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英国
テロ・誘拐情勢

更新日 2025年06月25日

1 概況
(1)イスラム過激派によるテロ
 英国を含む欧州は、引き続き、イスラム過激派又はイスラム過激主義に感化された者によるテロの脅威にさらされています。英国では、2005年7月のロンドンにおける連続爆弾テロ事件、2007年6月のロンドン及びグラスゴー空港における自動車爆弾テロ事件が発生した後、イスラム過激派による大規模テロ事件の発生は見られませんでしたが、2017年にロンドン及びマンチェスターで合計5件のテロ事件が発生して以降、2021年まで毎年テロ事件が発生しています。2024年は、2022年及び2023年同様、イスラム過激派や過激思想に感化された者等によるテロ事件の発生はみられませんでしたが、英内務省による同年3月までの1年間の統計によれば、テロ容疑により212人が逮捕されたほか、2023年10月に発生したイスラエル・パレスチナ武装勢力間の衝突以降、ロンドンを始めとした国内の主要都市において抗議デモが行われ、指定テロ組織であるハマスへの支持を表明する物を掲げるなどした複数の抗議デモ参加者等が対テロ法違反容疑により逮捕されています。
 2021年10月にエセックス州リー・オン・シーにおいて発生した下院議員殺害テロ事件や、同年11月にリバプール女性病院の敷地内駐車場において発生したタクシー爆破テロ事件は、いずれもナイフや自作の爆発物を用いて被疑者単独で実行されたものとみられており、英国においては、引き続き、自己過激化した個人によるローンオフェンダー型テロが脅威として認識されています。 
英国政府は、2024年12月に、現在の国内テロの脅威について、イスラム過激主義に基づくテロリズムが依然として主要な脅威であり、極右テロがこれに続く脅威であると述べたほか、全体的な脅威の構図は変化しており、特定のイデオロギーではなく暴力行為そのものに固執する、ウェブサイトやソーシャル・メディアを通じた若者の過激化の増加傾向を指摘しています。逮捕者のうち18歳未満である者の割合が過去最高の18%に達しているとの英内務省統計も発表されています。
 英国のテロ攻撃に対する脅威度は、英政府により、「危機的(critical)」、「深刻(severe)」、「相当(substantial)」、「平穏(moderate)」、「低(low)」の5段階に設定されています。先述の2021年における2件のテロ事件が1か月以内に発生したこと等を踏まえ、2021年11月、それまでの「相当」から「深刻」に引き上げられましたが、テロの脅威が事件発生前の状態に戻ったとして、2022年2月、「相当」に引き下げられ、現在まで維持されています。しかし、英政府によれば、「相当」は、引き続き高いレベルでのテロの脅威が継続しているものとされています。本脅威レベルは、2017年5月及び同年9月のテロ事件発生後、それぞれ数日間、「深刻」から最高度の「危機的」に引き上げられたほか、2020年11月から2021年2月までの間、予防的措置として、「相当」から「深刻」に引き上げられるなど、情勢の変化に応じて設定されています。
(2)北アイルランド関連テロ
 かつて北アイルランドにおいて、英国からの分離等に向けて過激な闘争を行っていた「アイルランド共和軍(IRA)」は、2005年の武装闘争放棄宣言以降、組織的な犯罪活動及び準軍事的活動を停止しています。また、ロイヤリスト系準軍事組織も、2010年中に主要な団体の武装解除が完了しており、目立った動きは見られていません。両派の和平路線の進展により、テロ情勢は飛躍的に改善されましたが、和平路線に反対するIRAの分派や独立系グループは、北アイルランドの警察官等の治安機関関係者等を標的としたテロを継続しています。
北アイルランドにおけるこれら関連テロの脅威度は、2010年の公表開始以来「深刻」が維持されてきましたが、2022年3月、「相当」に引き下げられた後、2023年2月に発生した警察官に対する銃撃事件等を受け、同年3月に再度「深刻」に引き上げられていたところ、2024年3月に「深刻」から「相当」に引き下げられました。

2 各組織の活動状況
(1)イスラム過激派
 英国では、若い世代がウェブサイト、ソーシャル・メディア等を通じて、「アル・カーイダ(AQ)」 、「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」 等の思想の影響を受けて過激化し、テロリストの支援活動やテロを実行することが懸念されています。また、シリアやイラクに渡航した英国人が、実戦の知識と経験を積んだテロリストとなって英国に帰国してテロを起こすことも懸念されています。
(2)北アイルランド関連過激派組織
ア 「継続IRA(CIRA)」
 組織内部における権力闘争を継続しているとされながら、治安機関に対するテロ攻撃を敢行してきました。メンバーは、脅迫、武装強盗、誘拐、密輸等広範な重大犯罪に関与しているとされ、2020年1月末、英国のEU離脱に合わせて爆発物を用いたテロ攻撃を計画したと報道されています(爆発物は発見、処理されたため爆発しませんでした。)。
イ 「真のIRA(RIRA)」及び「新IRA」
 2012年7月に、「真のIRA(RIRA)」の一部が北アイルランドの暴力的な自警団である「リパブリカン反薬物自警団(RAAD)」及び独立系武装組織「リパブリカン・グループ」と統合し、IRAと名乗る新たなグループ(便宜上「新IRA」という。以下同じ。)を結成し、主として治安機関に対するテロ攻撃を敢行しています。2023年2月、北アイルランド・オーマにおいて、休日中にサッカーを指導していた北アイルランド警察の警部が銃撃を受け重傷を負った事件が発生し、北アイルランド警察は、「新IRA」の本事件への関与を主眼に捜査を行っており、「新IRA」が本件犯行を自認したとの報道がみられました。
ウ ロイヤリスト系準軍事組織
 近年目立った動きはみられませんが、2022年3月には、北アイルランド・ベルファストで行われた和解イベントにおいて、アイルランド外相の演説会場近くに、銃を所持した2人組の男により乗っ取られたバンが駐車され、車中から不審物が発見された事件が発生し(後に当該物件は偽物と判明)、ロイヤリスト系準軍事組織の関与が指摘されています。

3 誘拐事件の発生状況
 英内務省の統計によれば、2023年度のイングランド及びウェールズにおける誘拐事件の発生件数は、7,277件(前年度比101件減)であり、わずかに減少しています。誘拐犯罪は2012年から2013年の報告年度に1,388件でしたが、それ以降ほぼ毎年増加しています。ただし、同統計においては、本人の同意なく他の場所へ連れて行く行為を広く「誘拐」と定義して計上するため、日本の略取・誘拐に相当する事件は、発生件数の10分の1程度とされています。また、少年に対する誘拐事件の主たる要因は、親権をめぐるものであるとされています。
 なお、日本人を標的とした誘拐事件及びテロ目的の誘拐事件の発生は確認されていません。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 テロによる日本人の被害は、シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアを始めとする世界中で発生しており、これまでもチュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
 近年は、世界的傾向として、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で不特定多数が集まる場所を標的としたテロが世界各地で頻発しています。特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
 また、外国人を標的とした誘拐のリスクも排除されず、注意が必要です。
 テロ・誘拐はどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。


テロについて

「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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