エクアドル
テロ・誘拐情勢
更新日 2025年02月05日
1 概況
エクアドルにおいて、長らく爆発事件等は発生していませんでしたが、2018年1月27日、コロンビアに隣接するエスメラルダス県サン・ロレンソ市において、警察施設の近辺に仕掛けられた爆弾が爆発しました。エクアドル政府は、本件をテロ事件であるとし、治安当局による活動が継続して強化されていますが、2018年以降、爆弾事案、銃撃、民間人を対象とした誘拐殺人事件等が相次いで発生しており、2024年1月8日、ノボア大統領は国内における反政府組織の勢力が活発化し、治安が極度に悪化していることで、国内全土に非常事態宣言を発令した上で、国際犯罪組織をテロリストと位置づけ、国内は武力衝突状態にあると宣言しました。これにより、政府は国家警察に加え国軍を導入することで、犯罪多発地域における巡回強化、刑務所内の管理徹底及び国境監視強化など治安回復に向けたオペレーションを展開しましたが、それ以降も国内各地では爆弾事案や銃撃が頻繁に発生しており、現在も主要な地域における非常事態宣言は継続され、非常に不安定な治安状況が続いています。
2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
コロンビアと国境を接する地域付近では、近年コロンビア政府と和平合意した「コロンビア革命軍(FARC)」の中で同合意に反意を示す勢力等の浸透が認められます。上記1の事件についても、同勢力の関与が認められ、関係者複数が検挙されています。その他、犯罪組織等が殺人・誘拐等の凶悪犯罪や麻薬・銃器の密輸を行うなど、治安に深刻な影響を与えています。
2019年からメキシコやコロンビアの麻薬組織が国内に流入した影響で、治安が年々悪化しており、特に麻薬の密売ルートとされている沿岸部地域においては、犯罪組織間の抗争が活発化し、特に殺人事件数は、この5年間で4倍以上に増え、2023年は過去最大の発生件数となりました。また、2024年は国家警察及び国軍による強力な治安対策を取り進めたことで、犯罪件数は減少したものの依然として爆弾事件や銃撃事件が継続して発生しています。
3 誘拐事件の発生状況
エクアドル国家警察からの統計によると、2023年中の誘拐件数は1,146 件、2024年は11月末現在で1,710件発生しました。増加の理由は特定できませんが、政府による違法薬物の取締りが強化されたことで、犯罪組織が資金を調達する新たな手法として誘拐行為を常習的に行っているとも考えられています。また、犯罪組織による凶悪事件の多発地域であり、違法薬物の流通経路とされているグアヤス県においては、全誘拐件数の48%を占めており渡航する際には特に注意が必要です。
また、日本人が被害者となったケースとして、2013年12月には観光客2名が流しのタクシーに乗車し短時間誘拐に遭い抵抗したところ、1名が殺害され、1名が負傷しました。以降、日本人を含む外国人が誘拐事件の対象として特段狙われる傾向はありませんが、誰でも短時間誘拐の被害者になる可能性があることから、夜間から早朝にかけては、一人で外を出歩かない、流しのタクシーの利用は避け、タクシーアプリ等で無線タクシーを利用する等の基本的な防犯対策を実施する必要があります。
4 日本人・日本権益に対する脅威
現在のところ、エクアドルにおいて、テロによる日本人の被害は確認されていません。
他方、テロによる日本人の被害は、シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアを始めとする世界中で発生しており、これまでもチュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
近年は、世界的傾向として、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で不特定多数が集まる場所を標的としたテロが頻発しています。特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
また、外国人を標的とした誘拐のリスクも排除されず、注意が必要です。
テロ・誘拐はどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。