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テロ・誘拐情勢

2017年09月05日

1 概況
(1)2017年8月,バルセロナ市内等で16名(2017年8月末時点)が犠牲となり,100名以上が負傷する車両突入事件が連続して発生しました。また,関連性は不明ですが,この事件を受けてイスラム過激派組織ISILを名乗る者が犯行声明を発出しています。
(2)2004年3月にマドリード市内で発生した列車爆破テロ事件(死者191名,負傷者1,800名以上)を契機として,スペイン治安当局はイスラム過激派の監視と取締りに全力を挙げており,国内でアル・カーイダやISIL関係者等が相次いで逮捕されてきています。
(3)一方で,2016年には,イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ(AQIM)がテロ攻撃を実行する旨の脅迫映像を公開したり,ISILを名乗るテロリストやISILに近いメディア組織が「イベリア半島(スペインが所在する半島。中世の一時期にイスラムの影響下にあった)を取り戻せ」等と扇動する脅迫映像や文書を公開しています。
(4)こうした中,スペイン内務省は,2015年8月,フランス,チュニジア及びクウェートにおけるテロ発生を受け,スペイン国内においても類似的なテロ行為が発生する可能性は排除されないとして,テロ警戒のレベルを「3(中程度)」から「4(高い脅威)」(全5段階)に引き上げました。その後,欧州各国でのテロ事件の発生等を受けてテロ脅威度の見直しが検討され,また,上記(1)の車両突入事件の発生はありましたが,これまでのところ,警戒レベル「4」が維持され,スペイン治安当局によるテロ警戒及び治安強化が継続されている状況です。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)これまでスペイン国内のイスラム過激派は,主としてアル・カーイダ組織との繋がりが確認されてきましたが,2014年後半以降はISILの台頭とともに,同組織との繋がりが深くなっていると考えられています。近年,スペイン国内では,インターネット上においてISILやジハードを賞賛・宣伝,外国人戦闘員を勧誘・教化し同人らの渡航を支援,実際に紛争地へ渡航してISILと接触(その後スペインへ帰還),武器を調達し国内におけるテロを計画するなどの活動を行っていた組織や個人が多数摘発されています。また,紛争地域等から帰還した単独犯又は少人数によるテロ及びローンウルフ型テロの脅威も他の欧州諸国同様に認識されており,引き続き注意が必要です。
(2)バスク祖国と自由(ETA)は,過去には多くの爆破テロ等を敢行してきましたが,2011年に武力闘争の完全停止を宣言して以降,テロ事件を起こしていません。また,2016年11月にはフランス国内においてETAの最高指導者が逮捕されるなど,スペイン治安当局による徹底的な監視及び取締りが継続されています。しかしながら,近年ETAは,武力闘争から政治的進出に力を入れ,交渉等によって服役囚の減刑や釈放,バスクへの帰還に向け政治的な活動を進めている他,現在までに治安当局に逮捕されていない活動家が存在すると見られていること等から,未だテロの実行能力自体は維持されていると考えられています。またETAは,過去に何度も停戦宣言を破棄してテロを敢行していることから,引き続き注意が必要です。

3 誘拐事件の発生状況
 スペイン内務省によれば,2017年上半期にスペイン国内で34件の誘拐事件が発生しています。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 スペインでは,現在までのところ,日本人・日本権益を直接の攻撃対象としたテロや誘拐の脅威は確認されていません。
 一方で, 近年,シリア,チュニジア及びバングラデシュにおいて日本人が殺害されたテロ事件や,英国,フランス,ドイツ,ベルギー,トルコ,インドネシア,フィリピン等,日本人の渡航者が多い国でもテロ事件が多数発生しています。このように,世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか,これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており,日本人・日本権益が標的となり,テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。このような情勢を十分に認識して,誘拐,脅迫,テロ等に遭わないよう,また,巻き込まれることがないよう,海外安全情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め,日頃から危機管理意識を持つとともに,状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。



(注記)
 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが,一般には,特定の主義主張に基づき,国家等にその受け入れを強要し,又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は,このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず,外務省が,報道等の情報等に基づき,海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり,本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。