カザフスタン
安全対策基礎データ
- 犯罪発生状況、防犯対策
1 カザフスタンの治安情勢は比較的安定していますが、都市部では外国人を狙った置引き、スリ等の窃盗事件が発生しており警戒が必要です。
新型コロナウイルス感染拡大により国際的往来を含む人と人の間の接触の機会が抑制されたことから、2020年以降の犯罪発生数は低下傾向にありましたが、出入国規制の緩和に伴い短期渡航者や周辺国からの出稼ぎ労働者等が再び増加する傾向にあり、今後は犯罪件数も増加に転じる可能性が指摘されています。
2 カザフスタンにおける近年の犯罪登録件数は以下のとおりです(経済省統計委員会発表)。
(1)2020年
総計16万2,783件(前年比-33.1%) ※人口1万人あたり約87件
身体犯 7,877件(殺人および同未遂824件、傷害1,931件)
公安秩序を害する犯罪 5,306件
財産犯 12万2,769件(窃盗6万7,111件)
薬物犯罪 7,651件
※検挙件数 7万6,459件 起訴件数 3万7,623件
(2)2021年
総計15万7,884件(前年比-3.3%) ※人口1万人あたり約83件
身体犯 7,655件(殺人および同未遂764件、傷害1,820件)
公安秩序を害する犯罪 4,853件
財産犯 11万9,693件(窃盗5万7,498件)
薬物犯罪 7,089件
※検挙件数 6万4,110件 起訴件数 3万2,785人
3 2022年1月にアルマティ市を中心として全土に波及した一連の騒擾では、死者227人(治安部隊側19人)、負傷者4,000人以上を出す独立以降最大の惨事となりました。全土に発令されていた非常事態宣言は1月19日までに、テロ警戒レベルも2月7日までに全て解除されましたが、他方で騒擾中に治安機関や武器店等から強奪された銃器のうち未だ2,000丁以上が発見されておらず、治安上の大きな懸念材料となっています。
国際テロに関しては、西部のアクトベで2016年6月6日に発生した事件以降新たな発生はありませんが、専門家は現状をテロに向けた「潜伏期」としており、準備・未遂段階での摘発が報告されているほか、当局は過激主義プロパガンダに対する取締りや、テロ組織の資金源となる違法な薬物取引の摘発を続けています。
2021年8月にアフガニスタンを掌握したタリバーンについて、カザフスタン政府は「テロ組織」と認定しており、政権の承認には慎重な姿勢をとっています。カザフスタンはアフガニスタンと国境を接していないものの、タリバーンと協力関係にある急進的勢力の中にはアフガニスタンから中央アジアに跨がる統一国家樹立を目標とする組織も存在しており、これらのテロリストがウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン等を経てカザフスタンに浸透する可能性も指摘されており、注意が必要です。
4 カザフスタンのテロ・誘拐については、テロ・誘拐情勢(https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_187.html )をご確認下さい
※在留邦人向け安全の手引き
在カザフスタン日本国大使館が在留邦人向けに作成した「安全の手引き」(https://www.kz.emb-japan.go.jp/files/100012397.pdf )もご参照ください。- 査証、出入国審査等
※新型コロナウイルス感染症対策のため、入国制限措置や入国に際しての条件・行動制限が取られていることがありますので、海外安全ホームページ(https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/pdfhistory_world.html )等により事前に最新の情報をご確認ください。
カザフスタン入国手続きや各種規則に関する最新の情報は、駐日カザフスタン大使館(電話:03-3589-1821)等に確認してください。
1 査証
外国人のカザフスタン入国に際して、日本を含む57か国の国民の場合は、カザフスタン側の一方的査証免除措置により、30日以内のカザフスタン滞在であれば査証を取得する必要はありませんが、滞在期間が30日を超える予定の場合には、査証が必要です。詳しくは、駐日カザフスタン大使館等であらかじめ確認してください。
2 入国および外国人の滞在通知手続き
(1)入国手続き
入国カードの廃止(2020年1月11日)により、30日以内の短期滞在の場合、入国審査の手続きは、入国審査官がパスポートに日付の入ったスタンプを押印するのみとなりました。滞在登録も不要です。
(2)受入れ側による外国人の滞在通知手続き
受入れ側(宿泊施設等のほか、個人も含む)は、到着後3日以内に以下のいずれかの方法で外国人の滞在を当局に通知する必要があります。
ア 移民局に直接連絡(連絡先は下記※参照)
イ ビザ・移民ポータル「ベルクート」(https://www.vmp.gov.kz/en/ )への登録
ウ 移民局通報システム「e-コナク」(https://eqonaq.kz/?lang=en )への登録
(注)査証を所持している外国人は入国時点で自動的に通知されるため、改めての通知は不要です。
※ アスタナ市警察移民局
(Управление миграционной службы департамента полиции города Астана)
住 所 : Imanova str, 31
電話番号 : 8(7172)52-39-79
受付時間 :平日9時00分~18時00分(13時00分~14時00分は昼休憩)
日曜、祝日は休業、土曜は交付のみ対応
交付時間 : 係員が別途指定
※ アルマティ市警察移民局
(Управление Миграционной Службы Департамента Полиции г. Алматы)
住 所 : Karasai Batyra, 109A
電話番号 : 8(7272)54-46-81
受付時間 : 平日9時00分~17時30分、(13時00分~14時30分は昼休憩)
土曜9時00分~13時00分、日曜、祝日は休業
交付時間 : 係員が別途指定
(3)滞在期間の延長
査証免除措置を利用してカザフスタンに入国した外国人は、原則として滞在期間の延長ができません。
商用目的等、査証を得て入国した外国人は、滞在期間の延長を希望する場合、移民局に対して申請する必要があります。申請せず滞在した場合は不法残留となり、手続き終了まで出国を拒否され、罰金の他に弁護士費用や通訳費用等を請求されることがあります。
ただし、職務質問する警察官や、出国審査場で審査官が違反者から罰金を直接徴収することはありません(全て銀行振込)。もしそのような要求があった場合は、在カザフスタン日本国大使館ホームページの安全情報「官憲の不当な金銭要求への対応について」に従って対応し、正規の手続きに関して説明を受けるようにしてください。
3 税関手続き
(1)申告
入出国時に10,000米ドル相当以上の現金等を持ち込み、または持ち出す場合は、税関申告する必要があります。また、入出金取引証明等は、持ち込んだ現金を預金する際に提出する必要がありますので、必ず保管するようにしてください。
(2)持込みが禁止されている物品
兵器および弾薬、麻薬や向精神薬およびその使用器具、戦争・テロ・暴力・人種差別を拡散することを目的として出版された書物、ポルノグラフィー等があります。特に薬物に対する取締りは、厳しく行われています。
(3)持出しを禁止されている物品
兵器および弾薬、麻薬や向精神薬およびその使用器具、芸術・文化・歴史について重要な価値を持つ美術品、鹿類の角、レッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)に記載された動植物、無効となったカザフスタンの銀行券(旧紙幣)等があります。- 滞在時の留意事項
1 IT化とキャッシュレス化の進歩
(1)カザフスタンでは、最近数年間のうちに携帯電話アプリを利用したIT化と、クレジットカードやデビットカードを利用したキャッシュレス化が急速に進歩しました。これに伴い、以前は慣れないと使いにくかった鉄道、地下鉄、バス、路面電車等の公共輸送機関はグーグルマップ等の地図アプリを使うことで利用しやすくなりました。また、一部主要都市では携帯電話アプリによる運賃支払いも可能になっています。
タクシーについてもクレジットカードで精算する携帯電話アプリが普及し、運転手と会話しなくとも確実に目的地に着き、乗車前に表示された金額で精算することが可能となり、これに伴って、タクシーで「ぼったくり被害」にあったとの相談は少なくなりました。
主要都市の屋内店舗ではレストランやスーパーマーケットから、博物館、美術館、劇場等も含めてほぼキャッシュレス精算が可能であり、主要クレジットカードを利用できますので、多額の現金を持ち歩く必要性は少なくなっています。
(2)他方で、地図アプリ等で表示されても、バスや路面電車等がその通りに到着しないこともありますので、不案内な土地では時間に余裕をもってご利用ください。また、日本で閲覧可能なウェブサイトについて、カザフスタンでは閲覧できないことがあります。また、治安上の理由により、インターネット自体が使用できなくなるまたは通信速度が低下することがありますのでご注意下さい。
カザフスタン国内のホテルや空港などの公共施設では無料Wi-Fiを提供していますが、電話を使ってログインする方式のものがありますので、日本から携帯電話を持参する場合にはロシアで受信可能なものか、旅行前に契約内容を確認することをお勧めします。
クレジットカードの利用については、利用毎に通知がくるサービスを利用するなどして頻繁にチェックしてください。カザフスタン当局は、フィッシング詐欺の被害が頻発しているとして注意を呼び掛けています
2 交通事情
アスタナやアルマティ等、主要都市の中心部等では慢性的に渋滞が発生します。
道路標示や交通標識はおおむね日本人でも理解できるものですが、車両が右側通行であるほか、旧ソ連圏特有の交通法規もあり慣れが必要です。
(1)安全上の注意事項
ア 急加速、割り込み、路肩走行、反対車線走行、急な車線変更等、全般的に乱暴な運転が多い。
イ 車間距離が不十分。また、幅寄せやあおり運転も横行している。
ウ スマートフォンを保持・注視しながらの運転が非常に多い。
エ 歩行者も危険回避意識が低く、無理な横断や車道への飛び出し等が多い。
オ 故障車や事故車が多く、前方車両が回避のため急に停止したり車線変更したりすることがある。
カ 冬季は、ヘッドライトの汚れやフロントガラスの曇りで視界が悪くなる。
キ 降雪で覆われたり、除雪作業等で削り取られたりして、車線が見えなくなる期間が長い。
ク 厳しい自然環境の影響で、道路に穴が開いたり、路肩が隆起したりすることが多い。
特に、主要高速道路を除く都市間道路や、町の郊外の道路は舗装状況が悪く、スペアタイヤやリペアキット等の携行は必須である。
(2)事故防止のための留意点
ア ドライブの際は予め目的地までの道路状況や規制の有無等を調査するなどして入念に経路を設定し、余裕を持った運行計画を立て、慎重に運転する。
イ 特に、厳寒期の事故は命取りとなりかねないことから、エンジン、タイヤ、ウォッシャー液等の走行前点検を確実に実施し、万が一事故に遭った際の連絡体制も確認しておく。
ウ 車線変更、右左折時の方向指示器の操作は早めに行い、バックミラー、サイドミラー、目視による確認を怠らない。
エ 対向車線寄りの車線の使用は、緊急車両や対向車が追い抜きのため飛び出してくる可能性があるので十分注意する。
オ 夜間、雨天時等、視界が悪い中での運転は慎重を期す。夜間の都市間移動は基本的に回避する。
カ 中部以北では、降雪は早ければ10月中旬に始まり4月下旬まで雪が残る可能性がある。また、気温の低下による路面凍結は、それより早い可能性もある。天候に細心の注意を払い、冬季タイヤの装着は余裕を持った日程で行う。積雪、凍結時はスピードを控え、十分に車間距離を取る。
キ 特にUターン、左折時は対向車のスピード等を確認し、予測運転をしない。
ク 強制保険には必ず加入する。任意保険は普及していないが、高級車との事故では多額の賠償を要求されることがあるので、加入を検討する。
ケ 横断歩道の標識があるところでも、走行してくる車が減速するか停車するのを確認してから横断する。
(3)事故発生時の対応
ア 車両は停車したまま移動させない(交通警察官が確認するまで動かすことは不可。自分自身は安全な場所に移動する)。
イ 負傷者がいる場合には、直ちに救急車を要請して救護にあたる。
ウ 相手の車両ナンバーや運転手(住所、氏名、電話番号、免許の記載内容等)を確認する。
エ 最寄りの警察署または近くの交通警察官に通報する。
オ 負傷した場合は救護の措置を要請し、病院では診断書と支払領収書を徴収しておく。
カ 目撃者がいる場合は、氏名、住所、電話番号などを聞いてメモしておく。
キ 時間があれば事故時の状況をメモしておく(ロシア語ができない場合には、知人などに事故の状況をメールで送ってもらい交通警察官に提示することで現場での事情聴取が効率的になります。)。
ク 警察官に免許証、車の登録証を提示して事故調書を作成してもらう。調書の内容が良く分からない場合は、すぐに署名せず、通訳を介して署名することを告げる。
ケ 警察官に事故証明書の発行日時、受領する警察署の場所、電話番号等を確認しておく。
コ 事故後直ちに事故内容を保険会社に連絡する(後日、事故証明書が発行されたら手続きを開始することになる)。
3 パスポートの携帯
滞在中は、パスポートを常に携帯する義務があり、不携帯の場合は警察署への同行を求められる場合があります。他方、パスポートの紛失・盗難には十分注意してください。
4 通貨・両替
カザフスタンの通貨は、テンゲ(KZT)です。カザフスタン国内において日本円の両替は困難です。事前に米ドルやユーロ等を準備しておいてください。
5 写真撮影
重要施設や国境地帯等での撮影は、トラブルを避けるために控えることをお勧めします。また、撮影を認められていない市場や商店等もありますので注意して下さい。
6 自動車等の運転
カザフスタンで運転する場合、カザフスタンの法律に基づいて交付された運転免許証、またはカザフスタンの公証役場で公証されたウィーン条約に基づく国際運転免許証が必要です。日本国内で交付された国際運転免許証はジュネーブ条約に基づくものであり、これを用いてカザフスタン国内では運転できません。また、日本の運転免許証からの切り替えも認められていません。
7 交通手段
主な交通機関は、バスまたはタクシーです。アルマティ市では、トロリーバスや地下鉄も利用できます。タクシーを利用する場合、いわゆる「白タク」は利用しないでください。
8 在留届
カザフスタンに3か月以上滞在される方は、緊急時の連絡などに必要ですので、到着後住所または居所が決まり次第遅滞なく在カザフスタン日本国大使館に在留届を提出してください。また、住所その他届出事項に変更が生じたとき、または日本への帰国や他国に転居する(一時的な旅行を除く)際には、必ずその旨を届け出てください。在留届の届出は、オンラインによる在留届電子届出システム(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html )による登録をお勧めしますが、郵送によっても行うことができますので、大使館宛てに送付してください。
9 たびレジ
在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者の方(海外旅行者・出張者を含む)は、「たびレジ」への登録をお願いします(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html )。「たびレジ」は、滞在先の最新の安全情報などを日本語のメールで受け取れる外務省のサービスです。登録した情報は、カザフスタンで事件や事故、自然災害等が発生し、在カザフスタン日本国大使館が安否確認を行う際にも利用されます。安全情報の受け取り先として、家族・同僚等のメールアドレスも追加登録できますので、併せてご活用ください。
10 ハーグ条約
カザフスタンは、国境を越えて不法に連れ去られた子の返還の仕組み等を定める「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」の締約国です。一方の親の監護権を侵害する形で子どもを常居所地国であるハーグ条約締約国から他のハーグ条約締約国へ連れ去りまたは留置した場合は、原則的に子が常居所地国に返還されることとなります。ハーグ条約についての詳細はこちらのページをご覧ください。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/hague/index.html- 風俗、習慣、健康等
1 新型コロナウイルス
新型コロナウイルスに関する感染症危険情報が発出されていますので、引き続き外務省ホームページなどを通じて動向を注視してください。また、最新の情報は駐日カザフスタン大使館等に問い合わせするなどしてご確認ください。
2 医療事情
「世界の医療事情」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/europe/kazakh.html )において、カザフスタン国内の衛生・医療事情等を案内していますので、渡航前には必ずご覧ください。
その他、必要な予防接種等については、以下の厚生労働省検疫所ホームページを参考にしてください。
◎感染症情報(http://www.forth.go.jp/ )
3 医薬品の持込み、持出し
医療用麻薬を含む医薬品の携帯による持込み、持出しの手続きについては厚生労働省の以下のホームページをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index_00005.html- 緊急時の連絡先
○警察、救急、消防
警察:102
救急:103
消防:101
○在カザフスタン共和国日本国大使館
代表:+7(7172)97-78-43- 問い合わせ先
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(外務省代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省関係課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)(内線)2853
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047
○領事局政策課(感染症関連)(内線)4919
○領事局ハーグ条約室(一般案内窓口)03-5501-8466
○海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)
http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.html (モバイル版)
(現地公館連絡先)
○在カザフスタン日本国大使館
住所:5th floor, Kosmonavtov Street 62, micro-district "Chubary", Astana, Z05E9E1, Republic of Kazakhstan
電話:+7(7172)97-78-43
FAX:+7(7172)97-78-42
ホームページ:https://www.kz.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
※本情報記載の内容(特に法制度・行政手続き等)については、 事前の通告なしに変更される場合もありますので、渡航・滞在される場合には、渡航先国の在外公館または観光局等で最新情報を確認してください。