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エジプト
テロ・誘拐情勢

更新日 2025年12月31日

1 概況
 近年、シナイ半島を除き、エジプトにおいて大規模なテロの発生は確認されていません。しかし、下記の経緯や、中東地域における最近の情勢を踏まえると、依然としてテロ発生の懸念は完全には払拭されておらず、引き続き注意が必要です。

(1)近年のテロ情勢
エジプト政府は、2017年4月に発生したコプト・キリスト教会2か所での自爆テロを受けて、エジプト全土を対象とする非常事態宣言を発出し、テロ組織に対する徹底的な取締りを進めてきました。
 こうした取組の成果もあり、2019年11月のカリュビーヤ県におけるテロ事件の発生から2022年11月までの約3年間、エジプト本土でのテロは確認されず、2021年10月には非常事態宣言が解除されました。
 その後、2022年12月、イスマイリーヤ県のスエズ運河西側で警察検問所が襲撃されるテロが発生したほか、2023年10月にアレキサンドリア市内の観光地でエジプト人警官がイスラエルからの団体観光客に発砲し、少なくとも3名が死亡する事件が発生しています。そのほか、過去にコプト・キリスト教徒をターゲットとしたテロや、2018年12月のギザのピラミッド周辺における爆発事件など、外国人観光客をターゲットとした可能性のある事件が発生しています。
 近年のエジプト情勢と主な事件については、以下を参照してください。
 https://www.eg.emb-japan.go.jp/itpr_ja/r_safety_handbook_index.html#situation
 
 シナイ半島北部では、2022年5月に、シナイ半島西部(スエズ運河の東側)の揚水施設に対する攻撃が行われ、複数の軍関係者が死亡しました。これを踏まえ、エジプト政府は、エジプト軍と部族連合とが共同してテロリスト掃討作戦を行うとともに、水道事業、住宅事業、道路整備事業等の抜本的な経済開発を進めることにより、同地域がテロの温床となることを防ぐ包括的テロ掃討作戦も進めていますが、引き続き注意が必要です。

(2)国内のテロ組織等について 
 下記2を御覧ください。

(3)近年の誘拐情勢
犯罪統計がエジプト政府から発表されていないため、正確な誘拐事件の発生件数は不明です。他方、誘拐の標的として日本人が狙われる可能性も排除できないため、人通りの少ない裏路地への単独での立入りや夜間の外出は控える等、注意を怠らないようにしてください。

2 各組織の活動状況又は各地域の情勢
・イスラム国シナイ州(ISシナイ州、旧「アンサール・ベイト・アル・マクディス」(ABM))
 2014年11月、シナイ半島北部を拠点とする「アンサール・ベイト・アル・マクディス」(ABM)は、「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」の初代指導者に忠誠を誓い、「ISシナイ州」に組織名を改めたと発表しました。2019年10月にISILの第二代指導者が就任した際には、ISシナイ州が同人に忠誠を誓う画像が、他のISIL関連組織に先駆けて公開されました。2022年8月にはISシナイ州幹部のハムザ・アーデル・ムハンマド・アル・ザームリー(別名アル・マクディシー)がエジプト軍と部族連合により殺害されました。また、2023年1月に新たにISILの第四代指導者が就任した際には、ISシナイ州が同人に忠誠を誓う動画を公開しています。
 同組織は、シナイ半島でのテロのほか、エジプト本土における複数のテロや2015年のロシア旅客機墜落事件及びクロアチア人誘拐殺害事件についても犯行声明を出しています。
 2019年11月、同組織は安保理決議第1737号に基づき我が国が実施している資産凍結措置の対象に指定され、外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく資産凍結措置の適用を受けています。

・ハスム運動
 同組織は、2016年の検事総長補暗殺未遂事件や2017年の治安機関車両に対する爆弾テロの実行を自認しているほか、エジプト政府から、2019年のカイロ市内及びカイロ近郊での爆発事件の実行グループであると断定されています 。エジプト政府は、同組織がムスリム同胞団と関連があるとしています。
 2018年1月、米国国務長官は、同組織を特別指定国際テロリストに指定、さらに2020年12月に外国テロ組織に指定、指導者2名を特別指定国際テロリストに指定しました。

・革命旅団
 同組織は、2016年のエジプト軍幹部の殺害や2017年の治安機関施設に対する爆弾テロの実行を自認しています。エジプト政府は、同組織がムスリム同胞団と関連があるとしています。
 2018年1月、米国国務長官は、同組織を特別指定国際テロリストに指定しました。

3 誘拐事件の発生状況
(1)2015年、カイロ郊外においてクロアチア人が誘拐される事件が発生し、ISILシナイ州が同人殺害の犯行声明を発出しました。
(2)犯罪統計がエジプト政府から発表されていないため、正確な誘拐事件の発生件数は不明です。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 2013年7月の政変以降にエジプトで発生したテロ・誘拐事件の中で、日本人又は日本権益を対象としたものはありません。しかし、エジプトでは、過去に軍・治安・司法機関、コプト・キリスト教徒及びこれら関係施設に対する攻撃や攻撃未遂事案がカイロ市内及びカイロ近郊でも発生しており、上述のとおり、外国人観光客が死傷する事件も発生しています。

 近年は、世界的傾向として、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で不特定多数が集まる場所を標的としたテロが頻発しています。特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
また、外国人を標的とした誘拐のリスクも排除されず、注意が必要です。
 テロ・誘拐はどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

テロについて

「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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