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イタリア
テロ・誘拐情勢

更新日 2023年07月19日

1 概況
(1)イタリアでは、1970年代後半から1980年代にかけて極左・極右系のテロ組織が政府要人の誘拐・殺害や爆弾テロ等年間2千件を超すテロ事件を引き起こし、多数の死傷者が生じる事態が続きました。また、1990年代前半には、マフィアによる当局関係者を対象としたテロ活動が活発化しました。その後、テロ対策に関する特別立法や当局の徹底した取締り等によりテロ情勢は沈静化に向かいました。
(2)しかし、イタリアでは依然として、過去に政府関係機関等に対してテロを起こしてきた極右・極左組織やマフィアの動きのほか、近隣諸国の団体と連携してデモ等を扇動して過激化させる事件等を引き起こしたアナーキストの動きも確認されています。
(3)これまでのところ、イタリア国内において、国際イスラム過激派組織が関与したと見られる大規模テロ事件は発生していないものの、イタリア国内に居住する外国人等が過激化してテロを計画した事案等が確認されています。

2 各組織の活動状況又は各地域の治安情勢
(1)極左組織
 イタリアの極左組織として有名な「赤い旅団」、そしてその後継である「新赤い旅団」については、相次ぐ主要構成員の逮捕、アジトの摘発等が進められ、組織は壊滅状態になったという見方もありましたが、依然としてテロを敢行する懸念があり、実際に近年では「階級闘争」についてのプロパガンダに取り組んでいます。
(2)アナーキスト
 イタリアのアナーキストは、その時々の社会問題を捉えた示威活動等を行い、過激な行動を展開しています。
このうち、最近でも活発な動きが見られる組織として、非公式無政府主義者同盟(FAI)が挙げられます。例えば、現在刑務所に収監されている同組織指導者のアルフレッド・コスピトが自身の刑務所内の処遇に係る厳格な隔離措置に反発してハンガー・ストライキを行っているところ、コスピトの処遇への反発として、昨年末から本年にかけ公的機関の保有車両を狙った放火事件が相次いで発生しました。
(3)極右組織
 イタリアにおける極右組織は、近年、極左勢力の伝統的な取組分野を浸食しており、極右・極左組織間の対立が懸念されています。また、海外の極右団体との国際的な連携や国内当局への浸透といった動向・現象にも注意が必要です。既に組織は解体されていますが、極右団体「アーリア人ローマ教団」においては、ネオナチ・ネオファシストの見解に基づく人種差別的メッセージや陰謀論を広めるなどのプロパガンダを展開していたところ、同団体の活動家がポルトガルの極右団体構成員とも交流を有していたことが判明しています。
 このような傾向に加え、極右団体「フォルツァ・ヌォーヴァ」による個別の社会問題に関する国民の不安を利用したデモ動向にも注意が必要です。実際に、同組織は新型コロナウイルス感染症対策のための政府による規制動向への反発動向を助長し、扇動することにデモ参加者の暴徒化を図ったという事案にも関与(2020年10月9日に行われたデモの一部参加者による労働組合「CGIL」本部襲撃事件について、これを扇動した組織代表らが逮捕されたもの)しています。
(4)分離、独立主義団体
 イタリア北部及び島しょ部に、地域の分離独立を主張するグループが存在しており、過激な活動を繰り広げてきましたが、近年は主にプロパガンダ活動に取り組んでいます。
(5)イスラム過激派
 イタリア国内において組織的な構造を有するイスラム過激主義組織は確認されていないものの、イスラム過激派思想に感化されたローンウルフや外国での戦闘経験を有するいわゆる外国人戦闘員によるテロが懸念されるほか、多数の難民に紛れてイスラム過激派がイタリア国内に流入するおそれも指摘されています。
(6)マフィア
 マフィアは、南部諸州を中心に強固な結び付きを有し、社会構造の隅々にまで浸透した犯罪組織で、地方政府関係者や警察・司法当局関係者に対するテロ行為を散発させてきました。

3 誘拐事件の発生状況
 近年、日本人を標的とした誘拐事件の発生は、確認されていません。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 テロによる日本人の被害は、シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアを始めとする世界中で発生しており、これまでもチュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
 近年では、単独犯によるローンウルフ型テロや、一般市民が多く集まるレストラン、ショッピングモール、公共交通機関等のソフトターゲットを標的としたテロが世界各地で頻発しており、このようなテロの発生を未然に防ぐことは困難です。
 テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

テロについて

「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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