ドイツ
テロ・誘拐情勢
更新日 2024年07月25日
1 概況
近年、欧州各国で不特定多数を標的とするテロや襲撃事件が頻発しており、ドイツでは2016年12月にベルリンのクリスマス・マーケットに大型トラックが突入するテロ事件が発生しました(12名死亡、53名重軽傷)。これ以降、ドイツでは同様の大規模なテロ事件はみられず、また、2022年中、イスラム過激主義に基づく組織的なテロ事件は発生していません。しかしながら、イスラム過激主義や、反ユダヤ主義、外国人排斥等の極右思想に影響を受けたとみられる個人によるテロ事件等が発生しているほか、最近もドイツ各地でテロを計画した容疑者やイスラム過激主義者が治安当局に摘発・逮捕されています。
2022年12月7日には、「帝国臣民(Reichsbuerger)」と呼ばれるグループのメンバーが、ドイツ連邦議会への襲撃により国家転覆を謀ったとして、ドイツ国内で一斉に検挙されました。ドイツは依然としてテロの脅威にさらされ、テロの発生に十分な警戒が必要であるということがあらためて認識されました。
また、2023年10月7日に発生したイスラエル・パレスチナ武装勢力間の衝突以降、近隣の欧州諸国では実際にテロが発生しているほか、ドイツ国内においても、テロを計画したとされる複数のハマス構成員やケルン大聖堂への攻撃を計画したとされる複数のイスラム過激主義者が逮捕されており、また、関連する抗議活動等も頻繁に行われるなどドイツ国内におけるテロの脅威は以前にも増して高まっています。
2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)上記1のとおり、ドイツ治安情報機関が未然にテロ計画を摘発するなど、ドイツがテロのターゲットとされていることに変わりはなく、中東情勢の悪化を受けてドイツ国内におけるテロ発生の危険性は以前にも増して高まっていることに留意する必要があります。
(2)2023年10月7日以降、中東情勢に関連する抗議活動やデモが多く行われており、関連した事件も発生しています。ベルリン州では、特に多くの抗議活動等が行われ、中には暴徒化して多数の逮捕者が出たものもあります。また、同年12月には、ベルリン州において複数のハマス構成員がテロを計画したとして逮捕されたほか、ノルトライン・ヴェストファーレン州では、ケルン大聖堂への攻撃を計画したとして複数のイスラム過激主義者が逮捕されています。
3 誘拐事件の発生状況
ドイツ憲法擁護庁が2023年6月に公表した資料によれば、2022年中、ドイツにおける誘拐事件は27件発生しましたが、日本人を標的とした事件は確認されていません。
4 日本人・日本権益に対する脅威
テロによる日本人の被害は、シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており、これまでもチュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
近年は、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で一般市民が多く集まる場所(ソフトターゲット)を標的としたテロが世界各地で頻発しています。これらは組織性が低い単独犯によるテロが多く、事前の取締りが難しいため、今後も継続することが懸念されます。また、反ユダヤ主義の高まりの中でイスラエル関連施設に加えてシナゴーグ等でもリスクが高まっています。
特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、警備や監視が手薄で不特定多数の人が集まるため、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。