、同地域において国軍とゲリラとの大きな衝突は確認されていませんが、国境を接する場所であり、不測の事態に備え最新の情報の入手に留意してください。
つきましては、これらの地域への渡航は、どのような目的であれ止めてください。既に滞在している方は、今後のベネズエラの治安情勢等を踏まえ、国外又は他の地域に退避することも考慮してください。
(3)スリア州の一部地域(マラカイボ市及び同州東部地域)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(引き下げ)
ア スリア州でコロンビアと国境を接する地域と、ベネズエラ最大の湖であるマラカイボ湖の南に広がる「スル・デル・ラーゴ」と呼ばれる森林・農園地帯はゲリラ組織の活動範囲と見られており、2025年に入ってからも5,000人規模の軍による治安活動が展開され、武力衝突が散発的に発生しています。衝突に巻き込まれる危険性があることから、これら地域には立ち入らないでください。
イ 一方、同州都のマラカイボを中心とした一部地域については、警察や軍の大量投入により治安リスクが低減し、犯罪発生件数は減少傾向にあります。また、デモも減少傾向であり、この約1年間、多数の死者を伴う激しいデモは発生していません。
上記を踏まえ、マラカイボ市及び同州東部地域の危険レベルをレベル2に引き下げます。ただし、不要不急の渡航は止めてください。渡航・滞在する場合には、最新の治安情勢について情報収集に努めるとともに特別な注意を払い、不足の事態に巻き込まれないよう十分注意してください。
(4)その他の地域
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
ア ベネズエラ全土で一般犯罪、抗議活動は減少傾向にありますが、殺人、強盗、誘拐等の凶悪犯罪の発生数は高い水準で推移しています。多くの犯罪で銃器が使用され、現職警察官や元警察官が関与した犯罪も報告されているため、注意が必要です。また、ホテル等の防犯対策が手薄である場合が多いので、利用にあたっては防犯対策が十分であるかどうかも含め、留意してください。
イ また、高いインフレ率をはじめとする経済危機、電気・水道・ガス・公共交通手段等の社会インフラの悪化、国際便の選択肢の制約、外貨送金の制約など、事態の改善はみられません。
ウ ベネズエラの玄関口であるマイケティア国際空港でも犯罪が発生しています。トランジットエリア内でも、置き引き等の窃盗事件が発生しています。現在、入国管理業務を担う国家警備軍(GNB)の兵士による空港利用客に対する恐喝や、飛行機への預け荷物を開封する窃盗なども発生しているとの報告があります。
2015年10月、日系企業の出張者が、同空港の駐車場において、軍服を着て小銃を所持した軍人と思われる男2人組から、けん銃で威嚇され現金を恐喝されました。また、2017年8月、マイケティア国際空港の国内線ターミナル内において、私怨による犯行と思われる発砲により死傷者が出ました。
空港への往来で使用する高速道路では、強制的に車両を停止させて金品を強奪する事件や誘拐事件が発生しています。このため、同空港の早朝及び深夜発着便の利用は避け、日中に発着する便を利用するようにしてください。
エ カラカス首都区(リベルタドール市)は、統計によれば、殺人事件が多く発生している地区です。同区に近付くことは昼間も含めて危険です。大統領府周辺のカティア地区及び1月23日地区は、コレクティーボの根拠地とされており、コレクティーボによる自警団が結成されているため、警察等の治安機関も立ち入ることができない状態です。また、これらの地域では、強盗、誘拐が頻繁に発生しているほか、麻薬等の売買、コレクティーボ同士による銃撃戦、国家警察特殊部隊による犯罪集団や反政府支持者の取締りを名目とした過度な取締りが行われるため、カラカス首都区の中で最も治安の悪い地域となっています。
中小の露天商が多いサバナ・グランデ地区では、強盗、スリ、置き引き等の被害が発生しています。治安当局は、警察官の詰め所(テント)を設け、警察官を常駐させるなどして治安維持に当たっていますが、治安の改善は見られません。
バンデラ地区には大型バスターミナルがあり、隣国のブラジル、コロンビア及びベネズエラ国内の観光地エンジェル・フォールへの中継地シウダ・ボリーバル市に向かう長距離バスが発着しています。人通りも多い場所ですが、周辺で犯罪が発生することもあり、特に夜間の利用は危険です。同バスターミナルから主要地へ向かうバスは主に夜間から深夜の間に発着する上、途中の道路に置き石等をして強制的にバスを停車させ、武器を突き付けて乗客の所持する金品を強奪する手口が確認されていることから、これら長距離バスの利用は極力控え、航空機を利用することをお勧めします。
オ カラカス首都区にあるミランダ州スクレ市ペタレ地区には、カラカス首都圏最大のスラム街が広がっており、殺人、強盗、誘拐等の凶悪事件が日常的に発生するなど非常に危険な地域です。同地区は、警察でも数十人規模の部隊を編成しなければ危険で立ち入れない場所です。また、公道上で昼夜問わず発生するひったくり、置き引き、スリ等の犯罪件数は依然として高水準で推移しています。ペタレ地区以外のスクレ市においても、同様に殺人、強盗、誘拐などの凶悪犯罪等が発生しています。2025年1月、ペタレ地区を活動拠点としていたギャングのリーダーが、警察との銃撃戦の末に射殺されました。こうした治安当局と犯罪者集団の衝突は、突然に発生します。
つきましては、これら地域への不要不急の渡航は止めてください。やむを得ず渡航する場合には特別な注意を払うとともに十分な安全対策をとってください。
3 滞在に当たっての注意
滞在中は、以下の事項に十分留意して行動し、危険を避けるようにしてください。また、急激な事態の悪化や、退避勧告を行う可能性もありますので、報道、在ベネズエラ日本国大使館及び現地関係機関等から最新の情報を入手するよう努めてください。なお、犯罪の手口及び安全対策の詳細については、安全対策基礎データ(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_260.html)を参照してください。
(1)滞在者全般向けの注意事項
ア デモや集会が行われている場所では、反政府勢力や治安当局等との衝突に巻き込まれる可能性がありますので、絶対に近づかないようにしてください。
イ 危険を察知した場合(交通事故、火災、救急、災害を含む)には、電話番号「911」(警察署・消防署)に通報してください。
ウ 殺人事件等凶悪犯罪の発生している「バリオ」と呼ばれる低所得者層の居住地区(主に山の斜面、川沿いに所在し、煉瓦造りの住宅が密集している地域)にはいかなる理由があっても絶対に近寄らないでください。
エ 車での移動に際しては、防弾車の使用や民間警護員の帯同などの措置を取る等の入念な準備と行動をとってください。防弾車の手配等が困難な場合には、自らの移動範囲を制限し、夜間の外出を行わない等の追加的な措置を講じてください。
オ スマートフォンを狙ったけん銃使用強盗事件が増えており、制服を着た警察官、軍人が犯行を行う事例も増加傾向にあると言われています。万一、強盗事件に遭遇した場合には、犯人はけん銃を所持しているものと考え、身の安全を第一に考え、絶対に抵抗しないでください。また、財布を取り出そうとして慌ててポケットに手を入れると、けん銃等を取り出そうとしていると犯人に勘違いされ、発砲される可能性が高まるので、静かに両手を挙げるなどして、犯人を刺激するような行動やしぐさは絶対にしないでください。
カ 爆弾事件に巻き込まれないために、不審物及びゴミ集積所には近付かないでください。また、パイプやペットボトル等にガムテープ、リード線、電池、時計、導火線等が付いていたら注意し、車両に乗り込む際は車両の下部等周辺に不審物がないか確認する等安全確保に注意を払うように心掛けてください(詳細は海外安全ホームページ資料:https://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_03.html を参照してください。)。
キ ベネズエラの関係当局が随時発表する主要な政治日程のほか、以下の各記念日、祝日等には、大規模なデモ行進や集会等が開催される可能性がありますので、こうした日程にも留意し、反政府デモの激化等の不測の事態に巻き込まれないよう十分注意してください。
○ 1月23日(ペレス・ヒメネス独裁政権崩壊)
○ 2月 4日(1992年のクーデター未遂記念日)
○ 2月12日(青年の日)
○ 2月27日(1989年のカラカス暴動記念日)
○ 3月 5日(2013年チャベス大統領死去)
○ 4月11日(2002年の政変)
○ 4月19日(独立宣言記念日)
○ 5月 1日(メーデー)
○ 6月24日(カラボボ戦勝記念日)
○ 7月 5日(独立記念日)
○ 7月24日(シモン・ボリバル生誕記念日)
○ 10月12日(先住民抵抗の日)
○ 12月 8日(チャベス大統領に忠誠を誓う日)
○ 12月17日(シモン・ボリバルの命日)等
ク タクシーやバイクタクシーの運転手によるけん銃等の銃器を使用した強盗事件が発生しています。マイケティア国際空港等の各空港でもタクシー運転手による強盗事件も発生しています。運転手が道を尋ねるふりをして近づき、武器で脅迫し金品を強奪する場合もあります。流しや客待ちのタクシーの利用は絶対に避けてください。電話予約や配車アプリでタクシーが確保できない場合も多いので、交通手段が必要な場合には、前もって親族や信頼できる知人等に送迎を依頼する等の方法を検討してください。
ケ 全犯罪事件の約80%が公道上で発生しています。車両を運転する際は、窓を閉め、ドアをロックして、後方や周囲の状況に絶えず注意してください。また、外部から車内の様子が見えないよう、濃色のウインドウ・フィルムを貼付する等してください。なお、けん銃を使用した犯罪が多いため、可能な限り防弾車等を利用してください。また、買い物や食事等のために駐車する際には、警備員の常駐している駐車場を利用するようにしてください。なお、警備員が犯罪者と共謀し、犯罪者の待ち構える駐車スペースに誘導するケースもあるため、警備員を過信せず、人目があり、防犯カメラの近くにある駐車場を選ぶようにしてください。
コ これまでに、ベネズエラにおいてテロによる日本人の被害は確認されていませんが、テロによる日本人の被害は、シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアを始めとする世界中で発生しており、これまでもチュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
近年は、世界的傾向として、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で不特定多数が集まる場所を標的としたテロが頻発しています。特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。
ベネズエラの「テロ・誘拐情勢」(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_260.html )も、併せてご確認ください。
(2)在留届、「たびレジ」の登録
海外渡航の際には万一に備え、家族や友人、職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
ベネズエラに3か月以上滞在される方は、在ベネズエラ日本国大使館が緊急時の連絡先を確認できるよう、必ず「在留届」を提出してください。
3か月未満の旅行や出張などの際には、渡航先の最新の安全情報や、緊急時に在ベネズエラ日本国大使館の連絡を受け取ることができるよう、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。
(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/index.html )
4 隣国のコロンビア、ブラジル、ガイアナについてもそれぞれ「危険情報」が発出されていますので、併せて確認してください。
(連絡先)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省内関係課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)(内線)9926
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047
○海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC・スマートフォン版)
http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.html (フィーチャーフォン版)
(現地大使館連絡先)
○在ベネズエラ日本国大使館
住所:Torre Digitel Piso9, Av.Eugenio Mendoza con Esquina Calle Miranda, La Castellana, Municipio Chacao, Estado Miranda, Vezezuela(Apartomento No.68790, Altamira, Caracas 1062-A, Venezuela)
(Apartomento No.68790, Altamira, Caracas 1062-A, Venezuela)
電話:(市外局番 0212)262-3435
国外からは(国別番号58)212-262-3435
FAX :(市外局番0212)262-3484
国外からは(国別番号58)212-262-3484
ホームページ:https://www.ve.emb-japan.go.jp/
(1)ベネズエラ社会情勢
ア ベネズエラのNGO「ベネズエラ社会紛争監視団」によれば、2024年にベネズエラ国内で発生したデモは5,226件であり、このうちの約半数は、主に政治的理由によるものとされています。また、同年7月28日に行われた大統領選挙の直後、900件以上の抗議デモや暴動が首都をはじめ国内各地で確認され、一連のデモや暴動を通じて28名の死者、2,000名を超える逮捕者が発生しました。多くの野党指導者が逮捕・亡命等となったため、その後、与野党対立は再び膠着状態となりましたが、政治的緊張は継続しています。
イ ベネズエラ国内の大学が実施した2024年ベネズエラ全国生活状況調査によれば、経済的貧困状況にある国民は全体の73.2%であり、うち36.5%が極度の貧困状況とされています。かつてのハイパーインフレーションは、2021年12月に終息が宣言されましたが、ベネズエラのNGO「ベネズエラ財務監視団」は、2025年1月現在のインフレ率を年率91.3%と報告するなど、依然として高いインフレが継続しています。また、停電、断水や水質問題が深刻であるほか、地方を中心にガソリンをはじめとする燃料不足が報告されています。国連によれば、こうした深刻化する状況を背景として、これまでに約790万人のベネズエラ人がより良い生活を求めてベネズエラを離れたとされています。
ウ 2019年4月、米国政府がベネズエラ中央銀行を金融制裁対象に指定したこと等から、金融機関/外貨送金サービスを通じたベネズエラへの外貨送金は事実上不可能となっています。このため、ベネズエラにおいて疾病・怪我・盗難等の被害が発生した場合、日本からの送金を得ることが極めて困難になっています。また、国内で現地通貨を入手しようとする場合、インフレの進行やそれに伴う紙幣の流通不足等から、外貨からの両替は非常に少額しかできません。一方で、近年は、経済の事実上のドル化が進み、ドル現金やクレジットカード等の利用が可能な場所が増えています。
(2)治安情勢
ア ベネズエラの犯罪発生件数は減少傾向にあるものの、依然として、殺人、強盗、誘拐等の凶悪犯罪の発生数は高い水準で推移しています。
(全国の犯罪件数の推移)
2020年 96,639件(カラカス首都区:17,421件)
2021年 94,012件(カラカス首都区:19,815件)
2022年 97,758件(カラカス首都区:22,203件)
2023年 89,675件(カラカス首都区:22,905件)
2024年 80,582件(カラカス首都区:22,154件)
イ カラカス首都区(リベルタドール市(セントロ地区、パライソ地区、ラ・バンデラ地区、1月23日地区等)及びスクレ市ペタレ地区)等の大規模なスラム街がある場所では、けん銃を使用した凶悪事件が発生しており、その大半は犯罪集団同士の抗争や、治安当局との銃撃戦であるものの、一般市民を対象とした事件も発生していることから、これらの地区には近付かないでください。
ウ ベネズエラでは、誘拐された場合に親族等が警察に届出をすることなく、独自の判断で身代金を支払うことは違法ですが、警察官が誘拐犯と共謀している場合が多いとされていることから、市民の多くは被害者の生命を優先して被害届を提出しません。そのため2024年の誘拐事件認知件数は統計上12件のみですが、実際の件数は認知件数を大幅に超えるとみられます。
ベネズエラでは、身代金目的の誘拐、被害者を拉致して金品等を奪った後に即解放する短時間誘拐も発生しています。また、バイクを利用したひったくりや、けん銃やナイフを用いた強盗事件が繁華街でも発生しています。このほか、マッチングアプリやSNSで被害者を騙して呼び出し、強盗や誘拐するといった事案も発生しています。
誘拐の被害を未然に防ぐため、「目立たない」、「用心を怠らない」、「行動を予知されない」の安全のための三原則を念頭に、日常における予防を忘れないでください。通勤時間や経路を常に変更する、外出や帰宅時に、周囲に不審者や不審車両が見当たらないかチェックする等の対策が必要です。万一拘束された場合には、犯人の指示に従い、むやみに抵抗しないことが肝要です(。 誘拐対策の詳細は「海外における脅迫・誘拐対策Q&A」( https://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_04.html )をご参照ください。)。
エ コロンビア及びブラジルとの国境地帯(スリア州、タチラ州、アプレ州、アマゾナス州、ボリバル州)では、ベネズエラの過激派組織であるボリバル解放戦線(FBL)やコロンビアの過激派組織である国民解放軍(ELN)、コロンビア革命軍(FARC)の残党及びこれらの組織から離脱した者を含む不特定多数の一般凶悪犯罪者グループ等の拠点や活動が確認されており、身代金目的の誘拐事件、麻薬関連犯罪が発生しています。また、これら過激派組織と治安当局による銃撃戦も発生しています。
ボリバル州北東部のオリノコ川南側に広がる「アルコ・ミネロ」鉱業地帯では、金やダイヤモンド、コルタン等の違法採掘が行われており、その利権をめぐる非合法組織間の抗争や、治安当局との衝突が頻発しています。
2 地域別情勢
(1)スクレ州の一部地域(パリア半島全域)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(引き上げ)
ア スクレ州の西側には、富裕層のリゾート地や観光地があり、この地域を中心に警察や軍が治安部隊を集中させて警戒を強化しています。
イ 一方、ベネズエラ捜査機関の発表によれば、コロンビアからカリブ海を通りスクレ州への密輸ルートが形成されており、このルートからさらに、隣国のトリニダード・トバゴやカリブ海の諸島へ運ばれるルートが確認されています。
ウ スクレ州は東西に長い地形をしており、州東側に伸びるパリア半島は、わずか数十キロの海峡で隔てられたトリニダード・トバゴに人身売買や薬物及び銃器密売を行う犯罪者集団が活動していると言われている地域です。2025年に入ってからも、バルデス市において、国軍が薬物密売グループの拠点と思われる場所を摘発しており、同州東側はこうした犯罪組織の活動地域になっていると考えられ、犯罪に巻き込まれる危険性があります。
上記を踏まえ、スクレ州の一部地域(パリア半島全域)の危険レベルをレベル3に引き上げます。つきましては、この地域への渡航は、どのような目的であれ止めてください。既に滞在している方は、今後のベネズエラの治安情勢等を踏まえ、国外又は他の地域に退避することも考慮してください。
(2)スリア州のマラカイボ市及び同州東部地域を除く地域、タチラ州、ボリバル州の一部地域(州北東部の「アルコ・ミネロ」鉱業地帯及びブラジルとの国境地帯)、アプレ州の一部地域(コロンビアとの国境地帯)及びアマゾナス州の一部地域(コロンビアとの国境地帯及びブラジルとの国境地帯)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
ア コロンビア及びブラジルとの国境地帯(スリア州、タチラ州、アプレ州、アマゾナス州、ボリバル州)では、ベネズエラの過激派組織であるボリバル解放戦線(FBL)や、コロンビアの過激派組織である国民解放軍(ELN)、コロンビア革命軍(FARC)の残党及びこれらの組織から離脱した者を含む不特定多数の凶悪犯罪者グループ等のアジトや活動が確認されています。これら過激派組織の主な活動は、嘱託殺人、誘拐、麻薬、食料品密輸です。ゲリラとしての活動自体は、最近は衰えていると言われているものの、方針に従わない末端グループやゲリラの手口を模倣した一般犯罪者グループによる誘拐も発生しています。
コロンビアとの国境地帯における誘拐事件は、誘拐事件の多くは被害届が提出されないため、統計上はほとんど現れませんが、表に出ない誘拐事件が多数発生しているとされています。ベネズエラ当局から「ゲリラ組織」と位置付けられているFARC分派及びFBLは、スリア州、タチラ州、アプレ州、アマソナス州の山中にも拠点を形成し活動しています。
2022年のコロンビアにおける政権交代を受けて、ベネズエラ・コロンビア間の国交は正常化され、2023年1月からは国境橋を通じた往来が徐々に再開されています。しかし、2025年1月にコロンビアのカタトゥンボ地方で発生した武装組織間の紛争に伴い、コロンビア側からの避難民の流入が確認されているほか、同年2月には、コロンビア側の国境沿いにあるククタ市で車両爆弾を使用した破壊行為が発生するなど、不安定な情勢が続いています。
イ ボリバル州北東部のオリノコ川から幹線10号線を中心に南に向かって広がる地域では、金やダイヤモンド、コルタン、ボーキサイト、鉄等の豊かな鉱床が広がっており、政府は2016年2月に同地域を「アルコ・ミネロ・デル・オリノコ(Arco Minero del Orinoco)」戦略的開発地区に指定しました。他方、同地域においては、コロンビア・ゲリラや、シンディカトス、トレン・デ・グジャナ等の非合法組織の存在が確認されており、一部実効支配を行っていると見られています。また、特に金の採掘をめぐり、非合法組織の抗争や、治安当局との衝突が絶えず発生しています。国連によれば2014年以降800名以上の暴力的殺人があったほか、人身取引、強制失踪、強制労働等の被害が報告されています。また、ブラジルとの国境は、2022年2月に再開されましたが、同国境地帯においては、2019年2月、人道支援物資のベネズエラ国内への搬入をめぐり軍と地域住民の衝突が発生したほか、人身取引、密輸等が継続しているとみられています。上記情勢に鑑み、「アルコ・ミネロ」鉱業地帯及びブラジルとの国境地帯では、突発的な事件に遭遇したり、巻き込まれたりする危険があります。
ウ アプレ州においては、コロンビア国境沿いの地域を中心に、2021年3月下旬以降、国軍によるゲリラ掃討作戦が実施され、双方に死傷者が発生し、地域の住民が退避する事態が発生しました。現在、同地域において国軍とゲリラとの大きな衝突は確認されていませんが、国境を接する場所であり、不測の事態に備え最新の情報の入手に留意してください。
つきましては、これらの地域への渡航は、どのような目的であれ止めてください。既に滞在している方は、今後のベネズエラの治安情勢等を踏まえ、国外又は他の地域に退避することも考慮してください。
(3)スリア州の一部地域(マラカイボ市及び同州東部地域)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(引き下げ)
ア スリア州でコロンビアと国境を接する地域と、ベネズエラ最大の湖であるマラカイボ湖の南に広がる「スル・デル・ラーゴ」と呼ばれる森林・農園地帯はゲリラ組織の活動範囲と見られており、2025年に入ってからも5,000人規模の軍による治安活動が展開され、武力衝突が散発的に発生しています。衝突に巻き込まれる危険性があることから、これら地域には立ち入らないでください。
イ 一方、同州都のマラカイボを中心とした一部地域については、警察や軍の大量投入により治安リスクが低減し、犯罪発生件数は減少傾向にあります。また、デモも減少傾向であり、この約1年間、多数の死者を伴う激しいデモは発生していません。
上記を踏まえ、マラカイボ市及び同州東部地域の危険レベルをレベル2に引き下げます。ただし、不要不急の渡航は止めてください。渡航・滞在する場合には、最新の治安情勢について情報収集に努めるとともに特別な注意を払い、不足の事態に巻き込まれないよう十分注意してください。
(4)その他の地域
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
ア ベネズエラ全土で一般犯罪、抗議活動は減少傾向にありますが、殺人、強盗、誘拐等の凶悪犯罪の発生数は高い水準で推移しています。多くの犯罪で銃器が使用され、現職警察官や元警察官が関与した犯罪も報告されているため、注意が必要です。また、ホテル等の防犯対策が手薄である場合が多いので、利用にあたっては防犯対策が十分であるかどうかも含め、留意してください。
イ また、高いインフレ率をはじめとする経済危機、電気・水道・ガス・公共交通手段等の社会インフラの悪化、国際便の選択肢の制約、外貨送金の制約など、事態の改善はみられません。
ウ ベネズエラの玄関口であるマイケティア国際空港でも犯罪が発生しています。トランジットエリア内でも、置き引き等の窃盗事件が発生しています。現在、入国管理業務を担う国家警備軍(GNB)の兵士による空港利用客に対する恐喝や、飛行機への預け荷物を開封する窃盗なども発生しているとの報告があります。
2015年10月、日系企業の出張者が、同空港の駐車場において、軍服を着て小銃を所持した軍人と思われる男2人組から、けん銃で威嚇され現金を恐喝されました。また、2017年8月、マイケティア国際空港の国内線ターミナル内において、私怨による犯行と思われる発砲により死傷者が出ました。
空港への往来で使用する高速道路では、強制的に車両を停止させて金品を強奪する事件や誘拐事件が発生しています。このため、同空港の早朝及び深夜発着便の利用は避け、日中に発着する便を利用するようにしてください。
エ カラカス首都区(リベルタドール市)は、統計によれば、殺人事件が多く発生している地区です。同区に近付くことは昼間も含めて危険です。大統領府周辺のカティア地区及び1月23日地区は、コレクティーボの根拠地とされており、コレクティーボによる自警団が結成されているため、警察等の治安機関も立ち入ることができない状態です。また、これらの地域では、強盗、誘拐が頻繁に発生しているほか、麻薬等の売買、コレクティーボ同士による銃撃戦、国家警察特殊部隊による犯罪集団や反政府支持者の取締りを名目とした過度な取締りが行われるため、カラカス首都区の中で最も治安の悪い地域となっています。
中小の露天商が多いサバナ・グランデ地区では、強盗、スリ、置き引き等の被害が発生しています。治安当局は、警察官の詰め所(テント)を設け、警察官を常駐させるなどして治安維持に当たっていますが、治安の改善は見られません。
バンデラ地区には大型バスターミナルがあり、隣国のブラジル、コロンビア及びベネズエラ国内の観光地エンジェル・フォールへの中継地シウダ・ボリーバル市に向かう長距離バスが発着しています。人通りも多い場所ですが、周辺で犯罪が発生することもあり、特に夜間の利用は危険です。同バスターミナルから主要地へ向かうバスは主に夜間から深夜の間に発着する上、途中の道路に置き石等をして強制的にバスを停車させ、武器を突き付けて乗客の所持する金品を強奪する手口が確認されていることから、これら長距離バスの利用は極力控え、航空機を利用することをお勧めします。
オ カラカス首都区にあるミランダ州スクレ市ペタレ地区には、カラカス首都圏最大のスラム街が広がっており、殺人、強盗、誘拐等の凶悪事件が日常的に発生するなど非常に危険な地域です。同地区は、警察でも数十人規模の部隊を編成しなければ危険で立ち入れない場所です。また、公道上で昼夜問わず発生するひったくり、置き引き、スリ等の犯罪件数は依然として高水準で推移しています。ペタレ地区以外のスクレ市においても、同様に殺人、強盗、誘拐などの凶悪犯罪等が発生しています。2025年1月、ペタレ地区を活動拠点としていたギャングのリーダーが、警察との銃撃戦の末に射殺されました。こうした治安当局と犯罪者集団の衝突は、突然に発生します。
つきましては、これら地域への不要不急の渡航は止めてください。やむを得ず渡航する場合には特別な注意を払うとともに十分な安全対策をとってください。
3 滞在に当たっての注意
滞在中は、以下の事項に十分留意して行動し、危険を避けるようにしてください。また、急激な事態の悪化や、退避勧告を行う可能性もありますので、報道、在ベネズエラ日本国大使館及び現地関係機関等から最新の情報を入手するよう努めてください。なお、犯罪の手口及び安全対策の詳細については、安全対策基礎データ(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_260.html)を参照してください。
(1)滞在者全般向けの注意事項
ア デモや集会が行われている場所では、反政府勢力や治安当局等との衝突に巻き込まれる可能性がありますので、絶対に近づかないようにしてください。
イ 危険を察知した場合(交通事故、火災、救急、災害を含む)には、電話番号「911」(警察署・消防署)に通報してください。
ウ 殺人事件等凶悪犯罪の発生している「バリオ」と呼ばれる低所得者層の居住地区(主に山の斜面、川沿いに所在し、煉瓦造りの住宅が密集している地域)にはいかなる理由があっても絶対に近寄らないでください。
エ 車での移動に際しては、防弾車の使用や民間警護員の帯同などの措置を取る等の入念な準備と行動をとってください。防弾車の手配等が困難な場合には、自らの移動範囲を制限し、夜間の外出を行わない等の追加的な措置を講じてください。
オ スマートフォンを狙ったけん銃使用強盗事件が増えており、制服を着た警察官、軍人が犯行を行う事例も増加傾向にあると言われています。万一、強盗事件に遭遇した場合には、犯人はけん銃を所持しているものと考え、身の安全を第一に考え、絶対に抵抗しないでください。また、財布を取り出そうとして慌ててポケットに手を入れると、けん銃等を取り出そうとしていると犯人に勘違いされ、発砲される可能性が高まるので、静かに両手を挙げるなどして、犯人を刺激するような行動やしぐさは絶対にしないでください。
カ 爆弾事件に巻き込まれないために、不審物及びゴミ集積所には近付かないでください。また、パイプやペットボトル等にガムテープ、リード線、電池、時計、導火線等が付いていたら注意し、車両に乗り込む際は車両の下部等周辺に不審物がないか確認する等安全確保に注意を払うように心掛けてください(詳細は海外安全ホームページ資料:https://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_03.html を参照してください。)。
キ ベネズエラの関係当局が随時発表する主要な政治日程のほか、以下の各記念日、祝日等には、大規模なデモ行進や集会等が開催される可能性がありますので、こうした日程にも留意し、反政府デモの激化等の不測の事態に巻き込まれないよう十分注意してください。
○ 1月23日(ペレス・ヒメネス独裁政権崩壊)
○ 2月 4日(1992年のクーデター未遂記念日)
○ 2月12日(青年の日)
○ 2月27日(1989年のカラカス暴動記念日)
○ 3月 5日(2013年チャベス大統領死去)
○ 4月11日(2002年の政変)
○ 4月19日(独立宣言記念日)
○ 5月 1日(メーデー)
○ 6月24日(カラボボ戦勝記念日)
○ 7月 5日(独立記念日)
○ 7月24日(シモン・ボリバル生誕記念日)
○ 10月12日(先住民抵抗の日)
○ 12月 8日(チャベス大統領に忠誠を誓う日)
○ 12月17日(シモン・ボリバルの命日)等
ク タクシーやバイクタクシーの運転手によるけん銃等の銃器を使用した強盗事件が発生しています。マイケティア国際空港等の各空港でもタクシー運転手による強盗事件も発生しています。運転手が道を尋ねるふりをして近づき、武器で脅迫し金品を強奪する場合もあります。流しや客待ちのタクシーの利用は絶対に避けてください。電話予約や配車アプリでタクシーが確保できない場合も多いので、交通手段が必要な場合には、前もって親族や信頼できる知人等に送迎を依頼する等の方法を検討してください。
ケ 全犯罪事件の約80%が公道上で発生しています。車両を運転する際は、窓を閉め、ドアをロックして、後方や周囲の状況に絶えず注意してください。また、外部から車内の様子が見えないよう、濃色のウインドウ・フィルムを貼付する等してください。なお、けん銃を使用した犯罪が多いため、可能な限り防弾車等を利用してください。また、買い物や食事等のために駐車する際には、警備員の常駐している駐車場を利用するようにしてください。なお、警備員が犯罪者と共謀し、犯罪者の待ち構える駐車スペースに誘導するケースもあるため、警備員を過信せず、人目があり、防犯カメラの近くにある駐車場を選ぶようにしてください。
コ これまでに、ベネズエラにおいてテロによる日本人の被害は確認されていませんが、テロによる日本人の被害は、シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアを始めとする世界中で発生しており、これまでもチュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
近年は、世界的傾向として、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で不特定多数が集まる場所を標的としたテロが頻発しています。特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。
ベネズエラの「テロ・誘拐情勢」(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_260.html )も、併せてご確認ください。
(2)在留届、「たびレジ」の登録
海外渡航の際には万一に備え、家族や友人、職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
ベネズエラに3か月以上滞在される方は、在ベネズエラ日本国大使館が緊急時の連絡先を確認できるよう、必ず「在留届」を提出してください。
3か月未満の旅行や出張などの際には、渡航先の最新の安全情報や、緊急時に在ベネズエラ日本国大使館の連絡を受け取ることができるよう、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。
(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/index.html )
4 隣国のコロンビア、ブラジル、ガイアナについてもそれぞれ「危険情報」が発出されていますので、併せて確認してください。
(連絡先)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省内関係課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)(内線)9926
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047
○海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC・スマートフォン版)
http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.html (フィーチャーフォン版)
(現地大使館連絡先)
○在ベネズエラ日本国大使館
住所:Torre Digitel Piso9, Av.Eugenio Mendoza con Esquina Calle Miranda, La Castellana, Municipio Chacao, Estado Miranda, Vezezuela(Apartomento No.68790, Altamira, Caracas 1062-A, Venezuela)
(Apartomento No.68790, Altamira, Caracas 1062-A, Venezuela)
電話:(市外局番 0212)262-3435
国外からは(国別番号58)212-262-3435
FAX :(市外局番0212)262-3484
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