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ボスニア・ヘルツェゴビナ
テロ・誘拐情勢

更新日 2025年07月31日

1 概況
(1)ボスニア・ヘルツェゴビナでは、過去にイスラム過激派等によるとみられる爆弾テロが発生した事例がありますが、EUを中心とした国際部隊(EUFOR)が引き続き駐留していること、また、EU警察ミッション(EUPM:2012年6月30日に任務を終了)等の監督下で警察部門の機構整備・法執行能力の向上に向けた努力が行われていたこと等から、治安情勢全般については概ね安定している状況にあるといえます。
(2)他方、2014年9月には、ボスニア・ヘルツェゴビナのイスラム原理主義指導者が、国内のイスラム教徒に対してイスラム過激派組織、「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」への参加を呼びかけ、テロ扇動行為により逮捕、起訴されました。また、シリアやイラクでISILの戦闘に参加していたボスニア・ヘルツェゴビナ国籍者が数十名帰還しており、国内には今なお支持者がいると考えられています。このため、テロの潜在的な脅威に引き続き注意が必要です。
(3)EUFORは、国際社会における安全保障環境の悪化が同国の不安定化に繋がる可能性があるとして、2022年2月に500人の予備隊員をボスニア・ヘルツェゴビナに追加配備しており、治安情勢の動向を注視する必要があります(現時点の同国駐留EUFOR隊員数は約1,600名)。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
 近年、ボスニア・ヘルツェゴビナで発生した主要なテロ事件等(未遂を含む)は以下のとおりです。なお、最近の傾向として、国内の学校、病院、警察署、裁判所、大型商業施設、空港等に対する爆破予告が散発的に発生しています。テロ組織やイスラム過激派組織が関与しているとの情報はなく、これまでのところ実際に爆発物が発見されたり、不審物が爆発したりといった報道もありませんが、注意が必要です。
(1)2014年9月、イスラム過激派組織指導者を含む16名がISIL支持を公言し、シリア・イラクでのイスラム戦士となるよう呼びかけ、勧誘活動を行ったとして逮捕。
(2)2015年4月、東部のセルビア国境近郊のズボルニクにおいて、襲撃事件が発生し、警察官1名が死亡、2名が負傷。
(3)2015年11月、サラエボ郊外ライロバツにおいて、男が銃撃し、兵士2名が死亡。
(4)2015年12月、国内において大規模テロを計画したとして、治安当局が11名を拘束。
(5)2018年4月、国内におけるテロ計画容疑で治安当局が2名を拘束及び多数の武器を押収。
(6)2020年6月、国内におけるテロ扇動容疑で治安当局が1名を拘束。
(7)2022年3月、東部のフォチャにおいて、テロ計画容疑で治安当局が3名を拘束。
(8)2022年6月、サラエボ市内において、テロの脅迫容疑で治安当局が1名を拘束。
(9)2023年8月、ISILと連絡を取り、爆発物による宗教施設へのテロを計画したとして治安当局が1名を逮捕。
(10)2024年1月~2月、テロ活動に勧誘していたとして、治安当局が2名を拘束。
(11)2024年10月、北西部ボザンスカ・クルパにおいて、警察署が襲撃され、警察官1名が死亡、治安当局が未成年者等7名を逮捕(逮捕者の中にはイスラム系の学校に通っていた者もいた)。

3 誘拐事件の発生状況
 ボスニア・ヘルツェゴビナ当局公表の統計によれば、紛争終結後の同国における誘拐事件の発生は極めて少なく、また、それらの多くが富裕者を対象とした金銭目的の犯罪とみられています。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 現在のところ、ボスニア・ヘルツェゴビナにおいて、テロ・誘拐による日本人の被害は確認されていません。一方で、2015年9月にISILの機関誌が在ボスニア・ヘルツェゴビナ日本国大使館を標的候補の1つとして例示した経緯からも分かるとおり、今後、大使館や在留邦人・日本人旅行者等が標的とされる、又は巻き込まれる危険性は排除されず、引き続き注意する必要があります。
 テロによる日本人の被害は、渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアを始めとする世界中で発生しており、これまでもチュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
 近年は、世界的な傾向として、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で不特定多数が集まる場所を標的としたテロが頻発しています。特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
 また、外国人を標的とした誘拐のリスクも排除されず、注意が必要です。
 テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

(注記)
「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が、報道等の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり、本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

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