ベナン
テロ・誘拐情勢
更新日 2025年01月21日
1 概況
(1)ベナンにおいては、2021年11月末以降、北部アタコラ県パンジャリ国立公園、アリボリ県W国立公園、同周辺地域の国境付近を中心として、ベナン国軍治安部隊及び国立公園監視員等に対するテロ攻撃や警察署等の治安関連施設に対する攻撃が頻発し、これまでに多くの死傷者が発生しています。これらの攻撃の主な実行主体は、ブルキナファソ領内等に拠点を置くイスラム過激派組織「イスラムとムスリムの支援団(JNIM)」の一組織であると見られています。
2025年1月には、W国立公園において、JNIMと見られる武装集団がベナン国軍基地を襲撃し、同国軍兵士30名が死亡する事件が発生しました。これは、2022年1月から、ベナン北部で実施されている対テロ作戦「ミラドール作戦」を開始して以来最大の人的損失です。
(2)また、民間人を対象としたテロ攻撃が増加傾向にあり、その手口も凶悪かつ残忍なものとなっています。2023年5月、北部のアタコラ県ケル地区及びアリボリ県バニコアラ地区トゥラにおいて、武装集団が多数の住民を殺傷する事件が連続的に発生しています。
2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
「1 概況」のとおり。
3 誘拐事件の発生状況
(1)ベナンでは犯罪統計が公表されていないため、正確な誘拐事件の発生件数は不明ですが、報道によれば2022年1月から2023年12月までの2年間、ベナン北部のアタコラ県及びアリボリ県において、106件の誘拐又は誘拐未遂事件が発生しており、その内、75件はJNIMによる関与が疑われています。
外国人を標的とした事件については、2019年5月、北部パンジャリ国立公園において、仏人男性2名がJNIMの一組織である「マシナ解放戦線(FLM)」により誘拐される事件が発生しました。その後、同2名がブルキナファソ東部でフランス軍により救出された際には、ブルキナファソで誘拐された米国人女性1名と韓国人女性1名も同時に救出されています。武装集団の標的は欧米人に限定されていないため、日本人が標的になる可能性も排除されません。
(2)ボルグ県やコリーヌ県のナイジェリア国境付近では、遊牧民であるプル族による身代金目的の誘拐事件が発生しています。被害者もプル族であることが多いものの、プル族以外のベナン人が誘拐されたケースもあります。これら誘拐事件に関して、今のところテロ組織との関係は指摘されていませんが、身代金の支払いが行われない場合、人質が殺害される場合もあります。
4 日本人・日本権益に対する脅威
現在のところ、ベナンにおいて、日本人及び日本権益を標的とした脅威情報は確認されていません。
近年は、世界的傾向として、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で不特定多数が集まる場所を標的としたテロが頻発しています。特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
また、外国人を標的とした誘拐のリスクも排除されず、注意が必要です。
テロ・誘拐はどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。