タイ
テロ・誘拐情勢
更新日 2024年12月31日
1 概況
(1)タイ深南部(ナラティワート県、ヤラー県及びパッタニ県並びにソンクラー県東部)では、分離主義武装組織の活動が活発であり、警察や国軍関連施設等を標的とする襲撃や爆弾テロ事件が頻発しています。
(2)また、首都バンコクや主要観光地においても、以下のとおり、テロ事件が発生しています。
・2015年8月、首都バンコクにおいて爆発事件が発生し、20人が死亡、日本人1人を含む多数が負傷。
・2016年8月、観光地であるプーケットやフアヒン等中南部7県において、連続爆発事件が発生。
・2019年8月、首都バンコクで連続爆発・放火事件が発生し、タイ人2人が負傷。
2 各組織の活動状況または各地域の治安情勢
(1)タイ深南部の分離主義武装勢力の活動
タイ深南部は、イスラム教徒が住民の多数を占めており、歴史・文化的に国内の他地域とは異なっており、イスラム独立国家の建設を標榜する分離主義武装勢力等が警察や国軍関連施設等を標的とする襲撃や爆弾テロ事件を繰り返しています。
タイ政府は、2013年以降、分離主義武装勢力との和平交渉に取り組んでいますが、2024年中も多くの銃撃事件や爆弾テロ事件等が発生しています。
(2)国際テロ組織等の活動
現在、タイ政府は、国内において、ISILやアル・カーイダ等の国際テロ組織の活動はないとの見解を示していますが、過去には、インドネシアを中心に活動するジェマー・イスラミヤの主要メンバーがタイ国内で逮捕される事件(2003年)が発生しています。
また、タイ政府は、2015年8月に首都バンコクで発生した爆発事件は、ウイグル人を主体とする組織犯罪集団による報復目的の犯行とみています。
2024年11月には、イスラエル国家安全保障会議が東南アジア、特にタイにおけるイスラエル権益を狙ったテロ活動の脅威の高まりについて注意を促す勧告を行っています。
3 誘拐事件の発生状況
タイ警察によれば、2024年中、5件の誘拐事件が発生していますが、いずれもテロ組織が関与する事件や日本人を標的とする事件ではありませんでした。2024年12月、日本在住の高校生がタイでの仕事を持ちかけられ、タイに渡航したところ、ミャンマー国境付近の少数民族武装勢力支配地域内にある中国系犯罪組織の拠点に連れられ、特殊詐欺のかけ子をさせられるという事案が発生しています。
4 日本人・日本権益に対する脅威
タイ国内において、我が国権益を標的とすることを明言するテロ組織は確認されておりませんが、上記のとおり、過去には、日本人が数多く居住する首都バンコクや日本人観光客も多く訪れる主要観光地においてもテロ事件が発生しており、2015年8月の首都バンコクにおける爆発事件では、日本人1人が巻き込まれ、負傷しています。
近年は、世界的傾向として、軍基地や政府関連施設だけでなく、警備や監視が手薄で不特定多数が集まる場所を標的としたテロが頻発しています。特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関、宗教関連施設等は、テロの標的となりやすく、常に注意が必要です。
また、外国人を標的とした誘拐のリスクも排除されず、注意が必要です。
テロ・誘拐はどこでも起こり得ること、日本人も標的となり得ることを十分に認識し、テロ・誘拐に巻き込まれることがないよう、「たびレジ」、海外安全ホームページ、報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切かつ十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。