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チリ
テロ・誘拐情勢

更新日 2020年02月17日

1 概況
(1)チリでは,2005年以降,反政府主義者による政府関係機関や治安機関,銀行等を標的とした
小規模爆弾事件(未遂及び虚偽の事件を含む)が散発的に発生しています。チリで発生する爆弾事件は,人的被害を目的としていないケースがほとんどでしたが,2014年に首都圏地下鉄1号線のエスクエラ・ミリタール駅において14名が負傷する大規模爆弾事件が発生しました。その後,政府はテロ対策を一層強化し,多くのアナーキスト(無政府主義者)を逮捕したことなどもあり,爆弾事件は減少していました。しかしながら,2017年1月にチリ銅公社(コデルコ)会長宛の小包爆弾事件,2019年1月にサンティアゴ市内プロビデンシア区所在のバス停において封筒爆弾事件が発生し,エコテロリストを名乗るグループ,野生化する個人主義者たち(ITS)が犯行声明を出しました。2019年7月には,サンティアゴ市内ウエチュラバ警察署内において小包爆弾事件が発生し,複数の警察官が負傷しました。
(2)1990年までのピノチェット軍事政権時代に,犯罪組織によって国内へ持ち込まれた大量の武
器は,未だ国内各地に隠匿され,犯罪者の手に渡っているとの情報があります。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)組織
 1990年の民政移管以前は,マヌエル・ロドリゲス愛国戦線(FPMR),左翼革命運動(MIR),ラウターロ青年運動(MJL)等の左翼武装勢力が存在し,ピノチェット軍事政権打倒を目標として過激なテロ活動を展開してきました。1990年以後,これらの組織は全て解体されたとみられていますが,元メンバーの一部が武装強盗や爆弾事件を起こしていると見られています。
(2)地域
 南部の第8州(ビオビオ州),第9州(ラ・アラウカニア州),第10州(ロス・ラゴス州),第14州(ロス・リオス州)では,先住民系の一部過激派による発砲事件や放火事件なども発生しています。

3 誘拐事件の発生状況
 チリは,他の中南米諸国に比べると誘拐発生件数は多くありません。治安当局は年間の誘拐発生件数を公表していませんが,年間145件前後発生していると見られています。特に麻薬と関連するものが主で,近年,邦人被害は報告されていません。
 しかし,中南米で多発し,被害届があまり出されないことから認知件数が少ない,いわゆる「短時間誘拐」(被害者を一時的に拘束し,ATM(現金自動預払機)等で現金を引き出させた後解放するもの)が発生しており、邦人も被害に遭う可能性があるため,注意が必要です。
また,偽装誘拐も注意が必要です。例として,アンケートと称して子供から家の電話番号を聞き出し,その後,その子供が戸外にいる間を見計らって家宅に電話し,その子供を誘拐したと偽るものがあります。こうした類いの電話を受けた際は,犯人により示された被害者が実際に誘拐されているかどうか,事実の確認(生存確認)をまず行ってください。
 その他,現金を人前で出さない,必要以上に大金を持ち歩かない,貴金属を身につける等お金持に見られないよう目立たない格好(地味な格好)をする,更に,親切に近づいてくる人物をむやみに信用しない等の基本的な対策を常に意識することが重要です。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 テロによる日本人の被害は,シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは,日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており,これまでもチュニジア,ベルギー,バングラデシュ,スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
 近年では,単独犯によるテロや一般市民が多く集まる公共交通機関等(ソフトターゲット)を標的としたテロが頻発するなど,テロの発生を予測し未然に防ぐことがますます困難となっています。
 このように,テロはどこでも起こり得ること,日本人も標的となり得ることを十分に認識し,テロの被害に遭わないよう,海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め,状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。

テロについて

 「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが,一般には,特定の主義主張に基づき,国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は,このような「テロ」に該当するか否かにかかわらず,外務省が報道等の情報に基づいて海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり,本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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