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モロッコ
テロ・誘拐情勢

更新日 2022年03月23日

1 概況
 モロッコは欧米諸国と近接し、多くの外国人観光客・在留外国人を抱える一方で、貧富の格差や失業問題などの国内社会問題が深刻で、貧困層の若者を中心に「イラク・レバントのイスラム国(以下、ISIL)」などの影響を受け過激化し、テロ組織の活動に加担したり、あるいはテロ事案を起こしたりする例があります。例えば、外国人観光客をターゲットとしたテロ事案は、2011年4月にマラケシュの観光地で発生したほか、2018年12月には、モロッコ南部の観光名所であるトゥブカル山登山道にて発生しました。また、モロッコは治安情勢が不安定なサヘル諸国と地続きで隣接していること、及びISIL等イスラム過激派組織の一員としてシリア及びイラクでの戦闘に多数のモロッコ人が参加していたことから、テロ組織分子がモロッコ国内に流入する可能性は排除されません。モロッコ治安当局による取締り厳格化により、近年、テロ事案は発生していませんが、毎年モロッコ国内においてテロ行為を企図したテロ細胞が多数摘発されています。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)2018年12月、年間数万人が訪れるオート・アトラス山脈のモロッコ最高峰であるトゥブカル山の玄関口であるイムリル村(Imlil)から10キロ離れた山岳地帯登山道で、デンマーク人女性1名(24歳)及びノルウェー人女性1名(28歳)がナイフによる首への傷痕がある状態で遺体となって発見されました。当事件は、モロッコ当局がテロと断定し、ISILに感化された実行犯4名及びスペイン国籍を併せ持つスイス人1名を含む容疑者22名がマラケシュを中心にモロッコ国内で逮捕されました。その後、2019年7月に、実行犯3名に対し死刑の判決が言い渡されました。
 他方、大規模テロは、2011年4月に、外国人観光客が多数訪れるマラケシュ旧市街のジャマ・エル・フナ広場に面したカフェ「アルガナ」での遠隔操作による爆破テロ以降発生していません。
 モロッコでは、これまでアル・カイーダやイスラム・マグレブ諸国のアル・カイーダ(AQIM)、アラビア半島のアル・カイーダ(AQAP)に関連を持つ組織が摘発されていました。しかし、2015年以降はISILに関連した組織が多く摘発されています。
 また、最近の傾向として、戦闘員のリクルートのような支援活動に加えて、モロッコ国内においてテロ行為を企図したテロ細胞が摘発されています。
(2)モロッコ当局は、ISIL等過激派組織の一員としてシリア及びイラクでの戦闘に参加したモロッコ人の数は1,600人を越えるとしています。モロッコ当局は、これらモロッコ人戦闘員がモロッコ国内でテロ行為を行うことを特に警戒しており、2014年11月以降、警察に加え、軍もテロ警戒の任務に就いています。また、2015年11月に発生したパリ同時多発テロ事件を踏まえ、警戒監視を更に強化し、特に政治・治安関連施設、外交団、教会等の宗教施設及び大規模商業施設等の監視を強めています。
(3)モロッコは、貧富の差、若年層や高学歴者の高失業率等といった社会問題を抱えており、過激主義勢力は、これらの諸問題を土壌として、特に貧困層の若者等を対象に、リクルート活動を行っていると見られています。モロッコ政府は様々な取組みを実施していますが地域的、社会的格差の問題は容易に解決しない問題であり、依然として過激主義思想を受け入れる素地が残っていると考える必要があります。

3 誘拐事件の発生状況
 2021年、モロッコにおいて外国人を標的とした誘拐事件は確認されていません。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 これまでのところモロッコにおける、日本人・日本権益に対する具体的な脅威情報は確認されていません。
 しかし、テロによる日本人の被害は、シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており、これまでもチュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
 近年では、単独犯によるローンウルフ型テロや、一般市民が多く集まるレストラン、ショッピングモール、公共交通機関等のソフトターゲットを標的としたテロが世界各地で頻発しており、こうしたテロの発生を未然に防ぐことは困難です。
 テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻きこまれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

テロについて

 「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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