ヨルダン
安全対策基礎データ
- 犯罪発生状況、防犯対策
1 犯罪発生状況
ヨルダンは、アラブ諸国の中では治安が比較的安定している国の一つと言われていますが、近年、失業者の増加等の社会問題を背景に犯罪発生件数は高い数値で推移しています。ヨルダン警察庁によれば、2020年の犯罪発生総件数は22,556件(前年比マイナス14.9%)と大きく減少していますが、これは新型コロナウイルスの影響により、2か月間に及ぶロックダウンが行われ、その後も引き続き夜間外出禁止令、包括的外出禁止令などが執り行われたためとみられています。しかし、それ以前の2018、2019年の犯罪発生件数は、二年連続で増加しており、一般治安情勢は悪化傾向にあるといえます。
2 日本人の被害例
外出中の空き巣、ジョギング中の強盗、観光地等での強盗、暴行、投石や痴漢、路上での痴漢などが報告されているほか、タクシー乗車時に運転手からいやがらせを受けた等の事例があります。
3 防犯対策
(1)窃盗犯対策
空き巣や強盗、ひったくりなどは、特にアンマン市内のスウェフィーヤ地区、シュメサニ地区、アブドゥーン地区、ウム・ゼイナ地区などのビジネス街や高級住宅街において多く発生しています。防犯対策として以下のことを念頭において十分気をつけてください。
ア 空き巣や強盗、事務所荒らし等への対策
○アパートは、日本式に数えて3階以上の階に入居する。
○窓、ベランダにシャッターがついている場合は、夕方、シャッターを下ろす。
○就寝時を含めて常時施錠(玄関のドア、窓、ベランダ等)する。就寝中の盗難被害の多くは、就寝前にドアを施錠していなかった、または、施錠したかどうか覚えていない時に発生しています。
○警備強化、鍵の強化(交換、複数、チェーン錠など)、防犯カメラや防犯ブザー等防犯器具の設置等を行う。
○貴重品は分散して保管する。
○自宅付近において、不審者がいないか常に確認する。
○自身の情報や日程を、軽々しく口外しない。アパートの管理人や個人の使用人が、内から手引きしているケースもあります。
なお、帰宅した際にドアが壊れている等、侵入された形跡がある場合、まだ部屋内に犯人がいることも想定されますので、絶対に一人で中に入らず警察に連絡後、警察官の到着を待って確認してください。
イ ひったくりや路上強盗への対策
○自分だけは被害に遭わないという意識を持たない。
○歩行する際は、周りの様子に十分注意する。特に後方からゆっくり走っている車両、近くに来て急にスピードを緩める車両等には注意する。
○ハンドバッグ等の貴重品が入った物は、車道の反対側に持つようにする。
○ひったくりや強盗に遭った際は、抵抗しない。バッグ等を離さないことにより、引きずられて怪我を負う危険性があります。
(2)銃器犯罪対策
ヨルダンでは、銃器の所有は許可制となっていますが、実際には違法銃器が無許可で広く出回っています。銃器による発砲事件は、2020年中に2,127件発生しています。万一、強盗等の被害に遭った際には、「相手が銃を所持しているかもしれない」ということを念頭におき、抵抗は避け、可能な限り冷静な対応を心掛けてください。
平素から口論や喧嘩を避け、恨みを買わないようにすることが肝要です。また、2020年11月には、下院議会選挙後に、選挙結果の祝賀会や結果に対する抗議集会において、銃器が空に向け乱射されました。銃器が広く出回っていることも踏まえ、多くの人が集まっている場所には近づかないようにしてください。
(3)性犯罪対策
ヨルダンにおける性犯罪は、警察に被害届が提出されていないケースが多く、その数は年間5,000~6,000件と言われています。また、ヨルダン人であるか外国人であるかを問わず、性犯罪や性的いやがらせが多く発生しており、日本人女性の性犯罪被害も報告されています。
対策として、以下のような点に留意してください。
○ホテルやアパートの部屋など物理的に閉鎖された場所で、男性と二人きりになることは絶対に避ける。
○男性が身体を触ってくる、性行為を求めてくる、親しげに話しかけてくる、後をついて歩いてくるなど、男性の態度がおかしいと感じたら、きっぱりと断る、大声を出す、その場を走って逃げるなどする。
○余裕があれば、911(日本の警察と消防に該当、英語での対応も可)に電話する。
○胸元が見えるシャツ、短パンなど肌の露出の多い服装は避ける。
○外出から戻る時間が遅くならないよう留意する。
○夜間外出する際は、複数であっても安心せず、行動する時間帯に留意する。
○タクシーに乗る際は、助手席には座らない。
4 テロ・誘拐
ヨルダンのテロ・誘拐については、テロ・誘拐情勢( https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_054.html )をご確認ください。
※在留邦人向け安全の手引き
在ヨルダン日本国大使館が在留邦人向けに作成した「安全の手引き」( https://www.jordan.emb-japan.go.jp/files/100461536.pdf )も参照してください。- 査証、出入国審査等
(手続や規則に関する最新の情報については駐日ヨルダン大使館(03-5478-7177)等に確認してください)
1 査証、滞在許可等
日本とヨルダンの間には査証免除取極がありませんが、短期旅行者については、入国時に空港または国境事務所において30日の滞在許可を取得することができます。この短期滞在許可は、居住地最寄りの警察署の外国人登録事務所において更新(最大60日まで)することが可能です。更新の際には、パスポート、住居の賃貸契約書(ホテルに滞在している場合はホテルからの宿泊証明書)、保証人に関する書類(保証人がヨルダン人の場合は保証人のIDおよびIDのコピー1部、保証人が外国人の場合は保証人のパスポート、保証人の居住許可証およびそれぞれのコピー1部)を持参の上、手続きをする必要があります。また、更新は2回まで認められており、2回目の更新時には最大90日の滞在許可を取得することができるため、ヨルダン入国後、最大180日まで滞在することが可能となります。2回目の更新申請は、滞在有効期限の2週間前までにアンマン市内のBorder & Residence Department (電話:06-5505360)において、パスポートおよびパスポートのコピー1部を持参の上、手続きをする必要があります。ただし、1回目の更新後に、居住地を変更した場合は、事前に居住地最寄りの警察署において、居住地変更の手続きをする必要があります。同手続きには、パスポート、住居の賃貸契約書(ホテルに滞在している場合はホテルからの宿泊証明書)、保証人に関する書類(保証人がヨルダン人の場合は保証人のIDおよびIDのコピー1部、保証人が外国人の場合は保証人のパスポート、保証人の居住許可証およびそれぞれのコピー1部)が必要です。なお、滞在許可期間を過ぎて滞在した場合は、出国手続きをする前に滞在超過一日あたり1.5ヨルダン・ディナール(約2.1米ドル、固定レート1米ドル=0.708ヨルダン・ディナール)、1か月の場合は45ヨルダン・ディナール(約63.56米ドル)の罰金を払う必要があるので注意してください。
パスポートを紛失した場合は、新しく作成したパスポートに、アンマン市内のBorder & Residence Department (電話:06-5505360)で、ヨルダン入国日のスタンプを押印してもらう必要があります。また、パスポートを更新した場合も同様ですが、古いパスポートにあるビザまたは滞在許可証は、新しいパスポートにトランスファー(移し替え)することをお勧めします。ただし、急な用事等でヨルダンを出国する場合は、新旧2冊のパスポートを提示することで、ヨルダンの出入国審査を受けることが可能です。
新型コロナウイルス感染症対策のため、入国制限措置や入国に際しての条件・行動制限が取られていることがありますので、最新の情報(https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/pdfhistory_world.html )を事前にご確認ください。
2 税関審査
出入国時の通関は全般的に厳しく、スーツケースや手荷物等を開けるように要求されることが多くあります。禁制品である麻薬、銃器、ポルノは持込みが禁止されています。特に、セミヌード写真が掲載されている程度の週刊誌等であっても持込みができないので注意が必要です。
3 外貨申告
出入国時の外貨申告の必要はありません。両替は、外貨から現地通貨(ヨルダン・ディナール)、現地通貨から外貨への両替共に規制はありません。なお、日本円の両替が可能な場所は限られており、両替レートも悪いので、米ドルの現金を利用する方が便利です。- 滞在時の留意事項
1 滞在許可証
長期滞在する場合は、滞在許可有効期限の少なくとも2週間前までに内務省に滞在許可証(イカーマ)を申請しなくてはなりません。この滞在許可証は通常1年間有効であり、1年以上滞在する場合は、1年毎に更新手続きをする必要があります。短期滞在者については、入国時に、空港または国境事務所において30日の滞在許可を取得することができ、最寄りの警察署の外国人登録事務所で延長手続きをすることにより最大180日まで滞在することができます(上記査証・出入国審査等の1ご参照)。
2 立ち入りや写真撮影の制限
軍関係施設への立入りは禁止されています。立入禁止地区には立て看板が立てられていますが、アラビア語表示のものが多いので注意が必要です。また、軍事施設、米国大使館等の写真撮影は厳禁で、撮影するつもりがなくても、カメラを向けた方向にたまたま軍事施設等があった場合には、フィルムを没収されたり、映像を消去されることがあるので注意してください。
3 各種取締法規に関する留意事項
(1)麻薬等
麻薬・覚せい剤等の持ち込み、所持には厳罰が科されます。
(2)不法就労
労働許可証を取得せず就労(不法就労)していた場合は、強制退去処分となります。労働許可証の更新を怠ると、1日につき1.5ヨルダン・ディナール(約2.1米ドル)の罰金が科されます。
(3)王室批判
ヨルダンでは、王室に対する不敬には刑罰が科されます。外国人であっても、公衆の面前であからさまに王室を批判したり、王室関係者の肖像画が入った紙幣やポスター、写真等へ落書き等した場合は1年から3年の懲役刑が科されます。
4 ヨルダン川を越えての陸路出国
ヨルダン川西岸への出国ポイントであるキング・フセイン(アレンビー)橋は、日~木曜日は午前7時から午後2時まで、金、土曜日は午前7時から午前11時まで開いています。イスラエル北部への出国ポイントであるシェイク・フセイン橋は、日~木曜日は午前8時30分から午後3時30分まで、イスラエル南部への出国ポイントであるワディ・アラバ(イスラエル側の呼称は「イツハク・ラビン」)国境は、日~木曜日は午前7時から午後3時まで開いています。
ただし、治安上の理由等で予告なしに時間が変更または閉鎖される場合があるので注意が必要です。また、閉鎖時間直前に出国申請した場合には、受付されない場合もありますので、時間に余裕を持って申請されることをお勧めします。
5 デモ・騒じょう事案
政治的民主化、経済改革等を政府に求めるためにダウンタウンをはじめとするアンマン市内や国内各地で毎週金曜日の礼拝後(午後1時頃)を中心にデモ・集会等が発生しています。デモは、2018年6月には内閣総辞職につながる大規模かつ全国的なものとなり、また、同抗議活動において一部のデモ隊と治安機関員との衝突も見られる等しています。
また、異なる部族出身の個人や家族単位の口論やトラブルが互いに武器を所持した部族争いに発展し死傷者をともなう騒じょう事案になることがあります。
街中でデモや多くの住民が騒いでいる場面に遭遇した場合には、すぐにその場を離れてください。
6 在留届
ヨルダンに3か月以上滞在される方は、緊急時の連絡等に必要ですので、到着後遅滞なく在ヨルダン日本国大使館に「在留届」を提出してください。また、住所その他届出事項に変更が生じたとき、または日本への帰国や他国に転居する(一時的な旅行を除く)際には、必ずその旨を届け出てください。在留届の届出は、オンラインによる在留届電子届出システム(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html )による登録をお勧めしますが、インターネットがご利用できない場合は、当館領事窓口等でも提出ができますので、在ヨルダン日本国大使館までお問い合わせください。
7 「たびレジ」
在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者の方(海外旅行者・出張者を含む)は、「たびレジ」への登録をお願いします(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html )。「たびレジ」は、滞在先の最新の安全情報等を日本語のメールで受け取れる外務省のサービスです。登録した情報は、ヨルダンで事件や事故、自然災害等が発生し、在ヨルダン日本国大使館が安否確認を行う際にも利用されます。安全情報の受け取り先として、家族・同僚等のメールアドレスも追加登録できますので、併せてご活用ください。- 風俗、習慣、健康等
1 風俗、習慣、気候に関する留意事項
アラブ諸国の中では、比較的自由の気風が強く民主的な国ですが、基本はイスラムの国であり、非イスラム教徒といえども、その戒律を十分に尊重することが肝要です。服装についても、Tシャツ、短パン等の過度に肌を露出した服装は避けた方が良いでしょう。飲酒についても、アラブ世界の中では寛容な方ですが、公共の場で酩酊し、大声を出すなどして迷惑をかけると取締りの対象となります。また、ラマダン(断食月)時期には、ホテルやレストランでもアルコール類の販売を控える所があります。
ヨルダンの気候は、一年中空気が乾燥しているので、保湿クリームが必需品です。また、日中は日差しが強いので、外出時は帽子とサングラスを着用し、飲料水を携帯することをお勧めします。なお、季節と場所によっては、昼夜の温度差が20度以上になることがあるので、衣類の選択には注意してください。冬季は降水量が増え、気温が零度以下になり、雪が降ることがあります。
2 健康、病気に関する留意事項
ヨルダン国内の生活インフラは一般的に不十分であり、不衛生な場所や飲食物が原因でアメーバ赤痢による下痢症にかかる場合があります。生卵や生水は避け、料理は十分加熱したものを食べ、野菜や果物は清潔な水でよく水洗いするか皮のついたものを剥いてから食べる方が良いでしょう。また、飲料水は、ミネラル・ウォーターを利用し、手洗いを励行する等の注意が必要です。
一部の河川、水路、池等には住血吸虫が生息していますので、郊外へ出た場合には、不用意に水の中に入らないようにしてください。狂犬病も発生しているので、野犬、野良猫には手を触れないでください。万一、動物に噛まれた場合は、清潔な水と石けんで傷口を洗浄し、ただちに医療機関を受診して暴露後ワクチンを接種してください。小さなお子さんやお年寄りは、結核にも注意が必要です。
予防接種としては、破傷風、A型肝炎、B型肝炎および髄膜炎菌性髄膜炎などの予防接種を受けることが奨励されています。また、腸チフスについては、日本国内未認可の予防接種がありますので、渡航前にトラベルクリニックなどに相談することをお勧めします。また、野外で動物に接触する機会が多い場合には、狂犬病の予防接種をあわせてお勧めします。
なお、2012年以降、サウジアラビアを中心に、中東呼吸器症候群(MERS)の発生が継続しており、ヨルダンでも感染例が報告されているほか、2019年末以降、新型コロナウイルス感染症(COVID19)の発生が継続しています。MERSは、MERSコロナウイルスによる感染症で、予防には手洗い・うがいなどの衛生習慣の励行とともに、咳やくしゃみなどの症状がある人との接触やウイルス保有動物とされるラクダとの接触を避けること、新型コロナウイルスは咳エチケットや手洗い・うがいの励行、換気をよくし密を避ける、外出時のマスクの着用などが大切です。
(参考)海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/index.html
3 医療機関についての留意事項
首都アンマンには、比較的信頼のおける私立医療機関が存在し、病状の判定や軽微な傷病であれば治療も可能ですが、医療設備が完全に整っているとは言えません。重症あるいは外科的加療を必要とする場合には、近隣諸国またはヨーロッパ等へ緊急移送を行う可能性もあるので、緊急移送サービスを含む十分な補償内容の海外旅行保険への加入をお勧めします。
4 「世界の医療事情」( https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/nm_east/jordan.html )において、ヨルダン国内の衛生・医療情報等を案内していますので、渡航前には必ずご覧ください。
その他、必要な予防接種等については、以下の厚生労働省検疫所ホームページ( https://www.forth.go.jp/index.html )を参考にしてください。
5 医薬品の持込み、持出し
医療用麻薬を含む医薬品の携帯による持込み、持出しの手続きについては厚生労働省の次のホームページをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index_00005.html- 緊急時の連絡先
◎警察:TEL 911(英語可)
◎救急・消防:TEL 911(英語可)
◎在ヨルダン日本国大使館:TEL(市外局番06)5932005- 問い合わせ先
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(外務省代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省関係課室連絡先)
○領事局海外邦人安全課(テロ・誘拐関連を除く)(内線)4965
○領事局邦人テロ対策室(テロ・誘拐関連)(内線)3047
○領事局政策課(感染症関連)(内線)5367
○外務省海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC版・スマートフォン版)
http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.html (モバイル版)
(現地大使館連絡先)
○在ヨルダン日本国大使館
住所:Between 5th and 6th Circles, Foeg Halezon Street, Basin No.21, North Abdoun, Amman, The Hashemite Kingdom of Jordan ( P.O. Box 2835, Amman, 11181 Jordan)
電話:(市外局番06)5932005
国外からは(国番号962)-6-5932005
ファックス:(市外局番06)5931006または5922176
国外からは(国番号962)-6-5931006または5922176
ホームページ:https://www.jordan.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html
※本情報記載の内容(特に法制度・行政手続き等)については、 事前の通告なしに変更される場合もありますので、渡航・滞在される場合には、渡航先国の在外公館または観光局等で最新情報を確認してください。