1. ホーム
  2. 地図からの選択
  3. テロ・誘拐情勢
  4. マレーシア

マレーシア
テロ・誘拐情勢

更新日 2024年03月01日

1 概況
(1)マレーシアでは2016(平成28)年6月28日、クアラルンプール郊外(プチョン)にて「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」関係者による国内初のテロ事件が発生し、8人が重軽傷を負う被害が生じましたが、その後、死傷者を伴うテロ事件は発生していません。マレーシア政府は現在も様々なテロ対策を講じています。
(2)マレーシアは銃器・火薬類に対する規制が厳しく、警察を中心とした当局の国内治安情報の収集能力も高いことから、国内不穏分子の活動は治安当局によりおおむねコントロールされています。しかし、これまでにテロ関連容疑で逮捕された者の経歴が幅広いため、過激思想が国民各層に浸透・拡散していた実態が明らかになっています。今後も自己過激化した者によるローンウルフ型のテロが、マレーシアで発生する可能性は否定できません。また、テロ関連グループによるオンライン上でのリクルート活動、過激思想の流布も継続しており、当局は取締り・警戒を強めています。
(3)マレーシアは、➀タイ南部、フィリピン南部、インドネシア等、イスラム過激派が活発に活動する地域と隣接すること、➁これら周辺諸国や中東イスラム諸国の国民にビザなし渡航を認めており、中東各国への直行便も多数存在することから、ISIL等のイスラム過激派への参加を企図する外国人にとって、シリアやイラク、フィリピン等へ渡航する際の中継地に利用される事例がみられます。よって、テロ組織構成員がマレーシアへ潜入し、マレーシア国内でのリクルート活動・資金調達及びテロ活動に従事する可能性は排除できません。
(4)マレーシア所在の外国権益に対する脅威は深刻ではありませんが、各種国際政治情勢の今後の推移によっては、欧米等非ムスリム国に対する感情が悪化し、各国権益への悪意ある行為が発生する可能性は否定できません。パレスチナ情勢を受けて、イスラエルと関係を有する企業や団体を非難し、米国大使館前で抗議デモを行う動きが見られましたが、現時点では平和裏に終了しており、テロ行使等の発生はありません。
(5)サバ州東部沿岸域では、これまで身代金目的の拉致・誘拐事件が発生しています。マレーシア政府は2014(平成26)年7月、同沿岸部海上を対象に夜間航行禁止令を発令しましたが、2023年10月以降、対象地域を一部縮小させた上で、名称を活動制限令に変更しました。2023年11月には、サイフディン内務大臣が、2020年以降身代金目的誘拐は報告されていない旨を答弁しましたが、当局が把握していない事案が発生している可能性も否定できません。
(6)マレーシアにおける身代金目的の誘拐事件は、都市部、地方を問わず発生しています。未成年を対象とした誘拐事件も発生しており、その多くは身代金目的で、わいせつ目的がそれに続きます。2018(平成30)年11月に発生した邦人子女誘拐未遂事件は、未遂でこそあれ、日本人が多く居住する地域で発生しており、今後も営利又はわいせつ目的の誘拐事件に在留邦人が巻き込まれる可能性は排除できません。

2  各組織の活動状況または各地域の治安情勢
 「1 概況」のとおり

3  誘拐事件の発生状況
   サバ州東部沿岸域においては、「アブ・サヤフ・グループ(ASG)」等の武装勢力が関与したとみられる誘拐事件が発生していたほか、クアラルンプール市等においても子女等を対象とした誘拐事件が発生しています。
(1)クアラルンプール市における、自動車通学中のマレーシア人子女誘拐未遂事件(2013年9月)。
(2)クアラルンプール市における、外国人幼児誘拐事件(2013年11月)。
(3)サバ州サンダカン海岸部レストランにおける、武装集団によるマレーシア人客(2名)誘拐事件(2015年5月)。
(4)クアラルンプール近郊における、コー牧師誘拐事件(2017年2月)
(5)サバ州東部センポルナ沖ガヤ島における、インドネシア船員(2名)誘拐事件(2018年9月)
(6)クアラルンプール近郊コンドミニアムにおける、邦人子女誘拐未遂事件(2018年11月、帰宅した邦人子女がエレベーターホールで待ち受けていた犯人に抱えられた事案。同行家族が抵抗し実害なし。後日犯人は逮捕。)。
(7)ボルネオ島における、国境を越えてきたインドネシア国籍軍人によるマレーシア人(5名)誘拐事件(2018年12月、身代金目的。解放後に政府間交渉へ発展し、インドネシア政府が謝罪。)。
(8)サバ州東部ラハ・ダトゥ沖における、マレーシア船員(1名)及びインドネシア船員(2名)誘拐事件(2018年12月)
(9)サバ州東部ラハ・ダトゥ沖における「海の遊牧民」(10名)誘拐事件(2019年6月)
(10)サバ州東部ラハ・ダトゥ沖におけるインドネシア人漁師(3名)誘拐事件(2019年9月)
(11)サバ州東部ラハ・ダトゥ沖におけるインドネシア人漁師(5名)誘拐事件(2020年1月)

4  日本人・日本権益に対する脅威
 これまでに、マレーシアにおいてテロによる日本人の被害は確認されていませんが、テロによる日本人の被害は、シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており、これまでもチュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
近年は、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で一般市民が多く集まる場所(ソフトターゲット)を標的としたテロが世界各地で頻発しています。これらは組織性が低い単独犯によるテロが多く、事前の取締りが難しいため、今後も継続することが懸念されます。
特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、警備や監視が手薄で不特定多数の人が集まるため、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
 テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

テロについて

「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
page TOP