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バングラデシュ
テロ・誘拐情勢

更新日 2022年05月10日

1 概況
 2015年10月に北西部のロングプールにおいて邦人男性が銃殺され、さらに、2016年7月1日にダッカ市内のレストランで発生した襲撃テロ事件(ダッカ襲撃テロ事件)において、日本人7名を含む多数の外国人が殺害されました。これらの事件は、ジャマトゥル・ムジャヒディン・バングラデシュ(JMB)から派生した「ネオJMB」の犯行とされ、バングラデシュ政府によるテロ対策の強化により、同組織構成員が多数殺害又は逮捕されています。
 日本人が殺害された両事件とも、「イスラム国バングラデシュ」と称する組織が犯行声明を発出しましたが、当地捜査当局は国際テロ組織イラク・レバントのイスラム国(ISIL)と「ネオJMB」との直接的な関係は確認されていないとし、国際テロ組織の思想に影響を受けたJMB構成員が事件を引き起したとの捜査結果を発表しました。
 バングラデシュにおいて、国際的なテロ組織の動向はこれまでのところ確認されていませんが、ISILやアル・カーイダ(AQ)等の国際テロ組織は、映像や雑誌等の様々なメディアを通じ、外国人を標的とするメッセージを発出しています。バングラデシュ政府はテロ対策を強化しており、ダッカ襲撃テロ事件以降、外国人を巻き込むテロは発生しておらず、 2021年11月10日にはダッカ管区に設定されていた危険度レベルが2から1に引き下げられました(チッタゴン丘陵地帯については引き続き危険度レベル2が設定されています。)。しかし、現在も治安機関によりテロ計画を有する過激主義者の摘発が続いています。世界的なテロの動向に鑑みても、今後当地でテロ事件が発生する可能性を完全に否定することはできず、引き続き注意が必要です。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)ジャマトゥル・ムジャヒディン・バングラデシュ(JMB)
 バングラデシュ政府から非合法組織として活動禁止措置を受けており、2016年にはISILに感化された構成員が「ネオJMB」と称する分派を形成し、ダッカ襲撃テロ事件を起こしました。同事件に関わったとされる構成員の多くは治安当局により殺害又は逮捕されましたが、国内において爆弾等の武器と共に構成員が継続的に摘発されているのと同時に、インド領内において潜伏していた幹部が逮捕されるなど、依然として活動中とみられます。
(2)アンサール・アル・イスラム(AAI) 別名アンサールラ・バングラ・チーム(ABT)
 国際テロ組織インド亜大陸のアル・カーイダ(AQIS)の影響を受けているとされ、政府から活動禁止措置を受けています。過去に複数の外国人ブロガー、出版関係者等の殺害に関与したとされ、2015年における連続ブロガー殺害事件後には「AQISバングラデシュ支部」を名乗る犯行声明が発出されています。2019年2月にもブロガー殺害を計画していたとして構成員4名がダッカ市内において逮捕されています。
(3)チッタゴン丘陵地帯(カグラチャリ県、ランガマティ県、バンドルボン県)
 南東部のインド及びミャンマーと国境を接するチッタゴン丘陵地帯には、仏教系少数民族が100万人以上居住しており、過去において、自治権等を求める反政府組織が結成され、多くの死傷者を出す対立抗争が度々発生しました。1997年に「チッタゴン丘陵地帯和平協定」が締結されて以降、抗争は鎮静化しましたが、民族対立は依然として未解決のままであり、散発的に抗争事件は発生しているなど現地の治安情勢は依然不透明な状況が続いています。
(4)避難民キャンプ(コックスバザール)
 現在、バングラデシュ南部コックスバザールでは、ミャンマーのラカイン州から避難してきた約100万人の「ロヒンギャ」(ラカイン州に居住するイスラム教徒)が避難民キャンプに滞在しています。キャンプ内におけるギャング同士の抗争が報じられ、またイスラム系援助団体を含む、多くの団体が支援を行っていますが、中には過激派組織による支援も含まれている可能性があるとされています。また、キャンプ周辺においては、避難民の流入による賃金下落、物価上昇、森林の喪失等、地元社会に多大な負担がかかっており、地元住民の不満の増大が指摘されています。このため、今後の動向を注視する必要があります。
 また、2021年においては、避難民のリーダー殺害事件やキャンプ内における武器工場の摘発等が見られました。当局は否定しているものの、これらの背景には、ロヒンギャ救世軍(ARSA)が関与しているとも言われています。

3 誘拐事件の発生状況
 2005年10月には、日本人男性が軟禁され身代金を要求される事件が発生し、2019年には、旅行中の邦人が拉致、監禁され、所持品を強奪される事件が起きています。バングラデシュ人を対象に身代金や労働力等を目的とする誘拐事件が多発しており、今後も外国人を対象とする誘拐事件が発生する可能性は否定できません。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 2015年10月のロングプール邦人殺害事件、2016年7月のダッカ襲撃事件と2年連続して日本人がテロの犠牲となり、いずれも「ISILバングラデシュ」を称する組織による犯行声明が発出されました(前出)。また、イスラム過激派は、同襲撃テロ事件を賞賛するメッセージや、新たなテロを呼びかけるメッセージを、映像や雑誌等の様々なメディアを通じて発出しています。
 日本はバングラデシュに対する最大の二国間援助国であり、バングラデシュ国民の多くは親日的であると言われていますが、世界的なテロ発生傾向や未だ当地において当局による過激派に対する摘発によって爆発物や火器等が押収されていることを踏まえると、今後もバングラデシュにおけるテロ発生の可能性は完全には排除されません。
 また、単独犯によるローンウルフ型テロや、一般市民が多く集まるレストラン、ショッピングモール、公共交通機関等のソフトターゲットを標的としたテロが世界各地で頻発しており、こうしたテロの発生を未然に防ぐことは困難です。
 テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

テロについて

 「テロ」については国際的に確立された定義は存在していませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうものとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が、報道等の情報等に基づき、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考資料として編集したものであり、本資料の掲載内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
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