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イエメン
テロ・誘拐情勢

更新日 2024年12月31日

1 概況
(1)イエメンでは、「アラビア半島のアル・カーイダ」(AQAP)や、「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)の関連組織によるテロ活動が行われています。これら組織又はこれらの主張に影響された者の活動に注意が必要です。また、イエメン北部地域を掌握する反政府勢力ホーシー派(以下、ホーシー派)とイエメン政府との対立が継続しており、治安の極度な悪化がみられています。
(2)イエメンでは、従来から誘拐・襲撃事件が多発しています。現在も、被害者の国籍を問わず、政治・人権活動家、政治家、ジャーナリストに加え、一般人に対する誘拐等が発生しています。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)イエメンでは、AQAPによるテロが発生しています。AQAPは、2011年から発生したイエメン国内における政治的混乱の隙を突き、南部で勢力を伸張させました。2012年に誕生したハーディ暫定政権が、国内各地でAQAPの拠点への空爆、幹部の殺害、潜伏中のグループや個人の摘発等を行いましたが、AQAPは中央政府の支配が及ばない地域に逃走したり、都市部に潜伏したりして勢力を維持し、その後もイエメン軍・治安機関、銀行、石油施設、外国の権益への襲撃を続けました。
(2)2014年9月、ホーシー派が首都サヌアを占拠した後、南部に勢力を拡大すると、各地でAQAPとの間で衝突が発生し、AQAPはホーシー派を標的としたテロ・襲撃を敢行しました。また、最近では、南部地域を中心にAQAPによる軍・治安機関要員の暗殺や自動車爆弾テロが発生しています。
(3)2014年11月、ISILがイエメンに支部(「州」)の設置を宣言しました。同組織による、政府要人やシーア派のモスク等を狙ったテロ事件が発生しています。2015年3月には、サヌア市内の2か所のシーア派モスクで同時自爆テロが発生し、少なくとも142人が死亡、260人以上が負傷しました。また、2022年には、南部のアルベイダ県でホーシー派に対する自爆テロが発生しています。
(4)2024年8月には、イエメン政府の軍事拠点に対するAQAPによる自動車爆弾テロが発生し、兵士16名が死亡、18名が負傷しました。10月にもイエメン軍の軍用車両に対してAQAPが襲撃を行い、兵士1名が死亡し、兵士及び付近にいた民間人の計4名が負傷するなど、イエメン政府や軍に対する直接的な襲撃やテロが散発的に発生し、一部では民間人も巻き込まれています。

3 誘拐事件の発生状況
 イエメンでは従来から、被害者の国籍を問わず、誘拐事件が多発しています。近年は、治安悪化で多くの外国人が国外退避したこともあり、外国人に対する誘拐事件発生件数は減少していますが、危険度が下がったわけではありません。
また、従来の誘拐事件の多くは部族組織による犯行であり、政府への政治的要求や身代金を目的としていますが、AQAPの関与が疑われるケースや、人質が最終的にAQAPの手に渡ってしまうケースも多くあるといわれています。
さらに、2014年以降、ホーシー派による政治・人権活動家、ジャーナリスト等の誘拐が多発し、複数の外国人の誘拐も報告されています。ホーシー派が、国連や国際機関職員等をスパイ容疑等で逮捕する事案が複数発生しており、現在も一部を除き解放されておりません。
イエメンで最近発生した事案の例は以下のとおりです。
(1)2022年2月、アビヤン県で国連職員5名、同3月には国境なき医師団の外国人スタッフ2名がAQAPと繋がりがあるとみられる武装集団によって誘拐されています。
(2)2023年7月、WFP職員1名がタイズ県トゥルバで殺害される事件が発生しており、AQAPが同犯行に関与したと言われています。
(3)2023年8月、マアリブ県で国境なき医師団の外国人スタッフ2名が誘拐されています。
(4)2024年2月には、マアリブ県で国際NGOの外国人スタッフ2名がAQAPとみられる武装集団に誘拐されています。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 イエメンでは、近年、日本人や日本権益を直接対象としたテロ・誘拐事件は発生しておらず、また、日本人や日本権益をテロ・誘拐の標的とする具体的な脅威情報は確認されていません。しかしながら、現在紛争下にあるイエメンでは、政府による統治能力が低下し、治安も極度に悪化していることから、日本人・日本権益がテロ・誘拐事件の標的となる、あるいは、突発的に発生する事件に巻き込まれる可能性は排除されず、極めて危険です。

テロについて

「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報等に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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