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メキシコ
テロ・誘拐情勢
更新日 2025年12月31日
1 概況
(1)近年のテロ情勢
メキシコでの国際テロ組織の活動は、現在のところ確認されていません。ただし、2015年11月にイラク・レバントのイスラム国(ISIL)が発表した攻撃対象国リスト60カ国の中にメキシコが含まれており、ISIL、またはそのシンパによるテロの標的となる可能性は皆無とは言えません。
(2)国内のテロ組織等について
国内の反政府組織は近年活発な活動を行っていませんが、麻薬カルテル等犯罪組織による抗争や凶悪犯罪が多発しています。
(3)近年の誘拐情勢
メキシコ全土では、組織的な犯罪として誘拐が横行し、身代金を目的としたビジネスとしても定着しています。
2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)反政府組織
メキシコの反政府組織として、「人民革命軍(EPR)」、「反乱人民革命軍(ERPI)」、「サパティスタ民族解放軍(ERPI)」、「人民革命武装戦線(FARP)」、「5月23日ハラミジスタ・コマンド」等が存在します。これら組織は過去に過激な活動を行っていましたが、近年は目立った活動は確認されておらず、政府機能を麻痺させるだけの力や無差別テロ・自爆テロ等行う危険性は有していないと見られています。
(2)麻薬カルテル等犯罪組織
テロリスト・反政府組織による主立った活動が確認されない一方で、複数の対立する武装した麻薬組織(いわゆる「麻薬カルテル」)やそれに派生するギャング団による各組織間の銃撃戦や、政府・治安機関に対する襲撃等が頻繁に発生しています。その活動地域は、主として北部国境地域や太平洋側の主要港湾などですが、今や全国に拡散しており麻薬の製造や密輸、密売等の麻薬関連犯罪や人身売買、誘拐、恐喝、高速道路における車両強盗、みかじめ料の要求等、その犯罪活動の幅は広く、大都市や観光地においても活動しています。各組織の利権をめぐる対立・抗争に巻き込まれないよう日頃の情報収集及び警戒が必要です。
3 誘拐事件の発生状況
(1)全般的な傾向と対策
メキシコ全土では、組織的な犯罪として誘拐が横行し、身代金を目的とした「ビジネス」として定着しています。2025年における誘拐被害届出件数は459件であり、2024年の487件と比較すると減少しています。
ただし、上記件数はあくまで治安当局に届出があったものであり、2025年の国立統計地理情報院(INEGI)の発表によると、犯罪被害に対する警察または検察等への被害申告は、全体の6.8%であったとされており、これは犯人からの報復への恐れ等により、被害者が届出を行わないことが理由として考えられます。そのため、統計の数値では知り得ない、潜在的な誘拐事件が非常に多く発生しているであろうことを念頭に置く必要があります。
2025年の発生数は、件数別では、チワワ州(71件)が最も多く、次いでソノラ州(36件)、メキシコ州(33件)、ベラクルス(32件)です。誘拐は、ほとんどが金銭目的であり、かつては富裕層が標的となる主でしたが、最近は中流階級も狙われるなど標的が拡大しています。また、外国人が被害に遭うこともあります。
誘拐犯は、犯行を行う前に標的とする人物の事前調査を一定期間行います。自らの身は自ら守る心構えを常に維持し、具体的には、目立たない(犯罪者は標的を選ぶ際、目立つ人物に目をつける傾向がある)、行動を予知されない(行動のパターン化は、犯罪者の襲撃計画を立てやすくする)、用心を怠らない(初心を忘れず、定期的に気持ちを引き締める機会を持つ、自分だけは大丈夫とは決して思わない)ことが重要です。また、自分や家族に関する情報(身分・行動予定等)の秘匿に努め、SNS等インターネット上での個人情報の取り扱いについては十分注意してください。
(その他、対策についての詳細は「海外における脅迫・誘拐対策Q&A」( http://www.anzen.mofa.go.jp/pamph/pamph_04.html )をご参照ください。)
(2)短時間誘拐とバーチャル誘拐
身代金目的の誘拐の他、標的を絞らず偶発的に行われる「短時間誘拐(express kidnap)」及び、実際は誘拐していないものの誘拐を装って金銭をだまし取る「バーチャル誘拐(virtual kidnap)」があります。
短時間誘拐は、全国各地で発生しています。犯人は無理に被害者を車に乗せて車内に閉じ込めて凶器等で脅迫し、ATMへ連れて行き、キャッシュカードまたはクレジットカードで現金を引き出した上で所持品を奪う犯行が多く見られます。当地では、ATMでの現金の引き出し額におよそ5,000~15,000ペソ(約285~855米ドル)の制限があるため、二度現金を引き出させるために被害者を翌日まで拘束する場合や、残高が少ない際には家族にも金銭を要求する場合があります。
こうした犯罪には、流しのタクシー(Libre)が使用されることもあるため、タクシーを利用する場合には、登録された予約制のタクシー(SitioあるいはRadio taxi)やホテル専属の観光タクシー(Turismo)等の利用をお勧めします。また、車両の予約をした場合は、運転手の氏名・車種・ナンバープレートの情報を事前に入手し乗車前に確認する等の対策をとるようにしてください。
バーチャル誘拐に関しては、基本的に見知らぬ電話には出ない、電話に出てしまっても、少しでも疑わしい内容であれば電話を切ることが重要です。手口の一例としは、ホテルの客室等に治安当局や犯罪組織を名乗る者から電話が掛かってきて、言葉巧みに、または脅迫されて個人情報を聞き出されます。その後、電話を常時通話状態にさせられる、SNSを乗っ取られる等して外部との連絡が不可能な状況にされます。この状況下で犯人は被害者の家族に対して誘拐したと脅迫電話を掛け、家族は被害者と連絡が取れないために誘拐されたと信じ、犯人の要求した金額を銀行口座に振り込んでしまうものです。万が一、誘拐したと偽る脅迫電話を受けた際は、誘拐された被害者が実際に誘拐されているかどうか、事実の確認をまず行ってください。
4 日本人・日本権益に対する脅威
現在、メキシコの反体制組織による直接的な脅威は低いものの、組織犯罪や一般犯罪も含めて、日本企業を含む外国権益への脅威の可能性は完全には排除できません。
これまでに、メキシコにおいてテロによる日本人の被害は確認されていませんが、2015年以降も、シリア、チュニジア、バングラデシュ、スリランカ等などにおいてテロによる日本人の被害が確認されています。
近年は、世界的傾向として、軍基地や政府関連施設だけでなく、テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており、特に、警備や監視が手薄で不特定多数が集まる場所を標的としたテロが頻発しています。特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
テロ・誘拐はどこでも起こり得ること、日本人も標的になり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

