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タンザニア
テロ・誘拐情勢

更新日 2025年01月31日

1.概況
 タンザニアにおける治安面の脅威は、ソマリアのイスラム過激派組織アル・シャバーブや隣国モザンビークの武装集団等外国の組織によるものと、タンザニア本土との連合関係に不満を持つザンジバルのグループ等の国内政治に起因するものがあると指摘されています。
 過去2年はタンザニア国内では明らかにテロと認められる事件は発生していませんが、引き続き注意が必要です。

2.各組織の活動状況又は各地域の治安情勢
(1)主に外国の組織に起因する脅威
 当地では貧困等に起因したエチオピア、ソマリア、ルワンダ、ブルンジ、コンゴ民主共和国、モザンビークなど、外国からの密入国者が後を絶たず、テロ組織の構成員も紛れ込んで不法入国している可能性も指摘されており、治安状況の悪化や不安定化も懸念されます。
ア.実際、2013年10月、タンザニア南東部のモザンビーク国境に位置するムトワラ州山中において軍事訓練を行っていた容疑でアル・シャバーブ関係者11人が逮捕されました。同容疑者グループは、訓練マニュアルが記録されたDVDや現地製の武器も所持していました。
 また、2019年1月には、ケニアのナイロビでのテロ事件発生後、ソーシャルネットワーク上でアル・シャバーブ幹部がケニア、タンザニアへの攻撃を示唆する動画が掲載されました。同動画は2016年に掲載されたものと同一であることが確認されましたが、引き続き注視する必要があります。
 ダルエスサラーム市内においても、2021年8月に警察官2名が突然男にピストルで撃たれる事件が発生し、犯人逮捕に至るまでに更に警察官1名,民間警備会社警備員1名が死亡、その他6名が負傷しました。その後の警察当局による捜査において犯人はイスラム過激派武装組織やアル・シャバーブに陶酔しており、自爆覚悟の行動であったことから、テロリストであったとして報道されています。
イ.隣国モザンビークのカーボデルガード州においては、2017年頃より武装集団による襲撃事件が相次いでいました。タンザニア側のムトワラ州においても、2019年11月にはモザンビークとの国境沿いのルブマ川に位置する小島で、正体不明の武装集団による村民襲撃事件が発生しました。さらに、2020年10月及び2021年10月には、同じくムトワラ州において、イスラム過激派組織を名乗る武装集団による襲撃事件が発生しました。
 モザンビーク側においては、軍が中心となり南アフリカ共同体(SADC)の部隊やルワンダ軍の協力を得つつ、武装勢力に対応したことで、幹部の逮捕等一定の効果が出ているとの報道もあります。また、タンザニアとモザンビークの国境警備が強化され、過去2年間はタンザニア側への武装勢力の流入に起因する事件の発生は報じられておりません。しかし、モザンビーク側の騒乱はまだ沈静化したとは言えず、したがって、モザンビーク国境に接するムトワラ州における治安情勢には引き続き注意が必要であり、同州への不要不急の渡航はお控え下さい。

(2)主に国内政治に起因する治安上の脅威
 国内政治に起因する治安上の脅威は、必ずしもテロに直結するわけではないものの、特に総選挙のタイミングに顕在化することが多く、注意が必要です。なお、タンザニアにおいては、2025年10月に総選挙が予定されています。
ア.2015年1月から7月にかけて、コースト州、モロゴロ州、タンガ州及びダルエスサラーム州で警察当局に対する襲撃事件が続けて発生しました。
イ.また、2015年10月、タンザニア全土での総選挙の際には、タンザニア島嶼部のザンジバルのストーンタウン及びその周辺において警察当局介入による暴動事件が発生したほか、選挙結果に対する抗議行動とみられる小規模爆弾事件も発生しました。
 さらに、2016年3月、ザンジバル大統領選挙再投票を前に、ボイコットを決めた野党支持者とザンジバル政府及び治安当局との間で緊張が高まり、野党支持者宅数件の焼き討ち事件、ザンジバル警察庁長官宅で爆発物投てき事件が発生しました。
ウ.2020年10月の総選挙では、選挙期間中にストーンタウン及びその周辺並びにペンバ島で大規模な暴動が発生したとの情報もありました。

3.誘拐事件の発生状況
(1)邦人旅行者を標的とした金品目的のタクシー強盗と称される短時間誘拐被害が多発しています。同被害はダルエスサラーム各所のほか、最近ではザンジバルのストーンタウンでも発生しています。安価な料金を提示され乗車すると、後から複数のタンザニア人が強引に乗り込み、人気のない場所に連れて行かれ刃物等で恐喝、暴行され金品を強奪される、ATMでクレジットカードの最大限度額まで出金させられるなどの事案が増加しています。流しのタクシーは利用せず、ホテルやタクシー乗り場に待機している登録された正規タクシーを利用して下さい。
(2)2018年10月、ダルエスサラームの高級ホテルに併設された会員制ジム入口にて、タンザニア人資産家が武装集団に拉致・誘拐される事件が発生しました。このような事件に巻き込まれぬことのないよう、日頃から行動を予知されない、常時、周囲に気を配るなど十分な注意が必要です。

4.日本人・日本権益に対する脅威
 タンザニアでは、現在まで、日本人や日本権益を直接の対象としたテロや誘拐の脅威は確認されていません。
 他方、テロによる日本人の被害は、シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアを始めとする世界中で発生しており、これまでもチュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
 近年は、世界的傾向として、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で不特定多数が集まる場所を標的としたテロが頻発しています。特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
 また、外国人を標的とした誘拐のリスクも排除されず、注意が必要です。
 テロ・誘拐はどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

テロについて

 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを要求し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が、報道等の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり、本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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