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イエメン
テロ・誘拐情勢

更新日 2026年01月27日

1 概況
(1)近年のテロ情勢
 イエメンでは、主に「アラビア半島のアル・カーイダ」(AQAP)や、「イラク・レバントのイスラム国」(ISIL)の関連組織によるテロ活動が行われています。これら組織又はこれらの主張に影響された者の活動に注意が必要です。また、イエメン北部地域を掌握する反政府勢力ホーシー派(以下、ホーシー派)とイエメン政府との対立が継続しており、対立地域では治安状況の極度な悪化がみられています。2025年12月以降、南部移行評議会(以下、STC)によるイエメン東部及び南部への支配地域拡大とサウジ主導の連合軍による当該地域の奪還作戦の結果、対テロ治安部隊の編成に変更が生じ、テロ・誘拐情勢は非常に流動的となる可能性が高まっています。

(2)国内のテロ組織等について
ア アラビア半島のアル・カイーダ(以下、AQAP)
 イエメンでは、AQAPによるテロが発生しています。AQAPは、2011年から発生したイエメン国内における政治的混乱の隙を突き、南部で勢力を伸張させました。2012年に誕生したハーディ暫定政権が、国内各地でAQAPの拠点への空爆、幹部の殺害、潜伏中のグループや個人の摘発等を行いましたが、AQAPは中央政府の支配が及ばない地域への逃走や、都市部に潜伏して勢力を維持し、その後もイエメン軍・治安機関、銀行、石油施設、外国の権益への襲撃を続けています。
 2014年9月、反政府勢力ホーシー派が首都サヌアを占拠した後、南部に勢力を拡大すると、各地でAQAPとの間で衝突が発生し、AQAPはホーシー派を標的としたテロ・襲撃を実施しました。また、最近では、南部地域を中心にAQAPによる軍・治安機関要員の暗殺や自動車爆弾テロが発生しています。
 2025年には、主にアビヤン県及びシャブワ県でイエメン政府や南部移行評議会(STC)の軍事拠点や兵士等を標的としたAQAPが関与したとされる爆発テロ等が複数発生し、一部では民間人も巻き込まれ死傷者が発生しました。2025年10月には、アビヤン県のSTC軍事拠点を標的とした自爆テロが発生し、AQAPが当該作戦の実施を主張する声明を発表しました。このテロ事件により、STCの兵士4名が死亡、10名以上が負傷しました。イエメンでは、政府や軍に対するAQAPによる直接的な襲撃やテロが定期的に発生し、一部では民間人も巻き込まれています。

イ イラク・レバントのイスラム国(以下、ISIL)
 2014年11月、ISILがイエメンに支部(「州」)の設置を宣言しました。同組織による、政府要人やシーア派のモスク等を狙ったテロが2022年まで発生していましたが、2023年以降はイエメン国内におけるテロに関する同組織の声明は確認されておりません。

(3)近年の誘拐情勢
 イエメンでは、従来から誘拐・襲撃事件が多発しています。現在も、被害者の国籍を問わず、国連職員、政治・人権活動家、政治家、ジャーナリストに加え、一般人に対する誘拐等が発生しています。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
 「1 概況」のとおり。

3 誘拐事件の発生状況
 イエメンでは従来から、被害者の国籍を問わず、誘拐事件が多発しています。
2014年以降、ホーシー派による政治・人権活動家、ジャーナリスト等の誘拐が多発し、複数の外国人の誘拐も報告されています。また、最近では同派による国連や国際機関職員等をスパイ容疑等で逮捕する事案が複数発生しており、現在も一部を除き解放されておりません。
 イエメンで2025年に発生した誘拐及び拘束事案の例は以下のとおりです。

(1)誘拐事案
ア 2月、首都サヌアで、1か月で5件(14名)の児童誘拐事件が発生し、いずれもホーシー派の関与が疑われているものの、同派から声明は発表されていません。
イ 3月、タイズ県で、県の治安管理当局の職員1名が、ホーシー派によって誘拐・拘束されました。ホーシー派は当該人物を正統政府のスパイと指摘しています。また、イッブ県ではホーシー派による女性やモスクの説教師の誘拐事件が発生しました。説教師の誘拐はホーシー派が説教師にホーシー派の宗教的な思想を植え付けることを目的としていると指摘されています。
ウ 4月、アデンで5名の武装集団がアデン市教育局長の顧問を誘拐する事件が発生しました。誘拐理由は不明ですが、数時間後に解放されました。
エ 9月、ハッジャ県でホーシー派民兵の司令官が3名の子供を誘拐したうえで親族から金銭を脅し取る事件が発生しました。親族が同民兵組織が主催する宗派イベントを欠席したことが原因とされています。
オ 12月、アデンで覆面の武装集団が12歳の少年を誘拐する事件が発生しました。武装集団が家に乱入し、銃を突きつけられて少年が誘拐されました。治安部隊による捜査が行われていますが犯人は捕まっていません。

(2)拘束事案
ア 1月、ホーシー派によって国連職員8名(WFP7名、UNICEF1名)が拘束されました。政府の中枢、特に治安機関関係者がイスラエルによる空爆の標的となることへの懸念から拘束されたと指摘されています。
イ 8月から9月にかけて、イスラエルの空爆によるホーシー派「首相」及び「閣僚」死亡を受け、同派はスパイ容疑等で国連職員20名(WFP14名、UNICEF5名(うち1名は国際職員)、UNDP1名)を拘束しました。
ウ 10月、アブデルマリク・ホーシー派最高指導者は初めて明確にWFPとUNICEFを明示的に取り上げ、これら国際機関を隠れ蓑としてスパイ組織が活動しているとし、15名の国連国際職員が拘束されました。
エ 12月31日現在、ホーシー派によって拘束されている国連職員は計73名に達します(すべてイエメン人)。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 イエメンでは、近年、日本人や日本権益を直接対象としたテロ・誘拐事件は発生しておらず、それらを標的とする具体的な脅威情報も確認されていません。しかしながら、現在紛争下にあるイエメンでは、政府による統治能力が低下し、治安も極度に悪化していることから、日本人・日本権益がテロ・誘拐事件の標的となる、あるいは、突発的に発生する事件に巻き込まれる可能性は排除できず、極めて危険です。

テロについて

「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報等に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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