ベリーズ
安全対策基礎データ
- 犯罪発生状況、防犯対策
1 犯罪発生状況
ベリーズの犯罪発生件数は2022年以降、減少傾向にあり、以前は年間140件前後発生していた殺人事件も、2024年においては89件にまで減少しています。しかし、依然として銃器や刃物等を使用した強盗事件や窃盗事件が頻発しており、特にギャング組織による銃器を使用した犯罪が後を絶ちません。治安当局はこれら犯罪が発生し続けていることを重く受け止め、幹線道路上での検問実施や犯罪発生率の高い地域へのパトロール等の各種取締り活動を強化しています。
ベリーズにおける犯罪の多くは、ベリーズ市内で夜間に多く発生しています。特に同市の南部地域では、大小含め約100組のギャング組織が活動しており、同地域ではギャング組織間の抗争から殺人や銃撃事件などの凶悪犯罪が発生し、この抗争に巻き込まれた一般市民にも被害が及んでいます。治安当局はギャング組織の抗争による国内の治安悪化に伴い、2020年以降、同地域を含む一部地域の治安改善を目的に非常事態宣言を毎年発令しています。2024年には3月に1か月間、6月に宣言の延長を含む3か月間の2度に渡り非常事態宣言が発令され、2025年においても、5月に同宣言が発令されています。非常事態宣言下では、外出時間制限等の行動抑制や、軍や警察による取り締まりおよび警備強化が実施され、同宣言の対象地域の治安は改善されました。しかし、同宣言が解除され数ヶ月も経つと、治安は再び悪化傾向となり、根本的な治安改善には至っていません。また、ベリーズ市にはクルーズ船等からの多くの観光客も訪れますが、これら観光客を狙った窃盗(ひったくり、置き引き等)事件も頻発しています。
さらに隣国のメキシコ及びグアテマラとの国境付近では、規制薬物および銃器等の密輸事件が頻発しており、これには国際麻薬カルテル等の関与が疑われています。ベリーズはこれら麻薬カルテルによる南米地域から北米地域への密輸中継地点とされており、所属不明の小型機や船舶を使用した大規模な密輸事件も起きており、治安当局による規制薬物押収量は毎年増加しています。
2 日本人の被害例(いずれもベリーズ市)
(1)昼間に市内を歩いていた旅行者が、後方から突然何者かに頭部を殴打され、気絶している間に所持品を盗まれた。
(2)男性旅行者2人が、バスで地方都市から市内のバスターミナルに到着後、その場で知り合ったベリーズ人女性から「安い宿を紹介する」などと誘われ、ついて行く途中の裏通りで、待ち伏せしていた複数の男に取り囲まれてナイフで脅され、現金やクレジットカード等を強奪された。
(3)市内に住む邦人家族の自宅に銃を所持した強盗が押し入り、この家族の1人が銃撃され死亡した。
3 交通手段の安全性
ベリーズのタクシーは営業許可を取得した個人ドライバーがほとんどです。流しのタクシーよりも、ホテルの車寄せやタクシー乗り場で待機しているタクシーの利用が比較的安全です。料金メーターは付いていないため、タクシーを利用する際は、乗車する前にドライバーへ行き先を告げた上で料金を確認してから乗車することをお勧めします。過去には、日本人が法外な料金を請求された事案もあります。
また、ベリーズ市から各地方の町へ向かう長距離バスは、混雑しやすく座れないことも多くあります。指定制バス会社もあり料金は割高ですが、座ることができるためより安全です。
4 防犯対策
以下の点に注意し、常に十分な警戒心を持って行動してください。
○夜間の一人歩きは極力避け、複数で行動する。
○多額の現金や貴重品などを持ち歩かず、現金およびクレジットカードは何か所かに分けて携行する。
○強盗等の被害に遭ったときは、身の安全を第一に考え、無理に抵抗しない。
○人前で豪華な装飾品や服装の着用、羽振りのよい振る舞いは避け目立たないように行動する。
5 テロ対策
テロ・誘拐についてはテロ・誘拐情勢
( https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcterror_288.html )をご確認ください。- 査証、出入国審査等
手続きや規則に関する最新の情報は、台湾に所在するベリーズ大使館(The embassy of Belize in Taipei, Taiwan)
( https://embassyofbelizetaiwan.org/ )もしくは、ベリーズ貿易・出入国管理局 (Ministry of Foreign Affairs, Foreign Trade & & Immigration)
( https://immigration.gov.bz/ )でご確認ください。
1 査証(ビザ)
日本人を対象とする一方的査証免除措置により、滞在期間が90日を超えない場合、査証の取得を免除されます。入国に関する規則については、以下リンク先より常に最新の情報を入手するようにしてください。
ベリーズ貿易・出入国管理局 ( https://immigration.gov.bz )
2 出入国審査(到着時、入国審査に先立ち保健省による検疫が行われます。下記6を参照してください。)
入国時には、残存有効期間が6か月以上あるパスポート、十分な滞在費用、空路で入国する場合は復路の航空券を所持している必要があります。
出国時には、出国税を支払う必要がありますが、ほとんどの場合は航空券の料金に含まれています。
3 所持金の申告
入国時に、10,000ベリーズドル(5,000米ドル)相当額以上の現金(外貨を含む合計額)を所持している場合には、所定の書式(Form C300)に記入し申告する義務があります。
米ドルはホテルや銀行で現地通貨に両替可能ですが、国内のほとんどの場所で米ドルの使用が可能なため、現地通貨に両替しなくても物品の購入ができます(ただし、お釣りはベリーズドルです)。
4 通関
タバコやアルコール類、パン・米・小麦・コンデンスミルクを含む食品、個人医薬品、動物の餌等には持ち込み制限があります。農業国でもあるベリーズは植物・動物検疫に厳しく、植物や肉類の持込みは禁止されています。
違法な薬物や麻薬、武器や銃器類は、持込み、持出し共に禁止されています。
5 医薬品の持込み・持出し
医療用麻薬を含む医薬品の携帯による持込み、持出しの手続きについては厚生労働省の次のホームページをご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/index_00005.html
6 検疫・予防接種
ベリーズへ渡航する際に受けておいた方が良いとされている予防接種は、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、腸チフス、狂犬病などです。その他、黄熱病に関して、ベリーズは黄熱に感染する危険のある国ではないため、日本からの渡航に際し、黄熱の予防接種を受ける必要はありません。ただし、黄熱に感染する危険のある国(南米地域やアフリカ地域)から渡航する、1歳以上の渡航者には黄熱予防接種証明書(イエローカード)が要求されます。乗り継ぎのために黄熱に感染する危険のある国の空港を経由した場合の渡航者も黄熱予防接種証明書が要求されます。
なお、黄熱予防接種証明書の有効期限は、2016年7月11日以降は生涯有効とされており、既にお持ちの有効期限が過ぎた証明書も生涯有効なものとして取り扱われます。
黄熱の詳しい説明は以下の厚生労働省検疫所ホームページをご参照ください。
https://www.forth.go.jp/useful/yellowfever.html
その他、必要な予防接種等については、次の厚生労働省検疫所ホ―ムページを参考にしてください。
◎感染症情報( https://www.forth.go.jp/ )- 滞在時の留意事項
1 ベリーズの感染症対策
新型コロナウイルス感染症について、ベリーズでは2021年に入国制限を解除して以降、ベリーズ入国時に水際対策措置は実施されていません。新型コロナを含め国内における感染防止のための規制は引き続き厳しく施行されており、特に隣国のメキシコやグアテマラから陸路で入国する際には、はしかやマラリアに関する検査も実施しています。ベリーズでは外国人観光客に対しても、感染症の陽性が確認された場合は、費用自己負担による強制隔離が行われます。また、保健省の指導の下、ベリーズ観光局(BTB)が、衛生管理などの研修・投資を実施した宿泊施設や観光施設の認証(ゴールドスタンダード認証宿泊施設)を行っており、海外からの観光客は、その認証を受けた宿泊施設への宿泊が推奨されています。現在認証済みの施設については、当該ホームページ
( https://www.belizetourismboard.org/industry-sectors/tourism-gold-standard-hotels/ )でご確認ください。
2 麻薬に関する取締り
ベリーズは、地理的条件等から南米地域から北米地域等への麻薬中継地であると指摘されており、麻薬関連犯罪が多発しています。当局の麻薬取締体制は極めて厳しく、外国人に対しては特に厳重になっています。
麻薬所持で逮捕された場合は、最低でも禁固5年および罰金5,000米ドルの刑に処せられ、所持する麻薬の量によっては刑罰が数十倍になることもあります。警察官のおとり捜査も行われているとの情報もあるため、麻薬には絶対に関わらないでください。また、見知らぬ人物から荷物の輸送等を頼まれても決して応じないでください。これは、荷物の中に麻薬を隠し、自分ではない他の誰かに密輸させるための手口です。
3 不法就労
外国人が就労するためには政府の労働許可が必要であり、労働許可を取得せずに就労すると国外退去処分となります。
4 政治活動等の制限
永住者を除く外国人は、政治的活動、宣伝活動、布教活動を行うことを禁止されています。
5 身分を証明するものの携帯
パスポートの常時携帯義務はありません。パスポートは自宅や宿泊施設内の金庫や机など鍵のかけられる安全な場所に保管し、念のためパスポートのコピーを携行することをお勧めします。
6 ハーグ条約
ベリーズは、国境を越えて不法に連れ去られた子の返還の仕組み等を定める「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」の締約国です。一方の親の監護権を侵害する形で子どもを常居所地国であるハーグ条約締約国から他のハーグ条約締約国へ連れ去りまたは留置した場合は、原則的に子が常居所地国に返還されることとなります。
ハーグ条約についての詳細はこちらのページをご覧ください。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/hague/index.html
7 在留届
ベリーズに3か月以上滞在する方は、緊急時の連絡などに必要ですので、オンラインによる在留届電子届出システム
( https://www.ezairyu.mofa.go.jp/RRnet/index.html )を通じて、在ベリーズ日本国大使館に在留届を提出してください。日本から転居する場合には、住所が決まっていなくても、日本出発の3ヶ月前からオンライン提出が可能です。
この他、住所その他届出事項に変更が生じたときは「変更届」を、日本への帰国や他国に転居する際には「帰国・転出届」を、在留届電子届出システムを通じて必ず提出してください。 なお、郵送によっても行うことができますので、大使館宛に送付してください。ただし、ベリーズの郵便事情はあまり良くなく、紛失されるリスクがあるため注意が必要です。
8 たびレジ
在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者の方(海外の在留地から第三国への短期渡航も含む)は、「たびレジ」への登録をお願いします(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html )。「たびレジ」は、滞在先の最新の安全情報などを日本語のメールで受け取れる外務省のサービスです。登録した情報は、ベリーズで事件や事故、自然災害等が発生し、在ベリーズ日本国大使館が安否確認を行う際にも利用されます。安全情報の受取先として、家族・同僚等のメールアドレスも追加登録できますので、併せてご活用ください。- 風俗、習慣、健康等
1 飲料水
ベリーズの水道水は日本のように厳格な水質検査を行っていないため、飲料水には国際検査基準に適した蒸留水(ベリーズの一般的な商店でも販売されています)やミネラルウォーター、または煮沸した水の利用をお勧めします。
2 医療事情
「世界の医療事情」(https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/cs_ame/belize.html )において、ベリーズ国内の衛生・医療事情等を案内していますので、渡航前には必ずご覧ください。
3 注意すべき感染症
ベリーズでは、以前からデング熱、ジカウイルス感染症などの蚊が媒介する感染症の発生が報告されていますが、これらの感染症の他、2025年4月には国内で6年ぶりにマラリアの感染が報告されています。特にデング熱に関しては、雨期(6月頃~9月頃)になるとベリーズ南西部およびグアテマラとの国境地域での発生が多くなります。防虫剤の使用や、肌の露出を避けた服装を心がけ、蚊に刺されないように注意してください。
(1)デング熱
デング熱は、病原ウイルスを持っているネッタイシマカまたはヒトスジシマカに刺されることによって感染します。感染すると突然の発熱、激しい頭痛、眼球深部の痛み、関節や筋肉痛、発疹が現れ、回復期に疲労感とうつ状態が続きます。予防薬は特になく、蚊に刺されないようにすることが唯一の予防法となります。デング熱による成人の死亡率は高くありませんが、まれに重症化してデング出血熱を発症した場合には、適切な医療を受けないと死亡率が40~50%に上がります。発熱などの症状が現れた場合には、軽視せず最寄りの医療機関を受診してください。
(2)ジカウイルス感染症
ジカウイルスをもったネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染します。潜伏期間は2~12日であり、多くの人が2~7日で発症すると言われ、軽度の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、斑丘疹、疲労感、倦怠感などを呈します。一般的にデング熱やチクングニア熱より軽症といわれています。しかし、妊婦のジカウイルス感染と胎児の小頭症との関連が示唆されており、妊娠中または妊娠を予定している方は、流行国・地域への渡航・滞在は見合わせることをお勧めします。予防ワクチンや特別な治療法はなく、蚊に刺されないように予防することが大切です。発熱が続く、または発疹が出るなど、ジカウイルス感染症を疑う症状が現れた場合には、医療機関の受診をお勧めします。
(参考)感染症広域情報(ジカウイルス感染症に関する注意喚起)
http://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcwideareaspecificinfo_2018C043.html
(3)マラリア
2025年4月、ベリーズでは6年ぶりにマラリアへの感染が確認されています(今のところ感染者数は少なく、死者も出ていません)。マラリアは、マラリア原虫を持っている蚊(ハマダラカ属)に刺されることで感染する病気です。ハマダラカは、夕方から明け方にかけて活動するため、夜間に肌を露出させたり、早朝にランニングへ出かけた場合に感染することがあります。感染すると1週間から4週間ほどの潜伏期間を経て発熱、寒気、頭痛、嘔吐、関節痛、筋肉痛などの症状が現れます。マラリアには予防薬があり、マラリア流行地へ渡航する際は、抗マラリア薬の予防内服を行うことが望ましいとされています。
マラリアついては次をご参考ください。
https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/useful_malaria.html
4 保険
公立病院での医療サービスは旅行者でも無料で受けることができます。ただし、ベリーズの医療水準はかなり低いので、緊急時には国外への搬送が可能な緊急移送サービスを含む十分な補償内容の海外旅行保険に加入しておくことをお勧めします。- 緊急時の連絡先
○警察:TEL 911
○消防、救急の連絡先は各地域によって異なるので下記にてご確認ください。
【主な地域の消防・救急連絡先】
ベリーズ市 消防:TEL 223-1183 救急:TEL 223-1548
サンペドロ 消防:TEL 226-2372 救急:TEL 226-2372
アイランドフェリー消防:TEL 206-3231 (島外で治療を受ける場合)
キーカーカー 消防:TEL 206-0353 救急:TEL 226-0166
サンイグナシオ 消防:TEL 824-2095 救急:TEL 824-2066
プンタゴルタ 消防:TEL 702-2032 救急:TEL 702-2026
ベルモパン 消防:TEL 822-2311 救急:TEL 828-4512
コロサル 消防:TEL 422-2105 救急:TEL 422-2076
オレンジウォーク 消防:TEL 322-2090 救急:TEL 322-2072
○自動車等道路上での事故:TEL 225-2087
○海上事故:TEL 225-2125
○NEMO 【ベリーズ国緊急事態管理庁】:TEL 936(ハリケーン等の自然災害時等の連絡先)
○病院:Belize Medical Associate(24時間対応):TEL 223-0303
Karl Heusner Memorial Hospital(24時間対応):TEL 223-1548
○在ベリーズ日本国大使館 :
電話:822-1202
FAX:822-1206
領事関係電子メールアドレス :ryoji@bf.mofa.go.jp
※日本からの電話:(国際電話識別番号)501(国番号)相手先の電話番号- 問い合わせ先
(問い合わせ窓口)
○外務省領事サービスセンター
住所:東京都千代田区霞が関2-2-1
電話:(代表)03-3580-3311(内線)2902、2903
(外務省関係課室)
○領事局海外邦人安全支援室
○領事局政策課(感染症関連)
○領事局ハーグ条約室(ハーグ条約)
○海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/ (PC・スマートフォン版)
http://www.anzen.mofa.go.jp/m/mbtop.html (フィーチャーフォン版)
(現地公館連絡先)
○在ベリーズ日本国大使館
住所:Toucan Plaza 3nd Floor, 7299 George Price Boulevard, Belmopan,
Cayo District, Belize
電話:822-1202
国外からは(国番号501-822-1202)
FAX:822-1206
国外からは(国番号501-822-1206)
領事関係電子メール:ryoji@bf.mofa.go.jp
ホームページ:https://www.bz.emb-japan.go.jp/
※本情報記載の内容(特に法制度・行政手続き等)については、 事前の通告なしに変更される場合もありますので、渡航・滞在される場合には、渡航先国の在外公館または観光局等で最新情報を確認してください。