1. ホーム
  2. 地図からの選択
  3. テロ・誘拐情勢
  4. オーストラリア

オーストラリア
テロ・誘拐情勢

更新日 2024年03月01日

1 概況
(1)豪州政府が公表しているテロ警戒レベルは、2022年11月をもって、全体で5段階のうち下から2番目の「可能性がある(POSSIBLE)」に引き下げられています。2014年以降、豪州としては11件のテロ攻撃があり、22件のテロ計画に対処してきた経緯がありますが、今回のテロ警戒レベルの引き下げは、脅威がなくなったわけではないが、起こり得る可能性の度合いが下がったことを意味するとされています。治安当局は2023年の1年間を通じて、テロ容疑者の摘発に取り組み、国内で1件の事案を摘発し、容疑者を逮捕しています。
(2)移民国家である豪州の中には、過激派組織「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」をはじめとする海外のテロ組織の影響を受け、これらに対して資金・物資調達等の後方支援を行う者や、自ら紛争地域に渡航してテロ組織とともに戦う、いわゆる外国人戦闘員となる者が存在しています。また、こうした海外の情勢や過激思想に共鳴して国内で過激化する、いわゆるホームグロウン・テロリストの問題が発生しており、治安当局は引き続き警戒感を強めています。2023年にSA州で発生したテロ計画事件は、1999年米国コロンバイン高校での銃乱射事件に影響を受けた人物が計画を企てたとされています。
(3)豪州政府は、引き続きテロ容疑者の摘発を推進し、連邦議会議事堂や警察等政府関係施設の警備を強化するとともに、若者の過激化防止対策に力を入れています。また、大規模なイベント等における混雑場所でのテロ未然防止対策を推進しています。
(4)豪州政府は、引き続き、インターネット等を介して密かに過激化の道をたどる、イスラム過激主義者に与える影響及び極右過激主義者の広まりに警戒感を強めています。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)2014年後半からシリア・イラクにおいて活動するISILが台頭し、これに対する軍事作戦に豪国防軍が参加する一方で、豪州からの外国人戦闘員のISIL参加、ISILによる扇動や直接の指示を受けた豪州国民による国内におけるテロ計画等が散見された経緯があります。また、2023年10月以降は、豪州の大都市において、ガザ地区での戦闘行為を非難する集会や、パレスチナの自由を訴える大人数による行進などが頻繁に発生しており、シドニーやメルボルンなどの大規模都市では、逮捕者が出る事件も発生しています。
(2)連邦警察・各州当局では最近のテロ情勢を踏まえ、シドニー・メルボルン等の都市のみならず、各地域の大規模なイベント等における混雑場所でのテロ未然防止対策を推進しています。このような状況を考慮し、不測の事態に巻き込まれないよう、➀最新の関連情報の入手に努める、➁テロ・誘拐等の標的となりやすい場所(※)を訪れる際には、周囲の状況に注意を払い、不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れる等、安全確保に十分注意を払う、といった対応に努める必要があります。
(※)リゾート施設、各種イベント会場、観光施設、レストラン、ホテル、ショッピングモール、スーパーマーケット、劇場、コンサート会場等人が多く集まる施設、教会・モスク等宗教関係施設、公共交通機関、政府関連施設(特に軍、警察、治安関係施設)等

3 誘拐事件の発生状況
豪州では、多額身代金目的の誘拐事件や政治的背景を有する誘拐等事件の発生は報告されていません。豪州統計局が公表している2022年犯罪統計(https://www.abs.gov.au) によれば、誘拐・略取(kidnapping/abduction)の被害者は154人であり、件数は昨年と横ばいとなっています。この年に記録された誘拐事件についての3分の1(30%)が家庭内暴力による被害であり、その犠牲者134名は女性であり、内18歳未満が16人(10%)とされています。

4 日本人・日本権益に対する脅威
2023年中、豪州において我が国及び日本人を狙ったテロの脅威は、特段認められていませんが、テロによる日本人の被害は、シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており、これまでにもチュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
近年は、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で一般市民が多く集まる場所(ソフトターゲット)を標的としたテロが世界各地で頻発しています。これらは組織性が低い単独犯によるテロが多く、事前の取締りが難しいため、今後も継続することが懸念されます。
特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテルショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、警備や監視が手薄で不特定多数の人が集まるため、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

テロについて

「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
page TOP