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テロ・誘拐情勢

2017年07月03日

1.概況
(1)従来、コロンビアには主要な反政府武装組織として、「コロンビア革命軍(FARC)」と「国民解放軍(ELN)」の二大勢力が存在し、山間部や国境付近を中心としてテロ活動を行っていました。しかし、FARCに関しては、コロンビア政府は2012年末から和平交渉を開始し、2016年11月に和平合意が国会で承認されました。その後、和平合意関連法案が可決され、構成員の市民生活復帰、最大の資金源であった麻薬の生産や取引の根絶等が治安維持・改善に向けた大きな要素となると見られています。

(2)他方、ELNに関しては、和平交渉は開始されているものの、依然として治安当局の人員が少ない国境付近のジャングルや山岳地帯等で活動を続けており、ボゴタ市においても、2017年2月、闘牛場付近での爆弾テロ等を起こしています。

(3)その他、パラミリタリーと呼ばれる非合法武装集団が存在し、そのほとんどは解体されましたが、残った少数グループが新興非合法武装組織(BACRIM)として、殺人、誘拐、恐喝等の違法行為を依然として行っています。

(4)2002年以降の政府と治安当局の警備強化対策等の結果、コロンビアにおけるテロ事件の発生件数は、2012年の894件をピークに減少し、2016年は212件となりました。しかし、上述のとおり、依然として反政府武装組織等によるテロ事件等が発生しているため、注意が必要です。、、

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)コロンビア革命軍(FARC)
 FARCは、貧農の自警団から誕生し、共産主義の影響を受けたコロンビア最大の反政府武装組織です。誘拐、恐喝等資金獲得のための違法行為だけではなく、軍、警察や政治家を狙った爆弾テロ、襲撃、橋や道路の爆破等を行っていました。その後、2000年代からの治安当局による取締りの強化等によりその勢力は減少し、また、2012年11月に開始された政府との和平交渉とその合意の結果、現在は全国26の集住地域に集められ、国連主導による武装解除(自発的な武器の引渡し)が実施されました。他方で、政府との和平方針に従わなかった一部の者が誘拐行為を働くこともあり、引き続き注意する必要があります。

(2)国民解放軍(ELN)
 ELNは、1960年代のキューバ革命の影響を受けた反政府武装組織です。戦力、資金力においてはFARCを下回りますが、誘拐、治安当局に対する攻撃、都市部における爆弾事件、エネルギー関連施設やインフラ施設の破壊等、非合法活動を繰り返しており、主にベネズエラとの国境付近等において活発な活動が見られます。また、2017年2月には、エクアドルにおいてコロンビア政府との正式な和平交渉が開始されてはいるものの、同月のボゴタ市内の闘牛場付近での爆弾テロ事件、6月のノルテ・デ・サンタンデール県でのオランダ人ジャーナリストの誘拐(後日解放)、ボゴタ市内のショッピング・センター「セントロ・アンディノ」での爆弾テロ事件(報道によれば、ELNの分派の関与の指摘あり、フランス人女性を含む3名が死亡)への関与が疑われています。更に、FARCがかつて支配していた地域へ進出しているとされており、今後の状況によってはテロの活動を活発化させる可能性もあるので、引き続き十分注意が必要です。

(3)新興非合法武装組織(BACRIM:Bandas Criminales)
 パラミリタリーには和平プロセスに参加しなかったグループがあり、また、既に武装放棄したグループの構成員のうち、社会復帰できなかったメンバーによる新たな犯罪組織も結成されています。これら武装組織もELNと同様、FARCがかつて支配していた地域への進出が見られています。これら組織は、引き続き殺人、誘拐、恐喝等の違法行為を行っており、主にアンティオキア県、ボリーバル県南部、サンタンデール県北部等において活動が見られます。

3.誘拐事件の発生状況
 2002年以降、警察官の街頭配置等によってゲリラによる違法検問への対策や誘拐対策が強化されています。近年の誘拐事件の発生件数は減少傾向にあり、年間200~300件で推移しています。誘拐は、ベネズエラ、パナマ、エクアドル国境で比較的多くみられますが、都市部でも発生しています。また「パセオ・ミジョナリオ」と言われる短時間誘拐(被害者を一時的に拘束して所持金品を強奪し、ATM(現金自動預払機)等で現金を引き出させた上で解放するもの)の発生も報告されており、最新の治安情報の入手に努めるとともに、「目立たない」、「行動を予知されない」、「用心を怠らない」の安全のための三原則を心掛け、日頃から自らの安全確保に努めてください。

4.日本人・日本権益に対する脅威
 日本人が2001年に誘拐され、2003年にFARCにより殺害された事件など、日本人が被害に遭う事件が発生しています。これら反政府武装組織等は、和平交渉は進んでいるとは言え、コロンビアに居住・滞在する方への脅威となっています。
 また、近年、シリア、チュニジア及びバングラデシュにおいて日本人が殺害されたテロ事件や、英国、フランス、ドイツ、ベルギー、トルコ、インドネシア、フィリピン等、日本人の渡航者が多い国でもテロ事件が多数発生しています。このように、世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか、これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており、日本人・日本権益が標的となり、テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。このような情勢を十分に認識して、誘拐、脅迫、テロ等に遭わないよう、また、巻き込まれることがないよう、海外安全情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め、日頃から危機管理意識を持つとともに、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。

(注記)
 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる暴力、殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が、報道等の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される日本人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり、本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。