1. ホーム
  2. 地図からの選択
  3. テロ・誘拐情勢
  4. ボスニア・ヘルツェゴビナ

ボスニア・ヘルツェゴビナ
テロ・誘拐情勢

更新日 2024年10月16日

1 概況
(1)ボスニア・ヘルツェゴビナでは、過去にイスラム過激派等によるとみられる爆弾テロが発生した事例がありますが、EUを中心とした国際部隊(EUFOR)が引き続き駐留していること、また、EU警察ミッション(EUPM:2012年6月30日に任務を終了)等の監督の下で警察部門の機構整備・法執行能力の向上に向けた努力が行われていたこと等から、治安情勢全般については概ね安定している状況にあるといえます。
(2)他方、2014年9月には、ボスニア・ヘルツェゴビナのイスラム原理主義指導者が、国内のイスラム教徒に対してイスラム過激派組織、「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」への参加を呼びかけて、テロ扇動行為により逮捕、起訴されました。また、シリアやイラクでISILの戦闘に参加していたボスニア・ヘルツェゴビナ国籍者が数十名帰還しており、国内には今なお支持者・共鳴者がいると考えられています。このため、テロの潜在的な脅威に引き続き注意が必要です。
(3)EUFORは、国際社会における安全保障環境の悪化が同国の不安定化に繋がる可能性があるとして、2022年2月に500人の予備隊員をボスニア・ヘルツェゴビナに追加配備しており、治安情勢の動向を注視する必要があります(現時点の同国駐留EUFOR隊員数は約1,100名)。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
 近年、ボスニア・ヘルツェゴビナで発生した主要なテロ事件等(未遂を含む)は以下のとおりです。なお、最近の傾向として、国内の学校、病院、警察署、裁判所等に対する爆破予告が散発的に発生していますが、これまでのところ実際に爆発物が発見されたり、不審物が爆発したりといった報道はなく、テロ組織やイスラム過激派組織が関与しているとの情報もありません。
(1)2010年6月、中部のブゴイノにおいて、警察署への爆弾テロ事件が発生し、同警察署の警察官1名が死亡、6名が負傷。
(2)2011年10月、サラエボ市内にある米国大使館に向けて男が自動小銃を乱射し、警察官1名が負傷。
(3)2012年、テロを計画していたとして治安当局がイスラム過激派組織のメンバー5名を拘束。
(4)2014年9月、イスラム過激派組織指導者を含む16名がISIL支持を公言し、シリア・イラクでのイスラム戦士となるよう呼びかけ、勧誘活動を行ったとして逮捕。
(5)2015年4月、東部のセルビア国境近郊のズボルニクにおいて、襲撃事件が発生し、警察官1名が死亡、2名が負傷。
(6)2015年11月、サラエボ郊外ライロバツにおいて、男が銃撃し、兵士2名が死亡。
(7)2015年12月、国内において大規模テロを計画したとして、治安当局が11名を拘束。
(8)2018年4月、国内におけるテロ計画容疑で治安当局が2名を拘束及び多数の武器を押収。
(9)2020年6月、国内におけるテロ扇動容疑で治安当局が1名を拘束。
(10)2022年3月、東部のフォチャにおいて、テロ計画容疑で治安当局が3名を拘束。
(11)2022年6月、サラエボ市内において、テロの脅迫容疑で治安当局が1名を拘束。
(12)2023年8月、ISILと連絡を取り、爆発物による宗教施設へのテロを計画したとして治安当局が1名を逮捕。

3 誘拐事件の発生状況
 ボスニア・ヘルツェゴビナ当局によれば、紛争終結後の同国における誘拐事件の発生は警察当局公表の統計をみても極めて少なく、また、それらの多くが富裕者を対象とした金銭目的の犯罪とみられています。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 現在のところ、ボスニア・ヘルツェゴビナにおいては、日本人及び日本権益を標的とした脅威情報は確認されていません。一方で、2015年9月にISILの機関誌が在ボスニア・ヘルツェゴビナ日本国大使館を標的候補の1つとして例示した経緯があるところ、今後、大使館や在留邦人・日本人旅行者等が標的とされる、又は巻き込まれる危険性はあり、引き続き注意する必要があります。
 テロによる日本人の被害は、シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており、これまでもチュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
 世界的な傾向として、近年は、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で一般市民が多く集まる場所(ソフトターゲット)を標的としたテロが世界各地で頻発しています。これらは組織性が低い単独犯によるテロが多く、事前の取締りが難しいため、今後も継続することが懸念されます。
 特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、警備や監視が手薄で不特定多数の人が集まるため、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
 テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。


テロについて

「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
page TOP