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テロ・誘拐情勢

2018年03月26日

1.概況
(1)アルジェリアでは、2013年1月のイナメナス事件後から2017年1月までに、1,000人以上のテロリストが治安当局の掃討作戦により殺害、逮捕されたか投降しており(うち700人以上はAQIM(イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ)関係者)、国内の残存テロリスト数、潜在的な攻撃能力及び活動地域は一定程度抑えられています。
(2)テロリストの主たる潜伏地域はカビリー(Kabylie)地方、中部、西部及び国境地帯と見られ、いずれも小型の武器を携行して治安当局の警戒網をすり抜けながら絶えず移動しています。ここ数年、他地域と比べて警戒態勢が厳重な首都アルジェでは、テロ事件やテロ組織関係者の逮捕事案の発生は見られませんでした。しかし、2017年に入り、テログループ支援者の逮捕事案(2件)や、AQ(アル・カーイダ)メンバーとしてブイラ県の山岳地帯で活動していたテロリストが、AQ指導部からテロ攻撃の指示を受け、本来の活動域から首都に移動して潜伏していたところを拘束される事案が発生しています。
(3)また、シリア、イラクでISILに参加したアルジェリア人戦闘員の帰還による新たなテロの脅威が大きな問題になりつつあり、既に多くの戦闘員がアルジェリアに帰還していると報じられています。治安当局は、国内はもとより国境全域に対する警戒態勢の強化を図っていますが、国境・沿岸線が長大なアルジェリアにとってこれらの全てを監視することは困難で、密入国者に紛れてこれら戦闘員が帰還する危険性も指摘されています。

2.各組織の活動状況及び各地域の治安情勢
(1)イスラム・マグレブ諸国のアル・カーイダ組織(AQIM)
2007年に首都アルジェにおいて国家機関・国連機関を狙った大規模自爆テロを敢行して以降は、治安当局による掃討作戦・取締強化により国内でのテロ活動が困難になり、現在、AQIMの活動範囲は北東部山岳地帯(カビリー地方)が中心となっています。また、AQIMの指導者ドゥルクデルは、同山岳地帯に潜んでいると見られていますが、掃討作戦の強化によりその活動もかなり限定的になってきています。
(2)イスラムとムスリムの支援団(JNIM)
2013年1月のイナメナス事件の実行犯である「覆面旅団」を率いていたモフタール・ベルモフタール(MBM:死亡説もありますが未確認)は、2013年8月、同旅団と「西アフリカの一神教と聖戦集団(MUJAO)」を統合し、「ムラービトゥーン」を結成しました。MBMはその声明の中でISILへの連帯を否定し、AQへの忠誠を表明しました。その後、2017年3月に同組織を含むサヘル地域の5つのテログループが統合して「イスラムとムスリムの支援団」が組織され、地元部族(トゥアレグ族)等とのつながりを活かし、アルジェリア国境地帯、リビア、ニジェール、マリ北部を中心にサヘル地域の広域で活動しています。
(3)ジュンド・アル・ヒラーファ(JAK)
北東部のカビリー地方では、2014年、AQIMを離反した分子がイスラム過激派組織ISILへの忠誠を表明する新たな組織「ジュンド・アル・ヒラーファ(カリフの国兵士達)(JAK)」を結成しました(後にISILは、アルジェリアを「ISILの支部(州)とした」旨の声明を発出)。同年9月には、ティジ・ウズ県南部山岳地帯でフランス人登山家1名を誘拐して人質に取り、フランスによるISIL攻撃を中止させる交渉材料として利用した後、同人を殺害する事件が発生しました。また、同年11月にはブイラ県東部において憲兵隊エスコートを伴って移動していた中国・トルコ合弁企業の外国人労働者の車列に対する襲撃未遂事件が発生し、真相は不明ですが、JEKの犯行であるとの報道もあります。その後、JEKの指導者アブデルマレク・グーリ及びその後継者は、掃討作戦により次々に殺害され、治安当局は現在も他のメンバーを継続して追跡しています。
(4)グラバー旅団
グラバー旅団は、AQIMから離脱してISILに忠誠を誓ったアルジェリアにおける3番目のテロ組織と言われ、コンスタンティーヌ県北東部の山岳地帯を活動拠点にしています。2017年3月、指導者ラウイラは、治安当局による掃討作戦により殺害されました。同人は2016年10月に発生したコンスタンティーヌ警察官殺害事件に直接関与した人物と見られていました。
(5)2017年におけるテロ事件の発生件数(新聞報道に基づく集計)は6件(死亡者4人)で、前年に続き減少傾向を示しています。このうち、アルジェリア北東部に位置するブーメルデス県、ティジ・ウズ県、ブイラ県などの山岳地帯を擁するカビリー地方におけるテロの発生件数が全体の3割を占めています。テロの攻撃対象・形態としては、全6件の事件のうち4件が明らかに治安当局を対象としたもので、形態は爆弾テロが5件、治安部隊への襲撃が1件でした。
また、同年におけるテロリストの掃討作戦の実施件数は全国で393件(前年比37件増)実施され、カビリー地方で116件、南部4県(イリジ県、タマンラセット県、アドラール県、ティンドゥーフ県)で51件、東部5県(エル・タルフ県、スーカハラス県、テベッサ県、エル・ウエッド県、ウアルグラ県)で25件でした。また、自爆テロ事件は2件で、いずれも警察施設を攻撃対象としたものでした(いずれの数値も新聞報道に基づく集計値)。

3.誘拐事件の発生状況
(1)2017年4月にベジャイア県のグラヤ国立公園に近いカルボン岬において、誘拐され行方不明になっていた国民議会選挙の候補者の男性が遺体で発見されました。
(2)2017年8月、テベッサ県では、若い女性が男に誘拐・監禁され、救出に当たった警察官2人が死傷する事件が発生しています。
(3)2017年10月、治安当局はコンスタンティーヌ県内に潜伏するテロリスト3人を特定するとともに、同人らが治安部隊員の誘拐を企図していたことが明らかとなり、治安機関施設、政府関係施設を中心に警戒体制を強化しました。

4.日本人・日本権益に対する脅威
アルジェリアでは、過去、日本人10名が犠牲となったイナメナス事件のような日本権益へのテロ攻撃や観光目的の外国人に対する誘拐・殺害事件が発生しており、今後も日本人・日本権益がテロ等の標的となり被害に遭うことが懸念されます。このような情勢を十分に認識し、誘拐、脅迫、テロ等の不測の事態に巻き込まれることがないよう、海外安全情報及び報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め、日頃から危機管理意識を持つとともに、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。

(注記)
 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが,一般には,特定の主義主張に基づき,国家等にその受け入れを強要し,又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は,このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず,外務省が,報道等の情報等に基づき,海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり,本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。