1. ホーム
  2. 地図からの選択
  3. テロ・誘拐情勢
  4. ネパール

ネパール
テロ・誘拐情勢

更新日 2021年06月23日

1 概況
 近年、マオイスト分派等反政府組織や国内の過激派グループが多くの爆破事件や放火事件等を発生させています。2020年には、ネパール全土で、マオイスト・チャンド派等、これら反政府組織が関与したとされるテロ事件、爆破、放火、恐喝事件等各種犯罪が発生していますが、イスラム過激派(単独犯を含む)による国際テロ事件は発生していません。しかし、過去にはネパールとインド間のオープン・ボーダーを利用して、ムンバイ爆弾テロ事件の首謀者としてインドで指名手配されていた2名のインド人テロリストがネパールに逃亡・潜伏していたところ、2013年にネパール国内のインド国境付近で警察に拘束されるなど、同過激派の出撃拠点や隠れ家として滞在された事例が判明しています。また、インド国境地域には多数のモスクやマドラサ(イスラム神学校)が点在しており、インド人テロリストが、ネパール国内のインド国境付近のムスリムコミュニティ内の協力者から名義貸しを受け、ネパール旅券を取得したことも判明しています。
 2016年7月のバングラデシュでのテロ事件以降、バングラデシュ人の外国渡航が難しくなったことから、ネパールに不法入国したバングラデシュ人が偽造IDを用いてネパール旅券を取得し、外国に渡航しようとした事例も発生しており、ネパールがテロ企図者の潜伏場所やインド、パキスタン、バングラデシュ等周辺国へのテロ活動の拠点となる可能性があり、注意が必要です。
 マオイスト・チャンド派による誘拐、爆破、放火事件等違法行為は毎年多数発生していましたが、2021年3月に政府との合意により今後平和的活動を行うことが約束され、同派の活動に注視していく必要があります。
 インドとの国境地帯に広がるタライ地方の独立を目的として活動している反政府グループの活動は近年減少していましたが、2021年3月、全タライ解放戦線がシラハ郡の政府関連施設を爆破し、一般市民を含む9人を負傷させる事件が発生しており、今後、活動を再開・活発化する可能性がありますので注意が必要です。
 誘拐については、過去にインド人ビジネスマンが国境付近で誘拐された事例や最近では中国人が誘拐された事件が確認されていますが、一般犯罪としての犯罪グループによる犯行がほとんどで、多くが身代金目的でした。外国人が被害者になる事件はほとんど発生していませんが、引き続き注意が必要です。

2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)ネパール共産党マオイスト(マオイスト・チャンド派)
 内戦(1996年~2006年)を通じて王制打倒を牽引したネパール共産党毛沢東主義派・マオイスト(UCPN-M)が議会主義・現実主義路線に移行した際、これに反発したバイディア派(CPN-M)が2012年6月に分離し、その後2014年6月にバイディア派から更にチャンド派(略称はバイディア派に同じCPN-M)に分裂しました。革命の実施による共産党一党独裁体制の確立を目指す一方で、民族自決を尊重した地方分権も求め、現政治体制の解体による国民主体国家システムの樹立、科学的社会主義の確立を目指す同派は、近年、ネパール中西部から極西部の山間地を中心にネパール全土で多くの反政府活動を行っていました。2017年の選挙投票日前後を中心に、度々、内戦時代同様の手法(爆弾および火炎瓶)を使用して暴力的に反政府抗議活動を繰り返しました。2019年2月には、悪徳企業に制裁を行う名目で、手製爆弾を通信会社NCELLの事務所前で爆発させ、付近を通行していた一般人が巻き添えになり死亡する惨事となりました。この結果、同派は政府から犯罪団体と認定され、いかなる活動も禁止されました。
 その後も、このチャンド派を取り締まろうとする政府に反発し、バンダと呼ばれるゼネラルストライキや爆弾の設置、爆破、放火等の暴力行為を頻繁に行いました。2019年5月には,手製爆弾を作成中に誤って爆発させ、一般人も巻き込む数名が死亡する事件が発生しました。
 また、2019年11月に行われた連邦・州議会および地方選挙の補欠選挙を威嚇する爆発事件や、12月には同派による爆弾爆発事件により、3人が死亡、4人が負傷する事件が発生しました。2020年12月にはモラン郡において、報復のために小学校校長を誘拐し殺害するという凶悪事件を起こしました。そのほか、資金源を確保するためとして、ネパール企業、外国企業関係なく企業等に寄付金を要求し、それに応じないと自宅や会社に爆弾を設置するなどして脅すという恐喝行為を行っていました。
 2021年3月に政府との和平合意を締結し3か月が過ぎたところですが、報道によれば、同派党首は犯罪団体として認定されていた間も平和的な政治を行ってきたと述べたとされ、今後同派が合意通り平和的な活動を行っていくのか注視していく必要があります。

(2)人民タライ解放戦線(JTMM)系地下武装組織
 マオイストから分派したグループで、インドとの国境地帯に広がるタライ地方の独立を目的として活動しており、現在はゴイットが率いる全タライ解放戦線、ジャワラ・シンが率いる人民タライ解放戦線(JTMM)ジャワラ・シン・グループ、さらに右グループから分派した人民タライ解放戦線(JTMM)ラジャン・グループの3つのグループに大きく分かれています。
 過去には、タライ地域の独立を求め丘陵民族をタライ地域から排除するため、東部タライ地方のサプタリ郡、シラハ郡を主な活動拠点として、中部のパルサ郡、バラ郡、ラウタハト郡、サルラヒ郡、マハッタリ郡、ダヌシャ郡、西部のカピルバストゥ郡、中西部のバルディア郡、バケ郡、ダン郡といった活動範囲において、活動資金を得るため、誘拐等の不正な手段を用いて活動していましたが、警察の取締り強化により、最近の活動は全体的に低下していました。
 しかし2021年3月に、全タライ解放戦線がシラハ郡の政府関連施設において政府の汚職に対する抗議として爆弾を設置爆破させ、一般市民を含む9人を負傷させる事件が発生しており、今後、活動が再開、活発化する可能性がありますので、引き続き注意が必要です。
 
3 誘拐事件の発生状況
 ネパール警察によれば、2020年の誘拐事件の発生件数は152件(2019年27件)でしたが、ほとんどが一般犯罪としての犯罪グループによる犯行で、多くが身代金目的でした。外国人に対しては、過去にインド人ビジネスマンが国境付近で誘拐された事例や2021年1月に、カトマンズにおいて、金銭トラブルから中国人が誘拐される事件が確認されています。
 過去には、選挙キャンペーン中に、立候補者がマオイスト・チャンド派の構成員に拉致、誘拐されるという事件や、近年では、地方政府関係者が拉致される事件が発生しています。2020年12月には、報復として小学校校長が誘拐、殺害される事件も発生しています。
 家族構成や資産状況を調べることができるネパール人か、ネパール人に反感を持たれやすいインド人ビジネスマンが狙われやすいとされており、過去、日本人誘拐事件は発生していませんが、比較的裕福であると思われている日本人が被害に遭う可能性はありますので注意が必要です。
 誘拐の特徴としては、あらかじめ、標的となる人物を特定してその家族を拘束しておき、その後、自宅付近で待ち伏せし、対象者が帰宅したところを複数で拘束することが多いようです。
 防止策としては、「目立たない」、「用心を怠らない」、「行動を予知されない」ことが重要です。
具体的には、
・標的とならないために、なるべく目立たない服装や行動に心掛ける。
・強固な錠前を門やドア、窓等に設置するなど自宅の警備を強化する。
・訪問者(特に見知らぬ者)には自らの安全を確保した上で対応し、少しでも異変を感じたら警察に通報する。
・不審な電話がかかってくる、監視や尾行されていると感じる等の誘拐の前兆があれば、警察に通報する。
・夜間や単独での外出を避け、行き先や帰宅予定時間等をその都度、信頼できる関係者に伝えておく。
・自宅周辺、自宅からまたは自宅までの移動時、不審な車が駐車されているなど通常と違う点がないか観察し、注意を怠らない。
・通勤ルート、行動予定をパターン化しない。
などが危機管理上、重要と考えられます。

4 日本人・日本権益に対する脅威
 テロによる日本人の被害は、シリアやアフガニスタンといった渡航中止勧告や退避勧告が発出されている国・地域に限りません。テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており、これまでもチュニジア、ベルギー、バングラデシュ、スリランカ等においてテロによる日本人の被害が確認されています。
 近年では、単独犯によるテロや一般市民が多く集まる公共交通機関等(ソフトターゲット)を標的としたテロが頻発するなど、テロの発生を予測し未然に防ぐことがますます困難となっています。
 このように、テロはどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロの被害に遭わないよう、海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

テロについて

 「テロ」について国際的に確立された定義は存在しませんが、一般には、特定の主義主張に基づき、国家等にその受け入れを強要する又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等を指すとされています。本情報は、このようないわゆる「テロ」に該当するか否かにかかわらず、外務省が報道等の情報に基づいて、海外に渡航・滞在される邦人の方々の安全確保のための参考として編集したものであり、本情報の内容がそのまま外務省の政策的な立場や認識を反映するものではありません。
page TOP