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マレーシア
テロ・誘拐情勢

更新日 2026年05月08日

1 概要
(1)マレーシアでは2016年6月28日、クアラルンプール郊外のプチョン地区に所在するナイトクラブにおいて、「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」関係者により投げ込まれた手榴弾が爆発し、8人が重軽傷を負う国内初のテロが発生しました。
2024年、警察署を襲撃し警察官2名を殺害した被疑者の家族5人がテロ関連容疑で逮捕されました(被疑者自身は犯行現場で射殺)。その後もイスラム過激主義との関わりが疑われる事件の摘発が報じられています 。
(2)マレーシア政府は、現在も様々なテロ対策を講じています。マレーシアは銃器・火薬類に対する規制が厳しく、警察を中心とした当局の国内治安情報の収集能力も高いことから、国内不穏分子の活動は治安当局によりおおむねコントロールされています。しかし、これまでにテロ関連容疑で逮捕された者の経歴が幅広く、過激思想が国民各層に浸透・拡散していた実態が明らかになっています。今後も自己過激化した者によるローンオフェンダー型のテロが、マレーシアで発生する可能性は否定できません。また、テロ関連グループによるオンライン上でのリクルート活動、過激思想の流布も継続しており、当局は取締り・警戒監視を強めています。
(3)マレーシアは、➀タイ南部、フィリピン南部、インドネシア等イスラム過激派が活発に活動する地域と隣接すること、➁これら周辺諸国や中東諸国の国民にビザなし渡航を認めており、中東各国への直行便も多数存在することから、ISIL等のイスラム過激派への参加を企図する外国人にとって、シリアやイラク、フィリピン等へ渡航する際の中継地に利用される事例がみられました。よって、テロ組織構成員がマレーシアへ潜入し、マレーシア国内でのリクルート活動・資金調達及びテロ活動に従事している可能性は排除できません。
(4)マレーシア所在の外国権益に対する脅威は深刻ではありませんが、各種国際政治情勢の今後の推移によっては、欧米等に対する感情が悪化し、各国権益への悪意ある行為が発生する可能性は否定できません。パレスチナやイランをめぐる情勢を受けて、イスラエルと関係を有する企業や団体を非難し、米国大使館前でイスラエルの国旗を燃やすなどの抗議活動も見られましたが、これまでのところ平和裏に終了しており、テロ行為等の発生はありません。
(5)サバ州東部沿岸域では、これまで身代金目的の拉致・誘拐事件が発生しています。マレーシア政府は2014(平成26)年7月、同沿岸部海上を対象に夜間航行禁止令を発令しましたが、2023年10月以降、対象地域を一部縮小させた上で、禁止令の名称を活動制限令に変更しました。2023年11月には、サイフディン内務大臣が、2020年1月15日以降、同沿岸域における身代金目的誘拐は報告されていない旨を発言しましたが、長い海岸線や多数の島嶼全域に対するマレーシア当局の警備には限界があり、この地域では依然として誘拐・テロの脅威があるとの指摘もあります。
(6)2024年8月、マレーシア国家警察は、2020年から2024年7月までの約5年間にマレーシア全土で発生した誘拐・拉致事件は541件にのぼると発表しています。また、未成年を対象とした誘拐事件も年に数回発生しています。その多くは身代金目的で、わいせつ目的がそれに続きます。2018(平成30)年11月に発生した邦人子女誘拐未遂事件は、未遂でしたが、日本人が多く居住する地域で発生しており、今後も営利又はわいせつ目的の誘拐事件に邦人が巻き込まれる可能性は排除できません。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
 「1 概要」のとおり。

3  誘拐事件の発生状況
 サバ州東部沿岸域においては、「アブ・サヤフ・グループ(ASG)」等の武装勢力が関与したとみられる誘拐事件が発生してきたほか、クアラルンプール市等においても子女等を対象とした誘拐事件が発生しています。ここ数年では以下などの事件が発生しました。
(1)クアラルンプール近郊コンドミニアムにおける邦人子女誘拐未遂事件(2018年11月、帰宅した邦人子女がエレベーターホールで待ち受けていた犯人に抱えられた事案。同行家族が抵抗し誘拐未遂に終わる。後日犯人は逮捕。)
(2)サバ州東部ラハ・ダトゥ沖におけるインドネシア人漁師(5名)誘拐事件(2020年1月)
(3)ジョホール州ジョホールバル市にて開催された盆踊り会場におけるマレーシア子女誘拐事件(2024年7月)
(4)ネグリセンビラン州の路上でコンビニエンスストアに向かっていた16歳の少女の身代金目的誘拐事件(2025年4月)

4  日本人・日本権益に対する脅威
 これまでに、マレーシアにおいてテロによる日本人の被害は確認されていませんが、2018年にはクアラルンプール近郊で日本人が誘拐未遂の被害にあっています。
 近年は、世界的傾向として、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で不特定多数が集まる場所を標的としたテロが頻発しています。特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
 また、外国人を標的とした誘拐のリスクも排除されず、注意が必要です。
 テロ・誘拐はどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。


テロについて

「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入
れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわ
ゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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