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コロンビア
テロ・誘拐情勢
更新日 2026年05月12日
1 概況
(1)近年のテロ情勢
2016年11月、反政府武装組織として最大勢力であった「コロンビア革命軍(FARC)」は、コロンビア政府と和平合意に署名し、現在和平プロセスが進展しています。しかし、和平合意に従わない一部の元FARC幹部やFARC分派が、依然としてジャングルや隣国との国境付近を中心に治安当局を標的としたテロ、誘拐等の犯罪を行っています。2022年3月には、ボゴタ市内のCAI(日本の交番に似た警察施設)に対する爆破テロを実施し、付近にいた児童2名が死亡したほか、警察官1名を含む30名以上が負傷、近隣家屋約50戸に物的被害が発生しました。また、FARCと政府の和平合意後に国内最大勢力となった「国民解放軍(ELN)」及び「クラン・デル・ゴルフォ」等のゲリラ、武装犯罪組織、多数の麻薬犯罪組織も、誘拐、テロ、殺人、恐喝、麻薬の密造・密輸・密売等の犯罪を行っています。
テロの発生件数はかつてより大きく減少したものの、2017年に113件の最少の件数を記録して以降、200-400件で推移していた件数は2022年に1,229件と大幅に増加しました。件数は2023年に343件、2024年は390件であったところ、2025年に622件に増加しました。2022年8月に就任したペトロ大統領は、国内全てのゲリラや武装犯罪組織を対象とした和平対話プロセスである「全面和平(PAZ TOTAL)」を呼びかけていますが、2025年12月末現在、和平交渉は事実上停止している状態です。
(2)国内のテロ組織等について
コロンビア国内では「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」等のイスラム過激派等の組織的な活動は確認されていませんが、これまでにISILとの関連が疑われるキューバ人が逮捕されたほか、イラク人が退去強制処分を受けており、過激思想の影響が疑われる個人の存在が確認されていることから、イスラム過激派等の動向についても注意が必要です。
(3)近年の誘拐情勢
誘拐事件の発生件数は以前に比べると大幅に減少し、2023年は421件、2024年は345件と減少傾向が続いていましたが、2025年は676件(前年比96%増)に急増しました。ELNやその他の犯罪組織が政治的又は身代金目的で誘拐を行っているほか、都市部では偽装タクシーを使用した短時間誘拐が増加していること等が一因と見られ、十分な注意が必要です。
2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)国民解放軍(ELN)
ペトロ大統領の呼びかけにより政府との和平交渉を再開しましたが、停戦合意は必ずしも守られておらず、依然としてテロ、誘拐、恐喝、治安当局への攻撃、石油パイプラインの爆破、麻薬の密造・密売等の犯罪を行っています。FARCと政府の和平成立により、2016年以降FARCが撤退した地域において勢力を拡大したと言われ、活動が活発な地域は、アラウカ県、ノルテデサンタンデル県カタトゥンボ地域、チョコ県等です。都市部でのテロ実行能力を有するとされ、2017年から2019年にかけてボゴタ市やバランキジャ市の警察施設やショッピングセンターでテロを実行したほか、2022年1月にはカリ市で警察暴動鎮圧機動隊の乗車した車両を爆破し、2023年11月にはコロンビアの著名なサッカー選手の両親を誘拐しました。2024年アンティオキア県アノリにおける国軍兵士殺害により、和平交渉は事実上停止しています。
(2)コロンビア革命軍(FARC)分派
2016年の和平合意に従わない一部のFARC分派は、引き続きジャングルを拠点にテロ、誘拐、恐喝、治安当局を狙った攻撃、麻薬の密造・密売等の犯罪を行っています。現在、活動が活発な地域はノルテデサンタンデル県、アラウカ県、カウカ県、ナリニョ県です。2018年には、エクアドル国境付近でエクアドル人ジャーナリストら5名を誘拐した上で殺害しています。また、2022年3月には、ボゴタ市内のCAIに対する爆破テロを行い、児童2名が死亡したほか、警察官1名を含む30名以上が負傷しました。
FARC分派は複数のグループで構成されており、いくつかのグループが和平交渉に応じる姿勢を見せていますが、一方でナリニョ県やカウカ県でグループ内での抗争が発生しており、農村部の住民が避難を余儀なくされるなどの事態となっています。
(3)武装犯罪組織(GAO:Grupo Armado Organizado)
政府は、ELN、FARC分派の他に「クラン・デル・ゴルフォ」等の組織を治安上の脅威としてGAOに指定し、組織壊滅のための対策に取り組んでいます。これらの組織は、誘拐、恐喝、治安当局への攻撃、麻薬の密造・密売、鉱物資源の違法採掘等の犯罪収益で活動しています。活動が活発なのはノルテデサンタンデル県カタトゥンボ地域、アンティオキア県バホ・カウカ地域、ボリバル県南部、ナリニョ県、アンティオキア県とチョコ県にまたがるウラバ地域等です。「クラン・デル・ゴルフォ」は政府との双方向停戦合意や破棄を繰り返し、2025年にはカタールの仲介で和平協議を再開しましたが、現在は大きな進展が見られません。
3 誘拐事件の発生状況
ELNなどが政府との和平交渉で優位に立つために誘拐行為を継続していると考えられるほか、資金源として地元の農業主、商業主等を標的に営利目的誘拐を実行しているとみられます。これらの犯行は事前調査により犯行計画を練った上で実行され、被害者の身近な親族、会社の同僚、警備員等が犯罪組織に内通している場合が多いと言われます。日常生活において行動をパターン化しない、身近な第三者に不審な動きがないか注意する等の心構えが必要です。
誘拐が非常に多かった2000年代前半は、長期にわたり身柄を拘束し、都市間を転々としながら身代金を要求する手口が多かったものの、現在は都市部で犯罪組織がタクシーを偽装して乗客・家族から身代金を要求する短時間誘拐「パセオ・ミジョナリオ」に代表されるように、短時間で取れるだけ取る手口が増えています。被害に遭わないためには、流しのタクシーの利用は避け、タクシーアプリ等で無線タクシーを利用する必要があります。
4 日本人・日本権益に対する脅威
現在、コロンビアにおいて日本人及び日本権益を標的とした脅威情報は確認されていませんが、2017年6月、ボゴタ市のショッピングセンター「アンディーノ」で発生したテロ事件では、外国人を含む市民が死傷しており、今後も同様のテロ事件が発生する可能性は否定できません。また、過去に日本人がFARCに誘拐され殺害された事件が発生しているほか、現在もELNや武装犯罪組織が誘拐を行っており、都市部では偽装タクシーによる短時間誘拐の被害もあるため注意が必要です。
近年は、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で一般市民が多く集まる場所(ソフトターゲット)を標的としたテロが世界各地で頻発しています。これらは組織性が低い単独犯によるテロが多く、事前の取締りが難しいため、今後も継続することが懸念されます。
特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、警備や監視が手薄で不特定多数の人が多く集まるため、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

