タンザニア
テロ・誘拐情勢
更新日 2024年08月07日
1 概況
タンザニアにおける治安面の脅威は、ソマリアのイスラム過激派組織「アル・シャバーブ(AS)」等の国際的テロ組織や、隣国モザンビークのカーボデルガード州の武装集団等外国の組織によるものと、タンザニア本土との連合関係に不満を持つザンジバルのグループ等の国内政治要因に起因するものがあると指摘されています。
過去2年はタンザニア国内では明らかにテロと認められる事件は発生していませんが、引き続き注意が必要です。
2 各地域の治安情勢
(1)タンザニアでは、貧困等を背景として、エチオピア、ソマリア、ルワンダ、ブルンジ、コンゴ民主共和国、モザンビークなど、外国からの密入国者が後を絶えません。テロ組織の構成員が紛れ込んで不法入国している可能性が指摘されており、治安状況の悪化や不安定化が懸念されます。
(2)実際、2013年10月、タンザニア南東部のモザンビーク国境に位置するムトワラ州山中において軍事訓練を行っていた容疑で、AS関係者11人が逮捕されました。同容疑者グループは、訓練マニュアルが記録されたDVDや現地製の武器も所持していました。
(3)また、2019年1月には、ケニアのナイロビでのテロ事件発生後、AS幹部がケニア、タンザニアへの攻撃を示唆している動画が、ソーシャルネットワーク上で掲載されました。同動画は2016年に掲載されたものと同一であることが確認されましたが、引き続き注視する必要があります。
(4)ダルエスサラーム市内においても、2021年8月に警察官2名が突然男にピストルで撃たれる事件が発生し、犯人逮捕に至るまでに更に警察官1名,民間警備会社警備員1名が死亡、その他6名が負傷しました。その後の警察当局による捜査において、犯人はイスラム過激派武装組織やASから影響を受けており、自爆覚悟の行動であったことから、テロリストであったとして報道されています。
(5)隣国モザンビークのカーボデルガード州においては、2017年頃より武装集団による襲撃事件が相次いでいました。タンザニア側のムトワラ州においても、2019年11月には、モザンビークとの国境沿いのルブマ川に位置する小島で、正体不明の武装集団による村民襲撃事件が発生しました。さらに、2020年10月及び2021年10月には、同じくムトワラ州において、イスラム過激派組織を名乗る武装集団による襲撃事件が発生しました。
(6)モザンビーク側においては、軍が中心となり南アフリカ共同体(SADC)の部隊やルワンダ軍の協力を得つつ、武装勢力に対応しており、幹部の逮捕等一定の効果が出ているとの報道もあります。また、タンザニアとモザンビークの国境警備が強化され、過去2年間はタンザニア側への武装勢力の流入に起因する事件の発生は報じられておりません。しかし、2023年12月以降、モザンビーク北部でのテロリストの襲撃が再活性化していることから、モザンビーク国境に接するムトワラ州における治安情勢には引き続き注意が必要であり、同州への不要不急の渡航はお控え下さい。
3 誘拐事件の発生状況
(1)邦人旅行者が金品強奪を目的としたタクシー強盗と称される短時間誘拐の被害に遭うケースが多発しています。同被害は、ダルエスサラーム各所の他、最近ではザンジバルのストーンタウンでも発生しています。安価な料金を提示され乗車すると、後から複数のタンザニア人が強引に乗り込み、人気のない場所に連れて行かれ刃物等で恐喝、暴行され、金品を強奪される、ATMでクレジットカードの最大限度額まで出金させられるなどの事案が増加しています。流しのタクシーは利用せず、ホテルやタクシー乗り場に待機している登録された正規タクシーを利用して下さい。
(2)2018年10月、ダルエスサラームの高級ホテルに併設された会員制ジム入口にて、タンザニア人資産家が武装集団に拉致・誘拐される事件が発生しました。このような事件に巻き込まれることのないよう、日頃から行動を予知されない、常時、周囲に気を配るなど十分な注意をお願いします。
4 日本人・日本権益に対する脅威
タンザニアでは、現在まで、日本人や日本権益を直接の対象としたテロや誘拐の脅威は確認されていません。しかし、近年は、世界的な傾向として、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で一般市民が多く集まる場所(ソフトターゲット)を標的としたテロが頻発しています。
特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、警備や監視が手薄で不特定多数の人が集まるため、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。