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カザフスタン
テロ・誘拐情勢

更新日 2023年03月31日

1 概況
 2022年1月、アルマティを中心としたカザフスタン全土で騒擾が発生し、軍・治安当局職員19人を含む238人が犠牲となりました。事件発生直後から発令されていた「非常事態宣言」、「テロ警戒レベル赤(最高度)」は同年2月7日までに全て解除されましたが、当地におけるイスラム過激派以外の治安攪乱要因が改めて浮き彫りとなったほか、騒擾時に治安機関や武器店等から強奪された銃器の多くが未だに回収されておらず治安対策上の懸念要因となっています。
 イスラム過激派によるテロは、西部のアクトベで2016年6月6日に発生した事件以降発生していませんが、準備・未遂段階での摘発は毎年報告されているほか、当局は過激主義プロパガンダに対する取締りやテロ組織の資金源となる違法な薬物取引の摘発を続けており、専門家は現状を「テロに向けた準備段階・潜伏期」と指摘しています。
 2021年8月にアフガニスタン全土を掌握したタリバーンについて、カザフスタン政府は依然として「カザフスタンで活動が禁止されているテロ組織等」に認定しており、政権承認には慎重な姿勢をとっています。カザフスタンはアフガニスタンとは国境を接していませんが、タリバーンと協力関係にある急進的勢力の中にはアフガニスタンから中央アジアに跨がる統一国家樹立を目標とする組織も存在しており、テロリストがウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン等を経てカザフスタンに潜入する可能性も指摘されています。
 カザフスタン国内には約2万人の過激主義者がいるとされています。また、約500人のカザフスタン人が外国人戦闘員としてシリアやイラクに渡航したとされ、カザフスタン政府は2019年から帰還者に対する社会復帰作戦「ジュサン」を実施しています。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)カザフスタンで活動が禁止されているテロ組織等
 カザフスタンでは現在、「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)を含む22のテロ組織等(注)の活動が禁止されていますが、2021年中、これらの組織等によりカザフスタン国内で実際にテロ事件が引き起こされた例は、確認されていません。
(2)2022年中のテロ組織等との関連が疑われる事件(国家保安委員会発表)
 ア 禁止組織「ヤクン・インカル」の信奉者らを、1月騒擾に加わった容疑で拘束。武器、手榴弾、弾薬。宗教関連のパンフレットや文献等を押収(1月26日)
 イ 国家保安委員会がアスタナで破壊的宗教組織に所属する2人を拘束。リクルート活動の疑い。家宅捜索の結果、関連書籍等を押収(2月16日)
 ウ 内務省過激主義対策局がアティラウで破壊的宗教組織の代表者(1993年生)を拘束。家宅捜索の結果、拳銃、弾薬、配布が禁じられている情報を含む記憶媒体、宗教関連書籍等を押収(5月30日)

(注)Al-Qaeda(アル・カーイダ)、The Kurdistan People’s Congress(クルド労働者党)、The Islamic Movement of Uzbekistan(ウズベキスタン・イスラム運動)、The East Turkistan Islamic Movement(東トルキスタン・イスラム運動)、Asbat al-Ansar(アスバット・アル・アンサール)、The Muslim Brotherhood(ムスリム同胞団)、The Taliban Movement(タリバーン運動)、Boz Gourde(ボズ・グルード)、Jamaat mujahideen of Central Asia(中央アジアのジャマート・ムジャヒディン)、Lashkar-e-Toiba(ラシュカレトイバ)、The Social Reform Society(社会変革協会)、Hizb ut-Tahrir-al-Islami(ヒズブ・ウト・タハリール)、Aum Shinrikyo(オウム真理教)、The East Turkestan Liberation Organization(東トルキスタン解放機構)、The Islamic Party of Turkestan(トルキスタン・イスラム党)、Jund al-Khilafah(ジュンド・アル・ヒラファ)、Trust. Education. Life(トラストエデュケーションライフ)、Tablighi Jamagat(タブリーギ・ジャマート)、At-Takfir Wal-Hijra(タクフィール・ワル・ヒジュラ)、Islamic State(イスラム国)、Front of An-Nusra(アル・ヌスラ戦線)、Aikyn incar(ヤクン・インカル)

3 誘拐情勢
 誘拐事件発生件数について、内務省が公表した2022年中の発生登録件数は38件、被害者数は36人(カザフスタン国籍者34人、外国籍者1人、無国籍者1人)でした。
 2022年11月、カラガンダ州でインド国籍の男性に対する金銭目的の誘拐事件が発生しましたが、警察の特殊作戦により人質は救出、4人のウズベキスタン人が逮捕されています。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 テロによる日本人の被害は、シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており、これまでもチュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
 近年では、単独犯によるローンウルフ型テロや、一般市民が多く集まるレストラン、ショッピングモール、公共交通機関等のソフトターゲットを標的としたテロが世界各地で頻発しており、こうしたテロの発生を未然に防ぐことは困難です。
 テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

テロについて

「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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