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テロ・誘拐情勢

2018年02月16日

1.概況
(1)チリでは,2005年以降,反政府主義者による政府関係機関や治安機関,銀行等を標的とした小規模爆弾事件(未遂及び虚偽の事件を含む)が散発的に発生しています。チリで発生する爆弾事件は,人的被害を目的としていないケースがほとんどでしたが,2014年に首都圏地下鉄1号線のエスクエラ・ミリタール駅において14名が負傷する大規模爆弾事件が発生しました。その後,政府はテロ対策を一層強化し,多くのアナーキスト(無政府主義者)を逮捕したことなどもあり,爆弾事件は減少していました。しかしながら,2017年1月にチリ銅公社(コデルコ)会長宛の小包爆弾事件が発生し,エコテロリストを名乗るグループが犯行声明を出しました。

(2)1990年までのピノチェット軍事政権時代に,犯罪組織によって国内へ持ち込まれた大量の武器は,未だ国内各地に隠匿され,犯罪者の手に渡っているとの情報があります。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1) 組織
 1990年の民政移管以前は,マヌエル・ロドリゲス愛国戦線(FPMR),左翼革命運動(MIR),ラウターロ青年運動(MJL)等の左翼武装勢力が存在し,ピノチェット軍事政権打倒を目標として過激なテロ活動を展開してきました。1990年以後,これらの組織は全て解体されたとみられていますが,元メンバーの一部が武装強盗や爆弾事件を起こしていると見られています。

(2) 地域
 南部の第8州(ビオビオ州),第9州(ラ・アラウカニア州),第10州(ロス・ラゴス州)では,一部過激派による発砲事件や放火事件なども発生しています。

3.誘拐事件の発生状況
 チリは,他の中南米諸国に比べると誘拐発生件数は多くありません。治安当局は年間の誘拐発生件数を公表していませんが,年間150件前後発生していると見られています。特に富裕層を狙ったものが主で,近年,邦人被害は報告されていません。
 しかし,中南米で多発し,被害届があまり出されないことから認知件数が少ない,いわゆる「短時間誘拐」(被害者を一時的に拘束し,ATM(現金自動預払機)等で現金を引き出させた後解放するもの)が発生しており、邦人も被害に遭う可能性があるため,注意が必要です。具体的には,流しのタクシーに乗車した結果被害に遭うケースが見受けられるため,流しのタクシーよりも,インターネット等で予約できるタクシーの利用をお勧めします。
 また,偽装誘拐も注意が必要です。例として,アンケートと称して子供から家の電話番号を聞き出し,その後,その子供が戸外にいる間を見計らって家宅に電話し,その子供を誘拐したと偽るものがあります。こうした類いの電話を受けた際は,犯人により示された被害者が実際に誘拐されているかどうか,事実の確認(生存確認)をまず行ってください。
その他,現金を人前で出さない,必要以上に大金を持ち歩かない,貴金属を身につける等お金持に見られないよう目立たない格好(地味な格好)をする,更に,親切に近づいてくる人物をむやみに信用しない等の基本的な対策を常に意識することが重要です。

4.日本人・日本権益に対する脅威
 現時点で,チリにおいて,日本人・日本権益を標的とするテロや誘拐の脅威は高くないと見られています。一方で,近年,シリアやチュニジア及びバングラデシュにおいて日本人が殺害されたテロ事件や,米国,英国,フランス,ドイツ,ベルギー,トルコ,インドネシア,フィリピン等,日本人の渡航者が多い国でもテロ事件が多数発生しています。このように,世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか,これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており,日本人・日本権益が標的となり,テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。このような情勢を十分に認識して,誘拐,脅迫,テロ等に遭わないよう,また,巻き込まれることがないよう,海外安全情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め,日頃から危機管理意識を持つとともに,状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。

(注記)
 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが,一般には,特定の主義主張に基づき,国家等にその受け入れを強要し,又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は,このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず,外務省が,報道等の情報等に基づき,海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり,本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。