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テロ・誘拐情勢

2017年12月31日

1.概況
(1)グアテマラでは1996年の和平協定締結以降,テロ組織,反政府組織や国際的なテロ組織の関連組織の活動は確認されていません。
(2)2017年12月21日,国連総会の緊急特別会合において,グアテマラは「エルサレムはイスエルの首都である」との米国政府による決定の撤回を求める決議案に対し反対票を投じ,更に同24日,モラレス大統領はフェイスブックにおいて,在イスラエル・グアテマラ大使館をエルサレムへ移転することを決定したと発表したことを受け,国内でのテロの脅威が上がる可能性があるとの見方もあります。2017年12月31日時点では,当地において同決定に対する反発などは表面化しておらず,軍や警察による特別な措置は執られていませんが,今後も情勢を注視する必要があります。
(3)警察から提供される犯罪統計によれば,犯罪発生件数及び誘拐事件発生件数(2017年は24件,2016年は 27件,2015年は32件,2014年は40件)は減少傾向にあり,治安対策は強化されています。ただし,行方不明者が全国で年間約3000人発生しており,この中に誘拐の被害者が多数存在している可能性もあります。
(4)誘拐事件はいずれも,身代金や復讐を目的としたものです。従来,身代金目的の場合には身代金さえ支払えば解放されるケースが多かったものの,最近は支払いを行っても解放されず,人質が殺害されるケースも散見されます。
(5)統計上,犯罪発生数や誘拐事件発生件数が年々減っているとはいえ,市民の体感治安の悪さは変化しておらず,犯罪組織による殺人,強盗などの凶悪事件は発生しています。2017年11月10日には,脅迫金未払いを理由に当地大手企業の従業員を標的とする襲撃事件が連続して6件発生し,4名が死亡,多数が負傷しました。
(6)グアテマラは,以前から中米における麻薬の通り道となっており,特にグアテマラ北部地域では組織的な麻薬密輸が行われているため,政府は米国の協力のもと,軍および警察を大規模に動員して取り締まりを強化しています。この結果,グアテマラ北部の森林地帯への軽飛行機等による麻薬の密輸が減り,隣国ホンジュラスから陸路で輸送するケースが増加しています。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)グアテマラ国内には約1.5万人のアラブ系住民が在住していますが,そのほとんどがキリスト教徒であり,イスラム教徒は約1200人です。
(2)イスラム教徒は,主にグアテマラ市第1区に居住し,衣類や香水の商売に従事しています。
(3)イスラム教徒のコミュニティーは複数存在しますが,いずれの組織もリーダー等の実態は明らかになっており,現在,アル・カーイダ,ISIL等と関連のある組織は国内に存在していません。しかし,表向きは衣類や香水の商売を行い,裏では資金洗浄や密出入国の支援を行っている者もいるという指摘もあります。

3.誘拐事件の発生状況
 国家文民警察調べによれば以下のとおりです。
(1)年間発生件数
 2017年の誘拐事件発生件数は24 件です。
(2)地域別状況
 首都が所在するグアテマラ県で最多の4件(16.7%),ウエウエテナンゴ県で3件(12.5%),他の22県で多くとも2件発生しています。
(3)犯行主体
 大半は身代金を目的とした犯罪組織です。
(4)主な標的
 これまで富裕層が被害に遭うケースが多かったものの,様々な対策を取るなど警備を強化したため,富裕層では無い一般市民等の被害が増加しています。
(5)目的
 大半は身代金等の金銭目的の犯行です。また,拳銃やナイフを突きつけて脅し,最寄りのキャッシュ・ディスペンサーまで連れて行き現金を引き出させたり,自動車を乗員ごと連れ去り,人気のないところで解放して自動車を持ち去ったりといった,自動車窃盗を目的とした短時間強盗が発生しています。その他の目的として怨恨,犯罪組織同士の抗争があります。
(6)手法の特徴
 (ア)計画性
 全て計画的に実行されたもので,誘拐対象者の選定および監視,誘拐の実行,身代金の要求および交渉,身代金の授受,人質解放の順で実行されます。また誘拐の実行,身代金の交渉等それぞれの段階に専門の犯罪グループが存在し,仕事を請け負う場合があります。
 (イ)犯行場所
 対象者の自宅,職場,学校付近等日常の行動範囲内で誘拐されるケースが大半です。
 (ウ)被害者の状況
 大半は,対象者が単独のときに実行されていますが,複数でいる場合に被害に遭うケースもあります。
 (エ)犯行に用いる道具
  (a)車両
 2~3台の盗難車および二人乗りオートバイ。
  (b)武器
 自動小銃および拳銃などの取り扱いに習熟しています。
  (c)通信手段
 無線機,携帯電話,インターネット。

4.日本人・日本権益に対する脅威
(1)現在までのところ,日本人・日本権益を対象としたテロの脅威は低いと見られますが,誘拐事件については,外国人が被害に遭う事件も発生していることから,以下のことに注意して下さい。
(2)主な誘拐防止策
 (ア)行動パターンを知られないようにしてください。
  (a)行動パターンが一定にならぬよう,外出時間,帰宅時間,移動経路などを頻繁に変更してください。
  (b)使用人(家政婦,運転手,警備員等)が犯罪者に対し情報提供することがあるので,行動予定などを必要以上に教えないでください。SNS等,インターネット上での情報の発信にも同様に注意して下さい。
  (c)日頃より警備体制をアピールする等,犯人側にリスクが高いことを示すのは効果的です。
 (イ)下記のような誘拐の兆候がある際は,予定の変更や警察への通報等の予防策をとってください。
  (a)見知らぬ者の突然の訪問や電話(間違い電話,無言電話,セールス,アンケートなど)があった。
  (b)不審者,不審車両を見た(尾行や待ち伏せの可能性が疑われるもの)。
(ウ)銀行内部に犯人の協力者がいたというケースもあり,預金情報が漏洩する危険性もあるので先進国等の海外口座で決済してください。また,大金の入った口座情報の取り扱いを厳重にしてください。


(注記)
 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが,一般には,特定の主義主張に基づき,国家等にその受け入れを強要し,又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は,このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず,外務省が,報道等の情報等に基づき,海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり,本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。