危険情報
フィリピンの危険情報【一部地域の危険レベル引き下げ】
更新日 2024年12月19日
危険レベル・ポイント
【危険度】
●ミンダナオ地方一部地域(北サンボアンガ州、南サンボアンガ州、サンボアンガ・シブガイ州、北ラナオ州、西ミサミス州、コタバト州、スルタン・クダラット州、サランガニ州西部(マアシム町、キアンバ町及びマイトゥム町)、南ラナオ州、北マギンダナオ州、南マギンダナオ州、バシラン州、スールー州、タウィタウィ州)(周辺海域を含む)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
●サランガニ州東部(マルンゴン町、アラベル町、マラパタン町及びグラン町) レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(引き下げ)
●パラワン州南部(プエルト・プリンセサ市以南地域)及びミンダナオ地方一部地域(ブキドノン州、南コタバト州、北スリガオ州(スリガオ市及びシャルガオ島を除く)、南スリガオ州、北アグサン州、南アグサン州(ただし、下記のレベル2から1への引き下げ対象の地域及びレベル1発出の地域を除く))(周辺海域を含む)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
●ミンダナオ地方一部地域(東ミサミス州(カガヤン・デ・オロ市、ハサアン町、ビリャヌエバ町及びタゴロアン町を除く)、東ダバオ州(マティ市を除く)、ダバオ・デ・オロ州、北ダバオ州(タグム市及びサマール市を除く)、南ダバオ州(ダバオ市及びディゴス市を除く)、西ダバオ州、北スリガオ州スリガオ市)
レベル1:十分注意してください。(引き下げ)
●上記以外のミンダナオ地方一部地域(カミギン州、東ミサミス州カガヤン・デ・オロ市、ハサアン町、ビリャヌエバ町及びタゴロアン町、東ダバオ州マティ市、北ダバオ州タグム市及びサマール市、南ダバオ州ダバオ市及びディゴス市、南コタバト州ジェネラル・サントス市、北スリガオ州シャルガオ島、ディナガット諸島州、北アグサン州ブトゥアン市)及びマニラ首都圏を含む全地域
レベル1:十分注意してください。(継続)
【ポイント】
●2023年7月、フィリピン政府は、ミンダナオ地方の平和と秩序の改善及び回復に大きな成果をあげてきたとして、2016年9月にフィリピン全土に発出した国家非常事態宣言を解除しました。しかし、テロや誘拐が依然発生しているため、引き続き渡航の際には最新情報に基づく注意が必要です。
●レベル3(渡航中止勧告)発出地域では、イスラム過激派組織による爆弾テロ事件や身代金目的の誘拐事件等が多発するなど、不安定な治安情勢が続いています。どのような目的であれ、これらの地域への渡航は止めてください。
●サランガニ州東部(マルンゴン町、アラベル町、マラパタン町及びグラン町)では、近年、大きな事件は発生しておらず、治安の安定が見られることから危険レベルを3(渡航中止勧告)から2(不要不急の渡航中止)に引き下げます。
●ミンダナオ地方の一部地域(東ミサミス州(カガヤン・デ・オロ市、ハサアン町、ビリャヌエバ町及びタゴロアン町を除く)、東ダバオ州(マティ市を除く)、ダバオ・デ・オロ州、北ダバオ州(タグム市及びサマール市を除く)、南ダバオ州(ダバオ市及びディゴス市を除く)、西ダバオ州、北スリガオ州スリガオ市)では、治安の安定が見られることから、危険レベルを2(不要不急の渡航中止)から1(十分注意してください)に引き下げます。
●ミンダナオ地方一部地域(北サンボアンガ州、南サンボアンガ州、サンボアンガ・シブガイ州、北ラナオ州、西ミサミス州、コタバト州、スルタン・クダラット州、サランガニ州西部(マアシム町、キアンバ町及びマイトゥム町)、南ラナオ州、北マギンダナオ州、南マギンダナオ州、バシラン州、スールー州、タウィタウィ州)(周辺海域を含む)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
●サランガニ州東部(マルンゴン町、アラベル町、マラパタン町及びグラン町) レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(引き下げ)
●パラワン州南部(プエルト・プリンセサ市以南地域)及びミンダナオ地方一部地域(ブキドノン州、南コタバト州、北スリガオ州(スリガオ市及びシャルガオ島を除く)、南スリガオ州、北アグサン州、南アグサン州(ただし、下記のレベル2から1への引き下げ対象の地域及びレベル1発出の地域を除く))(周辺海域を含む)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
●ミンダナオ地方一部地域(東ミサミス州(カガヤン・デ・オロ市、ハサアン町、ビリャヌエバ町及びタゴロアン町を除く)、東ダバオ州(マティ市を除く)、ダバオ・デ・オロ州、北ダバオ州(タグム市及びサマール市を除く)、南ダバオ州(ダバオ市及びディゴス市を除く)、西ダバオ州、北スリガオ州スリガオ市)
レベル1:十分注意してください。(引き下げ)
●上記以外のミンダナオ地方一部地域(カミギン州、東ミサミス州カガヤン・デ・オロ市、ハサアン町、ビリャヌエバ町及びタゴロアン町、東ダバオ州マティ市、北ダバオ州タグム市及びサマール市、南ダバオ州ダバオ市及びディゴス市、南コタバト州ジェネラル・サントス市、北スリガオ州シャルガオ島、ディナガット諸島州、北アグサン州ブトゥアン市)及びマニラ首都圏を含む全地域
レベル1:十分注意してください。(継続)
【ポイント】
●2023年7月、フィリピン政府は、ミンダナオ地方の平和と秩序の改善及び回復に大きな成果をあげてきたとして、2016年9月にフィリピン全土に発出した国家非常事態宣言を解除しました。しかし、テロや誘拐が依然発生しているため、引き続き渡航の際には最新情報に基づく注意が必要です。
●レベル3(渡航中止勧告)発出地域では、イスラム過激派組織による爆弾テロ事件や身代金目的の誘拐事件等が多発するなど、不安定な治安情勢が続いています。どのような目的であれ、これらの地域への渡航は止めてください。
●サランガニ州東部(マルンゴン町、アラベル町、マラパタン町及びグラン町)では、近年、大きな事件は発生しておらず、治安の安定が見られることから危険レベルを3(渡航中止勧告)から2(不要不急の渡航中止)に引き下げます。
●ミンダナオ地方の一部地域(東ミサミス州(カガヤン・デ・オロ市、ハサアン町、ビリャヌエバ町及びタゴロアン町を除く)、東ダバオ州(マティ市を除く)、ダバオ・デ・オロ州、北ダバオ州(タグム市及びサマール市を除く)、南ダバオ州(ダバオ市及びディゴス市を除く)、西ダバオ州、北スリガオ州スリガオ市)では、治安の安定が見られることから、危険レベルを2(不要不急の渡航中止)から1(十分注意してください)に引き下げます。
詳細
1 概況
(1)政治情勢
2016年6月にドゥテルテ大統領(当時)が就任し、ミンダナオ和平推進、治安強化、違法薬物の撲滅及び汚職対策を重要政策として掲げ、政治情勢は安定しました。同大統領時代には全土に国家非常事態宣言が、ミンダナオ地方に戒厳令が発出されていましたが、治安回復に大きな成果が挙がったとしていずれも解除されました。2022年6月に就任したマルコス大統領は、基本的にドゥテルテ前大統領の政策を継承しつつ、安定的な政権運営を進めています。
ミンダナオ地方では、2018年7月には包括和平合意を基にするバンサモロ基本法が議会で可決され、2019年1月と2月にその是非を問う住民投票が実施されました。これを踏まえ、同年2月にバンサモロ暫定自治政府が発足しました。
(2)テロ情勢
ア フィリピンには、イスラム過激派組織(アブ・サヤフ・グループ(ASG)、マウテ・グループ、バンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)、ジェマー・イスラミア(JI)等)や共産主義反政府武装組織(新人民軍(NPA))等多くの過激派組織が存在します。これまでにイスラム過激派組織による無差別爆弾テロ事件、身代金目的の誘拐事件等が発生しているほか、NPAは「革命税」を徴収するとの名目で企業や富裕層に対する恐喝等を行っています。これらのイスラム過激派組織の中には、イラク・レバントのイスラム国(ISIL)への忠誠を表明している組織もあります。また、ISILは、フィリピン国内の事件に対する声明を発出し、他国の戦闘員に対しフィリピンへの集結を呼び掛けています。フィリピン当局は、掃討作戦によりイスラム過激派の弱体化を図っていますが、外国人戦闘員の流入などにより、今後、これらの組織が活動を活発化させる可能性もあります。
イ ASG、BIFFなどの過激派組織は、バシラン州、スールー州、南ラナオ州、南マギンダナオ州などで国軍等との衝突を繰り返しています。ASGは、2019年以降、バシラン州やスールー州等において身代金目的の外国人誘拐や地元住民の拉致、地元企業に対する襲撃等の事件を繰り返しています。また、BIFFは近年、ミンダナオ地方中部の州で、即席爆発装置(IED)によるバス爆発などのテロ事件を起こしています。
ウ 一方、危険レベル3以外の場所でも、銃乱射や即席爆発装置(IED)の爆発といったテロ事件(又はテロの可能性のある事件)等が発生しています。
このような状況に鑑みれば、ミンダナオ地方はもとより、マニラ首都圏を含む全土においてテロの発生に注意する必要があります。テロの被害に遭わないよう、海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。
(3)身代金目的の誘拐
フィリピン国内、特にミンダナオ地域中・西部においては、イスラム過激派組織アブ・サヤフ・グループ(ASG)による身代金目的の誘拐の脅威があります。また、マニラ首都圏を含む中部ルソン地方でも、ギャンブル関連の身代金目的の誘拐が発生しています。フィリピンでは、外国人を含む富裕層が誘拐の標的とされることが多いとされています。
2 地域別情勢
(1) ミンダナオ地方一部地域(北サンボアンガ州、南サンボアンガ州、サンボアンガ・シブガイ州、北ラナオ州、西ミサミス州、コタバト州、スルタン・クダラット州、サランガニ州西部(マアシム町、キアンバ町及びマイトゥム町)、南ラナオ州、北マギンダナオ州、南マギンダナオ州、バシラン州、スールー州及びタウィタウィ州)(周辺海域を含む)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
ア これらの地域では、アブ・サヤフ・グループ(ASG)、ダウラ・イスラミア(DI、旧マウテ・グループを含む)、バンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)等のイスラム過激派組織によるテロ・誘拐事件、治安当局との武力衝突等が多発しています。主にバシラン州やスールー州などにおいてはASGと治安当局が、南ラナオ州ではDIと治安当局がそれぞれ断続的に衝突しており、双方に多数の死傷者が発生しています。
イ バンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域(BARMM)地域の特に南マギンダナオ州やコタバト州の一部地域等において、有力氏族同士の衝突(Rido)が多発しています。また、同地域の特に南マギンダナオ州、バシラン州やスールー州、コタバト州西部等において、即席爆発装置(IED)の使用、手りゅう弾の投てきにより、民間人を含む死傷者が出る爆発事件等が多発しています。
ウ 特にスールー州、バシラン州及びその周辺海域で、多くの誘拐事件が発生しています。実業家、中国系フィリピン人のほか外国人旅行者等を狙った身代金目的の誘拐も多発しています。
そのほか、広域情報(スールー海域及びセレベス海域並びにマレーシア・サバ州東海域における海賊等事案に関する注意喚起:https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2021C068.html )を発出しており、隣国マレーシアのサバ州東海岸・島しょ部についての危険情報も併せて留意してください。
【最近発生した主な事案】
・2021年3月、マギンダナオ州(※当時)でBIFFと陸軍との6日間の銃撃戦により、BIFF14人が死亡、同25人が負傷。
・同年7月、東サマール州においてNPAが仕掛けた3つの対人地雷爆発により、3人が死亡、6人が負傷。
・同年9月、ブキドノン州と北アグサン州でのNPAと陸軍との衝突により、NPA6人が死亡。
・2023年6月、南マギンダナオ州で、何者かが警察車両を襲撃し、警察官2人が死亡、4人が負傷。「ISIL東アジア州」が犯行声明を発出。
・同年12月3日、南ラナオ州マラウィ市のミンダナオ国立大学マラウィ校において、体育館でカトリックのミサが執り行われている際に爆発が発生し、現地報道によれば、11人が死亡、40人以上が負傷。
(※)マギンダナオ州は2022年9月に北マギンダナオ州と南マギンダナオ州に分割されました。
つきましては、これらの地域(周辺海域を含む)においてはイスラム過激派組織等の活動が懸念され、今後もテロ・誘拐等が発生する危険性が高いため、どのような目的であれ渡航は止めてください。既に滞在中の方は、常に最新の治安情報の入手に努めるとともに、滞在期間は短期間にとどめ、身の回りや行動に細心の注意を払うようにしてください。
(2)サランガニ州東部(マルンゴン町、アラベル町、マラパタン町及びグラン町) レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(引き下げ)
サランガニ州(東部マルンゴン町、アラベル町、マラパタン町及びグラン町では近年、大きな事件は発生しておらず、治安の安定が見られることから、危険レベルを3(渡航は止めてください)から2(不要不急の渡航は止めてください)に引き下げます。ただし、不要不急の渡航は止めていただき、渡航・滞在する場合には、最新の現地治安情勢について情報収集に努めるとともに特別な注意を払い、安全確保のための準備を十分に行い、不測の事態に巻き込まれないよう十分注意してください。
(3)パラワン州南部(プエルト・プリンセサ市以南地域)及びミンダナオ地方一部地域(ブキドノン州、南コタバト州、北スリガオ州(スリガオ市及びシャルガオ島を除く)、南スリガオ州、北アグサン州、南アグサン州(周辺海域を含む)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
ア パラワン州南部(プエルト・プリンセサ市以南地域)
ASGの活動範囲は、スールー諸島のみならず、パラワン州南部や隣国マレーシアのサバ州東海岸など、スールー海全域に及んでいるとみられます。これらの地域ではASG等イスラム過激派組織によるテロ・誘拐の危険性が排除できず、今後も活発化するおそれがあります。
イ ブキドノン州、南コタバト州、北スリガオ州(スリガオ市及びシャルガオ島を除く)、南スリガオ州、北アグサン州、南アグサン州
かつては共産系反政府武装組織(新人民軍(NPA))が活発に活動し、日系企業の所有するバナナ農園やプラント襲撃等、民間企業に対する襲撃事件が多発していましたが、近年はNPAに対する国軍の掃討作戦が徐々に成果を挙げています。
マルコス大統領は、投降したNPAの兵士の武装解除や社会復帰等の方策を取り入れつつNPAの駆逐に取り組んでいます。しかし、これらの地域では、NPAの残兵による治安当局との衝突事案や企業に対する恐喝事案等の発生が懸念されることから、引き続き十分な注意と警戒が必要です。
つきましては、これらの地域及び周辺海域へ渡航を予定されている方は、不要不急の渡航は止めてください。渡航・滞在する場合には、最新の現地治安情勢について情報収集に努めるとともに特別な注意を払い、安全確保のための準備を十分に行い、不測の事態に巻き込まれないよう十分注意してください。
(4)ミンダナオ地方一部地域(東ミサミス州(カガヤン・デ・オロ市、ハサアン町、ビリャヌエバ町及びタゴロアン町を除く)、東ダバオ州(マティ市を除く)、ダバオ・デ・オロ州、北ダバオ州(タグム市及びサマール市を除く)、南ダバオ州(ダバオ市及びディゴス市を除く)、西ダバオ州、北スリガオ州スリガオ市)
レベル1:十分注意してください。(引き下げ)
ア 東ミサミス州(カガヤン・デ・オロ市、ハサアン町、ビリャヌエバ町及びタゴロアン町を含む)の治安は安定しています。ただし、著しく衰退しているものの、同州の山間部に若干のNPAの活動が認められます。
イ 東ダバオ州(マティ市を除く)、ダバオ・デ・オロ州、北ダバオ州(タグム市及びサマル市を除く)、南ダバオ州(ディゴス市を除く)及び西ダバオ州では、過去に長い間、NPAが活発に活動していましたが、治安当局の長年にわたる掃討作戦により、これらの勢力は激減し、2022年10月に、反乱勢力のいない地方であると宣言されました。
ウ 北スリガオ州スリガオ市の治安は近年極めて安定しており、近年、大きな事件は発生していません。
これらの地域では治安の安定が見られることから、危険レベルを2(不要不急の渡航は止めてください)から1(十分注意してください)に引き下げます。しかしながら、現地の治安情勢の情報収集に努め、公共施設、宗教施設その他不特定多数の人が集まる場所に近づく際には警戒し、夜間の移動は避ける等、不測の事態に巻き込まれないよう、十分注意してください。
(5)上記以外のミンダナオ地方一部地域(カミギン州、東ミサミス州カガヤン・デ・オロ市、ハサアン町、ビリャヌエバ町及びタゴロアン町、東ダバオ州マティ市、北ダバオ州タグム市及びサマール市、南ダバオ州ダバオ市及びディゴス市、南コタバト州ジェネラル・サントス市、北スリガオ州シャルガオ島、ディナガット諸島州、北アグサン州ブトゥアン市)及びマニラ首都圏を含む全地域
レベル1:十分注意してください。(継続)
ア カミギン州、東ミサミス州カガヤン・デ・オロ市、ハサアン町、ビリャヌエバ町及びタゴロアン町、東ダバオ州マティ市、北ダバオ州タグム市及びサマール市、南ダバオ州ダバオ市及びディゴス市、南コタバト州ジェネラル・サントス市、北スリガオ州シャルガオ島、ディナガット諸島州、北アグサン州ブトゥアン市
これらの地域では、かつてNPAやイスラム過激派組織が活動していましたが、国軍によるNPAの掃討作戦の成果や警備対策の強化により、治安情勢は安定しています。
(ア)カミギン州及び東ミサミス州カガヤン・デ・オロ市
カミギン州及び東ミサミス州のカガヤン・デ・オロ市では、リゾート開発に伴って警戒態勢が強化されていることもあり、治安状況は比較的落ち着いています。
ただし、過去には商業センターでの爆発事案があったこと、周辺地域ではNPA等の活動が続いていると認められること、カガヤン・デ・オロ市はダウラ・イスラミア(DI、旧マウテ・グループを含む)の活動が活発な南ラナオ州に近く、市内で関係者の身柄が拘束されていることから、当局はテロに対する警戒体制を強化しています。
(イ)南ダバオ州ダバオ市
国軍によるNPAに対する掃討作戦の成果が出てきており、政府は、2022年3月にダバオ市におけるNPAの駆逐を宣言し、2022年10月にダバオ地域(ダバオ市とその周辺5州)におけるNPAの駆逐を宣言しました。
(ウ)南コタバト州ジェネラル・サントス市
2018年には市内の薬局の前で、即席爆発装置(IED)の爆発事案が発生しました。また、周辺地域でのNPAやダウラ・イスラミア(DI、旧マウテ・グループを含む)などイスラム過激派の活動も認められます。過去には誘拐事件も発生していることもあり、引き続きテロの危険性は排除できません。
イ 上記以外のマニラ首都圏を含む全地域
基本的に治安は安定していますが、日本人の殺害事案が過去に発生しています(2022年:2件、2021年:1件、2020年1件、2019年2件)。そのほか、強盗(タクシー強盗、睡眠薬強盗を含む)、窃盗、詐欺、恐喝(警官の制服を着用した2~3人組によるものを含む)等の被害に遭う日本人が後を絶ちません(犯罪事例については、「安全対策基礎データ」https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_013.html を参照してください)。
(ア)マニラ首都圏
過去に爆発物・手榴弾が爆発する事件、爆発物を積載した車両が摘発される事件、路上で爆発物が発見される事件などの爆弾関連事件も発生しています。
マニラ首都圏や近郊地域において、日本人が拳銃強盗、ひったくり、スリ、置き引き、睡眠薬(昏睡)強盗などの被害に遭う事例が多数発生しています。
(イ)ビコール地域(北カマリネス州、南カマリネス州、カタンドゥアネス州、アルバイ州、ソルソゴン州及びマスバテ州)
ビコール地域においては、NPAによる民間企業に対する恐喝行為や国軍との交戦により民間人にも死傷者が出る事態が多発しています。
(ウ)中部ビサヤ地域(セブ州、ボホール州、シキホール州及び東ネグロス州)
中部ビサヤ地域のうち、セブ島は世界的に著名なリゾート地であり、従来、フィリピンの他の地域と比べて安全な地域とされています。一方で、2023年3月、武装集団が東ネグロス州知事の私邸に侵入し、同知事を含む10人を殺害、12人を負傷させる事件が発生し、捜査の結果、元国軍兵士を含む11人の実行犯が逮捕されました。
セブ、ラプラプ等の主要都市部や、周辺の観光地等において大規模なテロ事件等は発生していませんが、日本人が銃撃され負傷するケースや、トライシクル(三輪タクシー)・ジプニー(乗合タクシー)を利用した日本人が強盗・強奪、スリ等の被害に遭うケースも頻発しています。その他、日本人旅行者、特に短期語学留学生がトランプのいかさま賭博や性犯罪の被害に遭う事例も報告されていることから、同島の滞在にあたっては慎重に行動することが大切です。また、ボホール島についても、一部地域において前述のような衝突事案が発生するなど、治安情勢が不透明な状況にあるので、十分な注意と警戒が必要です。
(エ)東部ビサヤ地域(北サマール州、東サマール州、サマール州、ビリラン州、レイテ州及び南レイテ州)
東部ビサヤ地域のうち、主として北サマール州、東サマール州、サマール州においては、NPAの活動が確認されており、民間人に対する恐喝行為や国軍との交戦が散発的に発生しているほか、レイテ州ヒロンゴスにおいて、爆発事件により多数の負傷者が発生しています。
(オ)西部ビサヤ地域(アクラン州、アンティケ州、イロイロ州、カピス州、ギマラス州及び西ネグロス州)
パナイ島の治安は安定していますが、一部ではNPAの活動が認知されている地域が残っています。また、ネグロス島では、NPAによる警察車両に対する襲撃に伴い、近くに居合わせた外国人旅行者家族が負傷する事件や、外国企業への脅迫事案も発生しています。
ボラカイ島など有名リゾートでは、フィリピン当局やリゾート関係者により安全確保が図られている例も多く見受けられますが、依然として一般犯罪が多く発生していますので、これら島内の移動に当たっても注意が必要です。
(カ)パラワン州(プエルト・プリンセサ市以南を除く)
パラワン州最北部からカラミアン諸島、クヨ諸島にかけては多くの有名リゾートが点在していますが、これらの地域は、パラワン島北西部沖に位置する天然ガス田に対してフィリピン国軍が厳重な警戒を行っていること、多数のリゾートが国軍や国家警察等と協力しつつ独自の安全対策を行っていること等によって、同州の中でも比較的安全確保が図られている状況にあります。
一方、パラワン州北部地域(プエルト・プリンセサ市より北の地域)においては、山間部を中心にNPAの活動が認められていたほか、同南部地域においてもASG等によるテロや誘拐等の危険性も排除できません。
つきましては、これら地域への渡航にあたっては、現地の治安情勢の情報収集に努め、公共施設、宗教施設その他不特定多数の人が集まる場所に近付く際には、警戒を怠らず、夜間の移動は避けるなど、不測の事態に巻き込まれないよう、十分注意してください。
3 渡航・滞在に当たっての注意
(1)フィリピンにおける犯罪は、日本に比べ、殺人、強盗、婦女暴行等の凶悪事件の割合が高く、また、一般的に日本人は裕福と見られているため、強盗・窃盗等の標的になる可能性は他の諸外国人と比べても高いとみられます。日本人が被害者となった事件は、殺人事件だけでも毎年発生しており、また、在フィリピン日本国大使館には強盗等凶悪犯罪(マニラ首都圏でのタクシー強盗、睡眠薬強盗を含む)、オートバイによるひったくり、路上での強盗やレストラン等での置き引き、公共交通機関内でのスリ・窃盗、買春行為絡みの恐喝被害などもそれぞれ多数報告されています。警官の制服を着た2~3人組に何かしら言いがかりをつけられ、車両内に一時的に軟禁状態となっている間に恐喝被害に遭う事件も複数報告されています。また、フィリピンでは、日本と異なり、許可を得れば一般人でも銃の所持・携行が認められているほか、未登録の銃器や密造銃も広く出回っており、銃器を用いた犯罪が多発しています。
つきましては、フィリピン滞在中、以下の注意事項を参考にして十分な安全対策を講じて行動するとともに、日本国外務省、在フィリピン日本国大使館、在セブ日本国総領事館、在ダバオ日本国総領事館、現地関係機関等から最新情報を入手するよう努めてください。
(2)海外渡航の際には万一に備え、家族や友人、職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
フィリピンに3か月以上滞在する方は、在フィリピン日本国大使館、在セブ日本国総領事館及び在ダバオ日本国総領事館が緊急時の連絡先を確認できるよう、必ず「在留届」を提出してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html )
3か月未満の旅行や出張などの際には、渡航先の最新安全情報や、緊急時に在フィリピン日本国大使館、在セブ日本国総領事館及び在ダバオ日本国総領事館からの連絡を受け取ることができるよう、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。
(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html )
なお、災害や騒乱等が発生した際、ご家族、ご友人、同僚を守るため、一人でも多くの方に安全対策に関する情報が届くよう、在留届の届出、又はたびレジの登録を、お知り合いの方や出張者・旅行者にもご案内いただけますようお願いいたします。
(3)テロ・誘拐への備え
ア テロへの備え
フィリピン全土、特に南部ミンダナオ地方においては、イスラム過激派組織による爆弾テロが発生しています。不測の事態に巻き込まれることのないよう以下の点に注意してください。
(ア)テロ事件等不測の事態に巻き込まれることのないよう、最新の関連情報の入手に努める。
(イ)テロの標的となりやすい場所(デパートや市場、観光・リゾート施設、公共交通機関など不特定多数の人が集まる場所、欧米関連施設や宗教関連施設など)を訪れる際には、周囲の状況に注意を払い、不審な状況を察知したら速やかにその場を離れる。
(ウ)政府・軍・警察関係施設には近付かない。
(エ)複数の爆弾が時間差で爆発することも想定されることから、爆発現場には近付かない。
(オ)爆弾事件や不測の事態が発生した場合の対応策を再点検し、状況に応じて適切な安全対策が講じられるよう心掛ける。
(カ)在留地・滞在先等の近くで爆発や銃撃戦等が発生した場合は、直ちに安全な場所に避難し、その場に止まらない(連続した爆発を想定)とともに、大使館等に状況等を連絡する。
日頃から治安情勢に関心を持って報道等に注意し、テロの標的となり得るような治安関係施設等には近付かないように努め、外国人を含む不特定多数の人が集まる場所(公共施設、レストラン、ショッピングモール、デパート、カフェ、ナイト・クラブ等)や主要外国関連施設(例えば各国の在外公館)を訪れたり、公共交通機関などを利用したりする際には、身の回りに注意してください。
イ 誘拐への備え
テロ同様に誘拐についても、特にミンダナオ地方では、身代金目的の誘拐の脅威がありますので、以下の点に注意するよう心掛けてください。
(ア)日頃から現地治安情勢に関する最新の情報収集に努める。
(イ)外国人は裕福であると常に思われていることを念頭に、ターゲットにされないよう慎重な行動を心掛ける。
(ウ)行動予定等を不特定多数の人間に伝えたり、知られたりしないように心掛け、不用意に身辺情報を流さない。
(エ)毎日の行動がパターン化しないよう注意する。
(オ)単独での行動は避け、外出する場合には、周囲に不審者や不審車両がないか確認し、尾行や監視がないか常に注意する。
(カ)子供を一人で遊ばせたり、外出させたりしない。
(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(外務省代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省関連課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)5139
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)3047
○海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)
http://m.anzen.mofa.go.jp/mbtop.asp (モバイル版)
(現地公館連絡先)
○在フィリピン日本国大使館
住所:2627 Roxas Boulevard, Pasay City, Metro Manila, Philippines
電話:(市外局番02)8551-5710
国外からは(国番号63)-2-8551-5710
FAX:(市外局番02)8551-5780
国外からは(国番号63)-2-8551-5780
ホームページ: https://www.ph.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
○在セブ日本国総領事館
住所:8th Floor, 2Quad Building, Cardinal Rosales Avenue, Cebu Business Park, Cebu City, Philippines
電話:(市外局番032)231-7321 / 7322
国外からは(国番号63)-32-231-7321 / 7322
FAX:(市外局番032)231-6843
国外からは(国番号63)-32-231-6843
ホームページ: https://www.cebu.ph.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
○在ダバオ日本国総領事館
住所:4th Floor, B.I.Zone Building, J.P. Laurel Avenue, Bajada, Davao City, Philippines
電話:(市外局番082)221-3100
国外からは(国番号63)-82-221-3100
FAX:(市外局番082)221-2176
国外からは(国番号63)-82-221-2176
ホームページ: https://www.davao.ph.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
(1)政治情勢
2016年6月にドゥテルテ大統領(当時)が就任し、ミンダナオ和平推進、治安強化、違法薬物の撲滅及び汚職対策を重要政策として掲げ、政治情勢は安定しました。同大統領時代には全土に国家非常事態宣言が、ミンダナオ地方に戒厳令が発出されていましたが、治安回復に大きな成果が挙がったとしていずれも解除されました。2022年6月に就任したマルコス大統領は、基本的にドゥテルテ前大統領の政策を継承しつつ、安定的な政権運営を進めています。
ミンダナオ地方では、2018年7月には包括和平合意を基にするバンサモロ基本法が議会で可決され、2019年1月と2月にその是非を問う住民投票が実施されました。これを踏まえ、同年2月にバンサモロ暫定自治政府が発足しました。
(2)テロ情勢
ア フィリピンには、イスラム過激派組織(アブ・サヤフ・グループ(ASG)、マウテ・グループ、バンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)、ジェマー・イスラミア(JI)等)や共産主義反政府武装組織(新人民軍(NPA))等多くの過激派組織が存在します。これまでにイスラム過激派組織による無差別爆弾テロ事件、身代金目的の誘拐事件等が発生しているほか、NPAは「革命税」を徴収するとの名目で企業や富裕層に対する恐喝等を行っています。これらのイスラム過激派組織の中には、イラク・レバントのイスラム国(ISIL)への忠誠を表明している組織もあります。また、ISILは、フィリピン国内の事件に対する声明を発出し、他国の戦闘員に対しフィリピンへの集結を呼び掛けています。フィリピン当局は、掃討作戦によりイスラム過激派の弱体化を図っていますが、外国人戦闘員の流入などにより、今後、これらの組織が活動を活発化させる可能性もあります。
イ ASG、BIFFなどの過激派組織は、バシラン州、スールー州、南ラナオ州、南マギンダナオ州などで国軍等との衝突を繰り返しています。ASGは、2019年以降、バシラン州やスールー州等において身代金目的の外国人誘拐や地元住民の拉致、地元企業に対する襲撃等の事件を繰り返しています。また、BIFFは近年、ミンダナオ地方中部の州で、即席爆発装置(IED)によるバス爆発などのテロ事件を起こしています。
ウ 一方、危険レベル3以外の場所でも、銃乱射や即席爆発装置(IED)の爆発といったテロ事件(又はテロの可能性のある事件)等が発生しています。
このような状況に鑑みれば、ミンダナオ地方はもとより、マニラ首都圏を含む全土においてテロの発生に注意する必要があります。テロの被害に遭わないよう、海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。
(3)身代金目的の誘拐
フィリピン国内、特にミンダナオ地域中・西部においては、イスラム過激派組織アブ・サヤフ・グループ(ASG)による身代金目的の誘拐の脅威があります。また、マニラ首都圏を含む中部ルソン地方でも、ギャンブル関連の身代金目的の誘拐が発生しています。フィリピンでは、外国人を含む富裕層が誘拐の標的とされることが多いとされています。
2 地域別情勢
(1) ミンダナオ地方一部地域(北サンボアンガ州、南サンボアンガ州、サンボアンガ・シブガイ州、北ラナオ州、西ミサミス州、コタバト州、スルタン・クダラット州、サランガニ州西部(マアシム町、キアンバ町及びマイトゥム町)、南ラナオ州、北マギンダナオ州、南マギンダナオ州、バシラン州、スールー州及びタウィタウィ州)(周辺海域を含む)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
ア これらの地域では、アブ・サヤフ・グループ(ASG)、ダウラ・イスラミア(DI、旧マウテ・グループを含む)、バンサモロ・イスラム自由戦士(BIFF)等のイスラム過激派組織によるテロ・誘拐事件、治安当局との武力衝突等が多発しています。主にバシラン州やスールー州などにおいてはASGと治安当局が、南ラナオ州ではDIと治安当局がそれぞれ断続的に衝突しており、双方に多数の死傷者が発生しています。
イ バンサモロ・ムスリム・ミンダナオ自治地域(BARMM)地域の特に南マギンダナオ州やコタバト州の一部地域等において、有力氏族同士の衝突(Rido)が多発しています。また、同地域の特に南マギンダナオ州、バシラン州やスールー州、コタバト州西部等において、即席爆発装置(IED)の使用、手りゅう弾の投てきにより、民間人を含む死傷者が出る爆発事件等が多発しています。
ウ 特にスールー州、バシラン州及びその周辺海域で、多くの誘拐事件が発生しています。実業家、中国系フィリピン人のほか外国人旅行者等を狙った身代金目的の誘拐も多発しています。
そのほか、広域情報(スールー海域及びセレベス海域並びにマレーシア・サバ州東海域における海賊等事案に関する注意喚起:https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2021C068.html )を発出しており、隣国マレーシアのサバ州東海岸・島しょ部についての危険情報も併せて留意してください。
【最近発生した主な事案】
・2021年3月、マギンダナオ州(※当時)でBIFFと陸軍との6日間の銃撃戦により、BIFF14人が死亡、同25人が負傷。
・同年7月、東サマール州においてNPAが仕掛けた3つの対人地雷爆発により、3人が死亡、6人が負傷。
・同年9月、ブキドノン州と北アグサン州でのNPAと陸軍との衝突により、NPA6人が死亡。
・2023年6月、南マギンダナオ州で、何者かが警察車両を襲撃し、警察官2人が死亡、4人が負傷。「ISIL東アジア州」が犯行声明を発出。
・同年12月3日、南ラナオ州マラウィ市のミンダナオ国立大学マラウィ校において、体育館でカトリックのミサが執り行われている際に爆発が発生し、現地報道によれば、11人が死亡、40人以上が負傷。
(※)マギンダナオ州は2022年9月に北マギンダナオ州と南マギンダナオ州に分割されました。
つきましては、これらの地域(周辺海域を含む)においてはイスラム過激派組織等の活動が懸念され、今後もテロ・誘拐等が発生する危険性が高いため、どのような目的であれ渡航は止めてください。既に滞在中の方は、常に最新の治安情報の入手に努めるとともに、滞在期間は短期間にとどめ、身の回りや行動に細心の注意を払うようにしてください。
(2)サランガニ州東部(マルンゴン町、アラベル町、マラパタン町及びグラン町) レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(引き下げ)
サランガニ州(東部マルンゴン町、アラベル町、マラパタン町及びグラン町では近年、大きな事件は発生しておらず、治安の安定が見られることから、危険レベルを3(渡航は止めてください)から2(不要不急の渡航は止めてください)に引き下げます。ただし、不要不急の渡航は止めていただき、渡航・滞在する場合には、最新の現地治安情勢について情報収集に努めるとともに特別な注意を払い、安全確保のための準備を十分に行い、不測の事態に巻き込まれないよう十分注意してください。
(3)パラワン州南部(プエルト・プリンセサ市以南地域)及びミンダナオ地方一部地域(ブキドノン州、南コタバト州、北スリガオ州(スリガオ市及びシャルガオ島を除く)、南スリガオ州、北アグサン州、南アグサン州(周辺海域を含む)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
ア パラワン州南部(プエルト・プリンセサ市以南地域)
ASGの活動範囲は、スールー諸島のみならず、パラワン州南部や隣国マレーシアのサバ州東海岸など、スールー海全域に及んでいるとみられます。これらの地域ではASG等イスラム過激派組織によるテロ・誘拐の危険性が排除できず、今後も活発化するおそれがあります。
イ ブキドノン州、南コタバト州、北スリガオ州(スリガオ市及びシャルガオ島を除く)、南スリガオ州、北アグサン州、南アグサン州
かつては共産系反政府武装組織(新人民軍(NPA))が活発に活動し、日系企業の所有するバナナ農園やプラント襲撃等、民間企業に対する襲撃事件が多発していましたが、近年はNPAに対する国軍の掃討作戦が徐々に成果を挙げています。
マルコス大統領は、投降したNPAの兵士の武装解除や社会復帰等の方策を取り入れつつNPAの駆逐に取り組んでいます。しかし、これらの地域では、NPAの残兵による治安当局との衝突事案や企業に対する恐喝事案等の発生が懸念されることから、引き続き十分な注意と警戒が必要です。
つきましては、これらの地域及び周辺海域へ渡航を予定されている方は、不要不急の渡航は止めてください。渡航・滞在する場合には、最新の現地治安情勢について情報収集に努めるとともに特別な注意を払い、安全確保のための準備を十分に行い、不測の事態に巻き込まれないよう十分注意してください。
(4)ミンダナオ地方一部地域(東ミサミス州(カガヤン・デ・オロ市、ハサアン町、ビリャヌエバ町及びタゴロアン町を除く)、東ダバオ州(マティ市を除く)、ダバオ・デ・オロ州、北ダバオ州(タグム市及びサマール市を除く)、南ダバオ州(ダバオ市及びディゴス市を除く)、西ダバオ州、北スリガオ州スリガオ市)
レベル1:十分注意してください。(引き下げ)
ア 東ミサミス州(カガヤン・デ・オロ市、ハサアン町、ビリャヌエバ町及びタゴロアン町を含む)の治安は安定しています。ただし、著しく衰退しているものの、同州の山間部に若干のNPAの活動が認められます。
イ 東ダバオ州(マティ市を除く)、ダバオ・デ・オロ州、北ダバオ州(タグム市及びサマル市を除く)、南ダバオ州(ディゴス市を除く)及び西ダバオ州では、過去に長い間、NPAが活発に活動していましたが、治安当局の長年にわたる掃討作戦により、これらの勢力は激減し、2022年10月に、反乱勢力のいない地方であると宣言されました。
ウ 北スリガオ州スリガオ市の治安は近年極めて安定しており、近年、大きな事件は発生していません。
これらの地域では治安の安定が見られることから、危険レベルを2(不要不急の渡航は止めてください)から1(十分注意してください)に引き下げます。しかしながら、現地の治安情勢の情報収集に努め、公共施設、宗教施設その他不特定多数の人が集まる場所に近づく際には警戒し、夜間の移動は避ける等、不測の事態に巻き込まれないよう、十分注意してください。
(5)上記以外のミンダナオ地方一部地域(カミギン州、東ミサミス州カガヤン・デ・オロ市、ハサアン町、ビリャヌエバ町及びタゴロアン町、東ダバオ州マティ市、北ダバオ州タグム市及びサマール市、南ダバオ州ダバオ市及びディゴス市、南コタバト州ジェネラル・サントス市、北スリガオ州シャルガオ島、ディナガット諸島州、北アグサン州ブトゥアン市)及びマニラ首都圏を含む全地域
レベル1:十分注意してください。(継続)
ア カミギン州、東ミサミス州カガヤン・デ・オロ市、ハサアン町、ビリャヌエバ町及びタゴロアン町、東ダバオ州マティ市、北ダバオ州タグム市及びサマール市、南ダバオ州ダバオ市及びディゴス市、南コタバト州ジェネラル・サントス市、北スリガオ州シャルガオ島、ディナガット諸島州、北アグサン州ブトゥアン市
これらの地域では、かつてNPAやイスラム過激派組織が活動していましたが、国軍によるNPAの掃討作戦の成果や警備対策の強化により、治安情勢は安定しています。
(ア)カミギン州及び東ミサミス州カガヤン・デ・オロ市
カミギン州及び東ミサミス州のカガヤン・デ・オロ市では、リゾート開発に伴って警戒態勢が強化されていることもあり、治安状況は比較的落ち着いています。
ただし、過去には商業センターでの爆発事案があったこと、周辺地域ではNPA等の活動が続いていると認められること、カガヤン・デ・オロ市はダウラ・イスラミア(DI、旧マウテ・グループを含む)の活動が活発な南ラナオ州に近く、市内で関係者の身柄が拘束されていることから、当局はテロに対する警戒体制を強化しています。
(イ)南ダバオ州ダバオ市
国軍によるNPAに対する掃討作戦の成果が出てきており、政府は、2022年3月にダバオ市におけるNPAの駆逐を宣言し、2022年10月にダバオ地域(ダバオ市とその周辺5州)におけるNPAの駆逐を宣言しました。
(ウ)南コタバト州ジェネラル・サントス市
2018年には市内の薬局の前で、即席爆発装置(IED)の爆発事案が発生しました。また、周辺地域でのNPAやダウラ・イスラミア(DI、旧マウテ・グループを含む)などイスラム過激派の活動も認められます。過去には誘拐事件も発生していることもあり、引き続きテロの危険性は排除できません。
イ 上記以外のマニラ首都圏を含む全地域
基本的に治安は安定していますが、日本人の殺害事案が過去に発生しています(2022年:2件、2021年:1件、2020年1件、2019年2件)。そのほか、強盗(タクシー強盗、睡眠薬強盗を含む)、窃盗、詐欺、恐喝(警官の制服を着用した2~3人組によるものを含む)等の被害に遭う日本人が後を絶ちません(犯罪事例については、「安全対策基礎データ」https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_013.html を参照してください)。
(ア)マニラ首都圏
過去に爆発物・手榴弾が爆発する事件、爆発物を積載した車両が摘発される事件、路上で爆発物が発見される事件などの爆弾関連事件も発生しています。
マニラ首都圏や近郊地域において、日本人が拳銃強盗、ひったくり、スリ、置き引き、睡眠薬(昏睡)強盗などの被害に遭う事例が多数発生しています。
(イ)ビコール地域(北カマリネス州、南カマリネス州、カタンドゥアネス州、アルバイ州、ソルソゴン州及びマスバテ州)
ビコール地域においては、NPAによる民間企業に対する恐喝行為や国軍との交戦により民間人にも死傷者が出る事態が多発しています。
(ウ)中部ビサヤ地域(セブ州、ボホール州、シキホール州及び東ネグロス州)
中部ビサヤ地域のうち、セブ島は世界的に著名なリゾート地であり、従来、フィリピンの他の地域と比べて安全な地域とされています。一方で、2023年3月、武装集団が東ネグロス州知事の私邸に侵入し、同知事を含む10人を殺害、12人を負傷させる事件が発生し、捜査の結果、元国軍兵士を含む11人の実行犯が逮捕されました。
セブ、ラプラプ等の主要都市部や、周辺の観光地等において大規模なテロ事件等は発生していませんが、日本人が銃撃され負傷するケースや、トライシクル(三輪タクシー)・ジプニー(乗合タクシー)を利用した日本人が強盗・強奪、スリ等の被害に遭うケースも頻発しています。その他、日本人旅行者、特に短期語学留学生がトランプのいかさま賭博や性犯罪の被害に遭う事例も報告されていることから、同島の滞在にあたっては慎重に行動することが大切です。また、ボホール島についても、一部地域において前述のような衝突事案が発生するなど、治安情勢が不透明な状況にあるので、十分な注意と警戒が必要です。
(エ)東部ビサヤ地域(北サマール州、東サマール州、サマール州、ビリラン州、レイテ州及び南レイテ州)
東部ビサヤ地域のうち、主として北サマール州、東サマール州、サマール州においては、NPAの活動が確認されており、民間人に対する恐喝行為や国軍との交戦が散発的に発生しているほか、レイテ州ヒロンゴスにおいて、爆発事件により多数の負傷者が発生しています。
(オ)西部ビサヤ地域(アクラン州、アンティケ州、イロイロ州、カピス州、ギマラス州及び西ネグロス州)
パナイ島の治安は安定していますが、一部ではNPAの活動が認知されている地域が残っています。また、ネグロス島では、NPAによる警察車両に対する襲撃に伴い、近くに居合わせた外国人旅行者家族が負傷する事件や、外国企業への脅迫事案も発生しています。
ボラカイ島など有名リゾートでは、フィリピン当局やリゾート関係者により安全確保が図られている例も多く見受けられますが、依然として一般犯罪が多く発生していますので、これら島内の移動に当たっても注意が必要です。
(カ)パラワン州(プエルト・プリンセサ市以南を除く)
パラワン州最北部からカラミアン諸島、クヨ諸島にかけては多くの有名リゾートが点在していますが、これらの地域は、パラワン島北西部沖に位置する天然ガス田に対してフィリピン国軍が厳重な警戒を行っていること、多数のリゾートが国軍や国家警察等と協力しつつ独自の安全対策を行っていること等によって、同州の中でも比較的安全確保が図られている状況にあります。
一方、パラワン州北部地域(プエルト・プリンセサ市より北の地域)においては、山間部を中心にNPAの活動が認められていたほか、同南部地域においてもASG等によるテロや誘拐等の危険性も排除できません。
つきましては、これら地域への渡航にあたっては、現地の治安情勢の情報収集に努め、公共施設、宗教施設その他不特定多数の人が集まる場所に近付く際には、警戒を怠らず、夜間の移動は避けるなど、不測の事態に巻き込まれないよう、十分注意してください。
3 渡航・滞在に当たっての注意
(1)フィリピンにおける犯罪は、日本に比べ、殺人、強盗、婦女暴行等の凶悪事件の割合が高く、また、一般的に日本人は裕福と見られているため、強盗・窃盗等の標的になる可能性は他の諸外国人と比べても高いとみられます。日本人が被害者となった事件は、殺人事件だけでも毎年発生しており、また、在フィリピン日本国大使館には強盗等凶悪犯罪(マニラ首都圏でのタクシー強盗、睡眠薬強盗を含む)、オートバイによるひったくり、路上での強盗やレストラン等での置き引き、公共交通機関内でのスリ・窃盗、買春行為絡みの恐喝被害などもそれぞれ多数報告されています。警官の制服を着た2~3人組に何かしら言いがかりをつけられ、車両内に一時的に軟禁状態となっている間に恐喝被害に遭う事件も複数報告されています。また、フィリピンでは、日本と異なり、許可を得れば一般人でも銃の所持・携行が認められているほか、未登録の銃器や密造銃も広く出回っており、銃器を用いた犯罪が多発しています。
つきましては、フィリピン滞在中、以下の注意事項を参考にして十分な安全対策を講じて行動するとともに、日本国外務省、在フィリピン日本国大使館、在セブ日本国総領事館、在ダバオ日本国総領事館、現地関係機関等から最新情報を入手するよう努めてください。
(2)海外渡航の際には万一に備え、家族や友人、職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
フィリピンに3か月以上滞在する方は、在フィリピン日本国大使館、在セブ日本国総領事館及び在ダバオ日本国総領事館が緊急時の連絡先を確認できるよう、必ず「在留届」を提出してください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html )
3か月未満の旅行や出張などの際には、渡航先の最新安全情報や、緊急時に在フィリピン日本国大使館、在セブ日本国総領事館及び在ダバオ日本国総領事館からの連絡を受け取ることができるよう、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。
(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html )
なお、災害や騒乱等が発生した際、ご家族、ご友人、同僚を守るため、一人でも多くの方に安全対策に関する情報が届くよう、在留届の届出、又はたびレジの登録を、お知り合いの方や出張者・旅行者にもご案内いただけますようお願いいたします。
(3)テロ・誘拐への備え
ア テロへの備え
フィリピン全土、特に南部ミンダナオ地方においては、イスラム過激派組織による爆弾テロが発生しています。不測の事態に巻き込まれることのないよう以下の点に注意してください。
(ア)テロ事件等不測の事態に巻き込まれることのないよう、最新の関連情報の入手に努める。
(イ)テロの標的となりやすい場所(デパートや市場、観光・リゾート施設、公共交通機関など不特定多数の人が集まる場所、欧米関連施設や宗教関連施設など)を訪れる際には、周囲の状況に注意を払い、不審な状況を察知したら速やかにその場を離れる。
(ウ)政府・軍・警察関係施設には近付かない。
(エ)複数の爆弾が時間差で爆発することも想定されることから、爆発現場には近付かない。
(オ)爆弾事件や不測の事態が発生した場合の対応策を再点検し、状況に応じて適切な安全対策が講じられるよう心掛ける。
(カ)在留地・滞在先等の近くで爆発や銃撃戦等が発生した場合は、直ちに安全な場所に避難し、その場に止まらない(連続した爆発を想定)とともに、大使館等に状況等を連絡する。
日頃から治安情勢に関心を持って報道等に注意し、テロの標的となり得るような治安関係施設等には近付かないように努め、外国人を含む不特定多数の人が集まる場所(公共施設、レストラン、ショッピングモール、デパート、カフェ、ナイト・クラブ等)や主要外国関連施設(例えば各国の在外公館)を訪れたり、公共交通機関などを利用したりする際には、身の回りに注意してください。
イ 誘拐への備え
テロ同様に誘拐についても、特にミンダナオ地方では、身代金目的の誘拐の脅威がありますので、以下の点に注意するよう心掛けてください。
(ア)日頃から現地治安情勢に関する最新の情報収集に努める。
(イ)外国人は裕福であると常に思われていることを念頭に、ターゲットにされないよう慎重な行動を心掛ける。
(ウ)行動予定等を不特定多数の人間に伝えたり、知られたりしないように心掛け、不用意に身辺情報を流さない。
(エ)毎日の行動がパターン化しないよう注意する。
(オ)単独での行動は避け、外出する場合には、周囲に不審者や不審車両がないか確認し、尾行や監視がないか常に注意する。
(カ)子供を一人で遊ばせたり、外出させたりしない。
(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(外務省代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省関連課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)5139
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)
電話:(代表)03-3580-3311(内線)3047
○海外安全ホームページ
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