北マケドニア共和国
テロ・誘拐情勢
更新日 2025年03月11日
1 概況
(1)北マケドニア国内には、2001年に北マケドニア政府とアルバニア系武装勢力の間で締結された枠組み合意(オフリド合意)及び現政権の民族融和政策に対して不満を持つグループが存在し、首都スコピエを含む北部及び西部を中心に、これらのグループが関与した可能性のある警察官、警察施設等に対する銃撃事件等が発生していました。2015年には、アルバニア系武装勢力による国境及び警察署に対する襲撃事件が発生し、事件後、治安機関によって大規模な掃討作戦が行われ、多数の関係者が逮捕されました。
(2)治安当局は、北マケドニアにおける脅威として、シリア等の紛争地において「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」や「アル・ヌスラ戦線」、その他のテロ組織に参加経験がある北マケドニア出身戦闘員の帰還を挙げています。2018年8月、北マケドニア治安当局はイラク・シリアにおける戦闘に参加したとみられる7名を逮捕しました。
(3)2020年11月2日にウイーンで発生した銃撃事件の実行犯は、現場で警察に射殺された者も含め3名がオーストリアと北マケドニアの二重国籍者であり、その両親等はコソボ国境に近いテトヴォ近郊の農村出身でした。
(4)2021年12月、北マケドニアの国家暴力過激主義対策・反テロリズム委員会(NCCVECT)は、年次テロ報告書で、2021年(11月末時点)には北マケドニアからISILへの新たな参加者はなかったが、北マケドニアの反テロ活動の最大の対象はISILの元外国人戦闘員(FTF)である旨を発表しました。また、シリア・イラクでの過激派への参加を企図して渡航した人数は累計で143名であり、そのうち実際に過激派に参加したのは126名(38名が死亡、69名が帰国、19名が現地に残留)、残り17名は不明と発表しています。
(5)2024年11月及び12月にISILの影響を受けた人物によるテロ計画が判明し、4名の逮捕者が出ました。治安当局によると犯人グループはISILのイデオロギーに基づき、民間人及び公共施設を狙ったテロを計画していました。また、捜査の過程で、押収された資料からアルバニア系であること、欧州でのテロ行為呼びかけや爆発物の作り方を広めるなど、国内外に危険を及ぼす組織ということが判明しました。
2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
「1 概況」のとおり。
3 誘拐事件の発生状況
北マケドニアにおいて、日本人が標的となる誘拐事件は確認されていません。
4 日本人・日本権益に対する脅威
現在のところ、北マケドニアにおいて、テロ・誘拐による日本人の被害は確認されていません。
他方、テロによる日本人の被害は、シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアを始めとする世界中で発生しており、これまでもチュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
近年は、世界的傾向として、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で不特定多数が集まる場所を標的としたテロが頻発しています。特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
また、外国人を標的とした誘拐のリスクも排除されず、注意が必要です。
テロ・誘拐はどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。