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テロ・誘拐情勢

2016年03月03日

1.概況

(1)近年、アイルランドではテロ組織によるテロ等の事件は発生していません。
(2)アイルランド国内最大のテロ組織であったアイルランド共和軍(IRA)は、1997年にテロ活動の停止を宣言し、活動方針を武装闘争から合法的政治活動へと転換しました。その結果、IRAは完全に武装活動を放棄したことを公式に認められ、2007年5月には、IRAの政治活動母体であるシン・フェイン党も参加した北アイルランド自治政府が復活しました。
(3)しかし、和平路線を不満としてIRAから離脱した共和主義者らを中心に結成された「真のIRA」(RIRA)や「IRA継続派」(CIRA)などの反体制派グループは依然としてテロ活動を放棄していません。これらの組織は、英国の北アイルランドを中心に爆弾や武器類の調達と保管、要員の勧誘と訓練、宣伝活動等を行い、英国の軍や北アイルランド警察等を標的に爆弾テロ攻撃を行っており、アイルランド国内にあるこれら組織の拠点からも武器や爆弾などが発見されています。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)アイルランドにおけるテロ組織は、いずれも北アイルランド問題に端を発した反体制共和主義者組織ですが、アイルランド国内では政府や国民に対する直接的な行動はとっていません。
(2)他方、「真のIRA」や「IRA継続派」などの反体制派グループは、組織維持のための資金源獲得方策として犯罪行為にも手を染めていると言われています。自ら強盗、恐喝、薬物取引、売春、燃料密輸等を実行して資金を調達するとともに、犯罪組織ともコネクションを持ち、用心棒代等の名目で資金を調達しており、犯罪組織間の抗争事件にも関係していると言われています。北アイルランドとの国境付近の他、ダブリン、コーク、リムリック、ゴールウェイなどの都市部においても注意が必要です。
(3)アイルランドにおいてはISIL等のイスラム過激派組織によるテロは発生しておらず、国内ではイスラム過激派組織の存在も確認されていません。しかし、アイルランド政府の発表では、2010年のアラブの春以降、イラクやシリアなどの紛争地に渡航し、戦闘行為に参加した者や、これらのグループに経済的援助など支援しているアイルランド人も確認されており、治安当局は引き続きこれらの人物の動向を注視しています。


3.誘拐事件の発生状況
 誘拐事件の発生は、いずれも身代金を目的としたものであり、テロや政治的な目的が背景にあるものはありません。 
誘拐の手口としては、現金輸送を担当する警備会社の警備員や銀行員の家族などを誘拐して本人を脅迫し、現金を要求する事案(Tiger Kidnapping)が発生しています。
 なお、近年、日本人が巻き込まれた誘拐事件の発生はありません。

4.日本人・日本権益に対する脅威
 日本人・日本権益に対する具体的脅威の存在は確認されていませんし、その脅威度も高いと見られていません。しかし、近年、シリアやチュニジアにおける日本人が殺害されたテロ事件や、パリでの同時多発テロ事件などが発生しています。このように、世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか、これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており、日本人・日本権益が標的となり、テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。
 このような情勢を十分に認識して、誘拐、脅迫、テロ等に遭わないよう、また、巻き込まれることがないよう、海外安全情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め、日頃から危機管理意識を持つとともに、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。




(注記)
 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が、報道等の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり、本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。