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ヨルダン
テロ・誘拐情勢

更新日 2026年01月31日

1 概況
 ヨルダンは、イラク、シリア、イスラエル、レバノン及びイランといった周辺国の情勢の影響を受けやすい地理的位置にありながら、これまで外的な影響による様々な国内治安の不安定化の危機を乗り越えてきました。しかしながら、隣国のイスラエル、イラク及びシリアの情勢が不安定であることや、国境管理の困難さなどから、テロリストや武器・爆発物の流入を治安当局が完全に阻止することは難しい状況にあります。このような状況の中、ヨルダン政府はテロ防止のため、法令整備、体制強化等に取り組んでいるほか、治安当局の指導の下、主要なホテルやショッピング・モール等における入場者のチェックを強化するなど、各種対策を実施していますが、今後もテロ事件等が発生する可能性は排除できませんので、引き続き注意が必要です。
(1)昨年のテロ事件の発生概況
 2025年9月、イスラエル・ヨルダン国境付近において、ガザに支援物資を運ぶトラックを運転していたヨルダン人ドライバーによる、イスラエル人に対する銃撃事件が発生し、イスラエル兵2名が死亡する事件が発生しました。犯人はその場で射殺されました。
(2)過去のテロ事件の発生状況
 ア 2016年12月中旬、カラク県において警察署やカラク城等が銃撃されるテロ事件が発生、外国人観光客1名を含む10名が死亡し、外国人を含む30名以上が負傷しました。本件に関しては、イラク・レバントのイスラム国(以下ISIL)から犯行声明が発出されています。
 イ 2018年8月、アンマンの北西に隣接するバルカ県フヘイスにおいて、音楽祭警備のため駐車中の治安機関車両を狙った爆破テロが発生し、治安機関員2名が死亡、5名が負傷しました。さらに、その翌日、同県サルトにおいて、犯人グループの隠れ家を治安機関が摘発した際、犯人グループが応戦して建物を爆破するなどした結果、治安機関員4名が死亡、多数が負傷したほか、犯人3名が死亡し、4名が逮捕されています。
 ウ 2019年11月、首都アンマンの北方に位置するジェラシュ県ジェラシュ市のローマ遺跡において、刃物を使用した襲撃事件が発生し、外国人観光客4名を含む8名が負傷しました。犯人は、インターネット上でISILの思想に触れて過激化したローン・オフェンダーであり、ISIL指導者バクダーディ氏殺害の報復を意図したとされています。
 エ 2022年12月、マアーン県において、燃料の高騰を背景としたデモに対応していた警察官1名が、過激主義者とされる者に襲撃・殺害されるという事件が発生しました。さらに後日、同県所在の容疑者の自宅捜査に赴いた治安機関員が、自動小銃による応射を受け銃撃戦となり、治安機関員3名が死亡し、複数名が負傷しました(犯人グループのうち1名が射殺され、9名が逮捕)。
 オ 2024年9月及び10月にイスラエル・ヨルダン国境付近において、ヨルダン人によるイスラエル人に対する銃撃事件が発生しました。9月、アレンビー橋(キング・フセイン橋)検問所においてヨルダン人トラック運転手がイスラエル人職員3名を射殺する事案が発生し、犯人も射殺されました。10月には、死海南部イスラエル領内においてヨルダン人2名がイスラエル兵を銃撃し、応戦したイスラエル兵により射殺されました。
 カ 2024年11月下旬、イスラエル大使館や中国大使館が所在するアンマン市内アル・ラービエ地区において、薬物犯罪歴を有する犯人が警戒中の警察官を銃撃し、警察官3名が負傷しました。犯人はその後、治安機関との銃撃戦の末、射殺されました。
(3)近年の誘拐情勢
2025年中、ヨルダン国内において、テロリストによる外国人を標的とした誘拐事件や身代金目的等の誘拐事件は確認されていません。


2 各組織の活動状況及び各地域の治安情勢
(1)2024年12月のシリア・アサド政権の崩壊と政治情勢の変化を受け、テロ組織等の活動が活発化する可能性があります。ヨルダン北部国境地域における治安情勢については引き続き注視が必要です。他方、ISIL等の過激派組織と直接連絡を取ることなく、インターネット等により影響を受け過激化したテロリストによる「ローン・オフェンダー型テロ」が発生しています。また、2024年1月には、ヨルダン北東部に位置する米軍基地に対して、親イラン武装組織によるとみられる攻撃が行われ、米軍兵士3名が死亡するという事案が発生しています。
(2)2022年には、南部マアーン県において警察官1名がデモ規制中に殺害されました。さらに、同事件の被疑者検挙に赴いた治安機関員と犯人グループとの間で銃撃戦となり、治安機関員3名が殉職する事件が起きました。ヨルダン当局の発表によれば、この事件は過激な思想の信奉者のグループによるものとされており、翌年の2023年7月には逃亡していた同グループのメンバー1名が治安当局との銃撃戦の末に射殺されたほか、1名が治安当局に出頭し検挙されています。これらは、ヨルダン国内においてテロの脅威が依然として存在していることを示す事案といえます。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 現在のところ、ヨルダンにおいて、日本人及び日本権益を標的とした脅威情報及びテロ事件による日本人の被害は確認されていません。しかしながら、「1 概況(2)ウ」のように、ローン・オフェンダーによるテロ事件の現場に居合わせた外国人観光客が負傷するという事案も発生していることから、今後、日本人がテロ事件に遭遇する可能性も否定できません。
このような状況を十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、現地報道や海外安全ホームページ等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

テロについて

「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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