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マレーシア

2019年05月13日

1.概況
(1)マレーシアでは2016(平成28)年6月28日、クアラルンプール郊外(プチョン)にてISIL(イラク・レバントのイスラム国)関係者によるテロ事件が発生し、8人が重軽傷を負う被害が生じましたが、その後、死傷者を伴うテロ事件は発生していません。マレーシア政府は軍と国家警察を動員し、大規模商業施設や交通インフラ、観光地等における警戒警備はもとより、大規模なテロ取締り活動を現在も継続して実施中です。
(2)マレーシアは銃器・火薬類に対する規制が厳しく、各種法律に基づいた先制的な予防措置を講ずることが可能です。また、警察を中心とした当局の国内治安情報の収集能力も高く、国内不穏分子の活動は治安当局によりおおむねコントロールされています。しかし、これまでにテロ関連容疑で逮捕された者の経歴が幅広いため、過激思想が国民各層に浸透・拡散している実態が明らかになっています。今後も自己過激化した者によるローンウルフ型のテロが、マレーシアで発生する可能性は否定できません。
(3)マレーシアは、(ア)タイ南部、フィリピン南部、インドネシア等、イスラム過激派が活発に活動する地域と隣接すること、(イ)これら周辺諸国や中東イスラム諸国の国民にビザなし渡航を認めており、中東各国への直行便も多数存在することから、ISIL等のイスラム過激派への参加を企図する外国人にとって、シリアやイラク、フィリピン等へ渡航する際の中継地に利用される事例がみられます。よって、テロ組織構成員がマレーシアへ潜入し、マレーシア国内でのリクルート活動・資金調達及びテロ活動に従事する可能性は排除できません。
(4)これまでマレーシア所在の外国権益に対する脅威は深刻ではありませんでしたが、ISILの脅威はいまなお存在し、プロパガンダを行っていることから、欧米等非ムスリム国に対する感情が悪化し、悪意ある行動がエスカレートする可能性は否定できません。
(5)サバ州東部沿岸域では、身代金目的の拉致・誘拐事件が発生しています。マレーシア政府は2014(平成26)年7月、同沿岸部海上を対象に夜間航行禁止令を発令しましたが、以降も誘拐事件が再発しており、同禁止令の解除の見通しは立っていません。2018(平成30)年9月には、約2年ぶりに同海域において誘拐事件が発生し、フィリピン南部の武装勢力ASG(アブ・サヤフ・グループ)の関与が明らかとなるなど、脅威度は高まりつつあります。また、誘拐の標的は、中国人や日本人等の富裕層外国人にも及んでいると言われており、特に注意を要します。
(6)マレーシアにおける身代金目的の誘拐事件は、都市部、地方を問わず発生しています。2018(平成30)年中における未成年を対象とした誘拐事件は1,318件発生し、被害者の2割が外国人でした。その多くは身代金目的で、わいせつ目的がそれに続きます。2018(平成30)年11月に発生した邦人子女誘拐未遂事件は、未遂でこそあれ、日本人が多く居住する地域で発生しており、今後も営利乃至わいせつ目的の誘拐事件に在留邦人が巻き込まれる可能性は排除できません。

2.各組織の活動状況または各地域の治安情勢
 1.概況のとおり

3.誘拐事件の発生状況
(1)マラッカ海峡において、日本船籍のタグボートが海賊に襲われ、日本人の船長、機関長及びフィリピン人船員の合計3名が誘拐される事件が発生(2005年3月)。
(2)クアラルンプール市における、自動車通学中のマレーシア人子女誘拐未遂事件(2013年9月)。
(3)クアラルンプール市における、外国人幼児誘拐事件(2013年11月)。
(4)サバ州サンダカン海岸部レストランにおける、武装集団によるマレーシア人客(2名)誘拐事件(2015年5月)。
(5)クアラルンプール近郊における、コー牧師誘拐事件(2017年2月)
(6)サバ州東部センポルナ沖における、インドネシア船員(2名)誘拐事件(2018年9月)
(7)クアラルンプール近郊コンドミニアムにおける、邦人子女誘拐未遂事件(2018年11月、帰宅した邦人子女がエレベーターホールで待ち受けていた犯人に抱えられた事案。同行家族が抵抗し実害なし。後日犯人は逮捕。)。
(8)ボルネオ島における、国境を越えてきたインドネシア国籍軍人によるマレーシア人(5名)誘拐事件(2018年12月、身代金目的。解放後に政府間交渉へ発展し、インドネシア政府が謝罪。)。
(9)サバ州東部キナバタンガン沖における、マレーシア船員(1名)及びインドネシア船員(2名)誘拐事件(2018年12月)

4.日本人・日本権益に対する脅威
 これまでに、マレーシアにおいてテロによる日本人の被害は確認されていませんが、近年、シリア、チュニジア、バングラデシュにおいて日本人が殺害されるテロ事件が発生しています。また、テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており、特に、近年では単独犯によるテロや、一般市民が多く集まる公共交通機関等(ソフトターゲット)を標的としたテロが頻発していることから、こうしたテロの発生を予測したり未然に防ぐことが益々困難となっています。
 このようにテロはどこでも起こり得ること及び日本人が標的となり得ることを十分に認識し、テロの被害に遭わないよう、海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。

(注記)
 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが,一般には,特定の主義主張に基づき,国家等にその受け入れを強要し,又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は,このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず,外務省が,報道等の情報等に基づき,海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり,本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。

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